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「療養型病院はひどい」といわれる理由とは?メリットを含めて詳しく解説

「療養型病院への転院を打診されたけれど、『療養型病院はひどい』と聞いて心配になった」

「なぜ療養型病院はひどいといわれるのだろう?理由を知りたい」

そのように考えている方も一定数いることでしょう。

「療養型病院はひどい」といわれる理由は複数ありますが、すべての療養型病院がひどいわけではありません。

本記事では、療養型病院がひどいといわれる理由や療養型病院の概要、メリットとデメリットについて解説します。

療養型病院に関するよくある質問も掲載しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

「療養型病院はひどい」といわれる理由

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この章では、「療養型病院はひどい」といわれる理由を2つの側面から解説します。1つ目は医療や介護に関する側面、2つ目は設備に関する側面です。

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目次

医療や介護に関する側面

療養型病院は医療施設ではありますが、家族が求めている医療を充分に受けられないケースも存在します。「老人ホームから療養型病院に入院してから、床ずれができた」といった事例もありました。

療養型病院の中には、高齢者や慢性疾患患者が多いため、治療よりも検査値の管理や病状観察が優先されるところが存在します。しかし、医療従事者や介護スタッフが手厚く対応して、十分な医療・介護を受けられる病院も存在します。

療養型病院がひどいといわれるのは、医療機関ごとに対応の質が異なる点が大きいでしょう。

設備に関する側面

療養型病院の中には、開院から長期間経過し、設備が老朽化しているところもあります。

加えて、多くの療養型病院の病室は多床室、いわゆる相部屋です。個室ではないため、患者のプライバシーが守られていない点も不満の原因と考えられます。

しかし、設備が老朽化している医療機関は療養型病院に限りません。一般病棟においても、エアコンがない、トイレが狭いといった状況もあります。

そもそも療養型病院とは

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療養型病院とは、療養病床がある医療機関を指します。療養病床とは、病院または診療所の病床のうち、長期の療養を必要とする患者を入院させるものです。(文献1)

療養病床には、医療保険対応の「医療療養病床」と介護保険対応の「介護療養病床」の2種類があります。介護療養型病床は令和6年3月31日に廃止されました。

「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」によると、令和5年10月現在、療養病床を有する施設は、病院が3,403施設、一般診療所が506施設です。(文献2)病院では前年から55施設、一般診療所では前年から80施設と、それぞれ減少しています。(文献2)

療養型病院のメリットとデメリット

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この章では、療養型病院のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

メリット

療養型病院のメリットは、要介護度や医療的なニーズが高い方も受け入れ可能である点です。

療養型病院のうち、介護療養病床では「看取り介護加算」を取り入れ、ターミナルケアや看取りにも対応しています。介護療養病床は、ほかの介護施設と比較して看取りやターミナルケアを多く実施しているという厚生労働省のデータもあります。(文献3)

療養型病院におけるもう1つのメリットは、患者の身体状況が悪化した場合も転院せず、同じ病院内の一般病棟へ移れる点です。身体状況が悪化した患者にとって負担である転院を必要としない点は、大きなメリットといえるでしょう。

デメリット

療養型病院のデメリットは、プライベート空間の少なさです。ほとんどの療養型病院が多床室であることが大きく影響しています。

他の介護施設と比較して、レクリエーションやイベントの回数が少ない点もデメリットといえるでしょう。

医療療養型病床の場合、医療管理が必要なくなり状態が安定すると退院を促されることも多く、回復後の受け入れ先を探す必要があります。継続した医療管理が必要な方は長期入院可能ですが、入院中の医療処置が増えると、費用が高くなるケースがあります。

療養型病院以外の施設

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療養型病院以外にも、介護施設や医療施設は数多く存在します。この章では、要介護度や医療ニーズが高い方を対象とした4種類の施設を代表して紹介します。

介護医療院(公的施設)

介護医療院は、要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。(文献4)

施設の人員基準や入所対象者の状況から、Ⅰ型とⅡ型にわかれています。

介護医療院で受けられるケアおよびサービスは、主に以下のとおりです。

  • 日常的な医学管理
  • ターミナルケア
  • 看取り対応
  • 生活支援サービス
  • 介護サービス
  • 機能訓練
  • レクリエーション

プライバシーに配慮した環境整備が求められており、居室人数は4人以下と定められています。多床室であっても、家具やパーテーションなどによる間仕切りの設置が求められています。

入所対象は、要介護1以上の方です。

介護医療院については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:重度介護者が入所できる施設は?介護医療院の特徴と利用条件を解説

介護老人保健施設(公的施設)

介護老人保健施設は、要介護者に医療や機能訓練を提供し、在宅復帰に向けた支援を行う施設です。(文献5)

施設内では医療や機能訓練に加えて、日常生活における介護やレクリエーションなども受けられます。

介護老人保健施設は、以下の5種類にわかれています。

  • 基本型
  • 強化型
  • 超強化型
  • 加算型
  • その他型

分類の基準は、在宅復帰率やベッドの回転率、退院時指導の有無などです。(文献6)

居室のタイプは従来型とユニット型にわかれています。従来型は4人以下で、ユニット型は原則個室です。

入所対象は、要介護1以上の方です。

介護老人保健施設については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:老健と特養の違いは入居期間だけじゃない!入居条件や費用などの違いを解説

介護老人福祉施設(公的施設)

介護老人福祉施設は要介護者のための生活施設であり、特別養護老人ホームとも呼ばれます。(文献7)

介護老人福祉施設で受けられるケアおよびサービスは、主に以下のとおりです。

  • 入浴や排泄、食事などの介護
  • その他日常生活の世話
  • 機能訓練
  • レクリエーション
  • 健康管理および療養上の世話

定員が29名以下の施設は、地域密着型介護老人福祉施設と呼ばれます。

部屋のタイプは多床室とユニット型にわかれています。従来型は4人以下で、ユニット型は原則個室です。

入所対象は原則として要介護3以上の方ですが、特段の事情がある場合は、要介護1・2の方も入所可能です。(文献8)

介護老人福祉施設については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:ユニット型特養とは?特徴やメリット・デメリット、従来型特養との違いを解説

有料老人ホーム(民間施設)

有料老人ホームは、高齢者を入居させて、以下に示したサービスのうち少なくとも1つのサービスを提供する施設です。(文献9)

  • 入浴や排泄または食事の介護
  • 食事の提供
  • 洗濯、掃除等の家事
  • 健康管理

有料老人ホームは、以下の3種類に分けられます。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームでは、要介護状態になった場合、施設内で介護保険サービスを受けられます。

住宅型有料老人ホームでは、要介護状態になり介護保険サービスを受ける場合は、外部の介護サービス事業所と契約する必要があります。

健康型有料老人ホームでは、要介護状態になった場合、契約を解除し退去しなければなりません。

有料老人ホームについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:住宅型有料老人ホームの問題点を紹介【入居前の方必見】

まとめ|医療が手厚い施設は療養型病院を含めて複数存在する

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「療養型病院はひどい」といった声もありますが、すべての療養型病院がひどいわけではありません。療養型病院の状況は、人員配置や設備によりさまざまです。

現在入院中の療養型病院にひどさを感じている方や、医療面が手厚い施設をお探しの方は、いいケアネットをぜひご利用ください。

いいケアネットは、大阪を中心に全国の介護施設を多数掲載しています。手厚い医療や介護を受けられる施設探しにお役立てください。

療養型病院に関するよくある質問

ここでは、療養型病院に関するよくある質問を2つ紹介します。

療養型病院と一般の病院の違いは何ですか?

ここではわかりやすく、「療養病床」と「一般病床」の違いについて説明します。

病床とは、医療機関における患者用ベッドのことです。

療養病床は、主として長期にわたり療養を必要とする患者を対象とした病床で、一般病床は、精神病床や感染症病床、結核病床、療養病床以外の病床です。(文献10)一般病床では、病気になって間もない、いわゆる急性期と呼ばれる時期の患者に対して治療を行います。

療養病床の人員配置基準は、患者4人に対し看護職員1人、看護補助者は患者4人に対し1人です。

一般病床の人員配置基準は、患者3人に対して看護職員1人です。一般病床では、看護補助者に関する基準が明記されていません。

療養型病院はなくなるのですか?

療養型病院は完全になくなってはいません。医療サービスの必要性の高い方を対象とした、医療療養病床は現在も存続しています。

介護保険施設である介護療養病床は、令和6年3月31日に廃止されました。新たに創設されたものが、介護医療院です。

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