「高齢者が自宅で受けられる訪問サービスって何があるんだろう」
「高齢者訪問サービスの費用はいくらかかるんだろう」
このようなお悩みを抱えていませんか?
高齢者向けの訪問サービスは、自宅にいながら必要な介護や医療サポートが受けられる仕組みです。訪問介護では生活全般の支援、訪問看護では診療や医療的な支援など、高齢者個人のニーズに応じたサービスが提供されています。
本記事では、高齢者向け訪問サービスの種類を分かりやすく解説します。それぞれのサービスにおける「できること」と「できないこと」や費用相場、サービス利用までの具体的な流れも紹介しているので、参考にしてみてください。
高齢者向け訪問サービスとは?できること・できないことを解説
高齢者向けの訪問サービスには介護保険が適用されるものと適用されないもの、両者を組み合わせた混合介護など、複数の種類があります。サービスごとに支援内容が異なり、利用できる範囲が細かく定められています。
訪問サービスの種類は後ほど紹介しますが、サービスごとに規則や事業所ごとのルールが存在し、依頼できることとできないことが明確に区別されているのです。
現在混合介護の規制緩和が進められていますが、利用する際には内容や費用、契約の事前確認が必要です。
サービスを検討する際にはニーズに合った支援を受けられるのか、どこまで依頼できるのかを事前に確認しておきましょう。
関連記事:混合介護とは?厚生労働省の見解や規制緩和の動き、導入時期を解説
高齢者向け訪問サービスの種類とサービス内容【費用相場も紹介】
高齢者向け訪問サービスは、日常生活の支援から医療ケアまで種類が豊富にあります。それぞれのサービスには異なる役割があり、本人の状態や必要に応じて組み合わせて利用できます。
主なサービスは、以下の5つです。
- 訪問介護|日常生活の支援
- 訪問看護|医療ケアや健康管理
- 訪問リハビリテーション|身体機能における回復・維持のサポート
- 訪問診療・往診|医師が自宅に来て診察
- 訪問入浴|入浴のサポート
複数のサービスをうまく活用することで、住み慣れた自宅での生活を安心して続けられます。各サービスの内容、費用相場を詳しく解説していきます。
訪問介護|日常生活の支援
訪問介護とは、介護福祉士や訪問介護員が自宅を訪問し、日常生活をサポートするサービスです。
入浴や排泄などの身体介護、洗濯や掃除など生活援助、そのほかにも日常生活の世話など、さまざまなサポートをしてくれます。
利用料は以下のように、身体介護と生活援助で異なります。
サービス費用 | 利用者負担/1回につき ※1割負担の場合 |
|
身体介護 | 20分未満 | 163円 |
20以上30未満 | 244円 | |
30以上1時間未満 | 387円 | |
1時間以上1時間半未満 | 567円 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 179円 |
45分以上 | 220円 | |
通院時の乗車・降車等介助 | 97円 |
出典:厚生労働省|どんなサービスがあるの? – 訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護は利用者の状況や必要なサポートに応じて、身体介護と生活援助を組み合わせながら、費用も明確に設定されています。
利用者が自宅やマンション、住宅型の施設で暮らしていても、自立した日常生活を送れるようにサポートすることが目的です。
訪問看護|医療ケアや健康管理
訪問看護は医師の指示のもと看護師が利用者宅へ訪問し、看護ケアや自立援助を行うサービスです。病状の観察や食事援助、排泄援助、入浴介助など、さまざまなサポートを行います。
訪問看護は以下のように、看護師がどこから来るのかで負担額が変わります。
サービス時間 | 訪問看護ステーションから/1回 ※1割負担の場合 |
病院・診療所から/1回 ※1割負担の場合 |
20分未満 | 314円 | 266円 |
30分未満 | 471円 | 399円 |
30分以上1時間未満 | 823円 | 574円 |
1時間以上1時間半未満 | 1,128円 | 844円 |
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問(20分以上) | 294円 | ー |
出典:厚生労働省|どんなサービスがあるの? – 訪問看護
訪問看護は要支援・要介護どちらの認定を受けていても、利用者負担額は同じです。
病状の管理から日常生活の援助まで幅広くサポートしてくれるので、訪問看護師は自宅で医療ケアを受けたい方にとって心強いサービスです。
訪問リハビリテーション|身体機能における回復・維持のサポート
訪問リハビリテーションは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問し、身体機能の回復や維持をサポートしてくれるサービスです。
病院や施設への通院が困難な方や退院後の日常生活に不安がある方など、医師が必要性を認めた場合のみサービスを利用可能です。
負担額は以下のように、要介護認定の区分で変わります。
サービス時間 | 要支援1・2/1回 ※1割負担の場合 |
要介護1~5/1回 ※1割負担の場合 |
20分以上 | 298円 | 308円 |
出典:厚生労働省|どんなサービスがあるの? – 訪問リハビリテーション
歩行や寝返りなどの機能訓練や、麻痺解消のためのマッサージ、住宅改善のアドバイスなど、多岐にわたるサポートが受けられます。
訪問リハビリテーションは、ご自宅で専門的なリハビリを受けたい方にとって、生活の質の向上を支える重要なサービスです。
訪問診療・往診|医師が自宅に来て診察
訪問診療も往診も医師が自宅に来て診察する医療サービスですが、訪問の目的とタイミングが異なります。訪問診療は約束の上で定期的に訪問するのに対し、往診は要請を受け、その都度診察を行うことです。
往診の場合、以下のように時間と医師が所属する医療機関の種類で診察料が変わります。
項目 | 病床あり | 病床なし | その他の医療機関 |
基本往診料 | 72円 | 72円 | 72円 |
緊急時の往診加算 | 85円 | 75円 | 33円 |
夜間・休日の往診加算 | 170円 | 150円 | 65円 |
深夜往診加算 | 270円 | 250円 | 130円 |
出典:厚生労働省|第1節又は第2節の各区分の所定点数により算定される点数について
今回は1割負担の場合の診察料を紹介しましたが、往診料は「【往診料(720点)+加算】×10円 × 自己負担割合」で計算できます。
訪問診療や往診は、ご自宅で必要な医療を受ける上で重要な選択肢となるでしょう。
関連記事:高齢者がかかりつけ医をもつと安心な理由|作る際の選び方のポイント
訪問入浴|入浴のサポート
訪問入浴は介護保険適用のサービスで、看護師や介護職員が訪問入浴車で自宅を訪問し入浴できるサービスです。
訪問入浴サービスは、看護師が同行して体調を確認しながら入浴できるため、定期的な身体状況の把握にも役立ちます。
負担額は以下のように、要介護認定の区分で変わります。
サービス時間 | 要支援1・2/1回 ※1割負担の場合 |
要介護1~5/1回 ※1割負担の場合 |
全身入浴の場合 | 856円 | 1,266円 |
出典:厚生労働省|どんなサービスがあるの? – 訪問入浴介護
訪問入浴はスタッフが浴槽と給湯設備を持参するため、ご自宅の浴室が使えない寝たきりの方でも、問題なく入浴できるのが特徴です。
また、専門の職員が入浴介助を行ってくれるので、ご家族の負担も軽減できます。
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高齢者が訪問サービスを利用する方法
訪問サービスは、住み慣れた自宅で生活を続けたい高齢者にとって大きな支えとなります。介護保険でサービスを利用する場合、ケアプランの作成が必要です。
具体的な手順は、以下のとおりです。
- 住んでいる市町村の窓口で要介護認定の申請を行う
- 調査員が訪問し、認定調査を行う
- 審査判定を行う
- 30日程度で認定結果が通知される
- ケアプランを作成する
要介護1以上:住宅介護支援事務所
要支援1・2:地域包括支援センター - 計画にもとづいたサービスを利用する
訪問サービスを介護保険で利用するためには、要介護認定の申請から始まり、ケアプランの作成を経て実際のサービス利用へとつながります。
住み慣れたご自宅で安心して暮らし続けるためにも、お住いの市町村窓口に相談しましょう。
関連記事:
訪問看護を受けるには手続きが必要?相談先や利用の流れを解説
高齢者が利用できる訪問サービスの種類を知って必要な支援を受けよう
高齢者向け訪問サービスは、身体介護から医療ケア、リハビリまで幅広く対応しています。
介護保険を活用すれば、費用を抑えながら専門的な支援を受けることも可能です。
本記事で紹介したサービス内容や手続き方法を参考にしながら、あなたやご家族が安心して在宅生活を続けられる環境を整えてみてください。
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監修者 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長会 斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟理事長。立命館大学卒業後、複数の介護関連企業で要職を歴任し、日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。講演活動やメディア出演も多数。