全体の業務量や必要人数に対しての介護職員の人数が不足しています。
そういった声は以前より変わらずどこの介護施設からも聞こえてきます。
介護労働安定センターが今月出したデータによるとそういった介護職員が不足していると考えている介護事業所の数は昨年度と比較し1.3%増加し全体の6割強の11,268施設にも及ぶと考えられます。
1,548施設が介護職員が全く足りていないと感じ、
4,158施設が介護職員が足りないと感じています。
そして、5,562施設が若干介護職員が足りないと感じており、この合計が11,268施設です。
(18,000施設に回答を求め、実際の回答率は49.96%。上記数字は、そこから割り戻した数字です。)
不足する介護職員の確保のため、各介護事業所だけでなく国も介護報酬の改定をはじめとして手を打ってはいますが残念ながら成果として実を結んでいるとは言いがたいのが実情です。
介護職員の人数が不足する原因は?
統計によると、介護職員が足りない理由として施設があげる原因は、「なかなか採用することができない」ことが大多数で全体の73.1%がこの理由です。
この「なかなか採用することができない」という理由をもう少し細かく見ていくと、
・給料が安い(労働に対して見合わない、単純に金額が少ないともにここに含まれる。)
・様々な意味で労働環境が過酷。
・社会からの評価を獲得しづらい
などの理由で介護職員になることを敬遠する方が多く、国も2012年よりはじめた「介護職員改善加算」の拡充を行うなど様々な施策をおこなっていますが、明確な打開策を準備することができていないという現状です。
また、採用が困難というだけでなく、獲得した人材の維持も課題のひとつです。
離職率は前年比で0.2ポイント向上し16.7%となっています。
16.7%というと、6人に1人やめる計算ですので、
離職率の改善も採用同様に大きな課題と考えられます。
離職理由としては、
介護施設内の人間関係が合わずに退職するという方が全体の退職者のうちの4に人1人。
結婚や出産など家に入ることによる退職が5人に1人。
自身が勤める介護施設や会社の考え方や方針が合わないという方が5.5人に1人。
と、環境や人間関係を退職理由に挙げられる方が多いという結果が出ています。
入職の際に優先度が高かった給与面を原因に退職される方は全体の16.5%、退職理由の順番では6番目となり、入職前に金銭について一定納得していれば金銭が退職理由にはなりにくいという傾向を見て取ることができます。
2017年の4月から介護職員の不足は、どこの介護施設でも共通の課題です。
だからこそ、どのようにして人材を獲得するのか。
獲得した人材をどうやって長期間雇用し続けられるようにするのか。
こういった工夫を積み重ねていくことがより重要なのかもしれません。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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