老人ホームの入居後に、本人とどのように関わるべきか悩む方は多いのではないでしょうか。
施設での生活に慣れるまでは、孤独感や疎外感を感じてしまうケースも珍しくありません。人と関わることが得意な方とそうでない方でも、状況は異なります。
今回は、老人ホームでの生活に慣れるまでに心がけたいポイントを解説します。本人と家族のそれぞれの立場からできることをまとめているので、ぜひ参考にしてください。
大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。
老人ホームに慣れるまでに時間がかかる理由
老人ホームに慣れるまでに時間がかかる理由は、主に以下の3つです。
- 新しい環境やルールへの順応が難しい
- 介護されている自分を認められない
- 人と関わることに苦手意識がある
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
新しい環境やルールへの順応が難しい
老人ホームに慣れるまでに時間がかかる理由として、新しい環境やルールへの順応が難しいことが挙げられます。自宅での生活から施設での共同生活への移行は、多くの方にとって精神的・肉体的なストレスになりかねません。
老人ホームでは、基本的に決められた活動スケジュールに沿って生活します。最初のうちは、施設内での時間の過ごし方やルールなどがわからず、戸惑うことも多いでしょう。環境の変化に順応するには、少なくとも数カ月の時間が必要になるため、慣れるまでに時間がかかります。
介護されている自分を認められない
入居者が介護されている自分をなかなか認められない場合も、老人ホームに慣れるまでに時間がかかりがちです。
多くの高齢者にとって、介護が必要になる状況は心理的な負担になります。そのため、心理的な抵抗や他者を頼る難しさから、他者との関わりを避けてしまう方も少なくありません。
介護されている自分を受け入れるまでには、時間がかかります。少しずつ施設スタッフの力を借りながら慣れていくケースがほとんどですが、最初のうちはどうしても気持ちを整理できない場合があります。
いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。大阪を中心に全国各地の老人ホームを紹介しているので、入居者に適した施設をお探しの方は気軽にご相談ください。
老人ホームへの入居を嫌がる親を説得するための手順については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:嫌がる親を施設に入れる手順を解説!入居手順や在宅介護を続けるリスクも紹介
人と関わることに苦手意識がある
人と関わることに苦手意識がある場合も、老人ホームに慣れるまでに時間がかかる傾向です。老人ホームでは、施設スタッフやほかの入居者と関わる場面が多くあります。
自宅での生活において、一人で過ごす時間が多かった方は、ほかの入居者との共同生活に抵抗を感じやすく、孤立してしまうケースも珍しくありません。
また、過去に人間関係でトラブルがあった方も、他者との関わりに対して苦手意識が強くなりがちです。心理的なハードルによって思うようにコミュニケーションが取れずにいると、新しい生活に慣れるまでにより時間がかかります。
【本人】老人ホームに慣れるまでに心がけたい2つのこと
老人ホームに慣れるために、本人ができることがあります。
- 自分のペースで生活するよう心がける
- 無理のない範囲でスタッフや入居者と交流する
以下で、老人ホームに慣れるために心がけるべきポイントを解説するので、新しい生活に対する心理的な負担を減らしたい方は、参考にしてください。
1.自分のペースで生活するよう心がける
老人ホームでの生活に慣れるためには、できるだけ自分のペースで生活するよう心がけましょう。無理に周囲に合わせようとせず、まずは自分の生活リズムを整えることが大切です。
自分のペースを掴めると、慣れるまでの不安や焦りが減り、ストレスがなく新しい生活に馴染みやすくなります。
老人ホームでの生活に慣れるための第一歩は、心身の健康です。食事や睡眠、休息など、基本の生活リズムをしっかりと確立するよう心がけてください。
老人ホームの種類や選び方のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:老人ホームのご入居をご検討されるなら押さえておくべき5つのポイント!
2.無理のない範囲でスタッフや入居者と交流する
老人ホームでの生活に早く慣れるためには、施設スタッフや入居者との交流が不可欠です。ほかの入居者とのコミュニケーションが増えると、孤独感が減り、生活にメリハリがつきます。
ただし、無理に関わろうとせず、自分のペースで少しずつ交流の話を広げていくことがポイントです。
とくに施設スタッフとは日常的に接する機会が多くあります。そのため、何か困りごとがあれば気軽に施設スタッフに相談しましょう。
些細なお願いや相談をきっかけに、信頼関係を築きやすくなります。また、可能であれば、施設内のグループ活動やイベントへの参加もおすすめです。
無理に自分から話しかけなくても、ほかの入居者との関わりを持てるため、自然に会話が生まれます。
【家族】老人ホームに慣れるまでに心がけたい6つのこと
入居した本人が老人ホームに早く慣れるために、家族としてできることがあります。
- 入居から3カ月程度は頻繁に訪問する
- 希望や不満などは本人に代わって家族が伝える
- 本人の情報を施設スタッフに伝えておく
- 運営懇親会に参加する
- 積極的に施設のイベントに参加する
- 老人ホームに対するネガティブな発言を控える
以下で、老人ホームに慣れるために家族が心がけたいポイントを解説します。本人がスムーズに新しい生活に適応できるよう、家族として可能な範囲でサポートしましょう。
1.入居から3カ月程度は頻繁に訪問する
本人が老人ホームに早く慣れるためにも、入居から3カ月程度はできるだけ頻繁に訪問するようにしてください。老人ホームの入居によって生活環境が一変すると、本人は大きな不安を感じることになります。
初めて接する人に囲まれ、介護されるのは本人でなければわからない大きな負担になるはずです。最初のうちは、自分の部屋や共有スペース、浴室などの生活空間の利用にも慣れていない状況です。
性格や過去の経験によって個人差があるものの、入居後しばらくは自宅が恋しくなったり新しい生活で気疲れしたりする方も少なくありません。
施設側も新しい入居者に対して、早く生活に慣れてもらえるよう配慮してくれるものの、家族もできる限りサポートしましょう。
2.希望や不満は本人に代わって家族が伝える
老人ホームに入居して間もない頃は、さまざまなことが目について不満を感じたり意見を伝えたくなったりするものです。
ほかの入居者との人間関係を築けるようになると、不満や意見を言い合いながら心の安定を保てる可能性があります。
しかし、意見を言い合える相手がそばにいない場合は、不満が溜まってしまい、自宅に戻りたい気持ちが強くなりかねません。
そのため、どれほど些細なことでも家族が本人に代わって施設やスタッフに意見や不満を伝えることが大切です。
ただし、本人が不満を言っているなどと直接的に伝えるのではなく、相談するイメージで話ましょう。どうすれば過ごしやすくなるのかを施設側と一緒に考えられると、本人の日常におけるストレスの軽減につながります。
3.本人の情報を施設スタッフに伝えておく
老人ホームには複数人が入居しているため、施設は個々のすべての要望には応えられません。
しかし、本人の性格や様子、普段の行動などを施設スタッフに伝えておくことで、なるべく居心地が良い環境づくりに努めてくれます。
また、施設スタッフとしても本人の情報が多い方が、今後の対応や環境づくりに役立てられます。介護のケアプランも同様に、家族が本人の状況を把握した上で、より良いものに改善できるよう施設の管理者やスタッフ、ケアマネージャーに意見を伝えましょう。
4.運営懇親会に参加する
運営懇親会とは、入居者や家族、施設側が意見交換する場です。サービスに対する意見や改善策などを話し合い、より良い環境をつくることを目的としています。また、民生委員や学識経験者などが中立な立場で参加するケースもあります。
運営懇談会への参加を通して要望を伝えやすくなったり、ほかの入居者やその家族の意見をもとに改善策を考えたりできるようになるため、可能な限り参加しましょう。
運営懇親会の開催は基本的に年に1回のため、あらかじめ確認した上で意見をまとめておく必要があります。
5.積極的に施設のイベントに参加する
家族もクリスマスや夏祭りなど、季節のイベントにはなるべく参加しましょう。
施設によっては、家族はもちろん、地元住民のイベント参加も可能です。さまざまな人との交流において本人がどのように過ごしているかを見ておくと、施設での暮らしをイメージしやすくなります。
たとえば、イベント中に施設スタッフと楽しそうに話している場合には、普段から同じようなコミュニケーションを取れているはずです。
また、イベントへの参加を通して家族を身近に感じられると、本人も孤独感を覚えずに、安心して楽しい時間を過ごすきっかけになります。
6.老人ホームに対するネガティブな発言を控える
老人ホームへの入居に対してネガティブな感情を持っていた本人が、入居後しばらくしてポジティブな感情を持てるようになる場合があります。
同じ境遇の人に囲まれてコミュニケーションの絶えない日々を過ごすうちに、精神的な安定を得られるケースも少なくありません。
本人を老人ホームに入居させることに申し訳なく思っていると、老人ホームに対してネガティブな発言をしがちです。本人がそのような発言に気持ちを引っ張られ、本当に老人ホームが嫌いになってしまう恐れもあります。そのため、老人ホームに対するネガティブな発言はなるべく控えましょう。
いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。大阪を中心に全国各地の施設を紹介しているので、入所を検討している方は気軽にご相談ください。
老人ホームに慣れるまでは本人と家族の関わりを増やそう【まとめ】
老人ホームへの入居後は、本人の精神的なケアが欠かせません。入居後3カ月頃まではできるだけ頻繁に訪問して、環境に慣れるまでサポートしましょう。また、3カ月以降も定期的に訪問して、孤独感や疎外感に悩むことがないような対応を心がける必要があります。
家族として、少しでも良い環境で過ごせるように、施設の管理者やスタッフ、ケアマネージャーに本人の意見や希望、不満を伝えてみてください。
老人ホームでのより良い生活を実現するためにも、施設やケアマネージャーと協力関係を築くようにしましょう。
親を老人ホームに入居させている方からよくある質問
ここでは、親を老人ホームに入居させている方からよくある質問をまとめました。
大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。
家族以外も老人ホームへ面会に行ける?
多くの老人ホームでは、家族以外でも面会が可能です。
しかし、施設によっては、新型コロナウイルスの感染拡大や過去の福祉施設での事件などをきっかけに、家族以外の友人などによる面会が制限されている場合もあります。また、家族以外が面会できる場合でも、事前に予約が必要なケースもあるため、事前に施設に確認しましょう。
親に老人ホームから帰りたいと言われたらどうしたら良い?
親に老人ホームから自宅へ帰りたいと言われたら、まずは気持ちに寄り添い、話を聞くようにしてください。
老人ホームの入居者が自宅に帰りたいと感じることは珍しくありません。親が不安や孤独を感じているようであれば、定期的に施設を訪問して安心感を与える必要があります。
また、施設やケアマネージャーにも相談しながら、家族としてどのようなサポートができるかを考えましょう。
在宅介護のメリットとデメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:在宅介護のメリット・デメリット|費用〜在宅介護の限界まで解説!

この記事の監修者
いいケアネット事務局
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