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介護老人保健施設の費用が知りたい!内訳や費用の軽減方法も紹介

介護施設の入所を検討するにあたり、費用の面で不安を感じている方は少なくないでしょう。

病院からの退院後、自宅での生活に不安がある場合、介護老人保健施設(以下、老健)への入所が選択肢の一つとして挙げられます。リハビリを受けられる介護施設なので、自宅に帰る練習ができるというメリットはありますが、費用面は気になるところでしょう。

本記事では、老健の費用相場から内訳、さらに費用を抑えるための制度や方法について幅広くご紹介します。

費用面での不安を解消し、ご本人やご家族にとってより良い選択ができるよう、老健の費用について詳しく見ていきましょう。

介護老人保健施設はどのような施設?

介護施設には老健や特別養護老人ホーム(以下、特養)などさまざまな施設が存在します。

病院から退院が決まり、すぐに自宅へ戻るには不安がある方の場合、老健への入所を進められるケースも少なくないでしょう。

介護等人保健施設は病院と自宅の中間施設であり、リハビリを重点的におこなう介護施設です。

本章では具体的な特徴をご紹介します。

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目次

病院と自宅の中間施設

老健は、病院と自宅の中間施設と呼ばれています。病院を退院後、自宅での生活に不安をもった方が、在宅復帰に向けての必要なケアやリハビリテーション(以下、リハビリ)などをおこなうための施設です。

老健では、以下のような医療介護の専門スタッフが連携し、サービスを提供します。

  • 医師
  • 看護師
  • 介護士
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 薬剤師
  • 管理栄養士
  • ケアマネージャー
  • 支援相談員

他の介護施設と違い、医師が常駐しており、医療的なケアを受けられる特徴があります。

また、中間施設のため入所期間は原則3カ月間となっており、3カ月経つと退所となることも特徴の1つです。

他の介護施設よりリハビリに重きを置いている

老健は他の介護施設に比べリハビリに重きを置いているため、理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフが必ずいることも特徴です。

理学療法士や作業療法士の指導のもと、寝返りや起き上がりなどの基本的な動作や食事着替えトイレなどの日常的な動作のリハビリをおこない、在宅復帰を目指します。

自宅に帰った際に、できる限り自分でできることを増やす目的で、リハビリを行います。

入所の条件

老健の入所は、 病気の状態が安定していて入院治療の必要がない65歳以上の要介護認定を受けた方が対象となります。40歳以上65歳未満の方でも、特定疾病により要介護認定を受けていれば入所は可能です。

また、要介護1以上の方が対象となり、要支援1・2の方は入所できません。 

要介護認定までの流れが気になる方は、以下の記事をご参照ください。

関連記事:介護保険制度と老人ホームについて

介護老人保健施設にかかる費用

本章では老健にかかる費用についてご紹介します。費用の目安 や 内訳についてまとめましたので、老健の入所が気になる方は参考にしましょう。

費用の目安

入所にかかる費用は 介護サービス費と生活費を合計した おおよその目安として、 ひと月あたり9万円から20万円程度です。

費用は要介護度や利用する居室のタイプなどによっても異なります。要介護度が高くなるにつれ、また個室に近いほど費用は高くなります。

入所するための一時金については、公的施設となるため必要ありません。

費用の内訳

老健の費用の内訳は、施設の形態(従来型かユニット型)や職員の配置などによって変わってきます。 具体的にどのような費用があるか、詳しく見ていきましょう。

施設サービス費

施設サービス費とは、老健で提供される介護サービスにかかる費用です。

利用者一人ひとりの状態を考慮して作成された介護・リハビリテーション計画に沿って、自立した日常生活を送れるよう、機能回復や維持を目的としたサービスを提供します。

居室のタイプや要介護度によって費用は異なります。以下は、1日あたりの利用者負担額(1割負担の場合)の例です。

  • 従来型介護保健施設サービス費(1日あたりの利用者負担額、1割負担の場合)
要介護度 基本型 (i) 在宅強化型 (ii)
要介護1 717円 788円
要介護2 763円 863円
要介護3 828円 928円
要介護4 883円 985円
要介護5 932円 1,040円

出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group15.html

  • ユニット型介護保健施設サービス費(1日あたりの利用者負担額、1割負担の場合)
要介護度 基本型(i) 在宅強化型 (ii)
要介護1 802円 876円
要介護2 848円 952円
要介護3 913円 1,018円
要介護4 968円 1,077円
要介護5 1,018円 1,130円

出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索

上記例は1割負担の場合となるため、自己負担が2割や3割の方はその分費用が上がります。

さらに、以下のような加算項目もあり、利用者一人ひとりの状態をもとに提供したサービスにより加算されます。主な加算項目は以下の通りです。

  • 加算項目(一部を紹介)
 ・初期加算

  :施設の生活に慣れることを目的に、さまざまな支援を要するための加算(入所後30日まで)

 ・短期集中リハビリテーション実施加算

  :医師の指示の元、理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフが週に3日以上、3カ月間集中してリハビリを実施する場合の加算

 

 ・認知症短期集中リハビリテーション実施加算

  :認知症方でリハビリにより生活に改善が見込まれると判断された場合、医師の指示のもとで理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフが週に3日以上、3カ月間集中してリハビリを実施する場合の加算

 ・在宅復帰・在宅療養支援機能加算

  :ご利用者の在宅復帰を促進し、退所後も自宅での生活を支援するために介護老人保健施設が持っている機能を評価する加算

居住費と食費

居住費は施設のタイプや利用する部屋の種類によって異なります。

区分 費用の内容
 居住費 ユニット型個室・ユニット型個室的多床室・従来型個室 室料+光熱費相当
多床室 光熱費相当

出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索

居住費は従来型に比べ、ユニット型のほうが高くなりますまた、個室に比べ多床室のほうが安い傾向です。

食費には材料費や調理費が含まれます。

居住費と食費は基本的に介護保健給付の対象外となるため、原則利用者の支払いとなります。

日常生活費等

施設サービス費や居住費、食費以外にも、日常生活に必要な費用がかかってきます。日常生活費は具体的に、散髪代や洗濯代、新聞や雑誌代などが対象です。

老健の費用についてはこちらの記事でも詳しく解説しているのでご確認ください。

関連記事:老健と特養の違いは入居期間だけじゃない!入居条件や費用などの違いを解説

介護老人保健施設の費用を軽減させる方法

老健の費用はひと月あたり9万円から20万円程度であるため、費用の支払いに不安を感じる方も少なくないでしょう。

本章では費用を軽減させる制度や方法を2つご紹介します。

費用の負担軽減制度を利用

特定入所者介護サービス費(補足給付)とは、介護保険施設に入所する低所得者を対象に、食費や居住費の負担を軽減するための制度です。

対象は以下の通りです。(令和6年8月時点)

利用者負担段階 補足給付の主な対象者

 ※非課税年金も含む

預貯金額(夫婦の場合 )
第1段階 生活保護受給者  要件なし 
世帯全員が市町村民税非課税である

老齢福祉年金受給者

1,000万円 (2,000万円) 以下
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税 年金収入金額(※)+合計所得金額80万円以下 650万円 (1,650万円) 以下
第3段階① 年金収入金額(※)+合計所得金額が80万円超~120万円以下 550万円 (1,550万円) 以下 
第3段階② 年金収入金額(※)+合計所得金額が120万円超  500万円 (1,500万円) 以下

※社会福祉法人等による利用者負担軽減制度事業も対象となる場合がある(事業を実施していない社会福祉法人等もある)

出典:厚生労働省「介護保険最新情報」

軽減される費用については各市町村によって異なるため、お近くの地域包括支援センターや担当のケアマネージャーに相談してみましょう。

多床室を選ぶ

個室を選ぶより多床室を利用する方が、費用は数万円程度抑えられます。多床室とは1つの部屋を2〜4人で使用する部屋の形態です。

個室に比べるとプライバシーは確保しにくいものの、他の利用者と交流しやすいというメリットもあります。

自宅復帰を目指すのに老健がおすすめな理由3つ

老健は、病院からの退院後すぐの自宅復帰が不安という方に、おすすめの施設です。適切なリハビリや医療サービスを受けながら、スタッフと連携して自宅復帰を目指します。また、回転率も早いため待機期間の短さも特徴です。

本章では具体的におすすめな理由を3つご紹介します。

積極的なリハビリが受けられる

老健は理学療法士や作業療法士などが必ず配置されており、専門的なリハビリを受けられる施設です。

利用者が短期集中リハビリテーション加算の対象となれば、週に3回以上のリハビリが可能です。自宅内の歩行やトイレ動作の練習など、生活に特化したリハビリが中心になります。

短期集中リハビリテーションは期間が3カ月と決まっており、病院を退院後も積極的なリハビリを継続し、自宅復帰を目指したい方におすすめです。

医師や看護師による医療サービスが受けられる

老健では入所者100名に対し、常勤の医師1人以上の配置が義務付けられています。

基本的に、医師は日中対応になり夜間は不在のケースも多いですが、看護師が24時間体制で配置されているため、何かあれば看護師に相談が可能です。

原則3カ月の入所なので回転が早い

老健の入所期間は原則3カ月であるため、他の介護施設に比べ待機期間は短い特徴があります。

3カ月で退所しなければならないため、入所期間の短さに不安を感じる方もいるでしょう。退所後はデイケアやショートステイなどのサービスを利用しながら、自宅での生活を維持する方も多い現状です。

まとめ|介護老人保健施設を探そう

老健は、自宅に帰るためのリハビリを専門的におこなえる介護施設です。

ひと月あたりの費用の目安は9万円から20万円程度で、費用には施設サービス費、居住費や食費、日常生活費などが含まれます。

また、特定入所者介護サービス費制度の利用や多床室を選べば、費用を軽減できる特徴があります。老健が気になる方は本記事を参考に、お近くの地域包括支援センターで相談しましょう。

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介護老人保健施設の費用についてよくあるQ&A

特養と老健では費用はどちらが安い?

特養と老健では、一般的には特養の方が費用は安いといわれています。 

老健では重点的なリハビリの実施や、介護内容によって施設サービス費に加算される場合があり、特養よりも費用は高くなるケースが多いです。

特養と老健の違いについては、こちらの記事もご確認ください。

関連記事:老健と特養の違いは入居期間だけじゃない!入居条件や費用などの違いを解説

老健では入所時に初期費用はかかりますか?

老健では入所時に必要な初期費用(入居一時金など)はかかりません。

同じ介護施設でも有料老人ホームなどの民間施設では、入居一時金を支払う場合があります。老健は公的施設であるため、入居一時金の支払いはなく、月額の料金を支払うケースがほとんどです。

監修者

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長会

斉藤 正行

一般社団法人全国介護事業者連盟理事長。立命館大学卒業後、複数の介護関連企業で要職を歴任し、日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。講演活動やメディア出演も多数。

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いいケアネット事務局

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