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床ずれ(褥瘡)とは?重症度や発症の要因から対処法・予防法まで解説

同じ姿勢を長時間続けると、身体の一部に床ずれ(褥瘡)が起きる場合があります。適切に対処しなければ感染を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。また、要因を解消しなければ再発を繰り返すでしょう。このように、適切な対処や予防が求められるため、床ずれに対する理解を深めることが大切です。ここでは、床ずれの重症度や要因、対処法、予防法などについて詳しくご紹介します。

目次

床ずれ(褥瘡)とは

床ずれは(褥瘡)とは、皮膚の同じ箇所が継続的に圧迫・摩擦などをされることで傷ができるものです。寝たきりの人や車椅子を使用している人など、自分で身体を動かすことが困難な人に起こりやすい傾向があります。床ずれが起きやすい部位や重症度などについて詳しく見ていきましょう。

床ずれが起きやすい部位

床ずれが起きやすいのは、骨が出ているところです。骨が出ているところは摩擦や圧迫がされやすく、体重もかかります。例えば、仰向けの姿勢を長時間続けている場合は、肩甲骨、後頭部の出ているところ、脊柱部、仙骨部などに床ずれが起こりやすいでしょう。

横向きだと、耳や肩、肘、膝などに起こりやすい傾向があります。

床ずれの重症度

床ずれの重症度は、NPUAP(米国褥瘡諮問委員会)とEPUAP(欧州褥瘡諮問委員会)が共同で発表した分類が参考になります。

ステージ1(消退しない発赤)……指で押しても消えない赤みが現れる。他の部位とは皮膚の硬さや温度が異なる、痛みがあるなど。

ステージ2(部分欠損)……皮膚が部分的に欠損しており、皮下脂肪や骨などは露出していない。水疱や傷口がある場合は薄い赤色をしている。

ステージ3(全層皮膚欠損)……皮下脂肪が目視できる。皮下脂肪の厚さには個人差があるため、床ずれの重症度にも個人差がある。

ステージ4(全層組織欠損)……骨や筋肉などが露出している。黄色や黒色の壊死した組織がみられる場合がある。

このように、進行すると重大な事態を引き起こすため、早期に対処しなければなりません。

床ずれを引き起こす要因

床ずれは、次のような要因が重なることで発症します。

圧迫……血流が滞ることで皮膚や皮下組織に酸素や栄養が十分に届かなくなり、皮膚の表面から少しずつ壊死し始める。

剪断力(せんだんりょく)……皮膚の表面と内部の組織が引っ張られてずれが生じる。

摩擦……寝具や衣類などと擦れることで皮膚の表面がすり減り、圧迫や剪断力の影響を受けやすくなる。

乾燥……肌のバリア機能が低下しており、外部刺激を受けやすくなる。

湿気……過剰な湿気によって皮膚の表面が柔らかくなり、床ずれが起こりやすくなる。

体脂肪が少ない……体脂肪はクッションの役割を果たしている。体脂肪が少ないと、皮下組織への衝撃を十分に和らげられない。

床ずれの対処法

床ずれが起きたときは、重症化する前に対照しましょう。床ずれの対象法は次のとおりです。

皮膚を洗浄する

初期の床ずれは、皮膚を清潔に保つことで改善が期待できます。ぬるま湯で洗い流し、柔らかいタオルやガーゼなどで押さえて水分を取り除きます。

消毒液・外用薬を塗る

傷がある場合は、感染を防ぐために消毒液を塗りましょう。また、外用薬を塗って治癒を促す場合もあります。ただし、いずれの場合も適切なものを使用しなければ症状の悪化を招く恐れがあるため、安易な自己判断は禁物です。傷ができるほどの床ずれの場合は医師に相談しましょう。

床ずれの予防法

床ずれを防ぐために、次のように対策しましょう。

体位をこまめに変える

床ずれは同じ箇所に圧迫や摩擦などが加わることで発症します。そのため、体位をこまめに変えることで予防できます。寝たきりの場合は、1~2時間に1回を目安に体位を変えましょう。また、車椅子を使用している場合は、15分に1回程度の頻度でお尻を浮かせて座りなおしをしましょう。

床ずれ防止グッズを使う

床ずれ防止を目的としたグッズを使用するのも1つの方法です。福祉用具に該当するものであれば、ケアプランに組み込むことで介護保険が適用されます。まずは、ケアマネージャーに相談しましょう。

床ずれ防止グッズには、体圧を分散しやすい静止型マットレス、内部の空気の圧力が自動で切り替わることで体位を変えやすい圧切替型エアマットレス、寝返りを補助する体位変換器、車椅子クッションなどがあります。

また、床ずれしやすい箇所に白色ワセリンを塗って摩擦を軽減するのも1つの方法です。

まとめ

床ずれが悪化すると、骨や筋肉などが見えて治癒に時間がかかるようになります。また、細胞が壊死することもあるため、できる限り初期の段階で対処しましょう。また、床ずれを防ぐために体位をこまめに変えたり白色ワセリンを塗ったりしましょう。また、皮膚を清潔に保ち栄養不良や血行障害が無いか等の全身状態を確認して予防に注力してみてください。

この記事の監修者

いいケアネット事務局

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