毎日生活する老人ホームの食事が美味しくないと、生活の質が低下してしまいます。老人ホームは高齢者にとって家の代わりになる場所であるため、日々の食事が美味しいかどうかは大きなポイントだといえるでしょう。
「美味しくない」といった声が多かった老人ホームの食事ですが、近年は変わりつつあります。ただし、コストや設備の問題で食事に力を入れられない老人ホームもまだまだあるのが現状です。
今回は、老人ホームの食事がまずいといわれる理由や施設選びのポイントを解説します。老人ホームでの食事内容の例や不満があるときの対処法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。
老人ホームの食事がまずいといわれる理由
老人ホームの食事は塩分量が管理されているケースがほとんどです。また、冷めた食事やメニューのマンネリ化なども、老人ホームの食事がまずいといわれる理由の一つです。
以下で、それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
塩分量が管理されている
老人ホームの食事は塩分量が管理されているため、物足りなさからまずいと感じる方も少なくありません。とくに高齢者は高血圧や肝臓疾患のリスクが高く、普段から塩分の摂取量を制限する必要があります。健康に配慮するためにも、老人ホームの食事は基本的に薄味です。
健康に良いとわかっていても、普段の食生活で食べ慣れた味と比べて、老人ホームの食事は味付けが薄いと感じられるでしょう。塩分量をコントロールしながら食事の満足度を高めるためには、工夫も必要です。
減塩食の特徴やポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:減塩対策のポイントは?基本やコツを分かりやすく解説
冷めた食事が提供される
冷めた食事の提供も、老人ホームの食事がまずいといわれる理由の一つです。老人ホームでは、大人数の食事を一度に準備して配膳する必要があります。そのため、利用者が口にするまでに提供される食事が冷めてしまうケースも珍しくありません。
料理によっては、冷めることで風味や食感が損なわれるものもあります。とくに温かい料理を好む方にとって、冷めた食事はまずいと感じやすいでしょう。
メニューがマンネリ化している
老人ホームの食事がまずいといわれる理由として、メニューのマンネリ化が挙げられます。老人ホームによっては、栄養バランスを重視するあまり、毎日同じようなメニューが提供される場合があります。
メニューのマンネリ化は、入居者が食事に対する興味を失ったり、不満を抱いたりするきっかけになりがちです。
老人ホームでは入居者の健康を考慮するあまり、メニューに変化をつけづらい側面もあり、単調な食事がまずいと感じる原因になります。
高齢者が老人ホームで食事をしないと起こり得る問題
老人ホームの食事がまずいからといって高齢者が食事をしないと、健康面や生活上でさまざまな問題が生じる可能性があります。食事は体力を維持し、心身の健康を保つために非常に重要です。
以下で、食事の拒否によって起こり得る問題について解説するので、ぜひ参考にしてください。
低栄養状態に陥る
まずいからといって食事をしないと、低栄養状態に陥るリスクが高まります。
食事から必要な栄養素やカロリーを摂取しなければ、身体は十分なエネルギーを維持できなくなり、筋肉量や免疫力の低下につながります。
高齢者の場合、低栄養が引き金になり、病気が悪化するケースも少なくありません。低栄養状態に陥ると、感染症に疾患しやすくなるだけではなく、病気や傷の治癒を遅らせる原因にもなります。
食事をしないことは健康を大きく損なうリスクがあるため、注意が必要です。
食事介護が難しくなる
老人ホームの入居者が食に対する興味を失うと、食事介護が難しくなる場合があります。
まずいと感じている食事を無理に食べさせることは簡単ではありません。とくに入居者が自分で食べられない場合、食事を拒否したり、時間がかかったりすると、介護者にとっての負担になりかねません。
食事介護がスムーズに進まなくなると、入居者と介護者の双方にストレスが生じ、健康状態の悪化や介護の質の低下につながる可能性があります。
ストレスが増加する
老人ホームの食事がまずいと感じることは、ストレスの増加にもつながります。
食事は単なる栄養素やカロリーの補給だけではなく、社会的な交流や楽しみの一部です。実際に、食事の満足度は生活の質に直結するため、食事を十分に楽しめずにいるとストレスや不満が増加します。
食事をしなくなってしまうことで、孤独感が深まったり、社会的なつながりが減少したりする可能性も考えられます。
食事は心身の健康に不可欠なものです。食事そのものがストレスの原因にならないよう、工夫して対応する必要があります。
食事が美味しい老人ホームを探す方法
老人ホームを探す際は、食事に関して確認しておくと安心です。食事が美味しい老人ホームを探すポイントは、以下の4つです。
- 献立を確認する
- 調理場所を確認する
- 食堂の雰囲気や決まりごとを確認する
- 施設を見学して試食する
それぞれ詳しく解説します。
献立を確認する
食事が美味しい老人ホームを探すためには、見学時に献立を確認するようにしてください。事前に献立を確認しておくと、メニューがマンネリ化していないか、季節ごとの食材を使っているかなどをチェックできます。
たとえば、夏には冷たい料理、冬には温かい料理や煮込み料理といった季節感を意識した献立は食欲を引き立てます。
また、糖尿病食や低塩分食、アレルギー対応食など、個別の健康状態や食事制限に応じた対応が必要な場合は、特別食の提供があるか事前に確認しておくと安心です。
調理場所を確認する
食事が美味しい老人ホームを探すのであれば、調理場所の確認もポイントの一つです。老人ホームの食事が美味しいかどうかは、どこで調理しているかによっても変わります。
老人ホームには、委託先で作った食事を提供している施設と併設した厨房で食事を作っている施設があります。
外部で作る食事は、施設内の厨房で作る食事と比べてコストを比較的安く抑えられる一方で、デメリットは味付けや見た目などが劣る点です。
施設内に暖房がある老人ホームのなかには、食事に力を入れている施設も少なくありません。出来立ての食事を口にできるほか、作っている人が目に見えてわかる安心感もあります。
事前に調理場所を確認しておくと、入所後のギャップを減らせます。
食堂の雰囲気や決まりごとを確認する
老人ホーム選びにおいては、食堂の雰囲気や決まりごとの確認もポイントの一つです。老人ホームでの食事をイメージすると、入居者が一斉に集まって決められた場所で同じ料理を食べる光景を思い浮かべるかもしれません。
実際には、老人ホームによって食事の決まりごとが異なるため、事前に以下の点を確認しましょう。
- 食事時間は指定されているのか
- 食事時間には幅があるのか
- 座席は決められているのか
- 食堂の雰囲気は落ち着いているか
施設を見学をして食堂の雰囲気を確認しておくと、入居後の利用イメージがしやすくなります。
施設を見学して試食する
老人ホームによっては、施設見学の際に提供される食事を試食できる場合があります。食事の味や特徴を直接確認できる点が試食のメリットです。試食の際には、具体的に以下の点を確認してください。
- 料理の温度
- 食材の新鮮さ
- 食感や見た目
- 味付けや塩分
食事の質は必ずしも老人ホームの利用料に比例するわけではありません。実際に食事を口にしてみると、安心して施設選びができます。
なお、いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。大阪を中心に全国各地の施設を紹介しているので、ぜひ気軽にご相談ください。
老人ホームの食事内容の例
老人ホームによっては、専属シェフがおり、食事に力を入れている施設もあります。以下で、老人ホームの食事内容の一例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
和食
まずは、和食メニューの一例を写真付きで紹介します。
朝ごはん
ご飯:286kcal
お味噌汁:11kcal
鶏と野菜のコンソメ煮:96kcal
玉子焼き:78kcal
レンコンとハムのサラダ:32kcal
計503kcal
昼ごはん
ご飯:286kcal
みそ汁:12kcal
炒り鶏:131kcal
だし巻き玉子:50kcal
白菜とベーコンの炒め煮:35kcal
豆苗と玉ねぎのポン酢和え:66kcal
計580kcal
夜ごはん
ご飯:286kcal
みそ汁:12kcal
カレイの煮付け:122kcal
ふくさ豆腐:97kcal
さつま芋の金平:79kcal
春雨の和え物:68kcal
計664kcal
洋食
次に、洋食メニューの一例を写真付きで紹介します。
朝ごはん
食パン・黒糖食パン:291kcal
マーガリン&イチゴジャム:115kcal
オープンオムレツ:150kcal
ブロッコリーのサラダ:56kcal
フルーツ:17kcal
計629kcal
昼ごはん
鉄火丼:457kcal
赤だし:11kcal
きのこのみぞれ和え:19kcal
キャベツと胡瓜の浅漬け:8kcal
計495kcal
夜ごはん
ご飯:286kcal
コンソメスープ:35kcal
ポークチャップ:308kcal
コールスローサラダ:70kcal
ほうれん草のソテー:43kcal
フルーツゼリー:48kcal
計790kcal
イベント食
老人ホームによっては、季節のイベント食を提供したり、懇親会を開催したりする施設も珍しくありません。
元旦おせち
懇親会ランチバイキング
季節を感じられるイベント食や普段とは違った雰囲気の特別食は、利用者の食欲を引き立てるだけではなく、日常における楽しみにもなります。
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老人ホームの食事に不満があるときの対処法
老人ホームにおける食事は、入居者の生活の質を左右します。老人ホームに入居後、食事がまずいといった不満がある場合は、早めの対応を心がけることが大切です。
以下で、老人ホームの食事に不満があるときの対処法を解説します。
施設スタッフやケアマネージャーに相談する
老人ホームの食事に不満があるときは、施設スタッフやケアマネージャーに相談してください。
食事に関する不満を施設側に伝えると、改善してもらえる場合があります。単に不満を伝えるだけではなく、「食事の味が薄い」「食材が硬い」など、具体的な問題点を伝えることがポイントです。
施設スタッフやケアマネージャーは、利用者の健康や快適な生活をサポートする義務があります。食事の問題が心身の健康に関わる場合には、ケアマネージャーに個別の対応や施設の変更ができないか相談してみてください。
高齢者の食欲を回復するためのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:高齢者が食べられないときでも食欲を回復!すぐに試せる効果的な方法を解説
面会時に食べ物を差し入れする
老人ホームの食事に満足できない場合、食べ物の差し入れも方法の1つです。しかし、老人ホームによっては、外部からの食べ物の持ち込みが禁止されている場合もあるため、事前に確認が必要です。
食べ物の差し入れが可能な場合は、適度に好きなものを口にできると、老人ホームの食事に対する不満をある程度解消できる場合があります。
なお、面会時に食べ物を差し入れする際は、軽食や果物など、高齢者でも食べやすい柔らかいものを選ぶようにしてください。
老人ホームへの差し入れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:老人ホームへの差し入れでお菓子はOK?|選び方や本人以外の差し入れについても解説
老人ホームの食事がまずいと聞いて不安な場合は施設を見学しよう【まとめ】
老人ホームの食事がまずいといわれるのは、塩分制限による味の薄さや食事の提供方法などによるものです。食事は、心身の健康のために欠かせない生活活動です。
そのため、老人ホーム選びをする際は、事前に献立や食堂の雰囲気などを確認して、できるだけ入居後の不満につながらないようにする必要があります。
老人ホームの食事内容は、施設によって異なります。必ずしも設備の充実度や利用料に比例するわけではないため、可能であれば施設を見学して不安を解消しておくことがポイントです。
いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。食事が美味しい老人ホームを探している方はぜひ気軽にご相談ください。

この記事の監修者
いいケアネット事務局
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