孤独死という悲しい事態がなぜ起きるのか気になったことはありませんか?実は、孤独死には多岐にわたる原因が存在します。また、それらを理解することが孤独死を未然に防ぐための重要な第一歩になります。
この記事では、孤独死の現状とその原因を詳細に解説し、未然に防ぐための具体的な対策についても触れています。孤独死しやすい人の特徴や、男女比、年代別の傾向など、深い洞察が得られる内容となっております。
孤独死の問題は私たち一人ひとりにも関わりがあります。この記事を読むことで、孤独死の予防策を身近に感じ、具体的な行動に移すための知識を得られるでしょう。
孤独死とは?
孤独死という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。しかし、その正確な定義や孤独死しやすい人々の特徴を知る人は少ないかもしれません。
以下では、孤独死の意味とその特徴について詳しく解説いたします。
孤独死とは
孤独死とは、誰にも看取られずに亡くなる死のことです。平成24年に実施された内閣府の調査により、このように定義されました。
一人暮らしの高齢者が病気で亡くなり、数日後に隣人に発見された場合などがこれに該当します。孤独死は誰にも看取られない悲しい死であり、私たちの社会で真剣に取り組むべき問題です。
参考:内閣府『「高齢者の健康に関する意識調査」結果(概要)』
孤独死しやすい人の特徴
孤独死しやすい人々には、いくつかの共通の特徴が見られます。
- 独りで暮らしている単身者
- 病気を抱えており、健康管理が十分に行えていない人
- 経済的に困っている、生活が厳しい人
- 社交の場が少なく、社会とのつながりが希薄な人
- 男性
例えば、独居で近隣との交流が少ない中高年の男性は、これらのケースに該当しやすいため注意が必要です。
孤独死しやすい人の特徴を理解し、支援と予防を行うことで、孤独死を減らせるかもしれません。
孤独死の現状
孤独死の問題は日本全国で増加しています。
以下では、孤独死の現状を年齢や性別による傾向や主な死因といった視点から詳しく説明します。
孤独死は増えている
東京23区内だけを例に挙げてみても、高齢者の孤独死が増加しているのがわかります。内閣府の調べによると、65歳以上の独居の高齢者における自宅での死亡者数が、2009年から2018年にかけて増えているという結果が出ているのです。
例えば、2009年の死亡者数は2,194人だったのに対し、2018年には3,882人に増加しています。この事実から、高齢者の孤独死は増加の一途をたどっており、注意が必要であると言えるでしょう。
参考:内閣府『第1章 高齢化の状況(第2節 4)』
男女比と年代別の孤独死の傾向
孤独死には、性別と年齢による明確な傾向が見られます。日本少額短期保険協会の調べによる男女比と年代別の孤独死の統計からは、特定の傾向が読み取れます。
具体的には、男性が83.1%、女性が16.9%で、平均年齢は約61歳。60代が最も多く、次に70代、50代と続くという結果が出ています。この情報から、性別や年齢による特定のパターンがあることが明らかになっており、対策を考える際に参考になるでしょう。
参考:一般社団法人日本少額短期保険協会『第6回 孤独死現状レポート』
孤独死の死因
国土交通省の調査によると、孤独死の主な死因は病気と自殺という結果が出ています。
同調査では、死因の62.3%が病死、次いで11.3%が自殺となっています。この結果から、病気が最も多い死因であり、自殺も少なくないことがわかります。
これらの情報からも、必要な医療を適切に受けられない方が多いことは明らかで、医療体制の見直しや法整備といった多角的な対策が求められているといえるでしょう。
参考:国土交通省『(参考)死因別統計データ』
孤独死の原因
孤独死の背後にはさまざまな要因が絡んでいます。会話の減少、経済的な困窮、未婚や配偶者の死亡など、多岐にわたる要素が関係しています。
以下では、それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
会話の減少
独居者では会話の機会が大幅に減少することが一つの問題となっています。例えば、健康状態が良い人ではほぼ毎日誰かと会話を楽しんでいますが、健康状態が悪いとこの数値が急激に減少します。
内閣府の調べによると、健康状態が「良い」人では「ほとんど会話をしない」が1.1%と極めて低いのに対し、健康状態が「良くない」人では13.1%に上るという結果が出ています。つまり、健康状態が良い人の多くは、毎日家族や友人など誰かしらと会話していることになります。
このように、会話の減少は健康状態と密接に関係していると言えるでしょう。また、社会参加の機会がないと、孤独感が強まり活動量が減少して、廃用症候群などを引き起こすリスクもあるため注意が必要です。
参考:内閣府『第1章 高齢化の状況(第3節 2-1)』
経済的困窮
経済的な困窮も孤独死の一因です。具体的には、収入がないため病院に行くことができず治療が遅れるケースや、貧困により社会から孤立し必要な支援が受けられないケースが挙げられます。
さらに深刻な事態として、子供が介護のために仕事を辞めることで経済的に困窮するケースも存在します。このような経済的な問題が原因で、老人ホームにすら入居できず、孤独死のリスクが高まってしまいます。
未婚・配偶者の死亡
未婚や配偶者の死亡も孤独死のリスクを上げる要因です。一人での生活は病気や怪我のリスクが高まります。
特に男性高齢者の場合、家事ができないことにより、健康状態が悪化するケースが多いようです。例えば、妻との死別後に独居になると、料理ができず食事の栄養バランスが崩れることがあります。また、掃除ができないことにより、環境の衛生面で問題が生じることも少なくありません。
このように未婚や配偶者の死亡は、日常生活の中での困難を生じさせ、孤独死の原因となることがあるのです。
孤独死の原因からみる|未然に防ぐための対策
孤独死を未然に防ぐことが、現代社会の大きな課題といえます。
その対策は多岐にわたり、地域や自治体、家族との連絡、民間サービス、ITツール、そして介護サービスの利用などが考えられます。
以下で、各対策について具体的に見ていきましょう。
地域・自治体による孤独死対策
地域や自治体ではさまざまな孤独死対策が実施されています。これらの対策を活用することが孤独死の防止に不可欠です。
各自治体では、近所の見守りや協力を促す取り組みを行っており、緊急通報装置の貸し出しや電話訪問などを実施している市区町村もあります。
身内はもちろん近所の不穏な状況に気づいたら、早急に市区町村の役場や地域包括支援センターに相談しましょう。このような行動が、地域での孤独死を未然に防ぐ助けとなるでしょう。
家族とのコミュニケーションの重要性
家族との定期的なコミュニケーションは孤独死の防止につながります。連絡や訪問の機会が増えることで、安否の確認が可能となり、孤独を感じにくくなります。
遠方に住んでいて頻繁に訪問できなくても、1日1回決まった時間に電話をかけることで、安否確認ができます。これにより、孤独死へのリスクを大きく減らせるでしょう。
民間の見守りサービスの活用
民間の見守りサービスは孤独死の防止に有効な手段です。例えば、郵便局員が定期的に訪れることで安否確認を行うサービスや、宅配便業者が配達の際に高齢者の様子を見る取り組みなどがあります。
さらに、NPO法人と連携して、地域の人々を支援するプログラムも展開されています。これらのサービスは、孤立している人々と地域社会とをつなげる役割を果たしており、孤独死の防止につながります。
ITツールの活用
最新のITツールの活用も、孤独死の予防として有効です。遠隔地からでも声や映像で安否確認が可能になるため、より家族とのつながりを感じられます。
例えば、カメラやセンサーを用いる技術と組み合わせることで、いつでもどこからでも家族が状態を把握できます。さらに、スマホを使ったGPSで位置を確認したり、家電使用時に通知を出すサービスで安否確認をしたり、さまざまなITツールの活用例が存在しています。
このようなITツールの進化は、今後の孤独死対策に大きく貢献するでしょう。
訪問介護の利用・介護施設への入所
訪問介護と介護施設への入所は、孤独死の防止に向けた効果的な手段です。
例えば訪問介護の場合、家事のサポートと安否確認を行うことで、独居の高齢男性であっても安心して日常生活を送れるでしょう。
一方、介護施設への入所では、職員や他の利用者とのコミュニケーションが活発になり、24時間体制での見守りも実現します。さらに、介護職や医療職による専門的なケアも提供されるため、孤独死のリスクを大幅に減らせます。
このように訪問介護や介護施設の利用は、専門家による適切な介護が提供されるため、孤独死防止に絶大な効果を発揮します。
孤独死の原因と対策【まとめ】
では、今回のまとめです。
孤独死を未然に防ぐためには、原因をしっかり理解したうえで、適切な予防策を見つけることが大切です。
孤独死の原因としては、人々との会話の減少、経済的な困窮、未婚や配偶者の死亡などが挙げられます。
また、未然に防ぐための対策としては、地域や自治体、家族の協力、民間の見守りサービスやITツール、訪問介護や介護施設の利用など、多岐にわたる取り組みが存在します。
孤独死の予防は個人だけでなく、社会全体での取り組みが求められる課題です。今回紹介した予防策を理解し、一人ひとりが孤独死防止への意識を高め、周囲の人々とのつながりを深める努力をしましょう。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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