親を介護する時、特に食事に気を遣っていませんか?
「以前より食べ物を上手く飲み込めなくなっている気がする。」
「このままご飯を食べられなくなったらどうしよう…」
大切なご両親には、いつまでも食事を楽しんでもらいたいですよね。
そこで、「パタカラ体操」が役に立ちます!
誰でも簡単にできる体操を日々の生活に取り入れるだけで、咀嚼や嚥下の機能を回復させ、食事への不安を解消することができます。
「パタカラ体操って?」「効果ややり方は?」など、気になるパタカラ体操の中身を紹介していきますね。
パタカラ体操って何?
「パタカラ体操」は発声しながら口を動かす、「口の体操」のことです。
「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字を発声するため、「パタカラ体操」と呼ばれます。
高齢者になると、口の筋肉や舌の動きが弱まるため、嚥下機能(飲み込む力)が低下し、食べ物を誤嚥してしまうことがあります。
「誤嚥性肺炎」は、誤嚥により食べ物が気管に入り、肺が炎症になることが原因で起こります。
そこで、「パタカラ体操」を取り入れることにより、口や舌の動きが鍛えられます。
食べ物を上手く飲み込めるようになれば、誤嚥性肺炎を防ぐこともできます。
では、「パタカラ体操」の具体的な方法を見ていきましょう。
パタカラ体操のやり方は?「発音するだけ」「歌に取り入れてもOK」
「パ」「タ」「カ」「ラ」を、それぞれ5文字3回ずつ発音してみましょう。
「パパパパパ、タタタタタ、カカカカカ、ラララララ」を3回繰り返し発声すればOKです。
ですが、ただ口に出すだけで良いという訳ではありません。
それぞれの文字を発音するときのポイントを解説していきます。
①「パ」は、唇をしっかり閉じてから、口を大きく開いて発音する
「パ」の音は、唇をしっかり閉じてから、大きく口を開いて発音することがポイントです。
口を閉じる筋肉が鍛えられることで、口の中の食べ物をこぼさないようにすることができます。
②「タ」は、舌を上あごにくっつけてから発音する
「タ」の音は、舌を上あごにしっかりとくっつけてから発音しましょう。
舌の筋肉が鍛えられると、食べ物をしっかり押しつぶしたり、飲み込んだりすることができます。
③「カ」は、のどの奥に力を入れてから発音する
「カ」の音は、のどの奥を意識することが大切です。
のどの奥に力を入れ、一瞬呼吸を止め気管を閉じることで、食べ物を飲む込む動作ができます。
気管の入口を閉じる筋力を養うことで、誤嚥を防ぎ、食べ物をスムーズに食道に送ることができるようになります。
④「ラ」は、舌をまるめるように発音する
「ラ」の音は、舌をまるめて、舌の先を上あごの前歯の裏につけて発音しましょう。
舌の筋力を鍛え、まるめる動きを良くすることで、食べ物を喉の奥に運び飲み込みやすくなります。
舌がうまく使えていないとなかなか食べものを飲み込むことができません。
以上の「パ、タ、カ、ラ」の発音に共通して言えるのは、ただ発音するだけでないということです。
「大きな声で」「一文字一文字」「はっきりと」意識して声に出すようにしましょう。
慣れてきたらできるだけ早く、繰り返して発声すると、より効果的ですよ。
童謡や好きな歌などに取り入れてみるのもおススメです。
歌詞を「パ、タ、カ、ラ」に変えて歌うだけなので、「パ、タ、カ、ラ」と発声するよりは、楽しみながら体操することができます。
パタカラ体操はいつするの?「食事の前が効果的」
「パタカラ体操」は、お食事の前に行うことをオススメします。
運動前の準備体操と同じで、実際に食べる前に体操しておくことで、口や舌の動きが慣れて食事しやすくなります。
ですが、もし食事の前に時間が取れない場合は、できる時に行うだけでも構いません。
できるだけ習慣になるよう、続けてみてくださいね。
パタカラ体操の効果は?7つのメリット「嚥下機能の回復」「いびき改善」
「パタカラ体操」には、誤嚥以外にも、たくさんの効果があります。
1.咀嚼(噛む)、嚥下(飲み込む)機能が維持、向上する
2.唾液の分泌が促進される(ドライマウスの防止) 3.いびきや歯ぎしりが改善される 4.発音がはっきりし、口が動きやすくなる 5.入れ歯が安定する 6.口呼吸から鼻呼吸になり、口臭が改善される 7.小顔効果や顔のたるみなどのアンチエイジングにも |
「パタカラ体操」をすることで、安心して食事ができるようになるだけでなく、発音がよくなったり、いびきや口臭が改善されたり、さらに若返り効果も期待できます。
そのため、高齢者だけでなく、ほうれい線が気になる方や、小顔になりたい方など、美容に関心の高い若い女性も取り入れていることもあるそうです。
パタカラという「口唇リハビリ器具」で行う方法も
実は、「Patakara(パタカラ)」という「口唇リハビリ器具」があります。
口に装着して1日に3~4回使用することで、口腔周辺の筋力を高めることができ、既述した「パタカラ体操」と同じ効果が得られます。
実際に、「Patakara(パタカラ)」を医療器具として患者に提供する病院もあり、使用する目的も「嚥下機能改善」「いびき防止」など様々です。
「パタカラ体操」でも十分ですが、訓練に消極的な高齢者の方には、「口唇リハビリ器具」を取り入れた方が積極的に機能訓練をしてくれるかもしれません。
まとめ:いつまでも食事を楽しめるようにパタカラ体操を取り入れてみましょう
食事は、誰もが毎日かかさず行います。
そんな毎日の食事に誤嚥のリスクが隠れていると、ゆっくり食事を楽しむことなんて二の次ですよね。
ですが、毎日ある食事の時間が楽しめなくなると、日々の生活にも暗い影を落とします。
「パタカラ体操」は1分もあれば簡単にできるトレーニングです。
老人ホームなどの介護施設でも積極的に実施されています。
ぜひ、毎食のいただきますの前に「パタカラ体操」を取り入れて、高齢者の誤嚥を防ぎ、日々の食事を楽しく過ごせるようにしましょう。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
突然倒れた、転んで頭を打ったなど、ご自身やご家族の介護を身近に感じるきっかけはそれぞれです。 いいケアネットでは、いざという時のために役立つ介護の知識や介護施設についてご紹介します。