肺炎による死亡者の96.8%が65歳以上、肺炎が原因で亡くなる60歳以上の高齢者のうち96%が誤嚥性肺炎であるというデータがあります。
誤嚥とは、本来ならば食道に入るはずの食べ物、飲み物、唾が気管や肺に入ってしまうことを指し、誤嚥性肺炎は誤嚥することにより起こる肺炎です。
≪誤嚥の原因となるのは何か?≫
虫歯や歯周病、また嚥下反射機能の低下がその原因となっています。
〇虫歯や歯周病
口腔内は、増殖した細菌が唾液に混ざっているため唾液を誤嚥したときに誤嚥性肺炎を起こしやすいです。
〇嚥下反射機能の低下
嚥下反射機能とは、食べ物を飲み込んだり、異物を外に押し出したりする力のことを言います。この機能の低下により、誤嚥しやすくなります。加齢による筋力の低下は飲み込む機能にも影響します。
≪誤嚥性肺炎を予防するには・・≫
口腔ケアをしっかり行うことです。
〇セルフ・ケア
ご自身で行えるケアのことで、毎日の歯磨きです。歯間ブラシやフロス、舌ブラシ、マウスウォッシュなどいろいろなアイテムがあります。
〇プロフェッショナル・ケア
歯科医や衛生士によるケアで、むし歯、歯周病の状況を診て、全身状態、口腔内の状況に合った適切な口腔清掃のアドバイス、日常的には出来ない部位の専門的歯面清掃を行います。また、食介護への支援、フッ化物洗口など、予防に関する薬剤の紹介と正しい使い方の指導も行います。他に、口腔体操や嚥下体操なども指導されます。
≪歯周病がもたらす全身への影響≫
歯周病は、下記の図のように多くの疾患の原因になっています。誤嚥性肺炎だけでなく、心疾患や糖尿病、動脈硬化、認知症などの原因になっています。
≪訪問歯科≫
ご高齢になられると通院が難しくなる方も多くいらっしゃいます。そのような場合、歯科医や衛生士がご自宅や老人ホームへ問診療をご利用いただけます。定期的に老人ホームなどに来て、治療とともに口腔ケアを受けていただきます。
歯をケアして、美味しい食事を召し上がっていただくことは、生きる意欲の向上に繋がっていきます。是非、早くから、歯のケアに目を向けていただくことをお勧めします。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
突然倒れた、転んで頭を打ったなど、ご自身やご家族の介護を身近に感じるきっかけはそれぞれです。 いいケアネットでは、いざという時のために役立つ介護の知識や介護施設についてご紹介します。