特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームの大きな違いは、社会福祉法人などが運営する「公的施設」か、企業が運営する「民間施設」になります。
その他にも費用、サービス面、入居待機者の人数も両施設の違いのひとつです。
本記事では、特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームの大きな違いを比較しながら解説します。両施設の違いを知ることは施設選びの基本となりますので、この機会にぜひ覚えてくださいね。
特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームの違い
特別養護老人ホームと有料老人ホームの大きな違いは、「公的施設」か「民間施設」かです。特別養護老人ホームは「公的施設」、有料老人ホームは「民間施設」で、それぞれ運営主体が異なります。
ほかに、入居条件や費用、サービス内容にも違いがあります。
特別養護老人ホーム(特養)の特徴
「特別養護老人ホーム」は、「介護老人福祉施設」とも呼ばれ、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的施設です。略して「特養(とくよう)」とも呼ばれます。
認知能力や体の不自由な方高齢者が、食事、排泄、入浴などのサポートを受けて生活する「介護保険」の入居施設です。
要介護度と収入によって月あたりの施設サービス費の基本自己負担額が決まります。(その他費用は施設によって違います。)
有料老人ホームの特徴
有料老人ホームは、民間企業が運営する介護施設です。有料老人ホームは、
「介護付き有料老人ホーム」
介護保険で「特定施設入居者生活介護事業所」に指定された介護を義務付けられた施設です。
「住宅型有料老人ホーム」
食事の提供など生活支援等のサービスが付いた住宅です。介護が必要になれば、訪問介護など介護保険を利用して介護サービスを受けることができます。
「健康型有料老人ホーム」
健康に不安のない高齢者が仲間づくりや趣味を楽しむために入居する施設です。介護が必要になると退去しなければならない条件があります。
以上の3タイプがあり、それぞれ重視するサービス内容が異なります。
特別養護老人ホームと有料老人ホームの違い
特別養護老人ホーム | 有料老人ホーム | |
運営 | 社会福祉法人、地方自治体など | 一般法人、医療法人など |
【入居条件】 | 65歳以上の高齢者で 要介護度3~5 中~重度の要介護高齢者が優先的に入居 |
65歳以上の高齢者で 要支援1~3の方 要介護1~5の方 自立の方 施設によって条件は様々 |
【入居一時金】 | 0円 | 0~数十万円が平均的 何千万の施設もあります。 |
【費用の目安】 | 月額約5~16万円
内訳は、施設サービス費(介護度と収入によって決定、1~3割負担)、居住費、食費、日常生活費(理美容代など)他です。介護度と収入によって利用料が変わります。 |
月額約15~30万円が平均的
低額なところもあれば、何百万もする施設もあります。 |
【居室の種類】 | 居室は大きく分かれて「従来型」と「ユニット型」の2タイプがあります。 | 有料老人ホームは、基本的に個室です。 |
【1人あたりの居室面積】 | 「従来型」10.65㎡以上 「ユニット型」13.2㎡以上 |
13㎡以上 |
【サービス内容】 | 食事・入浴・排泄などの介助、掃除・洗濯などの生活援助、機能訓練・健康管理など。サービス面は、有料老人ホームのほうが充実している傾向にあります。 | 特養と同じ生活支援サービスに加え、施設独自のサービスを提供している施設があります。 介護付きの場合スタッフがサービスを提供し、住宅型は外部の事業者にサービスを委託しています。 |
【入居難易度】 | 寝たきりや認知症など比較的重度の方、緊急性の高い方の入居が優先されるのと、利用料金が比較的安いことも相まって待機者の方が多く(待機人数は約40万人とも言われています)、入居までに数ヶ月、場所によっては数年かかることがあります。 | 特養と比べると待機者が少ないため入居しやすい |
特別養護老人ホームと有料老人ホームの比較ポイント
入居条件
特別養護老人ホームは、中~重介護者を優先するため、65歳以上の要介護3~5であることが入所条件となっています。入居待機者が数十万人いると言われていますので、入所までに時間がかかる可能性があります。
対して、
有料老人ホームは施設により入居条件が異なっており、施設の入居条件を満たしている方であれば入居できます。
待機者は特養と比べると少ないため入居しやすいといえるでしょう。
費用
特別養護老人ホームは、運営元が社会福祉法人、地方自治体など公的機関のため、入居一時金は必要なし、毎月の必要になる費用等が安い傾向にあります。
月額費用は、介護度と収入によって決まっており、施設によって、生活サービスにかかる費用が違います。
有料老人ホームの入居一時金や月額費用は、施設によって違います。
有料老人ホームは、入居一時金は平均的に0円~数十万円の設定の施設が多いですが、高級有料老人ホームでは数千万円必要な場合があります。このように、有料老人ホームは、費用に関しては様々です。
介護保険の自己負担額が上限を超えた場合、「高額介護サービス費制度」や「高額介護合算療養費制度」の利用で負担を軽減できます。自動で適用されるわけではないので、上限を超えたら忘れずに申請しておきましょう。
居室の広さ
特別養護老人ホームは、主に2タイプの居室があります。
「従来型」は個室、多床室(2~4名)の種類があり、「キッチン」「食堂」「リビング」などの共有スペースは、居室とは独立して設けられています。
「ユニット型」は全て個室で、ユニットと呼ばれる所以は、一つのユニットを10人以下のグループで形成し、そのユニットごとに「キッチン」「食堂」「リビング」などの共有スペースが居室と併設して設けられています。
有料老人ホームに関しては、基本は個室です。
一人当たりの居室面積が特養と比べると広めです。
サービス
特別養護老人ホームは、食事、排泄、入浴などのサポート、健康管理等の療養上の世話を行い、施設によっては簡単なリハビリや習字、合唱などの活動、各季節ごとのレクリエーションなどが行われています。
3名の入居者様に対し、1名の介護スタッフが配置されています。
有料老人ホームは、食事、排泄、入浴などのサポート、健康管理等の療養上の世話に加え、独自のより充実したサービスを提供する施設もあります。住宅型有料老人ホームは介護が必要な場合は、外部の事業者にサービスを委託しています。
3名の入居者様に対し1名の介護スタッフ配置が基本ですが、施設によっては、スタッフ人数の配置が多い場合がございます。
サービス内容を比較すると、有料老人ホームの方が充実している施設が多いです。リハビリに力を入れている施設、医師や看護師が常駐して診てくれる施設など、施設によってサービス内容に違いがあります。
おわりに:事前に施設を比較しておこう
有料老人ホームは費用やサービス内容に差があります。入居してから「思っていた暮らしと違う…」「自分には合わないかも…」と後悔したくないですよね。待ちの少ない有料老人ホームは住み替えがしやすいですが、入居一時金がかかりますし、入居の準備にも時間がかかるので、よく比較してから選びましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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