高齢者の肺炎について詳しく解説!

かつて日本人の死因の1位であった肺炎は、戦後、抗生物質の登場により死者数が急激に減少しました。
しかし1980年以降、日本の高齢化を背景に再び増加傾向にあります。またここ最近ではコロナウイルスの流行で、肺炎の恐ろしさを身近に感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は65歳以上の高齢者が特に気を付けたい病気『肺炎』についてご紹介します。

目次

肺炎ってどんな病気?

主に細菌やウイルスに感染することにより、肺の中を通る気管支のさらに先にある肺胞という部位が炎症を起こす病気です。
症状は風邪に似ていますが呼吸困難や入院が必要になる程重篤化することもあり注意が必要です。発症する原因によって種類が分類されており、
細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、マイコプラズマ肺炎などがあります。また細菌やウイルス以外の原因によって起こるものとして誤嚥性肺炎や過敏性肺炎、好酸球肺炎などがあります。

肺炎の原因は何?

肺炎の原因の多くは、細菌感染によって引き起こされます。原因となる菌は様々ありますが、その中でも一番多くみられるのは肺炎球菌によるものです。
またインフルエンザのようなウイルスやクラミジアなどの微生物でも発症する他、マイコプラズマ、黄色ブドウ球菌などによる感染が主な原因としてあげられます。
こうした菌やウイルスなどが口や鼻から体内に入ると、喉から気管支を通り、最終的に肺胞まで到達して肺炎が起こります。また特に体力が落ち免疫力が低下している時に感染しやすい傾向にあります。

肺炎の症状は?

咳、痰、息切れ、微熱が続く、からだがだるい、呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音がするなどの症状が主として現れます。
重症になると呼吸困難になり酸素吸入が必要になる場合もあります。ただし高齢者の場合、こういった症状が出にくい場合があり、気付いた時には重篤化していることもあります。

高齢者が肺炎に感染した場合、どんな特徴がある?

高齢者が肺炎になった場合、若い方が感染した時の症状とは違い以下の様な特徴があります。

【熱が出にくい】

健康な方が肺炎に感染した場合、体内に侵入した細菌などの異物を排除するために熱を出します。しかし高齢者になると免疫機能が低下しており、異物を排除する力そのものが弱くなります。
そのため肺炎に感染していても熱が上がらず、感染に気付かないことがあります。

【咳や痰が出にくい】

一般的な肺炎の症状に咳や痰がありますが、高齢者の場合、咳や痰を出す力も弱まります。特に咳は脳が指令を出すことによって出ていますが、脳梗塞などを原因として咳を司る神経が麻痺している方の場合は特に注意が必要です。

【進行が速い】

高齢者が肺炎に感染した場合、栄養不足や脱水になりやすいため、若者よりも進行が早くなる傾向があります。また糖尿病などの既往症がある場合、そのリスクは更に高まります。

高齢者に以下の症状がある場合、気を付けるチェック項目とは?

  • 咳や痰が出る
  • 微熱が続く
  • 食事中や食後に急に苦しくなる
  • いつもより食欲がない
  • 息を吸うと胸が痛い
  • 体のだるさがある

上記にあてはまる症状があれば、「肺炎かもしれない」と疑い早めに受診することが肝心です。

高齢者に多い誤嚥性肺炎とは?

高齢者によく見られるのが誤嚥性肺炎です。これは食べ物や飲み物を飲む力が衰えることが原因で、飲食物や唾液が気管に入り込んでしまい、そこに含まれていた細菌から肺炎が起きやすくなります。

肺炎の予防方法とは?

日頃からこまめに手洗いやうがいを行い、規則正しい生活と、適度な運動を心掛け、まずは細菌やウイルスを予防することが大切です。
また肺炎球菌やインフルエンザなどのワクチン接種を定期的に受けることも肺炎の予防に繋がります。
また誤嚥性肺炎に関しては以下の予防方法を実践してみましょう。

【口腔内を清潔に保つ】

口腔内は細菌が繁殖しやすいので、常に清潔にしておくことが重要です。
就寝前には口の中をすすぎ、丁寧にブラッシングをしましょう。
介護保険の認定を受けている方の場合は、訪問介護や訪問歯科などの介護サービスも活用し、口腔ケアを行うこともおすすめです。

【食事や飲み物の形態を工夫する】

食事の際にはゆっくり時間をかけ、少量ずつ食べる。
特に嚥下機能の低下がある方の場合は、食事を飲み込みやすい形状の物に変更したり、飲み物などにもとろみをつけ、誤嚥しにくいように工夫することもおすすめです。

【食後すぐに横にならない】

食事中は体を起こし、食後もすぐには横にならず体を起こしておきましょう。

【フレイルを予防する】

フレイルとは、簡単に言うと「加齢により心身が老い衰えた状態」を言い、体重減少、疲れやすい、歩行速度の低下、握力の低下、身体活動量の低下の内3つ以上に当てはまる状態を言います。適度に体を動かすことで、脳の活性や心身機能の低下防止などフレイル対策に繋がります。

まとめ

肺炎による死者数の大多数は65歳以上の方です。肺炎は重篤化すると怖い病気ですが、今回お伝えしたことを参考にしていただき、しっかりとした予防を心掛け、感染しないよう気を配ることが重要です。

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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