「介護疲れました」「介護疲れを軽減させる方法はある?」
上記のように、介護に疲れてしまい悩んでいる方もいるのではないでしょうか。介護疲れは、身体介護による身体的な負担だけでなく、メンタルや金銭的な負担もかかります。
本記事では「介護疲れました」と悩む方に向け、介護疲れを軽減させる方法を紹介します。介護疲れのチェックシートや、おすすめなレスパイトケアも解説しているので、介護に疲れている方はぜひご覧ください。
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介護疲れましたと悩んでいる方は多い
家族の介護をしていて「介護疲れました」と悩んでいる方は多くいます。
厚生労働省が平成22年に実施した「国民生活基礎調査」では、介護者のうち60.8%が、介護に関する悩みやストレスがあると回答しています。
参考:厚生労働省 平成22年国民生活基礎調査の概況「4 同居の主な介護者の悩みやストレスの状況」
家族が要介護状態になり、ショックでパニックを起こしたり、金銭的に余裕がない状態で介護が必要になったりなど、ストレスや悩みはさまざまです。
介護疲れは1人で抱え込まず、周囲に相談したり、行政のサポートを受けたりなど適切に対処するのが大切です。
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介護疲れましたと感じる要因
介護に疲れを感じてしまうのは、珍しいケースではありません。介護をしている方の多くが、いくつかの要因が重なり、心身ともに疲労しやすい傾向にあります。
ここからは「介護疲れました」と感じる要因を3つ紹介します。
関連記事:介護が辛いと感じる5つの要因|疲れている人の割合や対処法を解説
身体的な負担
介護疲れましたと感じる要因の1つに身体的な負担があげられます。
たとえば、体位変換や移動、入浴・排泄の介助など、日常生活におけるさまざまな場面で力仕事が発生します。被介護者の体重が重い場合や、介助の頻度が高い場合は、より身体的な負担が大きくなるのです。
また、夜間の介護や急な呼び出しなどによる睡眠不足も、疲労を蓄積させる大きな要因です。
介護者自身が健康を損なわないためにも、無理のない介護方法を工夫したり、福祉用具を活用したりするのが大切です。
精神的な負担
精神的な負担も、介護疲れの大きな要因の1つです。常に世話をしなければならないプレッシャーや、自分の時間が持てないストレスは、精神的な苦痛になりやすい傾向にあります。
被介護者の認知症が進行していたり、意思疎通が難しかったりする場合には、不安や焦燥感、無力感なども感じやすくなります。
さらに、介護が長期にわたると、出口の見えないトンネルの中にいるような気持ちになり、孤独感を深めるケースも少なくありません。誰かに相談したり、自分のための時間を持つなど、心のケアを意識するのも重要です。
金銭的な負担
介護にかかる費用も介護疲れに関係しています。介護用品の購入費や、医療費、場合によっては介護サービスの利用料など、経済的な負担は決して軽くありません。
収入が限られている中で介護を続けている場合や、予期せぬ出費が重なった場合には、経済的な不安が精神的な負担につながる可能性もあります。
金銭的な負担を軽減するためにも、介護保険サービスや経済的な支援制度への理解を深め、積極的に活用するのがおすすめです。
介護疲れが蓄積されると起こり得る事象
介護疲れが限界を超えて蓄積されてしまうと、取り返しのつかない事態に発展してしまう可能性があります。
無理心中や介護離職につながるケースもあるため、介護疲れは放置せず、軽減する方法を考えるのが大切です。
介護疲れが蓄積されると起こり得る事象を詳しく見ていきましょう。
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関連記事:家庭内における高齢者虐待の実態 | シニアライフアドバイザー監修 介護Q&A【いいケアネット】公式
虐待や無理心中などが起こってしまう
追い詰められた介護者は、精神的な余裕を失い、被介護者に対して虐待をしてしまうリスクがあります。
言葉による暴力、無視、身体的な虐待だけでなく、最悪の場合、介護者自身が命を絶ってしまったり、被介護者と共に無理心中を図ってしまう痛ましい事件も存在します。
決して他人事ではなく、誰にでも起こりうる可能性がある点を理解し、周囲にSOSを出したり、行政の窓口に相談したりして、事前に防ぎましょう。
介護者が体調を崩してしまう
長期間にわたる介護による身体的・精神的な負担によって、介護者自身が体調を崩してしまうケースもあります。
精神的なストレスは、うつ病や不安障害といった心の病を引き起こす可能性も高めます。
介護者が倒れてしまえば、被介護者も含め、家族全体の生活が立ち行かなくなってしまいます。周りのサポートを受けながら、無理のない範囲で介護を続けるのが大切です。
介護離職や介護離婚などが起こってしまう
介護と仕事の両立が難しく、介護離職や介護離職が起こってしまう可能性もあります。
介護離職は、経済的な困窮を招くだけでなく、社会とのつながりを失わせ、孤立感を深める原因にもなりかねません。
また、介護に対する夫婦間の意見の不一致や、時間的・精神的な余裕のなさから、夫婦関係が悪化し、離婚に至ってしまうケースも存在します。
介護は、家族全体の問題として捉え、夫婦や家族間で協力し、支え合う体制を持ちましょう。
介護疲れのチェックシート
「自分は介護に疲れているのか」「介護疲れに該当するかわからない」と悩んでいる方に向け、介護疲れのチェックシートを作成しました。チェック項目を見ていきましょう。
- 睡眠時間が足りない
- 食欲がない
- 介護で手を抜くのは許せない
- 自分だけで介護をしている
- 介護が終わりの見えないトンネルの中にいるように感じる
- 頼れる友人や家族がいない
- 独学で介護をしている
- 介護によって自分の時間を取れない
- 被介護者にイライラしたりきつくあたってしまう
- 家族だけで介護をしたい
上記に1つでも当てはまる場合は、介護によって疲弊している可能性があります。介護疲れを放置していると、取り返しのつかない事態になるケースもあるため、適切に介護疲れを軽減させましょう。
介護疲れを軽減・改善するための対策方法
介護疲れは、放置せず、周囲に悩みを相談したり、自分の時間を作ったりして対策するのが大切です。
介護疲れを放置していると、虐待や介護離職など取り返しのつかない事態になる可能性があります。
ここからは、介護疲れを軽減・改善するための対策方法を5つ紹介します。
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介護の知識を習得する
介護疲れを軽減するためには、介護の知識を習得するのがおすすめです。たとえば、正しい介助方法を学ぶと、身体的な負担を軽減できます。
病気や障がいに関する知識を持つと、被介護者の状態の変化に冷静に対応できるようになり、精神的な負担も軽減されるなど大きなメリットがあります。
自治体や地域包括支援センターなどが開催する介護講座や、インターネット上の情報などを活用し、積極的に知識を習得しましょう。
自分なりの癒やしや1人時間を作る
介護に追われる毎日の中でも、意識的に自分のための時間を作り、心身をリフレッシュするのも大切です。
趣味に没頭したり、散歩をしたりなど些細なことで問題ありません。自分が心地良いと感じられる時間を持つと、精神的な負担を軽減できます。
自分なりの癒やしや1人時間を作るには、家族のサポートも大切です。
週に1回は家族に介護を代わってもらったり、月に2回は外出できる時間を作ったりして、精神的な負担を軽減しましょう。
介護に関する悩みを専門家に相談する
介護に関する悩みは、1人で悩みを抱え込まず、専門家に相談しましょう。地域包括支援センターの相談員やケアマネージャーは、介護に関するさまざまな情報やアドバイスをしてくれます。
精神的な負担が大きいと感じる場合は、カウンセラーや精神科医への相談も検討しましょう。
専門家は客観的な視点からアドバイスをしてくれたり、適切な支援サービスを紹介してくれたりするため、積極的に相談するのがおすすめです。
同じ悩みを持つ仲間に相談する
同じように介護に悩む仲間に相談すると「介護に悩んでいるのは自分だけではない」と孤独感を軽減できます。介護者の集いや交流会などに参加すると、共感し合える仲間を見つけられます。
他の介護者の経験談を聞くと、新たな視点や解決策を見つけるヒントになるケースも少なくありません。
家族介護のつどいや、男性介護者のつどいなどのコミュニティを利用するのがおすすめです。対面のコミュニティだけでなく、インターネット上の介護コミュニティも活用してみましょう。
介護施設への入居を検討する
在宅介護が困難になったり、介護者の負担が大きかったりする場合は、介護施設への入居も検討しましょう。
介護施設には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなどさまざまな種類があります。
それぞれの施設の特徴や費用などを理解し、被介護者の状態や家族の状況に合わせて最適な施設を選ぶのが大切です。
施設への入居は、介護者の負担を大幅に軽減し、より質の高い介護を提供できる可能性もあるため、前向きに検討してみましょう。
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関連記事:介護サービスや老人ホームを探すときに気をつけたいこと
介護疲れましたと感じている方が知っておきたい「レスパイトケア」
「レスパイト」とは、休息や息抜きなどの意味を持つ言葉です。介護疲れを感じている方が、一時的に介護から離れて休息を取り、心身をリフレッシュするためのさまざまなサービスが「レスパイトケア」と呼ばれています。
ここでは「介護疲れました」と感じている方に、おすすめなレスパイトケアのサービスを3つ紹介します。
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デイサービス
デイサービスは、被介護者が日帰りで施設に通い、入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを受けられるサービスです。
介護者は、被介護者がデイサービスに行っている間に、自分の時間を確保したり、休息を取ったりできます。
一方で被介護者は、自宅とは異なる環境で他者とコミュニケーションをとったり、レクリエーションでリフレッシュしたりできます。送迎サービスがある施設も多く、介護者が送迎する負担を省けるのもメリットです。
ショートステイ
ショートステイは、被介護者が短期間施設に入所し、宿泊しながら介護や機能訓練などのサービスを受けられるサービスです。
数日から数週間程度の利用が可能で、介護者の急な用事や体調不良の際にも利用できます。
介護者は、まとまった休息をとれるのがメリットです。被介護者も、いつもと違う環境で過ごすことで、気分転換になったり、良い刺激になったりする可能性もあります。
ショートステイを利用する際は、事前にケアマネージャーに相談して利用計画を立てましょう。
訪問介護
訪問介護は、介護スタッフが自宅に訪問し、入浴や排泄などの身体介護、料理や洗濯などの生活援助を受けられるサービスです。
介護者の直接的な介護負担を軽減できるのがメリットです。また、専門的な視点からのアドバイスを受けられます。
利用時間やサービス内容は、被介護者の状態やニーズに合わせて調整できるため、ケアマネージャーに相談し、訪問介護計画を作成してもらいましょう。
介護疲れましたと感じている方は1人で解決しようとせず周りに相談しましょう【まとめ】
親族の介護をしている方で「介護疲れました」と感じている方は少なくありません。
介護には、身体的・精神的・金銭的と様々な負担が伴います。介護疲れを放置していると、虐待や介護離職など取り返しのつかない事態に陥る可能性もあるため、注意が必要です。
介護疲れに悩んでいる方は、介護に対する正しい知識を身に着けたり、専門家に相談したりして介護の負担を軽減させましょう。
介護に悩んでいる仲間と交流し、日々のストレスを打ち明けたり、アドバイスをし合ったりするのもおすすめです。
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監修者 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長会 斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟理事長。立命館大学卒業後、複数の介護関連企業で要職を歴任し、日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。講演活動やメディア出演も多数。