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高齢者の便秘を改善する食べ物とは?食事でできる解消法を紹介

加齢とともに便秘の悩みを抱える方は少なくありません。薬に頼る前に、まずは毎日の食事を見直すことで、症状の改善が期待できます。

この記事では、高齢者の便秘解消に役立つ具体的な食べ物をはじめ、食事で意識したいポイントや生活習慣について詳しく解説します。無理なく続けられる方法を見つけ、すっきりとした毎日を目指しましょう。

なぜ高齢者は便秘になりやすい?考えられる主な原因

高齢になると便秘になりやすくなる背景には、複数の要因が絡み合っています。食事量の減少に伴って便の量自体が減ることや、排便に必要な腹筋などの筋力が低下することが一因です。

また、喉の渇きを感じにくくなることによる水分不足や、腸内の善玉菌が減ることで腸内環境が乱れがちになることも影響します。これらの原因を理解することが、高齢者の便秘に効く食べ物を選び、適切な対策を立てる上で重要になります。

高齢者の便秘解消におすすめの食べ物

便秘の解消を目指すには、腸の動きを活発にし、便の状態を整える食材を食事に取り入れることが効果的です。具体的には、便のかさを増やしたり善玉菌のエサになったりする食物繊維、腸内環境を整える発酵食品、善玉菌を増やすオリゴ糖を含む食品などが挙げられます。

調理が簡単で、日々の食事に手軽に取り入れやすい、おすすめの食べ物を以下で紹介します。

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目次

水溶性食物繊維が豊富な納豆やオクラ

納豆やオクラといったネバネバした食材には、水に溶けやすい性質を持つ水溶性食物繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維は、腸内で水分を抱え込んで便を柔らかくする働きがあり、硬くなった便をスムーズに排出しやすくします。

また、腸内にいるビフィズス菌などの善玉菌のエサとなり、その増殖を助けることで腸内環境を整える効果も期待できます。

納豆は発酵食品でもあるため、納豆菌自体も腸内環境に良い影響を与えます。調理も簡単で毎日の食事に加えやすいため、積極的に摂取したい食材です。

善玉菌を増やすヨーグルトなどの発酵食品

ヨーグルトやチーズ、味噌といった発酵食品には、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌そのものが含まれています。これらの善玉菌を食事から直接摂取することで、加齢などの影響で乱れがちな腸内フローラのバランスを整える手助けとなります。

腸内環境が良好に保たれると、腸のぜん動運動が活発になり、自然な排便が促されます。ヨーグルトを選ぶ際は、多様な菌種が含まれているものや、生きて腸まで届くタイプの製品を選ぶと良いでしょう。味噌汁や漬物など、日本の伝統的な食事にも発酵食品は多く含まれています。

オリゴ糖を含むバナナ

バナナには、腸内にいる善玉菌の栄養源となるオリゴ糖が多く含まれています。オリゴ糖は消化・吸収されずに大腸まで届き、ビフィズス菌のエサとなって善玉菌を増やす働きをするため、腸内環境の改善に役立ちます。

また、バナナは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランス良く含んでおり、便通を総合的に整える効果が期待できます。特に熟したバナナはオリゴ糖の含有量が増える傾向にあります。

そのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトに混ぜるなど、手軽に食事に取り入れられる点も利点です。

腸の働きを助けるりんご

りんごには、ペクチンという水溶性食物繊維が豊富に含まれています。ペクチンは腸内で水分を吸収してゲル状になり、便の硬さを適度に保ち、排出しやすくする働きがあります。さらに、善玉菌のエサとなって腸内環境を整え、腸の働きを正常化するのを助けます。

りんごの皮の部分には、便のかさを増やして腸壁を刺激する不溶性食物繊維も多く含まれるため、よく洗って皮ごと食べるのがおすすめです。食欲がないときや噛む力が弱い場合は、すりおろすことで消化しやすく、食べやすくなります。

便秘解消を目指すための食事で意識したい5つのポイント

便秘の解消には、特定の食品を摂るだけでなく、日々の食事全体の習慣を見直すことが不可欠です。食事のリズムを整え、必要な栄養素を過不足なく摂取することで、腸が本来の機能を取り戻しやすくなります。

生活の中で継続的に取り組むことで、便秘になりにくい体質づくりにつながります。ここでは、便秘改善のために特に意識したい5つの食事のポイントを具体的に解説します。

1日3食、栄養バランスを整える

毎日決まった時間に3食きちんと摂ることは、生活リズムを整え、腸の働きを活発にするための基本です。特に朝食は、休んでいた胃腸の働きを促し、排便を誘発する「胃・結腸反射」を起こす重要な役割を果たします。

食事を抜いたり、食べる量が極端に少なかったりすると、便の材料自体が不足して便秘を招くことがあります。主食、主菜、副菜をそろえ、炭水化物やタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルといった栄養素をバランス良く摂取することが、健康な体と正常な腸の機能を維持するために欠かせません。

便を柔らかくするために水分をこまめに摂る

体内の水分が不足すると、大腸で便から水分が吸収されすぎて硬くなり、排泄が困難になります。高齢になると喉の渇きを感じにくくなるうえ、トイレの回数を減らそうと水分摂取を控える傾向があるため、意識的な水分補給が非常に重要です。

食事から摂る水分とは別に、1日に1〜1.5リットルを目安に、水や麦茶などをこまめに飲む習慣をつけましょう。一度に大量に飲むのではなく、起床時、食事中、入浴前後など、タイミングを決めて少しずつ補給すると、効率よく体に吸収されます。

2種類の食物繊維を意識して摂取する

食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類が存在します。水溶性食物繊維は便を柔らかくし、不溶性食物繊維は便のかさを増して腸を刺激する働きがあり、この両方をバランス良く摂取することが理想的です。

水溶性食物繊維は海藻や果物、オクラなどに、不溶性食物繊維はきのこ類や根菜、玄米などに多く含まれています。ただし、腸の動きが弱っているときに不溶性食物繊維を過剰に摂ると、かえってお腹の張りを引き起こす場合があるため、まずは水溶性食物繊維から増やすことを意識すると良いでしょう。

腸内環境を整える発酵食品を食事に加える

腸内の善玉菌を増やして腸内環境を良好に保つためには、発酵食品を継続して食事に取り入れることが有効です。ヨーグルト以外にも、味噌、醤油、酢などの調味料や、納豆、漬物、チーズなど、さまざまな発酵食品があります。

例えば、毎日の食事に味噌汁を一杯添える、和え物に納豆を加えるといった小さな工夫で、手軽に摂取量を増やせます。善玉菌を含む発酵食品と、そのエサになる食物繊維やオリゴ糖を一緒に摂取すると、より効果的に腸内環境を整えられます。

便の滑りを良くする適度な油分も大切

便秘の解消には、適度な油分の摂取も重要な役割を果たします。油分は腸内で潤滑油のように働き、便の滑りを良くしてスムーズな排泄を助けます。健康のために油を極端に避ける食事は、かえって便秘を悪化させる一因になりかねません。

炒め物や和え物などに、オリーブオイルやごま油といった良質な植物性の油を適量使うことで、健康に配慮しながら必要な油分を補給できます。ただし、摂りすぎはカロリー過多になるため、あくまで適量を心がけることが肝心です。

食事以外でできる!高齢者の便秘を予防する生活習慣

便秘の予防や改善には、食事の見直しと並行して生活習慣を整えることが非常に効果的です。日々の少しの心がけが腸の働きを自然に促し、排便のリズムを作り出す助けになります。

特に、決まった時間にトイレに行く習慣と適度な運動は、食事改善の効果をさらに高める上で重要です。ここでは、日常生活の中で無理なく実践できる二つの習慣を紹介します。

毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつける

便意を感じなくても、毎日同じ時間にトイレに座る習慣は、体に排便のリズムを覚えさせるのに役立ちます。特に朝食の後は、胃に食べ物が入ることで大腸の動きが活発になり、便意が起こりやすい時間帯です。このタイミングでトイレに座ることを習慣化すると、自然な排便につながりやすくなります。

焦らずリラックスできる環境を整え、5分程度座ってみることから始めましょう。また、日中に便意を感じた際は我慢せず、すぐにトイレに行くことも重要です。我慢を繰り返すと、直腸のセンサーが鈍くなり便意を感じにくくなることがあります。

無理のない範囲で体を動かし腸を刺激する

適度な運動は、全身の血行を促進し、腸のぜん動運動を活発にする効果が期待できます。また、排便時にいきむために必要な腹筋を維持・強化することにも貢献します。激しい運動は不要で、日常生活の中に軽い運動を取り入れるだけで十分です。

天気の良い日に近所を散歩したり、室内で簡単なストレッチやラジオ体操を行ったりするのも良いでしょう。椅子に座ったままできる足踏みや、お腹周りを「の」の字に優しくマッサージすることも、腸への適度な刺激となって排便を促します。

まとめ

高齢者の便秘は、食事量や筋力の低下、水分不足など複数の要因が絡み合って生じます。改善のためには、食物繊維や発酵食品といった便通を助ける食べ物を摂り入れ、水分補給や栄養バランスの整った食事を心がけることが基本となります。

さらに、規則正しい排便習慣や適度な運動を生活に組み込むことで、より効果が期待できるでしょう。これらのセルフケアを試しても症状が改善しない場合や、腹痛などを伴うときは、かかりつけ医や専門の医療機関に相談してください。

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監修者

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長会

斉藤 正行

一般社団法人全国介護事業者連盟理事長。立命館大学卒業後、複数の介護関連企業で要職を歴任し、日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。講演活動やメディア出演も多数。

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