家族に高齢者がいる方にとって、運動の一環として気軽に始められるウォーキングが1つの選択肢として浮上するでしょう。
しかし「知らない間に転倒してしまうのでは……」と、つい心配になるものです。
本記事では、高齢者がウォーキングをする上での注意点を解説します。
怪我のリスクを防止するためにも、事前に注意点を押さえ、少しでも安全にウォーキングを習慣化してもらえるよう網羅的にまとめました。
歩数や時間の目安、姿勢、速度はもちろん、高齢者にウォーキングがおすすめな理由など解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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高齢者がウォーキングする場合の注意点
高齢者がウォーキングを取り入れる場合、以下の点に注意しながらおこなう必要があります。
- 軽くストレッチをしてから始める
- 適切な靴を履き舗装された道を選ぶ
- 忘れずに水分補給をする
- 早朝や夜間は事故に注意する
- 体調不良や痛みがある場合は無理をしない
健康かつ安全にウォーキングを実施するためにも、あらかじめ注意点を把握しておきましょう。
軽くストレッチをしてから始める
ウォーキングを始める前に、軽くストレッチしてから始めるのは高齢者にとって重要です。
ストレッチは筋肉をほぐし、関節の可動域を広げられるため、運動による怪我を防ぐ効果が見込めます。
とくに高齢者は筋肉や関節が硬くなりがちで、急に体を動かすと捻挫や筋肉痛を起こしやすいため、事前の準備運動は欠かせません。
ウォーキングによる怪我のリスクを防止するためにも、じっくりと伸ばし、脚部や足首のストレッチを重点的におこなうのがおすすめです。
適切な靴を履き舗装された道を選ぶ
高齢者がウォーキングをおこなう際、適切な靴を選ばないと転倒による怪我のリスクを高める可能性があります。
具体的には、クッション性があり、足をしっかりと支える靴がおすすめです。
ウォーキングシューズを選ぶ際、専門店で試し履きをし、歩いてみてフィット感を確認しましょう。また、舗装された道を選ぶのも、転倒のリスクを軽減できる手段になります。
未舗装の道は砂利や段差が多く、足を捻る危険性がある一方で舗装された道は、表面が平らで安定しているため安心して歩けます。
定期的なメンテナンスが行われている公園や遊歩道を利用するのも良い選択です。
ウォーキングルートを選ぶ際には、自分の体力や健康状態を考慮し、距離や地形を確認しながら長く続けられるかに注目しましょう。
忘れずに水分補給をする
ウォーキング中の水分補給を怠ると、高齢者に限らず脱水症状のリスクを高めてしまいます
とくに年齢を重ねた高齢者の場合、体内の水分保持力が低下し、喉の渇きを感じにくく、知らないうちに脱水症状を引き起こす可能性があるのです。
また、いきなりウォーキングをすると心筋梗塞や脳梗塞で倒れるリスクにも注意しなければいけません。
ウォーキング中だけでなく、始める前もしっかりと水分を摂取しましょう。
中でも、気温が高い日や湿度の高い日は注意が必要です。水だけではなく、スポーツドリンクや電解質を含む飲料、塩分タブレットなども効果的です。
高齢者が健康的なウォーキングを続けるためにも、日常的な水分補給が鍵となります。
早朝や夜間は事故に注意する
早朝や夜間にウォーキングをおこなう場合、視界が悪くなるため交通事故や転倒のリスクが高まります。
とくに夜間は車のドライバーが歩行者を見落とす可能性があるため、反射材の付いた服装やライトを持参するのがおすすめです。
日本反射材普及協会では、夜間の視認性について以下のように示しています。
上記図の通り、時速60kmで走行している車が止まれる距離は44mですが、たとえ明るい服装であっても衝突する距離なのがわかります。
走行中の車だけでなく、周囲が暗いと歩道の段差や障害物に気付きにくくなるため、足元をしっかりと確認しながら歩かなければいけません。
早朝や夜間は、気温が低下する日も多いため、できるなら夕方の時間にウォーキングするのがおすすめです(後述で詳しく解説)。
体調不良や痛みがある場合は無理をしない
ウォーキングは健康維持に効果的ですが、体調不良や痛みがある場合は無理をしないのが重要です。
とくに高齢者の場合、体調の変化に気づかず運動を続けるリスクが伴います。
たとえば、軽い頭痛や関節の違和感でも、無理にウォーキングを続けてしまうと、症状が悪化する可能性があります。
ウォーキング中に息切れや動悸を感じた場合は、すぐに活動を中止して休憩を取りましょう。また、継続的な痛みがある場合は、専門医の診断を受けるのがおすすめです。
ウォーキングは健康に良い習慣ですが、体調が優れないときには休息も立派な健康維持の手段です。
安全第一を心がけ、体の声に耳を傾けながらウォーキングを習慣づけましょう。
高齢者がウォーキングする上で知っておきたい項目
高齢者がウォーキングをする上で、以下の項目が気になるでしょう。
- 歩数や時間の目安
- ウォーキング時の姿勢や速度
- 夕方の時間帯がおすすめ
健康を意識しすぎるあまり、無理をしたウォーキング習慣につなげないためにも、1つの目安として参考にしてください。
歩数や時間の目安
高齢者がウォーキングを習慣化するのであれば、まずは10分間を目安に設定しましょう。
理想は1日20分以上の歩行ですが、いきなり長時間のウォーキングをおこなうと、体への負担が重くなってしまいます。
体への負荷を考えながら、以下の歩数や時間を目安にウォーキングを習慣づけていきましょう。
- 歩数の目安:8,000歩
- 時間の目安:20〜30分(最大1時間)
上記はあくまで目安なため、ウォーキングをする道や健康状態に考慮しながら続けるのがおすすめです。
ウォーキング時の姿勢や速度
高齢者が有酸素運動の一環としてウォーキングを取り入れる際、正しい姿勢かどうかを心がけましょう。
具体的には以下を参考に姿勢を正していくのがおすすめです。
- やや前傾姿勢になる
- 膝を伸ばす
- 肘を曲げ腕を前後に振る
- 骨盤を立てるようなイメージで歩く
- 視線は15mほど前を見る
上記のような正しい姿勢で歩かないと膝や腰に負担をかけてしまい、体に痛みが生じるため、かえって体に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、歩く速さや普段のペースで問題ありません。
慣れてきたら、いつもより少し速い程度のペースを意識しましょう。
夕方の時間帯がおすすめ
高齢者がウォーキングをする際のおすすめの時間帯は夕方です。
夕方にウォーキングをすると、適度な疲れを感じて体温が上がるため、心地良い睡眠につながる効果が期待できます。
とくに認知症の症状がみられる高齢者の場合、適度な運動習慣がないと夜間徘徊のリスクが高まります。
在宅介護をしている方にとって、夜間や休日は仕事の疲れを癒したいものです。
在宅介護の疲れやストレスから、家族の負担を感じないためにも、夕方に適度なウォーキングをおこなってもらい、夜はぐっすり睡眠をとってもらいましょう。
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そもそも高齢者にウォーキングがおすすめの理由とは
高齢者がウォーキングの習慣を取り入れるのは、以下のような点でおすすめできるためです。
- 健康機能や体力の上昇につながる
- 認知症の予防につながる
家族に高齢者がいる方に向け、ウォーキングをするメリットについて解説していきます。
健康機能や体力の上昇につながる
高齢者がウォーキングの習慣を取り入れるにあたり、大きなメリットといえるのが「健康機能の上昇」と「体力の上昇」です。
有酸素運動をおこなうと、高齢者に多い「筋力の低下」の防止につながります。筋力の低下は、転倒や怪我の予防になるだけではなく「立つ・歩く」基本動作がスムーズにおこなえなくなってしまうのです。
ウォーキングは、足腰だけでなく腕を振る動作もあるため、全身の筋肉バランスを整えるおすすめの運動です。
適切な靴さえあれば、お金をかけず気軽に始められる運動なので、ストレス発散の一環も兼ねて実施してみましょう。
関連記事:寝たきりになる原因は?高齢者に起こり得る病気や予防対策を紹介
認知症の予防につながる
高齢者におけるウォーキングは「認知症の予防」につながるといわれています。
ウォーキングを継続的に続けると、脳の「海馬」を刺激し、記憶力及び学習機能の低下を防ぎやすくなるのです。
さらに、脳の「前頭葉」や「側頭葉」などと呼ばれる部分も刺激できるため、思考力や学習力の向上も期待できます。
加齢に伴いリスクの増える「認知症」ですが、ウォーキングの習慣を取り入れると認知症予防も見込めます。
とくに、家族や近所の方と一緒にウォーキングをすれば、コミュニケーションも増えるため、認知症の原因の1つである「孤独感」の解消にもなるのです。
以下の記事では、高齢者が注意すべき認知症のケアで大切なポイントを解説しました。
ぜひあわせてご一読ください。
関連記事:認知症ケアで大切な4原則とは?基礎とパーソンセンタードケアの考え方
普段と変わったおすすめのウォーキング方法
高齢者のウォーキングは、20分以上で8,000歩が目安になりますが、長期間続けていると飽きてしまう方もいるでしょう。
本記事では普段のウォーキングとは、一風変わった方法を2つ紹介します。
水中ウォーキング
水中ウォーキングは、高齢者の体力や体の不調内容などによってはウォーキングが難しい方におすすめの方法です。
水中での歩行のため浮力があり、体の負担を避けつつ、しっかりと体を動かせるのが特徴です。
ただし、陸上でのウォーキングと比べると、体力の消耗が激しいため、慣れないうちは短時間で切り上げるようにしましょう。
陸上のウォーキングより短い時間でおこないたかったり、気分転換をしたかったりする方におすすめです。
インターバル速歩
インターバル速歩とは、一定の速度で歩くウォーキングではなく、以下のようなインターバルを繰り返す方法です。
- 若干のきつさを感じる歩行速度
- 普段よりもゆっくりとした歩行速度
- 1と2を3分間ずつ実施しながら繰り返す
単一的な速度でウォーキングするよりも、筋肉の負荷がかかるため、筋力の維持や向上に役立ちます。
高齢者にとっても、心拍数を上げ過ぎずに適度な運動強度を保てるため、安全に運動効果を得られます。
ほかにも高齢者におすすめしたい運動方法があるため、普段と変わったエクササイズを探している方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:認知症予防に効果的な「コグニサイズ」とは?その効果と具体的な方法をご紹介
高齢者にウォーキングを促す前に万全な準備をしよう!【まとめ】
高齢者がウォーキングを始める際、注意点を押さえてからおこなうのが大切です。
まず、準備運動として軽くストレッチをおこない、適切な靴を選んで怪我を防ぎましょう。
また、水分補給を忘れず、早朝や夜間のウォーキングでは安全に気を付けるのも大切なポイントです。
何より高齢者にとってウォーキングは、健康維持や認知症予防に効果的な運動です。
本記事を参考に、自分に合ったペースでウォーキングを楽しんでみてください。
ウォーキングを習慣化すると、心身の健康を維持し、より充実した日々を過ごせるでしょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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