「リハビリの質を高めたい」
「自分の足で動かす感覚を、もう一度体験したい」などの願いに寄り添った車椅子が展開されているのをご存知でしょうか。
足こぎ車椅子「コギー(COGY)」は、足を動かすのを諦めきれない方や行動範囲を広げたい方などに注目されています。
そこで本記事では「コギーはどんな車椅子なのか」と疑問に感じる方に向け、足こぎ車椅子であるコギーの特徴を網羅的に解説します。
少しでも費用を抑えて利用したい方にとっての悩みである「介護保険は活用できるのか」についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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足こぎ車椅子のコギーとは
足こぎ車椅子のコギー(COGY)とは、従来の手で操作する車椅子とは異なり、足を使って動かせる革新的な移動支援機器です。
足こぎ車椅子のコギーは、下肢の筋力を活かし、自立した移動を促進を目的としています。
とくに、リハビリ中の方や筋力を維持したい高齢者にとって、足を使った運動を日常生活に取り入れる良い機会となります。
足こぎ車椅子のコギーは、前進、後退、方向転換がスムーズにおこなえる設計が施されており、自身のペースで移動できる自由を得られるのが特徴です。
コギーの仕様
足こぎ車椅子コギーの仕様は、快適で安全な移動を提供するために設計されており、ペダルを漕ぐと前進します。
サイズはSS、M、Lの3種類があり、それぞれ大きさや耐えられる重量などは以下の通りです。
サイズ | SS | M | L |
重量 | 12.6kg | 14.8kg | 17.3kg |
全体サイズ(長さ×幅×高さ) | 890mm×530mm×670mm | 1155mm×627mm×881mm | 1346mm×635mm×940mm |
耐荷重 | 100kgまで | 100kgまで | 136kgまで |
参考対応身長 | 100cm以上 | 145〜180cm | 180cm以上 |
上記の通り足こぎ車椅子コギーは、利用者の体型にあわせたサイズ展開があるため、利用者一人ひとりのニーズに応える仕様になっています。
コギーに乗れる症状や試乗場所
足こぎ車椅子コギーは、下肢の筋力が低下している方や、歩行に困難を感じている方に適した足こぎ車椅子です。
脳卒中や脊髄損傷、パーキンソン病など神経系の疾患を抱える方が、リハビリの一環として使用に適しているか、試乗するのをおすすめします。
大阪市内の大和リース株式会社の本社では、足こぎ車椅子コギーが展示されています。
近畿地区にお住まいの方は、大和リース株式会社の専用フォームより問い合わせて、試乗に関する問い合わせをしましょう。
近畿地区以外にお住まいの方は、足こぎ車椅子コギーのメーカーである株式会社TESSの専用フォームから受付が可能です。
すでに担当のケアマネジャーがいる場合、足こぎ車椅子コギーを取り扱っている代理店に手配してもらえるケースもあります。
コギーが開発された背景
足こぎ車椅子コギーの開発背景は、従来の車椅子が持つ限界を克服しつつ、行動範囲を広げる利用者が増えるよう、リハビリを目的に開発されました。
一般的な車椅子は、手で押すタイプが主流であり、長時間の使用による肩や腕の負担が問題視されていました。
一方で足こぎ車椅子コギーは、足を使って進む仕様なため、手の負担を軽減しつつ利用者の自立を促す設計となっています。
歩行能力が部分的に残っている方、歩行器や杖だけでは不安定な方にとって足こぎ車椅子コギーは、安定感を提供しながらも筋力強化をサポートできます。
つまり足こぎ車椅子コギーは、利用者の自立性を尊重し、より快適で健康的な生活を支援するために開発された革新的な足こぎ車椅子なのです。
コギーに寄せられた口コミ
足こぎ車椅子コギーに寄せられる口コミには、多くの利用者からのポジティブな意見が目立ちます。
とくに「また足を動かせる」「楽しく足を動かせる」などの声が多く、今までの電動車椅子とは違った自立感を味わえるとも評価されています。
また「私にとっては、トレーニングです」との声もあり、リハビリの一環として利用している方もいるのが特徴です。
さらに「乗る前は、ぜったい無理だと思った」との意見もあり、乗る前の印象と乗ったあとの印象に違いを感じている利用者もいます。
介護施設によっては、足こぎ車椅子コギーを使ったダンスを楽しむレクリエーションも実施しており、利用者の笑顔が見られます。
足こぎ車椅子のコギーがおすすめな理由
足こぎ車椅子コギーは、一見すると「足に負担がかかるのでは」と感じられる一方で、以下のようなメリットがあります。
- 歩行のリハビリを兼ねられる
- 専門家の発明品なため信頼できる
「デメリットはないのか」が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
歩行のリハビリを兼ねられる
足こぎ車椅子コギーは、単なる移動手段にとどまらず、歩行リハビリの一環として効果的です。
従来の車椅子では、足を使う機会が制限されがちです。
しかし足こぎ車椅子コギーは、その名の通り「足こぎ」によって前進するため、足の筋力を活用します。
足こぎの動作により、下肢の筋力を衰えさせることなく、自然な形で筋肉を鍛えられるのです。
利用者によっては、自らの足を使って動ける点に喜びを感じ、前向きな気持ちになれるでしょう。
足こぎ車椅子コギーは個々のペースにあわせて使用できるため、無理なく継続的なトレーニングが可能です。
また、利用者自身が自発的に動かす仕様なため、精神的な自立心を促進し、日常生活における自信を高める効果も期待されています。
つまり、身体的なリハビリだけでなく、心理的な健康の向上も図れるのが足こぎ車椅子コギーの魅力なのです。
専門家の発明品なため信頼できる
足こぎ車椅子コギーは、歩行が困難な方にとっての補助を研究していた東北大学医学部の半田康延教授(当時)が開発した車椅子です。
株式会社TESSの代表である鈴木堅之との出会いから販売に至りました。
半田教授の研究でも、足を動かす仕組みをもとに研究を重ね「ニューロモジュレーション」に注目しました。
ニューロモジュレーションとは、神経機能を外部からの刺激によって変化させる方法です。
近年ではニューロモジュレーションを活用した運動機能の治療で採用されています。
開発当初、足こぎ車椅子コギーの試作機では、ニューロモジュレーションを活用した電気的な刺激で足を動かす仕様でした。
しかし半田教授は、足こぎ車椅子コギーで「右足を動かせば左足を動かす」という反射的な指令が出ると考えたのです。
専門家である半田教授の研究により開発された足こぎ車椅子コギーは、開発の背景からも信頼できる車椅子として注目を集めています。
足こぎ車椅子を利用する上での注意点
足こぎ車椅子コギーを利用する際、いくつか利用上の注意点があります。
まず足こぎ車椅子コギーは、屋内外で使用できる設計ですが、段差や砂利道、ぬかるみなどの不安定な道では走行が難しいのがデメリットです。
不安定な道では転倒のリスクも高まるため、事前にルートを確認して安全に移動できる道を選ばなければいけません。
さらに、足こぎ車椅子コギーは定期的なメンテナンスも欠かせません。
足こぎ車椅子コギーに限らず、車椅子に使用されている部品の摩耗や劣化は安全性に影響を及ぼします。
安全に移動するためにも定期的に点検し、必要に応じて修理を依頼するのが手間に感じる方はデメリットに感じる車椅子です。
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介護保険は利用できるのか
足こぎ車椅子コギーは、基本的にレンタルであれば介護保険の利用が可能です。
しかし「どうせならレンタルではなく購入したい」と考え、少しでも負担を減らすために介護保険を利用したい方もいるでしょう。
ここからは、足こぎ車椅子コギーを利用する上で、介護保険が活用できるのか解説していきます。
レンタルであれば基本的に可能
足こぎ車椅子のコギーは、介護保険の適用範囲内でのレンタルが基本的に可能です。
介護保険制度を利用すると、利用者の経済的負担を軽減し、より多くの方が多くの介護サービスを活用できます。
具体的には、要介護認定を受けている方であれば、地域の介護サービス提供者を通じて足こぎ車椅子コギーのレンタルが可能です。
レンタルの手続きについては、ケアマネジャーに相談するとスムーズに進められます。
ケアマネジャーによっては、介護保険制度の上手な活用方法を含め、介護保険を使った足こぎ車椅子コギーの費用についてアドバイスがもらえます。
介護保険を使って代理点を通したレンタルの場合でも、点検や修理などを含めるケースもあるので、担当のケアマネジャーに相談しましょう。
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介護保険を利用せず実費の購入も可能
足こぎ車椅子のコギーは、介護保険を利用せず実費での購入も可能です。
実費で購入すると手続きが簡潔になり、購入までの時間を短縮できるのがメリットです。
介護保険の適用条件や手続きが煩雑である場合や、すぐに利用を開始したいときには、実費購入が1つの選択肢となります。
さらに、所有権が購入者にあるため、必要に応じてカスタマイズや特別なメンテナンスを依頼しやすくなるのもメリットです。
しかし少しでも費用を抑えたい方や要介護認定を受けている方は、介護保険が適用される可能性があります。
ケアマネジャーと相談しながら、レンタルにすべきか購入にすべきかを検討しましょう。
足こぎ車椅子のコギーを利用して介護の質を高めよう!【まとめ】
足こぎ車椅子のコギーは、自分の足を動かして移動ができるため、歩行のリハビリを兼ねつつ、自立した生活をサポートする優れた選択肢です。
歩行に不安を感じている方やリハビリを積極的に進めたいと考えている方にとって、足こぎ車椅子コギーは有効な手段となります。
また、介護保険を利用したレンタルも可能なため、コスト面でも負担を軽減できるのが魅力です。
介護保険を活用する前に試乗してみると、自分にあった使い方や実際に足にかかる負担などが試せます。
足こぎ車椅子コギーを活用して、より自立した生活を送り、介護の質を高めていく一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やそれにまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。
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監修者 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長会 斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟理事長。立命館大学卒業後、複数の介護関連企業で要職を歴任し、日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。講演活動やメディア出演も多数。