2009年以来となる9年ぶりの介護報酬のプラス改定が12月18日に発表されました。
プラスの割合は0.54%。
介護保険の費用は10.4兆円なので、その0.54%はおよそ560億円となります。
介護を必要とする高齢者の数が年々増加する中、
介護職員の離職率を下げることや人数を増やすことは不可欠です。
とはいえ、
それに対する予算は国民や自治体の負担を増やすことで用意しなければならないため、
財務省はこれまで、制度維持の観点からプラス改定に反対し続けてきました。
そのため、2009年から今回の改定に至るまで介護報酬はマイナス改定を繰り返されてきました。
それに対し、厚生労働省は昨年のマイナス改定による介護職員の精神的疲弊や、介護の現場での人員不足に対応するため、「介護離職ゼロ」を標榜しました。
今回のプラス改定にはその影響も少なくありません。
介護報酬増額の予算はどこから?
介護報酬のプラス改定とはいえ、その財源の確保には問題が残ります。
540億円もの金額は介護を必要とする利用者の自然増だけで賄いきることはできません。
国や自治体からの予算投下や利用者個人の負担も大きくなります。
財務省が懸念していたように、制度自体の維持が難しくなる可能性もあり得るため、
このような内容に関しては今後引き続き話し合われていくものと見られます。
介護報酬はすべて引き上げになるわけではない? 引き下げになる項目とは?
介護報酬引き上げの財源確保について考える必要があるのは上記のとおりですが、
確保する財源をなるべく抑えるために引き下げを行うべき項目に関しては、別途引き下げが行われます。
引き上げと引き下げを各項目ごとに必要に応じて行い、
総合的に0.54%の介護報酬引き上げとなります。
引き下げになる項目については今後の決定となりますが、
「通所介護などの各種の給付の適正化を実施する」と財務省・厚生労働省の合意文書に記載されているため、デイサービスの分野に関しては引き下げが濃厚です。
また、訪問介護に関してもその利益率の高さについて言及されているため、
引き下げの対象となる可能性が少なくないでしょう。
介護報酬のプラス改定に関してのまとめ
介護報酬のプラス改定は望ましいことです。
より必要性の高まる介護の現場においてその担い手の確保や育成には今以上に資金が必要となります。
その費用の負担は、やはり国や自治体が旗をもち先導していく必要性があります。
介護事業に関しては、
民間大手の参入は進まず民間では中小の企業がその旗を持ち進めているのが実際のところです。
体力に限りのある中小の企業を国が支えることにより、
より豊かな介護の現場がつくられていくのではないでしょうか?
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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