老人ホームへの入居を考えてはいるものの「高齢の障がい者が入れる老人ホームはあるのか?」「どうやって選べばいいか?」などの疑問をもっている方も多いのではないでしょうか。
高齢の障がい者は、原則として介護保険が適用されるため、介護保険サービスで利用できる老人ホームへ入居することとなります。
本記事では、障がい者が入れる老人ホームの種類や選び方、入居のメリットなどを詳しく解説しています。
内容を理解することで、障がい者でも入れる老人ホーム探しがスムーズに行えるでしょう。
障がい者が入れる老人ホームとは?
障がい者が入れる老人ホームとは、介護保険サービスで利用できる老人ホームを指します。
障がいを持つ方が高齢者になった場合は、原則として介護保険サービスを利用することになるからです。
介護保険サービスのひとつ『施設サービス』には『特別養護老人ホーム』『介護老人保健施設』『介護医療院』が該当します。
しかし、介護保険で必要なサービスが受けられない場合は、障害者総合支援法による福祉サービスを受けることも可能です。
障がい者でも入れる老人ホームへの入居を検討する際は、まずは介護保険の手続きを進めましょう。
ただし、共生型サービスに該当する障害福祉サービスであれば、事業所を変えずに継続利用できるケースもあります。
共生型サービスとは
共生型サービスは障がいを持つ方が65歳以上になっても、今まで利用してきた障害福祉サービスを継続して利用できるよう、平成30年4月より設けられた制度です。
共生型サービスは、訪問介護・デイサービス・ショートステイなどが対象となります。
また共生型サービスとして継続利用するためには、障害福祉サービス事業所が共生型サービスの指定を受けている必要があります。
なじみのある障害福祉サービスを続けて利用したい場合は、今まで利用してきた事業所が共生型サービスの指定を受けているか確認しておきましょう。
障がい者が入れる老人ホームの種類
障がい者が入れる老人ホームは『公的施設』と『民間施設』に分けられます。
それぞれ解説していきましょう。
公的施設
公的施設は国や自治体が管轄する施設で、主に社会福祉法人や医療法人などが運営しています。
公的施設には、主に以下の3種類があります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院(介護療養型医療施設)
特別養護老人ホームは、65歳以上かつ原則要介護3以上を対象としており、終身利用が可能な施設です。
介護老人保健施設は、介護を必要とする高齢者が、退院後の在宅復帰を目指すためにリハビリを受けることを目的とした施設です。
介護医療院では、医療的ケアが必要な要介護者の長期医療・生活支援が主な目的となります。
民間施設
一方、民間の事業所が運営する施設を民間施設と呼びます。
民間施設には、主に以下の3種類があります。
- 有料老人ホーム(住宅型・介護付き)
- サービス付き高齢者住宅
- グループホーム
介護付き有料老人ホームは、介護専用型・混合型などの種類があり、要介護度により必要な介護サービスが定額で提供される施設です。
住宅型有料老人ホームは、自立された方から要介護の方まで幅広く受け入れ可能で、状態に合った介護サービスを必要な分だけ選んで受けられます。
サービス付き高齢者住宅は、厳密にいえば介護施設ではなく賃貸住宅に該当するため、生活の自由度が高く、自立〜介護度の低い高齢者が対象です。
グループホームは、スタッフの支援を受けながら少人数で共同生活を送ることを目的とした施設で、認知症の診断を受けた65歳以上の方を対象としています。
障がい者が入れる老人ホームの選び方|確認ポイントは5つ
障がい者が入れる老人ホームの選び方として確認するポイントは、以下の5つになります。
- 入居する目的
- 費用・予算
- 入居時期・退去時期
- 施設の立地
- 老人ホームの種類
それぞれ詳しく解説していきましょう。
入居する目的
まずは、入居者本人の状態をしっかり把握することが大切です。
なぜなら、状態がしっかり把握できていないと、必要な介護サービスが何かわからないからです。
老人ホームは種類ごとに提供する介護サービスが異なります。
できること・できないことを把握して、老人ホームに入居する目的を明確にしておきましょう。
費用・予算
老人ホームを利用する際には必ず費用がかかります。
「入居時にいくら用意できるのか」「毎月の費用は年金で賄えるのか」といった予算を決めておきましょう。
老人ホームにかかる費用は、基本的に『入居一時金』と『月額利用料』に分かれます。
入居一時金とは、入居時に施設へ支払う初期費用のことで、施設によっては不要な場合もあるので入居前に老人ホームへ確認しておきましょう。
月額利用料には、生活費や介護サービス費などが含まれます。
施設によって必要な費用は変わるため、経済状況に合わせた老人ホームを選びましょう。
入居時期・退去時期
老人ホームの入居時期や退去時期をしっかり決めておくことも大切です。
「一時利用か終身利用なのか」「入居の緊急性が高いのか、それとも待てるのか」といった、利用したい期間や現在の状況によって、選択する老人ホームは異なるからです。
利用目的を明確にして、目的に合った老人ホームを選びましょう。
施設の立地
立地条件の大前提として、入居者本人が住みたいと思える老人ホームを選びましょう。
本人の意向を無視して老人ホームを決めてしまうと、ストレスがたまり本人の体調不良の原因にもなりかねません。
また、自宅から近い立地を選ぶことで「会いに行きやすい」「緊急時にすぐに駆けつけられる」といったメリットがあります。
家族が近くにいることで、入居者本人も安心できるでしょう。
もし、やむを得ず近くで施設が見つからない場合は、どこまでなら通えるかを考慮して、老人ホームを探す範囲を決めておきましょう。
老人ホームの種類
ここまで解説した4つのポイントを踏まえて、希望する介護サービスを受けられる老人ホームの種類を決めましょう。
例えば、終身利用なら特別養護老人ホーム、退院後のリハビリ目的なら介護老人保健施設といったように、方向性を決めておくとよいでしょう。
そのためには、入居者本人の身体状況や、どんな生活を送りたいかなどの要望をしっかり把握しておくことが大切です。
障がい者が入れる老人ホームのメリットとデメリット
老人ホームへの入居を検討する際、メリット・デメリットが気になる方も多いと思います。
障がいのある高齢者が老人ホームに入居するメリットは多いですが、一方デメリットも存在します。
それぞれ解説していきましょう。
障がい者が老人ホームに入居するメリット
入居するメリットとしては、主に以下の3つがあります。
- 他者との交流・社会参加ができる
- 専門的なケア・サポートが受けられる
- 食事や家事の心配がいらない
老人ホームでは、入居者同士・職員との談話やレクリエーション・イベントなどがあり、他者と交流できる機会が多くあります。
また、介護のプロによる入居者本人に合った適切な介護サービスを受けられるので、安心して不便なく生活することができるでしょう。
それに、老人ホームでは毎日バランスのとれた食事が提供され、掃除などのサービスもあるので家事の心配もありません。
障がい者が老人ホームに入居するデメリット
一方、デメリットとしては、主に以下の3つがあります。
- 自由度が制限される
- 集団生活になる
- 家族と会う機会が減る
施設にもよりますが、起床・就寝時間、食事や入浴の時間が決まっているため自由度が制限されてしまいます。
また、基本的には集団生活になるので、人と関わるのが苦手な方は慣れるまで時間がかかってしまうことも考えられます。
それに、家族と会う機会が減ってしまうため、寂しく感じてしまうことがあるかもしれません。
障がい者が入れる老人ホーム【まとめ】
今回は、障がい者が入れる老人ホームの種類や選び方、入居のメリット・デメリットなどを解説してきました。
内容をまとめます。
- 障がい者が入れる老人ホームには、介護保険制度の施設サービスに該当する『特別養護老人ホーム』『介護老人保健施設』『介護医療院(介護療養型医療施設)』と、民間施設の『有料老人ホーム(住宅型・介護付き)』『サービス付き高齢者住宅』『グループホーム』がある。
- 選び方のポイントとして『入居する目的』『費用・予算』『入居時期・退去時期』『施設の立地』『老人ホームの種類』を確認する。
- 入居するメリットとして『他者との交流』『介護のプロによるサポート』『食事・家事の心配なし』などがある。
上記の内容を理解することで、障がい者が入れる老人ホーム選びがスムーズになるはずです。
まずは、地域包括支援センターや役所の福祉課などに相談して、介護保険サービスを利用するための手続きから始めましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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