「親を施設に入れたいがどうしたらいい?」「入居を嫌がる親にはどう対処したらいい?」と悩んでいる家族の方もいるでしょう。
親を施設に入れるため最初に行うことは、本人と家族との話し合いです。
親が施設を嫌がるならその理由を知り、無理やり入居させる対応は極力避けなければなりません。
今回は、『親を施設に入れる手順』『入居を嫌がる親の対処法』について詳しく解説していきます。
この記事を読めば、親の意向に沿った施設探しや入居ができるでしょう。
親を施設に入れる手順【5ステップ】
親を施設に入れる手順は、次の5つのステップが理想的です。
- 本人と話し合う・本人の状態を確認する
- 予算・受けたい介護サービスを決める
- 施設を探す・資料請求
- 入居候補の施設を見学する
- 施設と契約・入居
ステップごとに解説します。
本人と話し合う・本人の状態を確認する
最初にするべきことは、本人との話し合いです。
話し合わないと本人の状態や意向がわからず、施設探しの基準が定まりません。
それに、本人の状態や意向を確認せずに入居の話を進めると、検討の前に拒否されるなど家族間でトラブルになる可能性もあります。
また、兄弟と話し合い、理解を得ることも必要です。
本人と話し合い、意向を聞くことにより、今後希望する老後の過ごし方の実現に向けた方向性が決まります。
予算・受けたい介護サービスを決める
入居するには、施設ごとに定めた費用が必要になるため、いくらまでなら負担できるか予算を決めておきましょう。
また、親の健康状態を知り、受けたい介護サービスを決めておくことも、入居後の予算の見通しを立てるために大切です。
入居時の一時金や月額料金、介護サービス利用料を知っておけば、親の貯金や年金収入などの範囲内で補えるか予算の目途になります。
年金だけでは施設の支払いが賄えず、貯金を取り崩す場合、入居可能な年数の目安も立てておきましょう。
施設を探す・資料請求
親の希望条件を整理しまとめてから、施設探し、資料請求することが大切です。
施設に求める一般的な条件は次のとおりです。
- 入居条件
- 費用
- 施設周辺の環境
- 医療ケアや介護サービスの内容
- 居室スペースの種類
- 共用施設の充実度
理想の入居先が見つかれば、施設の公式サイトから電話やメールで資料請求しておきましょう。
施設へ直接問い合わせすることに抵抗がある方は、老人ホーム紹介会社を利用すると施設の情報を手軽に集められます。
入居候補の施設を見学する
入居候補の施設から届いた資料を見比べて、気になった施設があったら積極的に見学しましょう。
入居候補の施設を見学するときの主なポイントは次のとおりです。
- 入居条件や諸費用、サービス内容
- スタッフの言葉遣いや対応
- スタッフの身なり
- 施設内の開放感や清掃状況
- 入居者の表情
- 資料と設備の整合性
ただし、見学する施設は1箇所に絞らず、複数見学し比較することが大切です。
施設と契約・入居
最後のステップは、施設と契約・入居です。
入居したい施設が決まれば、申し込みやスタッフとの面談、審査の流れとなります。
無事に審査に通れば、正式に契約・入居できます。
契約には一般的に次の7点が必要になるため、施設に確認したうえで準備しておきましょう。
- 戸籍謄本
- 住民票
- 健康診断書
- 診療情報提供書
- 連帯保証人
- 身元引受人
- 親が使用している日用品
不明な点は、契約までに問い合わせするなど、余裕をもって準備しておくことが大切です。
嫌がる親を施設に入れる手順【5ステップ】
嫌がる親を施設に入れる手順は次の5ステップです。
- まずは嫌がる理由を知る
- 施設への入居が必要な理由を伝える
- 施設での生活を見てもらう
- 第三者から説得してもらう
- 緊急性がないなら時期を待つ
ステップごとに解説します。
まずは嫌がる理由を知る
まずは施設に入るのを嫌がる理由を知ることが第一です。
親が施設入所を嫌がる場合、一般的に次のような理由が多くみられます。
- 住み慣れた家から離れたくない
- 家族の援助がなくても生活できる自信がある
- 家族から見捨てられた疎外感がある
- 他人の世話は必要ない
- 知らない人と共同生活したくない
施設に入る必要性を理解してもらうなど、丁寧に説明することが大切です。
施設への入居が必要な理由を伝える
施設への入居が必要な理由を伝えることが第2のステップです。
次のような入居が必要な理由をはっきりと伝え、親の理解を得ておきましょう。
- 親の足腰が弱まり、一人で生活するのに危険がある
- 親の介護に家族が疲れ、続けられない
- 親の介護で家族が退職し、経済的に苦しい
- 家族の健康に不安があり、入院になったら介護できない
施設に入居させるには、心配事をなくし安心して生活できる基盤をつくりたいという意思を率直に伝えることが大切です。
施設での生活を見てもらう
施設での生活を実際に見てもらうことが次のステップです。
施設入居を拒否する理由は、老人ホームに対して良いイメージを持っていない可能性もあります。
可能であれば本人と一緒に施設見学をするのもよいでしょう。
また、施設によっては体験入居ができる場合もあります。
見学や体験入居が難しい場合でも、ショートステイを利用し施設の環境に慣れれば、自宅以外の生活に対する抵抗感が和らぐ可能性もあります。
施設の生活を体験することで嫌なイメージがなくなり、入居がスムーズに進むケースも少なくないのです。
第三者から説得してもらう
家族の説明で納得しない場合、第三者の説得も1つの方法です。
経験豊富な第三者が間に入ることで本人の納得感が増し、入居の嫌なイメージを払拭できる可能性があります。
第三者の適任者は、かかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターの職員です。
親との話し合いに第三者が同席し説得する方法が特に有効です。
感情的になりやすい親と家族の話し合いでも、第三者が入ることで、親も冷静に受け入れる可能性が高くなります。
緊急性がないなら時期を待つ
親に持病はなく認知症もないなど緊急性がないなら、施設選びや入居の準備の時期を待つことも考えましょう。
本人の状態や意向を無視した入居によるデメリットは次の3つです。
・環境の変化に馴染めず、施設内でトラブルになる
・適切な介護サービスが受けられず状態が悪化する
・早期退居になると、施設探しや準備にかかった時間と費用が無駄になる
特に施設内でトラブルがあると今後の入居にも影響するため、時間をかけて親を説得してからでも遅くはありません。
親を施設に入れるとき|よくある質問
「親を施設に入れたいがお金がないので悩んでいる」「コロナ禍だけど面会に行きたい」と悩みがある方は少なくないでしょう。
ここでは、親を施設に入れるときによくある質問の中でも、特にお金の問題や面会の方法について回答していきます。
親を施設に入れたいがお金がないときはどうすればいいですか?
親を施設に入れたいがお金がない場合の対処法は次の5つです。
- ケアマネジャーや地域包括センターに相談する
- 費用の安い施設を検討する
- 介護費用の負担軽減制度を利用する
- 親の自宅など資産や不動産売却も視野に入れる
- 家族で不足額を分担する
親に貯蓄や資産がない場合は、親の年金で賄える施設を探すなど、経済的な負担を減らす方法を検討しましょう。
老人ホームへ家族が面会に来ないとどうなりますか?
コロナ禍で制限されていた面会も、感染症対策にコストをかけて工夫・対応している老人ホームが増えてきました。
しかし、施設が対応していても、家族が面会に来ないと親は寂しく老人ホームで過ごすことになります。
また、面会がないと家族に見放されたという疎外感により不穏が目立つようになったり、認知症が進行してしまったりと、さまざまな弊害も考えられます。
なにより老人ホームで過ごす親の楽しみは、家族との面会の時間です。
家族は親の気持ちを理解し、施設に面会方法を確認するなど、積極的に会う時間をつくりましょう。
まとめ
今回のまとめです。
施設に入れる手順は、今回紹介した5つのステップで進めましょう。
本人と家族でよく話し合い、条件に合う施設を根気よく探すことがポイントです。
また、施設に入るのを嫌がる場合の対処法も、今回紹介したような5つのステップで進めると、親の理解が得やすくトラブルも少なく入居できるでしょう。
親の嫌がる理由を聞き、入居の必要性を丁寧に説明することがポイントです。
ただし、自宅での生活に支障があり緊急性が高い場合は、一刻も早く適切な対応ができるよう地域包括支援センターへ相談してみましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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