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重度介護者が入所できる施設は?介護医療院の特徴と利用条件を解説

「介護医療院はどのような施設なのか」「重度医療が必要だと老人ホームには入れないのか」など、疑問を持つ方も多いでしょう。。

介護医療院は重度医療が必要な方でも長期療養できる施設で、医療のみならず生活の場としての役割を果たします。しかし、介護医療院は施設数が少なく、医療や介護の緊急性が高い方から優先的に入れるため、なかには入所が難しいケースも少なくありません。

今回は、介護医療院とはどのような施設なのか、メリット・デメリットや老人ホームとの違いなどを解説します。この記事を読むと、重度医療が必要な状態でも入れる老人ホームを見つけやすくなります。

大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。

重度介護者の多くは「介護医療院」で生活している

介護医療院

介護医療院とは、比較的介護度の高い方が継続的な医療と介護を受けられる入居施設です。

実際に、重度介護者の多くは介護医療院で生活しています。厚生労働省の調査によると、介護医療院を利用者のうち、要介護4と要介護5に区分されている方の合計は全体の8割以上を占めています。

介護医療院における重度介護者の割合の多さは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保険施設と比べても顕著です。

介護医療院への入所は、重度の介護を必要とする方にとって有力な選択肢の一つであることがわかります

参考:厚生労働省『令和4年度 介護給付費等実態統計の概況 5 施設サービスの状況

介護医療院とほかの介護施設の違い

介護医療院

ここでは、介護医療院と介護老人福祉施設、介護老人保健施設との違いを解説します。

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目次

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)との違い

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では、介護医療院とは違い、医師や薬剤師などの専門医療職の配置が義務付けられていません。そのため、ほとんどの介護老人福祉施設では、看取りやターミナルケアに対応していないのが現状です。

看護師が常勤しているため、介護老人福祉施設でもある程度の医療的ケアには対応できます。しかし、現段階では医療よりも終の棲家としての役割に重きが置かれています。

介護老人保健施設との違い

長期療養のための介護医療院に対し、介護老人保健施設は長期入所に対応していません。介護老人保健施設は、主に在宅復帰のためのリハビリテーションを目的としている施設で、原則として入所期間は3カ月とされています。

介護老人保健施設の入所対象は、入院が必要なほどではないものの、リハビリテーションを必要とする高齢者です。たとえば、骨折後のリハビリテーションや軽い脳梗塞後の回復訓練などのために入所するといったケースです。

介護医療院とは

介護医療院は要介護状態で、かつ継続的な医療的ケアを必要とする人のための施設です。単に医療を目的とした療養施設ではなく、介護老人福祉施設や介護老人保健施設のような、生活の場としての役割もあります。

以下で、介護医療院について少し掘り下げて見ていきましょう。

介護医療院が創設された背景

介護療養型医療施設の廃止後、介護医療院は2018年4月に長期療養が必要な高齢者の受け入れ先として創立されました。

介護療養型医療施設の主な廃止理由は、医療保険の対象となる医療療養型病院との区別が難しくなっていたことが挙げられます。

また、高額な医療費の問題や看護スタッフの不足も課題でした。そして、議論の結果、介護療養型医療施設は2024年3月に廃止されました。

2025年度以降は、介護医療院を中心に介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設などが、慢性期の医療処置が必要な方の受け入れ先となっています。

介護医療院にはⅠ型・Ⅱ型がある

介護医療院には、大きく分けて2つの種類があります。

  • Ⅰ型:介護療養病床相当以上(療養機能強化型)
  • Ⅱ型:介護老人保健施設相当以上

Ⅰ型は医療に特化した施設、Ⅱ型は比較的状態の安定した方に向けた施設です。そのため、Ⅰ型とⅡ型では医師や薬剤師などの人員配置基準も異なります。

介護医療院の入所条件

介護医療院に入れるのは、原則65歳以上の要介護1〜5の方が対象となっています。ただし、特定疾病があり要介護認定を受ければ40歳以上でも入所可能です。入所条件は要介護1〜5となっているものの、実際は介護度や緊急性の高い方から優先的に入所できます。

いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。予算や希望に応じて利用できる施設を紹介しているので、ぜひ気軽にご相談ください。

介護保険で定められている特定疾患

特定疾病とは、加齢との関連性が高く、要介護状態の原因になる16種類の疾病を指します。

  • がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症
  • パーキンソン病関連疾患
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

特定疾病に該当すると医師が判断し、市町村による介護認定を受けた場合、第2号被保険者として介護保険サービスが利用できます。

参考:厚生労働省『特定疾病の選定基準の考え方

特定疾病について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:特定疾病ってどんな病気?【PART1】~16特定疾病について解説!~

介護医療院の費用平均

介護医療院の費用相場は、1カ月あたり10〜20万円程度です。ただし、費用は介護医療院の類型や介護度により異なります。月額料金の内訳は次のとおりです。

  • 介護サービス費
  • サービス加算の自己負担分
  • 居住費(家賃)
  • 食費
  • 日常生活費

介護サービス費とは、提供される介護サービスの料金で、介護度や居室タイプなどによって変動します。また、追加でサービスを受ける場合は、サービス加算の自己負担分が月額料金に上乗せされます。ほかにも、食事や消耗品の費用などが別途必要です。

重度介護者が介護医療院を利用するメリット・デメリット

老人介護

ここからは、介護医療院のメリットとデメリットを解説するので、施設の利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

介護医療院のメリット

介護医療院を利用するメリットとして、主に次の4つが挙げられます。

  • 介護と医療の両方が受けられる
  • レクリエーションがおこなわれる
  • 長期療養できる
  • 看取りやターミナルケアにも対応している

介護医療院は、医療面だけではなく生活面の支援も重視していることが特徴です。介護医療院には、レクリエーションルームや談話室の設置が定められているので、長期療養中でも穏やかに過ごせます。

参考:厚生労働省『介護医療院とは

介護医療院のデメリット

一方、介護医療院には次のようなデメリットもあります。

  • 完全個室になっていない施設もある
  • 長期間の入所にはコストがかかる
  • 施設の数が少ない

介護医療院では完全個室になっていない施設もあり、プライバシー面で不安を感じるかもしれません。また、長期療養のために入居が長くなると、費用も高額になります。

介護医療院は比較的新しい施設形態のため、有料老人ホームなどに比べると数が少なく、希望する地域で入居できない可能性もあります。

重度介護者が入居できる医療特化型の有料老人ホームもある

老人ホーム

介護医療院は医療や介護が必要な方を優先的に受け入れている施設ですが、施設数が少ないため入所できない方も多いようです。

医療の依存度が高く、入所できる施設が見つからない場合は、医療特化型の住宅型有料老人ホームを検討してみてはいかがでしょうか。

医療特化型の住宅型有料老人ホームは、医療機関と提携し、24時間体制で重度医療に対応しています。また、多床室のある介護医療院とは違い、全室個室となっているためプライバシーへの不安も少なくて済みます。

入所条件が厳しい介護医療院に対し、難病や特定疾病に該当する方なら年齢や介護度に関係なく入居できる点も大きなメリットです。。

いいケアネットでも医療特化型の住宅型有料老人ホームを紹介しているので、気になる方は下記のページと合わせてチェックしてみてください。

いいケアネット【住宅型有料老人ホーム メディケアゆう 門真

重度介護者はまず介護医療院への入所を検討しよう【まとめ】

介護医療院

介護医療院は長期療養が必要な医療に対応するだけでなく、生活の場としての役割も兼ね備えた施設です。

ただし、入所できるのは原則65歳以上かつ要介護1〜5の認定を受けている方に限られており、医療や介護の緊急性が高い方から優先的に入所しています。

介護医療院は数が多くないため、希望の地域で入所できない可能性もあります。そのため、医療の依存度が高く入れる施設がなかなか見つからない場合は、医療特化型の住宅型有料老人ホームも選択肢に入れましょう。

大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。

介護施設の利用に関するよくある質問

ここでは、介護施設の利用に関するよくある質問をまとめました。

重度認知症の高齢者が入所できる施設はある?

重度認知症の高齢者でも、以下をはじめとする施設に入所できる可能性があります。

  • グループホーム
  • 介護医療院
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

グループホームは認知症の高齢向けの施設で、少人数の入居者が協力し合って共同生活を送ることが特徴です。

ただし、それぞれの施設で入所要件が定められており、認知症の進行具合によっては入所を断られる可能性も考えられます。

認知症でも入れる施設について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:認知症でも入居可能な施設はある?【PART3】~施設さがし、どうすれば?~

介護施設と老人ホームの違いは?

老人ホームとは、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの名前が付いている施設だけではなく、高齢者が生活できる住宅全般を総称する意味合いで使われるケースがほとんどです。

一方で、介護施設とは、介護や生活支援を受けながら生活できる高齢者向け施設を意味します。

この記事の監修者

いいケアネット事務局

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