ここ数年、新型コロナウイルスの影響で自宅にひきこもりがちになり、外出や人と会話をする機会も少なくなるなど、老年症候群を引き起こす危険因子は以前よりも増えています。
また、老年症候群は身体的な症状だけではなく精神心理的な症状も含むため、一見元気そうに見える方であっても、精神心理的な部分での衰えが発生している場合もあります。今回は、この老年症候群について解説いたします。
老年症候群とは
老年症候群は、加齢に伴って病気または心や体の状況の問題が複雑に関連し合うことにより生じる、高齢者に多くみられる症状です。簡単にまとめてしまうと「老化現象」のことをいい、特に75歳以上の後期高齢者で増えてきます。
例えば、ふらつく、つまずいて転倒しそうになる、だるい、眠れない、うつ症状、痩せてくる、尿失禁、視力障害、難聴などの症状があります。
最初は大した問題ではなくとも、徐々に生活の質や活動度が落ちてしまいます。
老年症候群を放置していると、最悪の場合、要介護など寝たきりの状態になることもあります。
老年症候群にはどのようなものがあるのか
まず身体的なものから見ていきましょう。
老年症候群としてよく挙げられるのが、
「フレイル」「サルコペニア」「廃用症候群」「認知機能の低下」です。
それぞれについて簡単に説明いたします。
フレイルとは
①体重減少
②筋力低下
③疲労感
④歩行速度低下
⑤身体活動量低下
の5つの内、3つ以上が当てはまる状態を言います。
サルコペニアとは
①骨格筋力の減少
②筋力や身体機能の低下
などが見られます。
「廃用症候群」とは
本当はやろうと思えば自分で出来る状態にもかかわらず、自分で行うと時間がかかってしまうなどの理由でやらなくなることで、本当に出来なくなってしまう症状です。
例えば、ゆっくりとなら自力歩行ができる方が、自力歩行は時間がかかるため、常に車いすを使用して移動していると、次第に下肢筋力が低下し、自力歩行が全く出来なくなるといった状態です。
「認知機能の低下」とは
主に記憶力、判断力、計算力の低下などが挙げられます。
ただしここで気を付けなければならないのは、「認知症とは異なる」ということです。記憶力の低下は加齢に伴い誰にでも起こる可能性があります。例えば「何かを覚えたい」という場合、以前より時間はかかるものの覚えることはできます。
一方認知症の場合は、脳の機能が損傷されるため、完全に「覚えられない」状態となるのです。
老年症候群の種類
高齢者でなくても見られる急性・あるいは慢性の症状だが、高齢者で頻度が高い。
特別な配慮が必要となる病態
【身体的なもの】
咳・痰・呼吸困難・肩こり・だるい・手足のしびれ・ふらつく・転倒しそうになる・
骨折・起立性低血圧・不整脈・貧血・食欲不振・低栄養・脱水・便秘・頻尿など
【精神心理的なもの】
意識障害・抑うつ・不眠
高齢者に特有、あるいは主に高齢者に見られる病態
【身体的なもの】
骨粗鬆症・褥瘡・廃用症候群・排尿障害・視力低下・難聴・嚥下障害・誤嚥・
フレイル・サルコペニアなど
【精神心理的なもの】
認知機能障害・せん妄など
老年症候群の予防方法
高齢者は病気や骨折で安静状態が続くと、寝たきりに繋がるリスクが高まります。
また身体の筋肉は、使わなければ早い段階で落ちていきます。寝たきり状態を予防するためには、定期的に運動や体操を行い、筋力を動かすことを心掛けて下さい。
また認知症を予防する方法としては、魚・野菜・果物を多く取れるように食事のバランスを考え、よく噛んで食べる事が基本的な事として挙げられます。文字を読んだり、文章を書いたり、頭を使うことも効果的です。
いつでも自立した生活が行えるように自分自身を知り、出来る事から始めてみましょう。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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