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生活援助が頻回のケアプランの届け出が義務化。影響や詳細を説明します!

 

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平成30年10月から、生活援助が頻回のケアプランについては、市区町村に届け出るように義務化されます。

 

訪問介護のサービスである「生活援助」。利用している人も多くいますが、今回の義務化で利用者に何か影響はでるのでしょうか。

 

ここでは「生活援助を使用しているけれど何か悪影響が出るのでは?」と心配な方や「義務化って具体的にどうなるんだろう」と思っている方に向けて、今回の義務化の詳細や考えられる影響について説明します。

ケアプランや生活援助の基礎知識

まずは今回の義務化に関わる「生活援助」や「ケアプラン」について整理しましょう。

 

 

 

 

ケアプラン

 

 

・「どのような介護サービスをいつ、どのように、どのくらい利用するか」示した計画のこと

・市区町村の介護保険課に提出

・自身や家族で立てる、もしくは「ケアマネジャー」に立ててもらい作成する

・ケアマネジャーに頼むことを「居宅介護支援事業」という。ケアプランを立てるだけでなく、利用者の状況把握(モニタリング)、事前の評価や課題分析(アセスメント)、サービス調整等をケアマネジャーが行ってくれる。利用者の自己負担なく利用できる。

専門知識が必要となるため、ケアマネジャーに頼むケースがほとんど

 

 

生活援助

 

・訪問介護(利用者の自宅に行き介護すること)の種類の一つ

・食事の支度、買い物、洗濯、服薬管理等、日常生活の家事援助(利用者の体に触れない援助を指す)

介護保険が適用される

・「本人」に対してのみ行われ、日常生活の枠を超えたことはできない(家族の分の食事を作る、大掃除などは不可)

 

 

生活援助頻回プランの届け出の義務化ってどういうこと?

 

ああ

 

先ほどの知識を踏まえて、今回の義務化についてみていきましょう。

ここでは、ケアプランをケアマネジャーが作成している前提で説明します。

 

1か月の生活援助の数が「一定の数」より多いケアプラン(=生活援助頻回プラン)は、ケアマネジャーが市区町村に届け出る必要があります。

届け出る期日は「ケアプランを交付した翌月末まで」と定められています。10月から義務化が始まるため、最初に届け出る期限は11月末までとなります。

 

 

一定の数とは「全国平均利用回数+2標準差」で、要介護度によって回数は異なります。

表にまとめました。

 

届け出が必要な「生活援助」の回数
要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
27回以上 34回以上 43回以上 38回以上 31回以上

 

届け出られたケアプランは、市区町村などの地域ケア会議にかけられます。

様々な専門家の目線から「必要があっての頻回利用なのか、不必要なのか」「より良いアプローチはないのか」について話しあい、適切なプランを作成するためです。

 

この義務化によって、どれくらいのケアプランを届け出る必要があるのでしょうか。

平成28年10月時点で推計すると生活援助サービスを受けている利用者全体の4・8%にあたる約2万4000件が該当するといわれています

 

ケアプランに生活援助が頻回必要な理由がしっかりと記載されている場合は届け出のみで良く、別途の理由書などの添付は必要ありません。

 

 

 

 

「生活援助頻回プラン」の届け出が必要な理由は?

 

相談

 

今回の義務化の意図は、生活援助にかかっている介護給付費の抑制です。

 

「生活援助」として提供される、食事の支度や洗濯、アイロンがけなどを「介護のプロが行うものなのか」「介護給付費を使うべきものなのか」という議論が、給付費の削減を考える財務省を中心に起こっています。

 

介護サービス利用者の中には、生活援助を月90回以上利用している方もいます。

生活援助はあればあるだけ便利なサービスなので、「過剰に提供されているのではないか」と問題視されています。

そのため不適切なサービスを減らし、過剰にかかっている介護給付費を削減しようという流れなのです。

 

 

生活援助の利用回数が90回以上の利用者に対して、具体的な利用状況を調査した結果「適切でない」とされたのは48件中2件だった、というデータを厚生労働省が示しています。

割合的に多い訳ではありませんが、適切でないケースがあるのも事実です。

 

また、生活援助で月90回訪問している場合、1か月を30日とすると1日3回訪問していることになります。

利用者の中には老々介護や認知症で一人暮らししているケースもあり、これだけの生活援助を受けないと生活が成り立たないという指摘もあります。

 

月90回利用と聞くと多いように感じますが、必ずしも過剰に提供しているとはいえないこともあるのです。

 

 

生活援助が本当に必要でも最低限しか使えなくなる!?

 

孤独死

 

今回の改正でどのような影響があるのでしょうか。

 

まず、届け出の必要があることでケアマネジャーの事務作業が増えます。ケアマネジャーはケアマネジメントの合間を縫って事務処理をしているため、今以上に負担が増えることになるのです。

そのため事務作業を減らすために、ケアプランを作成する時点で、「基準回数を超えないように生活援助の数を抑制してしまう」可能性があります

 

結果、本当に生活援助を多く利用する必要がある方が、基準回数までしか利用できなくなってしまう事態が起こるかもしれません。

 

金銭的事情でホームに入ることができない方や、入りたいホームが合っても待機人数が多く入れない方など、「一人で生活できないがやむをえず一人で生活している人」が生活援助を十分に利用できないということも起こる可能性があるのです。

 

 

 

【まとめ】必要な生活援助を受けるために、ケアマネジャーとしっかり相談を

 

料理

 

平成30年10月から変わる生活援助頻回プランの届け出について説明してきました。

 

過剰なサービス提供が減るのは良いことですが、万が一必要な方までサービス提供が減らされてしまうのであれば、良い施策とはいえません。

また、ケアマネジャーの事務作業が増えることに対し、なんらかの対策を打たない限り、今回のような「事務作業が負担になるためサービスが抑制されてしまう」事態が今後も起こりかねません。

 

 

ケアプランを作成してもらうときには、「認知症の一人暮らしでどうしても服薬管理が必要」など、現状をしっかりと伝え「生活援助がどれくらい必要なのか」主張していく必要があります。

 

ケアプランを立てる際はケアマネジャーとよく話し合うことが大切です。

しっかりとした知識をもってケアマネジャーと話し合い、必要な介護サービスを必要なだけ受けられるようにしてください。

 

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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