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介護保険制度はいつから始まった?|制度の概要から受けられるサービスまで解説

介護保険制度はいつから始まった?|制度の概要から受けられるサービスまで解説

介護保険制度は、日本の高齢化社会を支える重要な柱となる制度です。しかし、具体的にどのような仕組みで運用されているのか、しっかり理解している人は少ないかもしれません。

この記事では、介護保険制度の基本的な概要から、制度の開始時期や対象者、さらには保険料やサービス内容について詳しく解説しています。

読み進めることで、介護保険制度の全体像を把握し、必要なサービスを受けるための知識を得られるでしょう。

目次

介護保険制度とは

介護保険制度は、日本における高齢者や要介護者の介護サービスを支援するための公的な保険制度です。

ここでは次の3つのポイントに注目していきましょう。

  • 介護保険制度の概要
  • 介護保険制度はいつから始まった?
  • 介護保険の対象者

それぞれ解説します。

介護保険制度の概要

介護保険制度は高齢者やその家族の負担を軽減し、安心して介護サービスを利用できるようにする仕組みです。この制度により、要介護状態になった場合でも、安心して介護サービスを利用できます。

介護保険制度は公費と保険料で賄われ、必要な介護サービスを低料金で受けられるように設計されています。これにより、経済的負担が軽減され、サービスの質も一定に保たれます。

例えば、日常生活の支援が必要な高齢者が訪問介護を受ける場合、この制度を利用すれば低料金で専門的なケアが受けられます。さらに、特別養護老人ホームやグループホームなどの施設サービスも受けられ、介護の重度化にも対応できます。

介護保険制度があることで、家族の介護負担も大幅に軽減されます。その結果、介護に関わる人々全てが安心して生活できるようになるでしょう。

参考:厚生労働省『介護保険制度の概要

介護保険制度はいつから始まった?

介護保険制度は2000年4月に始まりました。介護保険制度の導入は、それまでの高齢者福祉の提供方法と比較して、画期的な転機となりました。

この制度が導入された理由は、ますます高齢化が進む日本社会において、介護の需要が大幅に増加していたためです。政府は、個別のニーズに応じた質の高い介護サービスを提供するための仕組みを整える必要がありました。

現在まで、介護保険制度は多くの人々の生活を支え続けています。高齢化が進む社会において、この制度は今後も重要な役割を果たすでしょう。

参考:WAM NET『これまでの介護保険制度の改正の経緯と平成27年度介護保険法改正の概要について

介護保険の対象者

介護保険制度の対象者は、第1号被保険者と第2号被保険者に分類されます。

第1号被保険者は65歳以上の高齢者で、介護が必要な状態になったときに、要介護認定を受けることで介護保険サービスを利用できます。

第2号被保険者は40歳から64歳までの方で、特定疾病に該当する場合に介護保険サービスを利用できます。特定疾病とは次の16種類の疾病を指します。

  • がん(末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

このように、介護保険の対象者は明確に定義されています。自分がどちらに該当するかを理解しておくことが重要です。これにより、適切なサービスを受けることができるでしょう。

参考:厚生労働省『特定疾病の選定基準の考え方

関連記事:特定疾病ってどんな病気?【PART1】~16特定疾病について解説!~

 

介護保険料はいつから・いくら払う?

介護保険制度は、老後の安心を支えるために重要な制度です。そのためには保険料の支払いが必要ですが、具体的にはどのタイミングで、どれくらいの金額を支払う必要があるのでしょうか。以下の2つに分けて見てみましょう。

  • 第1号被保険者の保険料
  • 第2号被保険者の保険料

それぞれ解説します。

関連記事: 介護保険料はいくら?65歳以上の平均納付額から滞納の影響まで解説

第1号被保険者の保険料

介護保険の第1号被保険者の保険料支払いは、基本的に年金からの天引きで行われます。これは、支払いの手間を省くためです。

保険料は、各地域の介護サービス基盤の整備状況やサービス利用の予測に基づいて設定されます。具体的には、都道府県や市区町村が定める基準額に所得区分ごとの倍率を掛け合わせて計算します。例えば、第8期期間(令和3年度~令和5年度)における第1号保険料は6,014円です。

保険者によって異なりますが、多くの場合、所得区分は9段階以内で設定され、適用される倍率は0.3倍から1.7倍の範囲となります。例えば、基準額が6,014円で、0.5倍の倍率が適用される場合、介護保険料は3,007円となります。

より詳しい保険料を知りたい場合には、お住まいの自治体が公表している保険料基準額や所得段階および適用倍率を確認するとよいでしょう。

参考:厚生労働省『第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について

第2号被保険者の保険料

第2号被保険者の介護保険料は、健康保険に加入している場合と、国民健康保険に加入している場合で計算方法が変わります。

健康保険に加入している場合、介護保険料はその健康保険で設定されている介護保険料率と、給与や賞与に基づいて決定されます。例えば、協会けんぽでは令和4年3月分から介護保険料率を1.64%としています。この場合、標準報酬月額が30万円の方は、介護保険料が30万円×1.64%で4,920円になります。ただし、健康保険の保険料は事業主と被保険者で折半するため、実際の負担額は半分の2,460円です。

一方、国民健康保険に加入している場合、介護保険料は国民健康保険料と同じ算定方法で、世帯ごとの所得に応じて計算されます。この場合、保険料は被保険者が全額負担し、国民健康保険の医療分と合算して徴収されます。

このように、介護保険料は加入する保険の種類や個々の収入状況によって異なりますので、具体的な金額を知りたい場合は、加入している健康保険や自治体に問い合わせるとよいでしょう。

介護保険で受けられるサービス一覧

介護保険で受けられるサービスは多岐にわたりますが、主に次の3つに分けられます。

  • 居宅サービス
  • 施設サービス
  • 地域密着型サービス

それぞれ解説します。

居宅サービス

居宅介護サービスには、さまざまな種類があり、さらに次の5つに分けられます。

  • 訪問サービス
  • 通所サービス
  • 短期入所サービス
  • 福祉用具
  • 民間施設

それぞれのサービスを詳しく見ていきましょう。

訪問サービス
  • 訪問介護:自宅にヘルパーが訪問し、日常生活のサポートを行います。
  • 訪問看護:看護師が自宅を訪れ、医療ケアや健康管理を行います。
  • 訪問入浴介護:専用の浴槽を持ち込み自宅で入浴の支援を行います。
  • 訪問リハビリテーション:理学療法士や作業療法士が自宅でリハビリを行います。
通所サービス
  • 通所介護(デイサービス):施設に通って食事の提供やレクリエーション活動といった日中のケアを受けます。
  • 通所リハビリテーション(デイケア):施設でリハビリを受けるサービスです。運動機能の向上を目指した訓練が行われます。
短期入所サービス
  • 短期入所生活介護(ショートステイ):短期間施設に入所して生活支援を受けます。家族が介護から一時的に解放されるためのサービスです。
  • 短期入所療養介護:医療的なケアが必要な場合に短期間入所して療養を行います。専門的な医療サービスが提供されます。
福祉用具
  • 福祉用具貸与:歩行器や車いすなどの福祉用具をレンタルします。日常生活の支援に役立ちます。
  • 特定福祉用具販売:購入が必要な福祉用具を販売します。例えば、腰掛け便座や入浴補助用具などがあります。
民間施設

特定施設入居者生活介護:特定施設(厚生労働省の指定を受けた有料老人ホームやケアハウスなど)に入居し、生活全般の介護を受けます。

施設サービス

高齢者施設の利用も介護保険が適用されるサービスの一つであり、長期間の入居を前提としています。以下に、主な高齢者施設の種類とそれぞれの特徴を説明します。

関連記事:老人ホーム探しはいつからが良い?

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

通常「特別養護老人ホーム」(特養)と呼ばれるこの施設は、要介護3以上の高齢者が対象です。この施設では、介護、リハビリ、レクリエーションなどのサービスが提供されます。特養のメリットは、民間の有料老人ホームに比べて費用が安いことです。ただし、人気が高く、入居待機期間が長い傾向があります。

介護老人保健施設

こちらの施設は、介護とともに医療ケアも受けられる特徴があります。在宅復帰を目指して、原則3ヶ月間の入居期間が設定されています。施設ではリハビリテーションや介護サポートが提供され、在宅復帰への支援が行われます。

介護医療院

介護医療院は、長期的に介護が必要な人が医療ケアを受けながら生活する施設です。「介護療養型医療施設」とは、療養目的か生活目的かで区分けされます。長期間の医療ケアと生活支援が必要な高齢者にとって、重要な役割を果たしています。

介護療養型医療施設

療養病床を有する病院または診療所で、長期療養が必要な要介護者に医療ケアと介護を提供します。しかし、この施設は介護医療院へ順次転換されており、2024年3月末に完全廃止されました。

地域密着型サービス

地域密着型サービスとは、住み慣れた地域で生活を続けられるよう、地域住民をサポートする介護保険サービスです。以下に、具体的なサービス内容を説明します。

訪問・通所・宿泊

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護では、利用者の希望や状況に応じて、訪問・通い・宿泊サービスを自由に組み合わせて利用できます。これらのサービスは同一事業所から提供されるため、いつでも顔なじみのスタッフから介護を受けられます。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症の方が共同で暮らすための施設で、5~9人ほどの小さなユニットに分かれて生活します。グループホームでは、心穏やかに暮らせる環境が提供され、住民票のある居住地の施設しか利用できません。

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護は、有料老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホームなどで提供されます。入居定員は29人以下で、施設では入浴、排せつ、食事などの日常生活の介護、機能訓練、療養上の世話を行います。

介護保険制度はいつから始まった?【まとめ】

介護保険制度は2000年4月に開始された高齢化社会を支える重要な制度です。介護保険で受けられるサービスは、大きく次の3つに分類されます。

  • 居宅サービス
  • 施設サービス
  • 地域密着型サービス

介護保険制度により、多くの高齢者が必要な介護を受けることができ、安心して生活できる環境が整えられています。介護保険制度についてさらに理解を深め、ご自身やご家族の生活に役立てましょう。

関連記事:介護保険制度とは?~仕組みやサービスの種類・制度の最新情報まで解説~

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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