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胃ろうにすると寿命はどうなる?平均余命やメリット・デメリットを解説

胃ろうにすると寿命はどうなる?平均余命やメリット・デメリットを解説

「高齢の親に胃ろうの導入を考えているけど、果たしてそれが最善なのか?」とお悩みの方も多いでしょう。この記事では胃ろうの導入が寿命や生活にどのような影響を与えるのか、詳しく解説します。

手術方法、平均余命、メリットとデメリット、さらには費用まで、胃ろうに関するあらゆる疑問を解消します。また、高齢者特有の問題や家族が知っておくべきポイントもしっかりと押さえています。

この記事を読むことで、胃ろうと寿命に関する不安が和らぎ、後悔しない判断ができるようになるでしょう。最後まで読んで、安心と明確な方向性を手に入れましょう。

目次

胃ろうとは何か?

胃ろうとは、腹部に小さな穴を開け、チューブを通して栄養剤を注入する方法です。以下では、次の3つの視点から胃ろうについて詳しく解説します。

  • 胃ろうの基本
  • 胃ろうの手術方法
  • 胃ろうが必要になる症状

参考:公益財団法人長寿科学振興財団『胃ろうの適応と管理

胃ろうの基本

胃ろうは、栄養補給のために腹部に小さな穴を開け、そこに胃ろうカテーテルと呼ばれるチューブを通して栄養剤を注入する方法です。この方法は、自力で食事ができない高齢者や病気の人に用いられます。

胃ろうは、在宅介護や施設での介護においても重要な役割を果たします。ただし、施設での胃ろう管理は、看護師や一定の研修を受けた介護職員によって行われます。また、たん吸引も必要になる場合があります。

認知症や精神疾患を持つ高齢者の場合、胃ろうの管理が難しくなることがあります。そのため、施設選びの際には、胃ろうに対応できる体制が整っているか確認が必要です。

胃ろうの手術方法

胃ろうの手術は、一般的に内視鏡を用いて行われ、比較的短時間で終わります。手術後、しばらくの間は医師の指示に従い、定期的なチェックが必要です。

手術自体は比較的短時間で終わるものの、その後のケアが非常に重要です。特に、栄養剤の注入量やタイミング、カテーテルの管理など、細かな点に注意が必要です。

例えば、栄養剤の注入量が多すぎると、胃の負担が大きくなります。逆に、少なすぎると栄養不足になる可能性があります。そのため、専門的な知識が必要です。

胃ろうが必要になる症状

胃ろうが必要になる主な症状は、嚥下機能の低下です。この症状は、高齢者や病気で食事が困難になった場合によく見られます。また、誤嚥性肺炎のリスクにより胃ろうが推奨される場合があります。

その他にも、認知症や精神疾患を持つ高齢者の場合、自力での食事が難しくなることがあります。このような場合も、胃ろうが有効な治療方法とされています。

胃ろうの平均余命:寿命はどうなる?

胃ろうの平均余命については、多くの要因に依存します。以下では、胃ろうが寿命に与える影響について詳しく説明します。

胃ろう後の平均余命は?

胃ろうの導入後の平均余命は、一般的に3年程度と言われています。ただし、実際は患者の病状や年齢、一般的な健康状態などによって大きく異なります。

胃ろう自体が寿命を延ばしたり短くしたりするわけではありませんが、胃ろうが必要になるような症状がある場合、寿命に影響を与える可能性があります。

胃ろうが寿命におよぼす影響

胃ろうが寿命に与える影響は、その人の病状や健康状態に依存します。胃ろうは、栄養補給の一つの手段であり、その人の寿命を延ばすものではありません。しかし、栄養状態が改善されることで、一定の健康維持が期待できます。

具体的な例として、高齢者が誤嚥性肺炎を繰り返している場合、胃ろうを導入することでそのリスクを減らすことができ、結果として寿命が伸びる可能性があります。しかし、別の病気により寿命をまっとうする可能性もあるでしょう。このように、胃ろうが寿命に与える影響は、症状や状態によって異なるため、一概には言えません。

胃ろうのメリットとデメリット

胃ろうを造設するかどうかで悩む方も多いはずです。その判断基準として、以下では、胃ろうのメリットとデメリットを解説します。

胃ろうのメリット

胃ろうのメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

  • 口から食べられない場合でも、胃ろうを通じて安定して栄養を摂取できる
  • 喉にチューブが通っていないため、嚥下リハビリや言語訓練も可能
  • 多くの場合、胃ろうは内視鏡による手術で作成され、短時間で終わるため体への負担が少ない
  • 胃ろうがあってもシャワーや湯船に浸かることができる

胃ろうのデメリット

胃ろうのデメリットは、次の4点が考えられます。

  • 意思疎通が困難な場合、自分で胃ろうを抜去してしまう可能性がある
  • 胃ろう部分の炎症や出血、感染症のリスクがある
  • 唾液や胃内容物が肺に入る可能性があり、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクがある
  • 高齢者の胃ろうでは長期的な栄養管理が必要となり、継続的なケアと観察が欠かせない

胃ろうにかかる費用

胃ろう手術の費用は一般的に約10万円とされていますが、この金額は入院日数や手術を行う施設によって変わる可能性があります。医療保険が適用されるため、実際の自己負担額は保険適用後の金額になります。例えば、自己負担が1割の場合、約1週間の入院で手術費用は1万円程度です。

さらに、手術以外にも、チューブの交換費や栄養剤の費用が追加でかかります。ただし、これらも一般的には保険が適用されます。また、高額療養費制度が適用されると、自己負担額はさらに減少する可能性があります。

このように、胃ろう手術の費用は多くの要因によって変動するため、具体的な費用については医療機関で確認しましょう。

胃ろうの導入を考える前に

胃ろうの導入を考える前に

胃ろうの導入を迫られた際、さまざまな思いにより決断できない方も多いはずです。そんなときは以下のポイントに注目してみましょう。

  • 医療・介護の専門職とよく話し合う
  • 終末期の医療について家族間で話し合う
  • 他の治療方法と比較する

医療・介護の専門職とよく話し合う

胃ろうの導入を考える前に、まず医療・介護の専門職と十分に話し合うことが重要です。これは、胃ろうが救命治療的なものなのか、延命治療的なものなのかを明確にするためです。

例えば、脳卒中後の嚥下障害に対して胃ろうを行う場合は、救命治療的な胃ろうとなります。一方で、認知症の進行により食事が困難になった場合は、延命治療的な胃ろうとなる可能性が高いです。このような判断には、専門職の意見が不可欠のため、医療・介護の専門職との対話が必要です。

終末期の医療について家族間で話し合う

終末期の医療については、家族間でしっかりと話し合うことが必要です。特に、胃ろうの導入については、本人が意思表示できない状態であれば、家族がその意志を代弁することになります。そのため、家族間でのコミュニケーションは非常に重要です。

例えば、認知症の進行により意思表示が困難な場合、家族が胃ろうの導入を決定することが多いです。複数の家族で意思決定をする場合では、家族間での話し合いがないと正しい決定が難しくなるでしょう。

他の治療方法と比較する

胃ろうの導入を考える前に、他の治療方法との比較も必要です。胃ろうは一つの選択肢であり、必ずしも全てのケースで最適な方法ではありません。

具体的には、栄養補給の方法としては点滴栄養や食形態の見直し、嚥下リハビリなどがあります。もちろん、それぞれメリット・デメリットがあり、その人に合った方法を専門的な視点で判断しなければなりません。

このような点を医療・介護の専門職としっかりと話し合い、最適な治療方法を選ぶことが重要です。

高齢者の胃ろう:知っておきたいポイント

高齢者の胃ろうに関して、知っておきたい以下のポイントを以下で説明します。

  • 高齢者における胃ろうの注意点
  • 認知症の終末期における胃ろうについて
  • 高齢者の家族が知っておきたいポイント

高齢者における胃ろうの注意点

高齢者が胃ろうを使用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 手術後のケア:高齢者は、術後の感染リスクが高くなります
  • 栄養管理:高齢者は栄養素の吸収が低下している場合が多いため、専門の栄養士と相談しながら食事内容を決定することが重要です
  • 心理的サポート:高齢者は胃ろう導入による生活の変化にストレスを感じやすいため、家族やケアスタッフがしっかりとサポートする必要があります

定期的な医療チェックも欠かせません。高齢者は他の疾患を併発している可能性が高いため、定期的な健康診断が必要です。

認知症の終末期における胃ろうについて

認知症の終末期において胃ろうを導入する場合、いくつかの特別な配慮が必要です。まず、認知症患者は新しい環境や変化に対して敏感であり、胃ろうの導入によるストレスが認知症の症状を悪化させる可能性があります。次に、認知症患者は自分での食事が困難な場合が多く、胃ろう導入のタイミングを見極める必要があります。

また、家族やケアスタッフがしっかりと認知症患者をサポートすることが重要です。高齢者によくみられる問題、例えば食事の嚥下障害や便秘などに対する対策も必要です。

胃ろうを外せるように、飲み込みや口からの摂取の練習ができると口からご飯が食べられるようになることもあります。

高齢者の家族が知っておきたいポイント

高齢者の胃ろうに関わる家族が知っておくべきポイントもいくつかあります。胃ろうのケアには専門的な知識が必要です。家族だけでのケアだけでなく、専門の医療スタッフと連携する必要があります。

胃ろうと寿命の関係【まとめ】

では、今回のまとめです。

胃ろうの導入は、寿命に直接的な影響を与えるわけではありませんが、その後の生活や健康状態に影響を与える可能性があります。

胃ろうを導入する際は寿命との影響だけではなく、胃ろうが必要になる症状、手術方法、そしてその後の平均余命や日常生活への影響など、多くの要素を考慮する必要があります。また、胃ろうのメリットとデメリットをしっかりと比較検証することで、より良い選択が可能です。

胃ろうの導入は慎重な検討と準備が必要であり、医療・介護の専門職とよく話し合い、家族間でもしっかりと話し合うことが非常に重要です。何よりも、高齢者自身の意志とQOL(生活の質)を尊重する選択をしましょう。

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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