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年金受給者の親を扶養に出来る?メリット・デメリット、注意点について

さまざまな事情により、「年金生活を送っている親を自分の扶養に入れたい」と考えている方は少なくありません。
しかし、ここで気になるのが「そもそも年金受給者の親を自分の扶養にできるのか」という点です。専業主婦の妻や子供とは異なるケースであるため、扶養にできるのか疑問を感じている方は多くいます。
そこで、今回は年金生活を送っている親を自分の扶養に入れることはできるのか、仮に扶養に入れる場合のメリットやデメリット、注意点などについて紹介します。

目次

年金生活の親を扶養に入れることは可能?

大きな疑問である、「年金生活の親を扶養に入れることはできるのか」という点ですが、結論からいうと「条件を満たせば可能」です。
年金生活の親を扶養家族にすること自体は決して問題はありません。しかし、一定の条件が設けられているため、すべての条件を満たす必要があります。
また、一口に「扶養」といっても、日本では大きく3つの種類があります。一般的に知られているのが年金や税法、健康保険がある扶養ですが、すでに年金を受給している親であれば「税法」及び「健康保険」となります。
それぞれ条件が異なるため、次項で詳しく解説します。

年金生活の親を扶養に入れるための条件

年金生活の親を扶養に入れる際、どのような条件があるのでしょうか。
ここからは、税法と健康保険の2種類の扶養の条件について解説します。

税法

年金生活の親を扶養家族にする場合、税法上の条件は以下の通りです。

・所得上限は年38万円
・16歳以上

所得上限は原則年38万円です。しかし、年金所得は一部控除して計算される仕組みもありますので、所得が年38万円を超えていても扶養家族になれる場合があります。
また、税法では16歳未満の子供は扶養家族にできませんので注意してください。

健康保険

健康保険における扶養の条件は、次のような内容が設けられています。

・所得上限は年130万
・75歳未満

健康保険においては、所得上限は年間130万円と「税法」よりも高く設定されています。なお、60歳以上であれば、所得上限は年間180万円とさらに高いです。
また、75歳未満が扶養の条件となるため、75歳を超えている高齢者は扶養にできません。

年金生活の親を扶養家族にするメリット

年金生活の親を扶養にする場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、具体的なメリットを紹介していきます。

節税効果がある(税法)

年金生活の親を扶養家族にすることで、扶養者側に節税効果を期待できます。なぜなら、年金生活の親を扶養することによって「扶養控除」の額が高くなるからです。
結果的に、支払う税金の額を少なくすることができます。

保険料が免除される(健康保険)

健康保険における「年金生活の親を扶養するメリット」は、親の健康保険料の支払いが免除されることです。
健康保険料の支払いはとても負担の大きいもの。保険料の支払いが免除されれば、1年あたりで数万円もしくは十数万円もの費用を節約できます。
現時点で支払っている保険料額によっては、とても大きなメリットといえるでしょう。

年金生活の親を扶養に入れるデメリット

年金生活の親を扶養に入れるにあたり、さまざまなメリットが並んでいますが、一方でデメリットがあることも頭に入れておかなければなりません。
それが、高額療養費制度で不利になる可能性があるというものです。被保険者の所得区分によっては、高度医療費制度における自己負担上限額が高くなってしまいます。
高度医療費制度で不利になる理由は、これまで年金生活であった親が所得の基準であったのに対し、扶養家族になることで子供の収入が基準となってしまうからです。
必ずしも、年金生活の親を子供の扶養にすることがお得とは限りませんので注意しましょう。

年金生活の親を扶養家族にする注意点

年金生活の親を扶養家族にする場合、必ず「条件を満たしているか」という点をチェックすることが大切です。とくに、年齢や所得に関しては明確に条件が設けられているため、うっかり確認ミスをしてしまうと手続きに無断な時間や手間をかけることにつながります。
ちなみに、年金を受給している親を「税法」「健康保険」の2つの扶養に入れる場合には、以下の条件を満たしていることを確認してください。

【年金受給者の親を「税法」「健康保険」で扶養に入れる場合の条件】
・親の年収が108万円以下であること(65歳以上の場合は130万円以下であること)
・親の年齢が75歳未満であること

条件と、実際の親の状況を照らし合わせたうえで、扶養家族にするか否かを検討しましょう。

おわりに

今回は、年金受給者の親を扶養家族にするための条件やメリット・デメリット、注意点など幅広く紹介しました。
年金受給者の親を扶養することは可能ですが、一定の条件が設けられていることを頭に入れておかなければなりません。
スムーズに手続きを進めていくためにも、本ページの内容をしっかりと覚えておきましょう。

この記事の監修者

いいケアネット事務局

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