近年、多くの世帯で選ばれている「高齢者施設の利用」。毎月利用料金がかかることはわかっていても、具体的にどれくらいの費用が必要であり、どれくらいの期間支払い続けることになるのか、正しく理解できていないケースは少なくありません。
近年は、一昔前の老人ホームと比べると料金が安価な施設が増えましたが、それでもやはり負担額は決して安くはありません。
年金での老人ホーム利用を検討しているのであれば、それが現実的であるのかを知っておく必要があります。
高額な老人ホーム=高齢者に合っているとは限らない
老人ホームを選ぶにあたり、「料金」を重視するケースは少なくありません。経済的な面からみれば安い施設は魅力的に感じます。しかし、「安い施設は粗悪な環境なのではないか…」と不安を感じる方が多いです。
実際、老人ホームなどの高齢者施設では、たびたび虐待問題などが取り上げられていることもあり、安い老人ホームに抵抗を覚えることは当然といえるでしょう。
しかし、高額な老人ホームであるからといって、必ずしもその高齢者に合っているとも限らないのが現状です。
例えば、医師が24時間常駐している老人ホームの場合、高齢者から通院の機会を奪うことになります。同時にリハビリの機会や外に出る機会を失うということであり、場合によってはその高齢者の生活リズムを乱すことにもなりかねません。
また、高齢者の健康状態や要介護度などによっては、ほとんど薬を服用しないといったケースもあるでしょう。
そのため、必ずしも「医師が常駐している高額な老人ホーム」が適しているとは言い切れないのです。
つまり、安い老人ホームであっても、高齢者の健康状態や生活リズムなどによっては全く問題ないどころか、ベストな環境であるといえます。
老人ホームを利用するなら「年金だけ」では不安
老人ホームの利用を検討している方の中には、本人の年金だけ入所したいと考えている方も少なくありません。年金の具体的な額には個人差があるものの、一人あたり数万円~20万円以下であることがほとんどでしょう。
補助給付などの制度を受けられれば、年金だけで老人ホームを利用できる場合があります。
しかし、一般的な老人ホームの月額利用料は20万円ほどかかるといわれています。特に、プライバシーを保ちたいなどの要望があれば、個室ユニット完備の老人ホームが理想です。
大部屋ではない分、月額料金は高額になりますので、年金だけで月額利用料金をカバーするのは難しいといえるでしょう。
また、老人ホームにかかるのは月額料金だけではありません。初期費用としてまとまったお金も必要な場合がほとんどです。
月額料金を年金で支払えばいいという考えだけでは、老人ホームの利用は難しいと考えられます。
また、子が両親を老人ホームに預ける場合は、二人分の月額料金及び初期費用が必要です。年金だけで二人分の利用料金を支払うのはさらに難しいでしょう。
本人たちの年金だけでは老人ホームを利用するのは現実的ではありません。+αで貯金などの、まとまった資金が必要であることを頭に入れておいてください。
老人ホームを探す際のポイント
数多くの老人ホームが点在する現代において、「どんな施設を利用すべきか」は悩むところです。
中には不親切な対応が目立つ老人ホームもあるため、慎重に判断しなければなりません。
老人ホームを利用するにあたり、施設選びでは以下のようなポイントに注目する必要があります。
看取りケア
近年、高齢者の死亡場所は病院や診療所などがほとんどを占めています。しかし、老人ホームを利用するのであれば看取りケアが充実している施設を選んだほうが良いでしょう。いざ治療などの医療依存度が高くなったとき、看取りケアが充実していないと退去させられてしまう可能性があります。
医療体制が整った老人ホームであれば、退去する必要はなく、安全な環境下で最後を迎えられるのです。
利用が必要になる前に施設を探す
老人ホームを探す場合は、利用が必要になる前に施設を探す必要があります。
いざ老人ホームの利用が必要になってから慌てて施設を探し始めると、高額な老人ホームを利用せざるを得なくなったり、見学が不十分なことにより本人に合わない施設で生活させることになってしまう可能性があります。
老人ホームは基本的に余裕をもって探し始めることが大切です。
利用料金が極端に安い場所は避ける
利用料金が極端に安い老人ホームは避けることが無難です。
格安すぎる老人ホームは、経営がずさんであったり、スタッフの質が悪いなど、高齢者にとって負担の大きい生活となることがあります。
必ずしも、格安な老人ホームが悪いとは言い切れませんが、用心するに越したことはありません。
おわりに
老人ホームを利用するにあたり、「お金の問題」は切っても切り離せないものです。
特に、資金に余裕がなく、年金で賄いたいと考えている場合、選択肢が極端に狭くなってしまうことを理解しておかなければなりません。
現在、高齢者の家族がいる方は、今一度今後の老人ホームの利用について、計画を立てることをおすすめします。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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