大切なご家族のために、経済的負担を抑えつつ最適な介護ベッドを見つけたいとお考えですか?介護ベッドは高価ですので、補助金のようなものがあれば利用したいという方も多いでしょう。
結論からいうと、介護ベッドには補助金というものは存在しませんが、介護保険制度を利用すれば自己負担を減らせます。この記事では、介護ベッド導入の補助金について、購入とレンタルの違い、さらには介護ベッドの選び方や使用上の注意点まで、幅広く詳しく解説しています。
あなたが介護ベッドを選ぶ上で必要な情報がこの記事一つで得られるでしょう。この記事を最後まで読むことで、介護ベッド選びの悩みから一歩前進できます。
介護ベッドの補助金とは
介護ベッドの補助金についてお伝えする前に、まずは「補助金とは何か?」を理解しておく必要があります。
以下で、わかりやすく解説します。
補助金とは?助成金や給付金との違い
補助金とは、国や地方自治体などが審査をクリアした企業の事業を補助するものです。審査の結果次第では、お金をもらえないことがあります。
一方、助成金は、国や地方自治体などが、要件を満たす事業に対して支払うものです。補助金も助成金も国や地方自治体などから支出され、多くの場合、返済の必要はありません。 両者の違いは、補助金は予算が決まっているため上限に達するともらえなくなりますが、助成金は受けとるための要件が決まっているので、それを満たしていれば、ほぼ支給される点にあります。
また、給付金は個人を対象に行われる経済的な支援策のことです。国や地方自治体が財源を確保し、要件を満たした者が申請を行うことで、必ず受け取ることができます。
つまり、補助金と助成金は事業向け、給付金は個人向けということになります。
介護ベッドの導入で使える『補助金』はない
上記を踏まえると、個人での介護ベッドの導入には『補助金』はないという結論になります。しかし、補助金がないからといって高額な費用を支払わないと介護ベッドが導入できないわけではありません。
介護ベッドは、介護を必要としている高齢者にとって、なくてはならない重要な福祉用具です。その重要性を考慮して、なるべく経済的な負担を少なく導入できる方法が用意されています。
介護ベッド貸与は介護保険制度が適用される
介護ベッドをレンタルすれば、介護保険制度により費用が一部負担で済みます。
介護保険制度を活用するためには、要介護認定を受ける必要があります。原則として、要介護2から5の認定を受けた方がレンタルの対象です。
しかし、要介護1以下でも介護ベッドを必要とするケースがあります。そのような特定の条件下では例外的なレンタルが可能となる制度として『例外給付』が存在します。要支援1、要支援2、要介護1の認定者が対象で、医師の診断により福祉用具の使用が必要と判断されたうえで、さらに市区町村の保険者が必要性を認めた場合に適用されます。
この『例外給付』を利用する際は、担当のケアマネジャーに相談しましょう。また、介護保険の自己負担割合は、年金収入や所得に応じて1割から3割となります。
障がい者は『障害者日常生活用具給付』が適用される
障がい者の方々に対しては『障害者日常生活用具給付等事業』という制度が適用されます。これは、市区町村が実施する地域生活支援事業の一部であり、重度障がい者の日常生活を円滑に進めるための用具を給付または貸与する福祉サービスです。
対象となるのは、身体障害者手帳または療育手帳を所持している方や日常生活用具を必要とする障がい者、障がい児などです。申請は、市区町村の身体障害者福祉担当窓口で行いましょう。
これらの制度を活用することで、介護ベッドの利用負担を軽減できます。適切な情報を元に、自分に適した制度を選び、円滑な生活を送る手助けとしましょう。
参考:厚生労働省『日常生活用具給付等事業の概要』
介護ベッド|購入とレンタルどちらがいい?
介護ベッドの取得方法は購入とレンタルがありますが、どちらがお得かはその人の状況によります。しかし、一般的にはレンタルが有利とされています。
以下ではそれぞれのメリット、デメリットを解説します。
介護ベッドはレンタルだと自己負担が減る
多くの場合、介護ベッドのレンタルは購入に比べて経済的に有利と言えます。特に、要介護2以上の認定を受けた場合、1~3割の自己負担でベッドのレンタルが可能です。
しかし、人それぞれの生活環境や希望により、レンタルが最適とは限りません。介護ベッドを長期間に渡り使用することが決まっている方や、新品で使いたい方は購入を検討しても良いでしょう。
介護ベッド購入は介護保険の対象外
介護ベッドの購入を考える際に重要なことは、介護保険制度が適用されないという点です。つまり、原則的に全額を自己負担で支払う必要があります。
それに対して、レンタルの場合は介護保険の対象となります。この点から見ても、多くの方にとってはレンタルの方がお得と言えるでしょう。
介護ベッド購入のメリットと注意点
しかし、介護ベッドを購入することにも一定のメリットがあります。例えば、商品選びに自由度があり、自分のものとして遠慮なく使用できる点が挙げられます。特に、中古品に対する抵抗感がある方や、借り物を使うことに気が引ける方には、購入が適しているかもしれません。
しかし、注意すべき点として、購入した介護ベッドは返品や交換ができず、また処分する際には手間や費用が発生するというデメリットも存在します。これらを総合的に考慮して、購入とレンタル、どちらが自分にとって最適な選択かを判断しましょう。
介護ベッドのレンタル|メリット・デメリット
介護ベッドのレンタルには、費用面以外にもさまざまなメリット・デメリットがあります。
以下では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
介護ベッドをレンタルするメリット
介護ベッドをレンタルすると、次のようなメリットがあります。
- 初期費用を抑えられる
- レンタルするベッドを途中変更できる
- 専門職によるサポートがある
介護ベッドのレンタルは経済的な負担を軽減できる選択肢と言えます。
また、使用者の状況やニーズに応じて、レンタルするベッドを柔軟に変更できたり、アフターフォローを通じて、ケアマネジャーや福祉用具専門員など専門職の意見を得ることができたり、購入では得られないサポートを受けられるメリットもあります
さらに、一部のサービスでは、マットレスが汚れた場合に無償で交換するサービスもあり、個人では難しい介護ベッドのメンテナンスをフォローしてくれます。
介護ベッドをレンタルするデメリット
一方で、介護ベッドのレンタルにはいくつかのデメリットも存在します。例えば、レンタル品に対する心理的な抵抗がある人にとっては、不快感があるかもしれません。
また、購入に比べて選べるメーカーや機種の種類が限られることもデメリットと言えます。さらに、レンタル品は他人の所有物であるため、使用時には汚れや傷を気にする必要があります。
なお、要介護度によっては、自費レンタルとなる場合もあるので注意が必要です。具体的には、要支援1から要介護1の範囲で介護ベッドを利用する場合、介護保険が適用されません。これらの点を考慮に入れて、レンタルするかどうかを判断しましょう。
介護ベッドの選び方
介護ベッド選びは、使う人の体の状態や生活スタイルに合わせる必要があります。具体的には、ベッドの機能・種類・マットレスの選択が主な決定要素となります。
以下では、これら3つの観点から介護ベッドの選び方を解説していきましょう。
介護ベッドの機能で選ぶ
まず注目すべきは、介護ベッドが備える機能です。これには『背上げ機能』『高さ調節機能』『膝上げ機能』などがあります。これらの機能は、体の状態や日々の活動に合わせて選びます。
例えば、長時間ベッドで過ごす方は背上げ機能が重要ですし、ベッドと車椅子の移乗が苦手な方には高さ調節機能が必要となるでしょう。ベッドの機能は、使用する方の身体状態や生活スタイルに直結するため、無理なく生活できるものを選びましょう。
介護ベッドの種類で選ぶ
次に、介護ベッドの種類を選びます。モーターの数により、1モーターベッド・2モーターベッド・3モーターベッドという種類に区分されます。
これらはそれぞれ異なる組み合わせの機能を持っています。
- 1モーターベッド:背上げまたは高さ調節の機能
- 2モーターベッド:背上げと高さ調節、または背上げと足上げの機能
- 3モーターベッド:背上げ、足上げ、高さ調節の全ての機能
使用する人の体の状態や、どの機能が必要かを考慮して選びましょう。
介護ベッドのマットレスで選ぶ
最後に、介護ベッドのマットレス選びが重要です。マットレスの硬さは、褥瘡(床ずれ)の発生に影響を及ぼします。
自分で一定程度動ける方は、好みに合わせて寝心地の良いマットレスを選ぶと良いでしょう。一方、寝たきりの状態の方は、体にかかる圧力を均等に分散できる柔らかいマットレスが適しています。介護ベッド選びでは、こうした細かな点も考慮に入れて、最適な選択をすることが大切です。
介護ベッドを使う上での注意点
介護ベッドは便利な一方で、正しく使わないと事故のリスクがあります。特にサイドレール、キャスターやL字柵の安全確認、そして定期的なメンテナンスが重要です。
以下では、それぞれの観点から具体的な注意点を説明します。
参考:埼玉県立大学保健医療福祉学部『介護ベッド使用時における注意点について』
サイドレールの隙間をなくす
介護ベッドに関する事故では、サイドレール(ベッド柵)に関するものが多いとされています。例えば、頭や手足がサイドレールの間に挟まったり、着衣がベッド用グリップの固定レバーに引っかかるような事故です。これらは重大な事故に発展する場合もあり、命に関わる危険も伴います。
対策として、サイドレールやベッド用グリップの隙間をしっかりと確認し、体の一部が挟まる危険性がある場合は、クッションや毛布、または専用の物品で隙間を埋めるようにしましょう。また、マットレスの厚みを考慮に入れてサイドレールの高さを調整することも大切です。
キャスターやL字柵はしっかり固定する
キャスターやL字柵の固定も大切な安全対策の一つです。特に自力で体勢を整えるのが困難な方にとって、不安定なベッドは大きな危険となります。
ベッド用グリップはしっかりとロックし、固定して使用してください。また、ベッド操作時には、使用者だけでなく周囲の人々にも注意を促すことが必要です。例えば、子どもが無意識にベッドを動かすといった事故を防ぐためです。
介護ベッドのメンテナンスはしっかり
介護ベッドの適切なメンテナンスも、安全利用に欠かせません。レールやキャスター、L字柵などの部品が劣化したり緩んだりすると、予期せぬ事故を引き起こす可能性があります。
定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、介護ベッドは安全に長く使用できます。十分な注意と適切な対策を行い、安心して介護ベッドを利用しましょう。
まとめ:介護保険制度で費用負担を減らして介護ベッドを導入しましょう。
では、今回のまとめです。
介護ベッドを導入する際は、介護保険制度を利用してレンタルするのが費用負担が1番少なく済みます。ただし、要介護1以下では介護保険制度が適用されないため注意が必要です。もし、要介護1以下でも介護ベッドを使いたい場合は、例外給付を利用できる可能性があります。
いずれの方法でも、まずは担当のケアマネジャーか地域包括支援センターなどへ相談してみましょう。レンタルすべきか購入すべきかといった疑問も解決できるでしょう。
介護ベッドは、介護を必要としている方にとって重要な福祉用具です。なるべく経済的負担の少ない方法で介護ベッドを導入して、無理のない介護生活を送りましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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