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「親の介護、私ばかり」と感じるときの対処法|一人っ子問題やお金がない問題まで解説

「親の介護、私ばかり」と感じるときの対処法|一人っ子問題やお金がない問題まで解説

「親の介護を私ばかりが負担している」「負担を減らしたい」などと感じている方はいませんか?

自分だけで親の介護を抱えると、身体的・精神的な負担が大きくかかってしまいます。

そのため、家族内での役割分担や介護サービスの利用などを通じて、負担の軽減を図りましょう。

今回は「親の介護、私ばかり」と感じるときの対処法について、一人っ子問題やお金がない問題と一緒に解説します。

この記事を読むと、介護の負担を軽減する方法を理解して、心身共に健康的な生活を送れるようになります。

目次

「親の介護、私ばかり」と感じるときの対処法

「親の介護を私ばかりがしている」と感じたら、次の3つの方法を取ってみましょう。

  • 介護サービスを利用して親の介護の負担を分散する
  • 兄弟姉妹や親戚との協力体制をつくる
  • 自治体の相談窓口へ悩みを相談する

以下でそれぞれの詳細を解説します。

介護サービスを利用して親の介護の負担を分散する

介護保険サービスには、大きく居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービスの3種類があります。

地域密着型サービスは、事業所がある市町村に住んでいる人たちを対象としたものです。

居宅サービスや地域密着型サービスで、訪問介護・デイサービス・ショートステイといったサービスがあるため、上手に利用しましょう。

親の介護にかかる負担を分散できます。

ただし、要支援では一部のサービスが利用できない点に注意しましょう。

参考:厚生労働省『介護保険の解説 -サービス編 –

兄弟姉妹や親戚との協力体制をつくる

兄弟姉妹や親戚がいる場合は、協力体制をつくっておくとよいでしょう。

「親と一緒に住んでいるから」「長男や長女だから」といった理由のみで、自分だけが介護を担う必要はありません。

兄弟姉妹や頼れそうな親戚がいる場合、話し合いの場を設けて役割分担をしておくと、負担の軽減につながります。

  • 月に1回は兄弟姉妹に帰省してもらい、介護を代わってもらう
  • 直接的な対応が難しい場合は、金銭的な援助をしてもらう

上記のように、さまざまな役割が考えられるでしょう。

自治体の相談窓口へ悩みを相談する

各自治体では介護に関する相談窓口を設置しており、悩みや不安の解消に役立ちます。

それぞれの状況に合わせた制度やサービスを紹介し、解決に向けてサポートしてくれます。

まだ介護保険サービスを利用していない方は、地域包括支援センターに相談してみましょう。

高齢者に関する総合相談窓口で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーといった専門職が相談に乗ってくれます。

こちらのページの中央あたりにある『全国の地域包括支援センターの一覧(都道府県のホームページへリンク)』から各都道府県の該当ページが確認できます。

お近くの地域包括支援センターの場所を確認してみましょう。

参考:厚生労働省『地域包括ケアシステム

親の介護をしない方法は?法的根拠と影響

「親の介護をしたくない」と思っても、子どもは親に対する扶養義務があるため放棄できません。

しかし、放棄ではなく拒否はできます。

以下で親の介護を拒否できる法的根拠と、拒否した場合の影響について見ていきましょう。

状況次第では親の介護を拒否できる

子どもの状況次第では、親の介護を拒否できます。

民法877条では、直系血族(父母や祖父母、子ども、孫など)と兄弟姉妹は互いに扶養義務があると定められています。

扶養義務とは身体的な介護のほか、生活に必要なお金の支援も含まれるのが通常です。

たとえば、仕事が忙しくて介護できない場合、訪問介護・ショートステイ・入所施設などの費用を払ってサポートしてもらえば、扶養義務を果たしているといえます。

もし経済的余裕があっても扶養義務を果たさなかった場合、保護責任者遺棄致死罪や保護責任者遺棄致傷罪などに問われるかもしれません。

参考:e-Gov法令検索『民法

親の介護を他者と分担したときの影響

親の介護を他者と分担すると、次のようなプラスの影響が期待できます。

  • 介護の精神的・身体的負担が減る
  • 親子関係の改善が見込める
  • 専門的な介護が受けられる

これまで自分一人にかかっていた、精神的・身体的負担を減らせるでしょう。

介護が原因で親子関係が悪化していた場合は、関係の改善が期待できます。

また介護サービスでは専門的な知識・技術を持ったスタッフが関わるため、一人ひとりの身体状態や病状に合わせたケアを受けられます。

一人っ子家庭の親の介護はどうする?

一人っ子家庭の親の介護では、介護負担を他の兄弟姉妹と分散できません。

負担が一人の子どもに重くかかるため、以下の方法を取りながら一人で抱え込まないことが大切です。

  • まずは相談先の確保
  • 家族内で協力する
  • 老人ホームやグループホームなどを利用する

以下でそれぞれの内容を解説します。

まずは相談先の確保

まだ親の介護に関して困ったことがなくても、何かあったときに備えて相談先を確保しておくと安心です。

主な相談先として、次のようなところが挙げられます。

  • 地域包括支援センター
  • 自治体の福祉課や介護保険の担当窓口
  • 民生委員
  • 親が通院している医療機関

事前に相談先を確認しておくと不安を解消できます。

家族内で協力する

たとえば、片方の親に介護が必要な場合、もう片方の親にサポートをお願いする方法があるでしょう。

ただし、一般的にどちらも高齢である可能性が高いため、共倒れしないように注意しなければいけません。

また自分の配偶者に介護をお願いする際は、事前にしっかりと納得してもらう必要があります。

老人ホームやグループホームなどを利用する

介護度が高かったり、他に頼れる家族がいなかったりすると、自宅でのサポートが難しくなるかもしれません。

在宅生活が難しい場合は、老人ホームやグループホームといった入所施設を利用する方法があります。

施設を利用する際は、メリットとデメリットをよく理解しておきましょう。

親の介護を施設に任せるメリットとデメリット

親の介護を施設に任せるメリットとデメリット

では、施設へ親の介護を任せると、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

以下でメリット・デメリットに分けて、内容を紹介します。

親の介護を施設に任せるメリット

施設に任せるメリットは次の3つです。

  • 心身の負担が軽減する
  • 24時間安心できる
  • 親と良好な関係性を築ける

直接的な介護から開放されて心身の負担が軽減し、また24時間安心して過ごせるでしょう。

また心に余裕が生まれるため、親と良好な関係性を築けるようにもなります。

親の介護を施設に任せるデメリット

一方で施設に任せると、次のようなデメリットが考えられます。

  • 費用負担が大きい
  • 罪悪感を抱く可能性がある

基本的に在宅生活よりも、費用負担は大きくなります。

また人によっては「施設へ入所させてしまった」と、罪悪感を抱く可能性もあるでしょう。

しかし、前述したように、必要な費用を支払って親を施設に任せるのは法的に認められています。

扶養義務は十分に果たしているため、罪悪感を持つ必要はありません。

「親の介護のお金がない」介護費用の支援策

介護にはさまざまな出費が付きもので、お金について悩んでしまう方は少なくありません。

介護費用の支援策として、次の2つが考えられます。

  • 公的制度を利用する
  • 低額の介護サービスを活用する

以下で詳細を解説します。

公的制度を利用する

たとえば、介護費用の負担を軽減できる次のような公的制度があります。

  • 高額介護サービス費制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度
  • 医療費控除

利用条件や軽減の内容などは、制度によって異なります。

各制度の詳細は、以下のページをご覧ください。

参照:公益財団法人生命保険文化センター『公的介護保険で自己負担額が高額になった場合の軽減措置とは?

参照:国税庁『医療費を支払ったとき

低額の介護サービスを活用する

低額の介護サービスを選ぶ方法も効果的です。

たとえば、同じデイサービスでも、事業所によって利用料金が異なります。

また特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院といった公的施設は、比較的低料金で利用できます。

ケアマネジャーへ事情を伝えておくと、より低額で済む介護サービスを紹介してくれるでしょう。

「親の介護、私ばかり」と感じるときの対処法【まとめ】

「親の介護、私ばかり」と感じたときは、介護サービスを利用したり、兄弟姉妹と役割分担したりと、自分一人で抱え込まないようにする必要があります。

親の扶養義務とは、身体的な介護だけではありません。

さまざまなサービスを手配したり、費用を援助したりするのも、立派に扶養義務を果たしているといえます。

仕事や家庭の事情で介護が難しい場合は、老人ホームへの入居も検討しましょう。

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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