ご家族が末期がんと発覚したら、あなたはどうしますか?
最期まで入院させるのか、在宅医療・介護を利用するのか迷うかもしれません。相談すべきは医師だけではありませんし、ご本人の意志も大切です。
今回は「末期がん」と「在宅」についてご説明していきます。
がん治療の選択肢は病院だけではない
がんは、病院や診療所だけでなく在宅でも医療を受けることができます。
生活の質などを考慮すると、必ずしも病院が優れているわけではありません。患者さんによっては、在宅の方がよりよい環境になることもあります。
末期がんで医学的に回復が難しく、40歳以上であれば介護保険制度も活用ができます。自宅で介護を受ける場合、本人を含めて専門職の方と相談を重ねることが大切です。
医師だけでなく、看護師、ケアマネージャー、ヘルパーなどと連携を取りながら、訪問介護や訪問看護、デイサービスやショートステイなどを組み合わせて在宅でも充実した介護サービスを受けることができます。
在宅で過ごすメリット
在宅医療や在宅介護を利用することによるメリットは下記などがあります。
- 家族と一緒に過ごせ、本人の気持ちが安らぎ、精神的に安定する。
- 慣れ親しんだ場所なので、入院中よりもぐっすり眠れる。
- 痛み止めが、入院中よりも減らすこともできる。
- 自分でスケジュールを決めることができ、趣味を楽しめる。
在宅での医療や介護を行うことでメリットはありますが、ご本人のご希望する療養になっているか、確認しながらより良い環境にしていくことが大切です。
在宅で過ごすデメリット
在宅で過ごすということは、メリットだけではありません。
身体的な問題や、身の回りの問題などで負担がかかることがあります。介護するご家族の肉体的負担や精神的負担、経済的負担などがあり、がん患者にとっても肉体的負担や精神的負担もあります。
病院ではないので医療機器は揃っておらず、医師の対応も病院よりは遅くなってしまいます。
ご本人にとって「在宅か病院」、どちらの方が総合的に幸せなのか、負担が少ないのか耳を傾ける必要があります。
在宅医療・介護を始めるにあたって
まず、キーパーソンを決めましょう。
家族との話し合いだけでなく、医療関係者などとやりとりする人を決めることで話がまとまりやすくなります。この際、がん患者ご本人のご希望に耳を傾けられる人が良いです。
次に、夫婦や子供、兄弟、親戚などで在宅医療に協力してくれるかをご確認して、費用のことも含め治療方針や、ご家族・ご本人が大切にしたいことを共有し、できる限りご本人のご希望にそったものにします。
協力ができない人もいると思いますが、話し相手になったり様子を見に来てくれるといった小さなことでも良いので在宅医療・介護をサポートしてくれるかを確認しておきましょう。
在宅にするからといって、慌てて住宅リフォームをしたり、福祉用具を全て準備しておく必要はありません。在宅を実際に始めてから必要に応じて追加しけば良いです。
緩和ケアも視野に入れて
緩和ケアとは、がん患者の症状や痛み、倦怠、落ち込み、悲しみなどの身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアのことです。
末期がんの場合、病院でこれ以上施しようがない状態になり、ご本人が「最期はゆっくり自宅で過ごしたい」とご希望することもあります。
このような場合は、治療という観点ではなく、身体的・精神的苦痛をやわらげる緩和ケアが大切です。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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