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一人っ子で親の介護のお金がないときはどうする?支援策や相談先を解説

「親の介護を私ばかりが負担している」「親の介護をするお金がない」などと感じている方はいませんか。

とくに一人っ子の場合は、自分だけで親の介護を抱えると、身体的・精神的な負担が大きくかかってしまいます。そのため、家族内での役割分担や介護サービスの利用などを通じて、負担の軽減を図りましょう。

今回は、一人っ子で親の介護のお金がないときに利用できる公的制度や相談先などを解説します。介護の負担を軽減する方法を理解して、心身共に健康的な生活を送るための参考にしてください。

大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。

一人っ子が親を介護するときのポイント

一人っ子家庭の親の介護では、介護負担をほかの兄弟姉妹と分散できません。負担が集中するため、以下の方法を取りながら一人で抱え込まないことが大切です。

  • 相談先を確保する
  • 家族内で協力する
  • 介護サービスを利用する

以下で、それぞれの内容を解説します。

目次

相談先を確保する

まだ親の介護に関して困ったことがなくても、何かあったときに備えて相談先を確保しておくと安心です。主な相談先として、次のようなところが挙げられます。

  • 地域包括支援センター
  • 自治体の福祉課や介護保険の担当窓口
  • 民生委員
  • 親が通院している医療機関

各自治体では介護に関する相談窓口を設置しており、悩みや不安の解消に役立ちます。それぞれの状況に合わせた制度やサービスを紹介してもらえるほか、解決に向けたサポートも受けられます。事前に相談先を確認しておくと不安を解消できます。

家族内で協力する

一人っ子でも家族や親戚がいる場合は、協力体制をつくっておくことがおすすめです。「一人っ子だから」といった理由のみで、自分だけが親の介護を担う必要はありません。

たとえば、配偶者がいて片方の親に介護が必要な場合、もう一方の親にサポートをお願いする方法があります。ただし、一般的にどちらも高齢である可能性が高いため、共倒れしないように注意しなければいけません。また、自分の配偶者に介護をお願いする際は、事前にしっかりと納得してもらう必要があります。

頼れそうな親戚がいる場合は、話し合いの場を設けて役割を分担しておくと、負担の軽減につながります。頻度を決めて介護を代わってもらったり、金銭的に援助してもらったりできると良いです。

介護サービスを利用する

一人っ子が親を介護するときは、介護サービスの利用も検討してみてください。とくに、介護度が高かったり、ほかに頼れる家族がいなかったりすると、自宅でのサポートが難しくなります。

介護保険サービスには、大きく居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービスの3種類があります。

地域密着型サービスは、事業所がある市町村に住んでいる人たちを対象としたものです。居宅サービスや地域密着型サービスでは、訪問介護・デイサービス・ショートステイといった支援方法があるため、うまく利用しましょう。

なお、いいケアネットでは入居無料相談を受け付けています。予算や医療の必要性をヒアリングした上で、適した施設を無料で紹介しているので、ぜひ気軽にご相談ください。

一人っ子で親を介護するお金がないときに利用できる公的制度

介護にはさまざまな出費が付きものです。とくに一人っ子の場合、親の介護にかかるお金について悩んでしまう方は少なくありません。介護費用の支援策として、主に以下のような公的制度を利用できます。

  • 高額介護サービス費制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度
  • 医療費控除
  • 介護保険制度

以下で、それぞれの公的制度を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

介護保険制度

介護保険制度は、65歳以上の高齢者や特定疾病を有する40歳以上の方を対象に、介護サービスの費用を軽減するための制度です。介護保険に加入していると、以下のようなサービスを利用できます。

  • 居宅介護支援
  • 訪問介護
  • デイサービス
  • ショートステイ
  • 老人ホーム
  • リハビリテーションサービス

介護保険サービスの利用にかかる費用の自己負担は、原則として1割です。

ただし、所得に応じて負担割合が異なる場合があります。

なお、介護サービスを利用するためには、市区町村の介護保険窓口で介護認定を受ける必要があります。その後、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作成し、利用するサービスを選択する仕組みです。

▼ 介護保険制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:介護保険制度はいつから始まった?|制度の概要から受けられるサービスまで解説

参考:厚生労働省『介護保険制度の概要』

高額介護サービス費制度

高額介護サービス費制度とは、介護保険サービスの利用時に自己負担額が一定の基準を超えた場合に、超過分を後日還付する制度です。

月々の介護サービス費用が高額になるケースでは大きな助けとなります。

高額介護サービス費制度は、介護保険の適用を受けている高齢者(要支援・要介護状態の方)のうち、介護保険サービスを利用されている方が対象です。また、自己負担限度額は前年の収入に基づいて上限が定められています。

高額介護サービスの利用は、住民票がある自治体の介護保険窓口で申請できます。

▼ 高額介護サービス費制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:高額介護サービス費とは?基本や計算方法・手続きまでわかりやすく解説

参考:厚生労働省『サービスにかかる利用料』

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度は、医療と介護にかかる費用が一定額を超えた場合に、負担を軽減するための制度です。

医療費(医療保険に基づく自己負担額)と介護費用(介護保険による自己負担額)を合算した額が所定の基準を超えた場合に、超過分の還付を受けられます。なお、年間の自己負担額は年収や家族構成などによって基準が異なるため、個別に算出されます。

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用する際は、医療機関および介護サービスを利用した月の医療費と介護費用の支払証明書を用意し、市区町村の福祉課で申請手続きをおこないましょう。

参考:厚生労働省『高額医療・高額介護合算療養費制度について』

医療費控除

医療費控除は、年間10万円または所得の5%を超えた場合に、超過分を税務署に申請すると所得税の控除を受けられる制度です。

介護保険サービスに係る自己負担分についても医療費控除の対象となるものがあるため、介護費用の負担軽減につながります。

医療費控除の申請は、毎年2月16日から3月15日までの確定申告期間に税務署でおこないます。対象となる介護サービスを利用する場合は、費用の支払い時に受け取る領収書に医療費控除対象額が記載されているため、確認してください。

医療費控除を申請すると翌年度の所得税が軽減され、税金の一部が還付されます。

参考:国税庁『No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)』

参考:国税庁『No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価』

参考:国税庁『No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価』

お金がない場合は低額で利用できる介護サービスがおすすめ

一人っ子で親の介護のお金がない場合は、低額の介護サービスの利用がおすすめです。

たとえば、同じデイサービスでも、事業所によって利用料金が異なります。また、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院といった公的施設は、比較的低料金で利用できるのが特徴です。

介護保険を利用してサービスを受ける場合は、ケアマネジャーへ事情を伝えておくと、より低額で済むサービスを紹介してくれます。

▼ 国民年金で老人ホームに入れるか検討している方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:国民年金で入れる老人ホームの種類から費用をサポートする制度まで解説

一人っ子で親を介護するお金がないときの相談先

一人っ子で親を介護する場合、金銭的な負担が大きく、誰に相談すべきか悩むことも多いでしょう。介護にかかる費用や支援制度に関する主な相談先は、以下の通りです。

  • 地域包括支援センター
  • 自治体の福祉課や介護保険の担当窓口
  • 民生委員
  • 通院している医療機関

以下で、それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、高齢者や家族のための総合的な支援をおこなう地域の福祉窓口です。専門のスタッフに介護に関する悩みや相談ができ、生活全般に関する支援を受けられます。

まだ介護保険サービスを利用していない場合は、介護保険の申請方法やサービス内容(訪問介護・デイサービス・ショートステイなど)の選び方に関するアドバイスももらえます。

直接、地域包括支援センターを訪問するほか、電話でも相談が可能です。無料で相談できるため、気軽に利用してみましょう。

参考:厚生労働省『地域包括ケアシステム

自治体の福祉課や介護保険の担当窓口

市区町村には福祉課や介護保険課など、介護保険を扱っている部署があります。自治体によって部署の名前はさまざまですが、介護認定や介護保険料に関する内容など、介護保険全般の相談が可能です。

また、自治体によっては独自の介護支援策を実施している場合があります。

そのため、介護保険の利用有無にかかわらず、親の介護で困りごとがあれば気軽に相談してみましょう。

基本的には、お住まいの地域の自治体窓口を訪問するか、電話で相談できます。また、一部の自治体では高齢者向けのオンライン相談窓口を設置しているため、Webサイトで確認してみてください。

民生委員

民生委員とは、地域住民の福祉向上を支援するためのボランティア活動をしている人たちのことです。

民生委員は地域の高齢者や障がい者の福祉に関する相談窓口としても活躍しており、生活が困窮している家庭への支援が中心です。

介護に関する困りごとがあれば、必要な支援を案内してくれるほか、経済的な問題についても具体的なアドバイスを受けられます。

なお、民生委員に相談したい場合は、お住まいの市区町村に問い合わせると連絡先を教えてもらえます。離れて暮らしている親の見守りや災害時の安否確認なども相談できるため、一人で介護する不安を軽減できます。

通院している医療機関

通院している病院やクリニックでも、介護に関する相談を受け付けている場合があります。

とくに医療的なケアが必要な高齢者の場合、介護サービスへの移行や施設への入所についてのアドバイスをもらえます。

また、医療的に安定している場合でも、介護サービスの必要性を感じたら担当医師に相談しましょう。どのような介護サービスが適しているか判断してもらえるほか、施設を紹介してもらえる可能性もあります。

通っている医療機関に介護支援や福祉に関する相談窓口がない場合は、担当医師や看護師、ソーシャルワーカーなどに直接相談してみてください。

一人っ子が親の介護を施設に任せるメリットとデメリット

一人っ子にとって親の介護は大きな負担になります。親の介護にあたって選択肢の一つになるのが、施設の利用です。親の介護を施設に任せることは大きな助けになる一方で、デメリットも存在します。

以下で、親の介護を施設に任せるメリットとデメリットを解説します。

親の介護を施設に任せるメリット

一人っ子が親の介護を施設に任せるメリットは、主に次の3つです。

  • 心身の負担が軽減する
  • 24時間安心できる
  • 親と良好な関係性を築ける

親の介護を施設に任せることで、直接的な介護から開放されて心身の負担が軽減し、24時間安心して過ごせます。また、心に余裕が生まれるため、親と良好な関係性を築けるようにもなります。

親の介護を施設に任せるデメリット

一方で、親の介護を施設に任せると、次のようなデメリットが考えられます。

  • 費用負担が大きい
  • 罪悪感を抱く可能性がある

親の介護を施設に任せる場合、基本的に在宅生活よりも費用負担が大きくなります。

また、人によっては「親を施設へ入所させてしまった」と、罪悪感を抱く可能性もあります。

しかし、必要な費用を支払って親を施設に任せるのは法的に認められています。親の介護を施設に任せたからといって、罪悪感を持つ必要はありません。

一人っ子で親を介護するお金がないときは公的制度を活用しよう【まとめ】

一人っ子で親を介護するお金がないと感じたときは、第三者に相談したり公的サービスを利用したりして、自分一人で抱え込まないようにする必要があります。

親の扶養義務とは、身体的な介護だけではありません。さまざまな介護サービスを手配したり、費用を援助したりするのも、立派に扶養義務を果たしているといえます。

金銭的な理由や仕事などの事情で親の介護が難しい場合は、老人ホームへの入居も検討しましょう。

大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。一人っ子で親の介護に困っている方は、ぜひご利用ください。

親を介護するお金がない一人っ子の方からよくある質問

ここでは、親を介護するお金がない一人っ子の方からよくある質問をまとめました。

一人っ子の場合に親の介護放棄はできる?

一人っ子であるか否かにかかわらず、子どもの状況次第では、親の介護を拒否できます。

民法877条では、直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養義務があると定められています。扶養義務とは身体的な介護のほか、生活に必要なお金の支援も含まれるのが通常です。そのため、仕事が忙しくて親の介護ができない場合には、ショートステイや入居施設などの費用を払ってサポートしてもらうだけでも、扶養義務を果たしているといえます。

ただし、経済的余裕があるにもかかわらず扶養義務を果たさない場合には、罪に問われる可能性があります。

▼ 親の介護に関する法的義務について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:親の介護をしないとどうなる?法的義務から対処法まで解説

参考:e-Gov法令検索『民法』

遠方に住む親の介護はどうしたら良い?

親が遠方に住んでいる場合は、介護施設や介護サービスを利用して、サポート体制を築く必要があります。一人っ子の場合は、兄弟姉妹に頼れず、離れて暮らす親の元へすぐに駆けつけられません。

とくに親が一人暮らしをしている場合は、本人が元気なうちから生活支援を受けられる施設への入居を検討しましょう。

いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。親と離れて暮らしている場合でも安心して利用できる施設を紹介しているので、ぜひ気軽にご相談ください。

この記事の監修者

いいケアネット事務局

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