認認介護について

前回は「老老介護」についてお伝えしましたが、今回は老老介護よりもより深刻な「認認介護」についてお伝えします。

目次

認認介護とは

認認介護とは認知症の高齢者が、認知症の高齢者を介護している状態を言います。

介護が必要になった主な要因

厚生労働省が行った「2019年国民生活基礎調査の概要」の調査結果によると、要介護状態になった主な原因として以下の病気があげられています。

第一位 第二位
要介護1 認知症
(29.8%)
脳血管疾患(脳卒中)
(14.5%)
要介護2 認知症
(18.7%)
脳血管疾患(脳卒中)
(17.8%)
要介護3 認知症
(27.0%)
脳血管疾患(脳卒中)
(24.1%)
要介護4 脳血管疾患(脳卒中)
(23.6%)
認知症
(20.2%)
要介護5 脳血管疾患
(脳卒中)
(24.7%)
認知症
(24.0%)

上記の通り、最も多いのは認知症であります。また高齢者の4人に1人は「認知症」であるという結果も出ています。

要介護者の年齢別割合

厚生労働省が行った2019年の「要介護者等の年齢階級別構成割合の年次推移」の調査結果によると、要介護者の状況は以下の通りであり、要介護者が一番多い年代は「85歳~89歳」2番目に多いのは「90歳以上」3番目に多いのは「80歳~84歳」となっています。以上のことから80歳以上の方の4、5人に1人が介護を必要としている人である結果になります。
また高齢者夫婦だけではなく、高齢者の親子が共に認知症であるケースの認認介護も年々増加しており、今後も認知症の方は増え続けていく傾向にあります。

40~64歳 3.5%
65~69歳 3.7%
70~74歳 7.1%
75~79歳 14.2%
80~84歳 22.2%
85~89歳 25.1%
90歳~ 24.2%

認認介護から起こる問題

老老介護の場合、お互いが高齢で心身への負担が大きく、共倒れになる可能性がある。外出の機会や他者との交流の機会が減少することで、介護うつや認知症になるリスクが高まる可能性がありますが、認認介護の場合、これらに加えて以下の様なリスクもあります。

  • 食事や服薬、通院などの管理ができなくなるので、介護される側が体調を崩しやすくなる。
  • 要介護者が自分の体調の変化を把握できないことで、心身状態にあった適切な介護ができない。
  • 高額な物を購入してしまったり、ATMの使い方がわからずお金を引きだせないなど自分達でのお金の管理ができなくなる。
  • 火の不始末や緊急時の対応ができないことにより、家事や事故に巻き込まれる可能性が高まる。

また老老介護になっている時点で、お互いの外出や他者との交流の機会が減少する傾向にありますが、これに加えてお互いが認知症になった場合、上記の様なリスクが高い状態であるこに他者が気付く機会も少なくなり、他者が気付いた時には命に関わる状況に陥っている場合もあります。

認認介護のリスクを回避する方法

健康的な生活を送る

何歳になっても自立した生活を送れるよう、健康に配慮したバランスの良い食事を摂取したり、日常的に定期的な運動を取り入れるなど健康的な生活を送る。

家族や友人など、他者との連絡を定期的に取る

他者と定期的に連絡を取っていることで、ちょっとした異変に気付いてもらえたり、連絡が取れなくなると、心配し訪問をしてもらえたり何かしらの支援をしてもらえる可能性があります。

地域コミュニティとの関わりを持つ

「遠くの親類よりも近くの他人」という言葉があるように、遠方に住んでいる親類よりも近隣の人に頼った方が良い場合もあります。厚生労働省が行った「第13回中高年者縦断調査の概要」では、友達付き合いや家事等をいつもしている者は「しない者」より健康状態が「よい」と思っている割合が高いという結果が出ています。日頃から地域のコミュニティーに積極的に参加し、地域の方との人間関係を築いておくことも大切です。

介護保険など利用できるサービスを積極的に活用する

介護支援のサービスは様々あり、介護についての相談をすれば具体的な対策や解決策を示してくれます。また定期的なサービスを利用することで、支援をしてくれる方がちょっとした異変に気付いてくれたり、状況に応じて適切なサービスを提案してもらえるメリットもあります。

まとめ

介護が必要になった時、ご自身で出来る事には限界があります。また「自分は大丈夫だ」と思い自宅での介護を続けていても、気付かぬ内にご自身が認知症になってしまう可能性はゼロではありません。2000年に介護保険制度ができ、自宅で受けられる様々な介護支援もありますし、昔に比べて老人ホームの数も増え、入居もしやすくなっています。今回ご紹介した内容を参考にしていただき、今から取り組めることをやってみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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