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高齢者の病気について【PART2】~入院や介護が必要になる病気ランキング~

高齢者の病気について【Part1】では、生物学的老化と病的老化について解説いたしました。
Part2では、高齢者に多く、入院や介護が必要になる病気についてご説明します。


厚生労働省が2019年発表した国民生活基礎調査の結果では、以下のランキングとなっています。

高齢者に多く、入院や介護が必要になる病気ランキング

目次

1位:認知症

認知症は、脳の病気や障害などによって起こり、認知機能の低下が主な症状となる疾患です。
認知症には複数の種類がありますが、その中でも多いのがアルツハイマー型認知症であり、この病気が介護のきかっけになったと回答する方が多くいます。

2位:脳卒中

脳の血管が破れたり詰まることで、脳に血液が届かなくなり、脳の神経細胞が障害される病気の総称です。
代表的なものに、血栓によって血管がつまる脳梗塞、脳の血管が破裂する脳出血、動脈中が破れて硬膜と軟骨の間にあるくも膜に出血が見られるくも膜下出血などがあります。

3位:高齢による衰弱

以下の項目の中でどれか3つが当てはまると衰弱とされます。

〇疲労

〇体重減少

〇筋力の衰え

〇活動量の低下

〇歩行速度の低下

4位:骨折・転倒

原因として以下の症状が上げられます。

〇骨粗鬆症により骨の強度が低下している

〇栄養不良で負荷死亡が少ない

〇筋力低下で転倒しやすい など

5位:関節疾患

身体の関節に異常をきたす疾患の総称で、膝関節や股関節に多くの症状がみられます。

特に多い疾患としては、変形性膝関節症があげられ、膝の軟骨に負担がかかることが原因で発症します。

加齢に伴い、軟骨そのものが弱くなることで生じる疾患で、患者の半数が女性です。
続いて多いのが変形性股関節症です。変形性股関節症は他の病気と併発して起こる二次性であることが多い疾患で、歩行時に痛みが出たり、可動域に制限が出たりします。

その他にも以下の病気があげられます。

心疾患(心臓病)

心疾患にはいくつもの種類がありますが、代表的なものとして「心筋梗塞」と「狭心症」があります。

主な原因はどちらも加齢による血管の老化、いわゆる動脈硬化であると言われていますが、その他にも高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満など生活習慣が原因で発症する場合もあります。
心疾患は日本人の死因第2位で、突然死や要介護に至るケースの多い疾患です。

パーキンソン病

パーキンソン病は、脳の異常のために体の動きに障害が現れる病気です。

筋固縮、手足が震える、動作が遅い・小さい・少ない・バランスがとれないなどの症状があり、ゆっくりと進行するのが特徴です。
また幻覚や抑うつの症状を伴うことがあり、高齢になって症状が進むと認知症を発症するケースもあります。

呼吸器疾患

高齢になると体を動かす機会が減少し、少しずつ体力が衰えていきます。
買物や散歩に出かけてもすぐに疲れたり、息切れを起こし、家の中に引きこもりがちになる方もすくなくありません。
そうなるとますます体は弱まり、次第に呼吸をする力までも衰え、場合によっては呼吸困難に陥ることもあります。
呼吸器疾患には肺炎、肺気腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患などがあります。

がん(悪性新生物)

以前は「がん」といえば不治の病というイメージがありましたが、最近は検査や治療の精度が高まったことで、延命できるケースが増えています。
さらに入院期間も短くなり、在宅で療養、介護を行うことも少なくありません。

がんは別名悪性腫瘍と呼ばれ、その腫瘍の漢字の通り「できもの」です。
細胞のエラーなどで細胞が異常に増殖してしまい、その増殖が止まらないために「悪性」と呼ばれ、人に死を至らしめます。
年齢を重ねる内に細胞のエラーが多くなったり、その修復能力が下がったりするため、高齢者のほとんどが癌になりやすくなります。

糖尿病

初期症状がほとんど無いため、頻尿や喉の渇き、手足の痺れなどの自覚症状が出てくる頃には、病気はかなり進行しています。

糖尿病になって血糖値が高い状態が続くと、血管がもろくなり血液が詰まりやすくなります。
このような症状が長く続くと、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こし、突然死のリスクが高まります。
また、助かったとしても要介護となるケースも少なくありません。

脊髄損傷

高齢になると骨がもろくなるため、転倒などで骨折のリスクが高まることはよく知られています。
ただ65歳以上の脊髄損傷者の60~70%は骨折や脱臼を伴わない、非骨傷性脊髄損傷が多いとされています。
この病気の進行は、まず加齢変化により頚椎症が起こり、神経の通り道である脊柱管が狭くなると、手足の痺れなどの症状が出始めます。
この状態を頸椎症性脊髄症といいます。そこにちょっとした外傷が加わることで非骨傷性脊髄損傷となります。
損傷した部位によっては四肢の運動障害、感覚障害、排便、排尿障害などが起こります。

まとめ

高齢になると上記にあげる病気にかかりやすい傾向はありますが、日々の生活の心がけや、定期的な検査などにより、病気の予防や早期発見、病気の進行を防ぐことができ、その後の日常生活にも大きく影響します。
また自宅での生活を継続する場合、要介護者だけでなく、介護者にとっても、とても重要なことになります。
より豊かな日常生活を目指し、今からできる事に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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