「リハビリができる老人ホームはないの?」
「回復期リハビリ病棟の退院期日までに老人ホームを探したい。」
父親や母親が倒れ、リハビリが必要になった時、在宅ではとても親の面倒が見られない…とお困りの方もいらっしゃるでしょう。
この記事を読めば、老人ホームではリハビリができるのか、どのようなリハビリができるのか、どのように老人ホームを選べばいいのか、という疑問を解消できます。
他にも、リハビリができる老人ホームの費用やメリット・デメリットも解説していますので、最適な老人ホーム選びに役立ててください。
リハビリができる老人ホームってあるの?【老人ホームの選び方】
リハビリに対応している老人ホームはあります。
ですが、すべての老人ホームに対応している訳ではありません。
また、リハビリができる老人ホームが、必ずしもご自身の希望するリハビリに対応しているとは限りません。
ご自身の希望するリハビリは何か、一度整理しておく必要があります。
それ以外にも、ご入居前に考えておくべき老人ホームを選ぶ時のポイントがあるので、次を見ていきましょう。
【リハビリができる老人ホーム】選び方のポイント
1.希望のリハビリが受けられるか
2.連携や協力している医療機関はあるか 3.費用は予算内におさまるか |
これら3つのポイントが、「リハビリに対応している老人ホーム選び」で重要となります。
お父様お母様、そして、老人ホームをお探しのあなたが、老人ホーム選びで失敗しないよう、3つのポイントを押さえておきましょう。
【リハビリができる老人ホームの選び方①】希望のリハビリが受けられる老人ホームか
入居したいと思う老人ホームがあっても、希望するリハビリに対応していなければ元も子もありません。
ご家族の方がどのような目的でリハビリをするのか、老人ホームで対応しているリハビリは何か、今一度整理しておきましょう。
老人ホームで受けられるリハビリの種類は?どのようなリハビリを受けたい?
リハビリの目的 | リハビリの種類 |
基本的な身体能力を回復させたい
例)脳梗塞・脳出血によるマヒの回復期、大腿骨頸部骨折、腰椎圧迫骨折など |
理学療法リハビリ
(理学療法士による) |
残っている機能でやりたいことを実現させたい
例)脳梗塞・脳出血など |
作業療法リハビリ
(作業療法士による) |
発声・聴覚の訓練や摂食・嚥下の機能を回復させたい
例)失語症、誤嚥性肺炎など |
言語聴覚療法リハビリ
(言語聴覚療法士による) |
(加齢による身体能力低下により)
できないことだけをサポートしてほしい
例)足腰の衰えなど(高齢者全般) |
生活リハビリ
(施設スタッフによる) |
【理学療法リハビリ】基本的な身体能力を回復させたい
理学療法は、怪我や病気が原因で損なわれた身体の機能を回復させることが目的です。
具体的には、筋肉や関節を動かしたり、電気で刺激を与えたりという訓練を行います。
基本的な身体能力を回復させたい方は、理学療法士がいる老人ホームを選びましょう。
【作業療法リハビリ】残っている機能でやりたいことを実現させたい
理学療法で完全な回復が見込めなかった場合、残っている機能でできることを行えるようにすることが、作業療法です。
具体的には、手先を動かすために手芸や工作をしたり、仕事や学習能力を高める訓練をしたりします。
日常生活を送るため手先を動かす訓練をしたい方は、作業療法士がいる老人ホームを選びましょう。
【言語聴覚療法リハビリ】発声・聴覚の訓練や摂食・嚥下の機能を回復させたい
話す、聞くなどの言語機能を回復させたり、嚥下(えんげ)機能を維持するための訓練を行ったりするのが、言語聴覚療法です。
例えば、嚥下反応を起こすために冷たい氷をなめるなどの訓練を行います。
嚥下の機能回復や発声などの訓練をしたい方は、言語聴覚療法士のいる老人ホームを選びましょう。
【生活リハビリ】できないことだけをサポートしてほしい
怪我や疾病などが原因ではなく、加齢によって身体能力が低下している場合は、日常生活の動作(立つ、座る、歩く、歯磨き、トイレ、食事など)が、自立してできるよう、施設スタッフがサポートします。
これを、生活リハビリといい、リハビリの専門家でなくても行うことができます。
例えば移動するとき、車イスではなく、スタッフと一緒に少し頑張って歩いてみるなど、日常生活する上での動作をリハビリとして捉え、機能の低下を防ぎます。
リハビリの目的と種類を理解し、希望に合ったリハビリ専門家がいる老人ホームを選びましょう。
【選び方②】医療機関と提携している老人ホームか
そもそもリハビリとは、医師による指導のもとに行われる機能回復訓練のことをいいます。
医療機関と連携している老人ホームは、医師の指導があるため、リハビリが充実しているといえるでしょう。
老人ホームの公式サイトやパンフレットには、どのような医療機関と連携しているか記載されているので、よく確認しておきましょう。
【選び方③】費用は予算内におさまる老人ホームか
一番心配なのは、やはり老人ホームにかかる費用ですよね。
「リハビリができる老人ホームは高額なの?」
「老人ホームにかかる費用と別に、リハビリのお金が必要?」
老人ホームの中には、別途リハビリの費用がかかるところもありますが、施設のサービスとしてリハビリを受けられるところもあります。
老人ホームにはどのような種類の施設があり、それぞれの予算はいくらかかるのか見ていきましょう。
リハビリができる老人ホームの種類とその費用
料金相場(目安) | リハビリの費用 | |
介護付有料老人ホーム | 入居時 なし~数千万円
月額 26万円前後 |
含まれる
※ただし、実費での付加サービスを提供している施設も中にはあるため、別途必要になる場合がある |
住宅型有料老人ホーム | 入居時 なし~数千万円
月額 12万円前後 |
別途費用がかかる |
サービス付き高齢者向け住宅 | 入居時 なし~数百万円
月額 15万円前後 |
別途費用がかかる |
グループホーム | 入居時 なし~数百万円
月額 16万円~20万円前後 |
含まれる |
特別養護老人ホーム
(特養) |
入居時 なし
月額 8万円~12万円前後 |
リハビリを行っている施設では
「個別機能訓練加算」という介護サービス費用が加算される |
介護老人保健施設
(老健) |
入居時 なし
月額 8万円~15万円前後 |
入居者の状態に合わせた
介護サービス費用が加算される |
「介護付有料老人ホーム」では、
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの機能訓練指導員(リハビリテーションを行う専門員)が1人以上配置することを義務付けられています。看護職員が兼務していることが多いです。
「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」では、
介護保険でデイサービスや通所リハビリ(デイケア)、訪問リハビリなど外部の事業者を利用することができます。
「グループホーム」では、
スタッフが家事など一緒に行う生活リハビリを実施しています。
グループホームは少人数制の施設のため、入居者や職員の人数が少なく、機能訓練指導員の配置基準はありません。
ですが、中には機能訓練指導員が常駐している施設もあり、施設内での自立を目的とした生活リハビリのメニューが受けられる場合もあります。
「特別養護老人ホーム」では、
機能訓練指導員1名以上という配置基準しかありませんが、施設によっては、理学療法士や作業療法士等を配置し、リハビリを受けられる場合も若干あります。
施設内での自立を目的とした生活リハビリのメニューも多少実施しています。
「介護老人保健施設」は、
リハビリを目的としている施設のため、機能訓練は充実していますが、在宅復帰を目指して入居する施設なので、原則3ヵ月しか入居できません。
老人ホームでリハビリを受けるメリット・デメリット
「老人ホームのリハビリでADLが本当に低下しないの?」と、心配される方もいらっしゃるでしょう。
ADLとは、日常生活動作のことで、食事や着替え、歩行、排泄、入浴など生活を営む上での基本動作をいいます。
老人ホームでのリハビリは、リハビリを集中的に行う病院と比べると、機能訓練指導員が常駐していても、回数や時間は減ってしまいます。
ですが、最近ではリハビリに特化した老人ホームやリハビリ強化老人ホームもあり、老人ホームだとADLが下がるとは一概には言えません。
気になる老人ホームがあれば「週に何回受けられるか」「どのようなメニューがあるか」尋ねてみましょう。
また、老人ホームでは、他の入居者やスタッフとの交流もあり、生活に刺激や活力を与えてくれます。
病院や自宅でのリハビリに孤独や辛さを感じてしまうと、ストレスが高まり、QOL(生活の質)も低下してしまいます。
QOLが低下し、生きる気力も失ってしまうと、ADLも一緒に落ち込んでしまいます。
入居されるご本人のお身体の状態だけでなく、リハビリに対する意欲や要望などのお気持ちも確認した上で、リハビリを受けられる施設を探すことが大切です。
まとめ「希望のリハビリが受けられる老人ホームを選択しましょう」
大切なお父さまお母さまには、いつまでも明るく元気でいてほしいですよね。
入居者様ご本人、そしてご家族みなさまのためにも、希望に合ったリハビリが可能な老人ホームを選びましょう。
いいケアネットでは、地域や費用、施設の種類と一緒に「リハビリ充実」の老人ホームを検索することができます。
まずは、「施設を探す」ページでご希望の条件を選び、当てはまる老人ホームがあるか検索してみましょう。
お急ぎやお困りの場合は、お電話(0120-577-889)でも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
突然倒れた、転んで頭を打ったなど、ご自身やご家族の介護を身近に感じるきっかけはそれぞれです。 いいケアネットでは、いざという時のために役立つ介護の知識や介護施設についてご紹介します。