4年前にご主人を亡くされてから一人暮らしになったAさんは、認知症を患い一気に症状が進行してしまいました。
Aさんは短期記憶障害があり、自分の家の鍵を幾度となく紛失しお一人暮らしなのに鍵がかけられない期間が続きました。娘様も心配で1時間以上離れたところから頻繁に通われていました。
そして1日何百回の電話や着信があり、娘様もお仕事をされているためなかなか出ることもできないことがありAさんが余計に不安になることが多かったそうです。
ケアマネージャーさんが近くにいるので頻繁にフォローはしてくれていたようですが、ケアマネージャーさんの薦めで施設を探されることを決心されました。
親を施設に入れる罪悪感をもっておられた娘様
娘様の気持ちとしては、お母様を施設に預けることに抵抗があり罪悪感に苛まれたそうです。当社にご連絡を頂いた時にその率直なお気持ちをお聞かせ頂きました。
当社はまずご家族様のケアが必要だと考えました。下記の内容をお話しさせて頂きました。
・施設に預けることは決して悲観することではないということ。
・娘様が倒れられたらAさんにとってもご家族様にとっても不幸なこと。
・双方が適度な距離感で介護の助けを借りて健康的な生活をすることがベストだということ
・娘様はAさんからいつも責められ辛い思いをしていたのでそれは認知症の症状であるということ
そしてようやく娘様の罪悪感が消えていきました。
Aさんにお会いさせて頂いた時はイメージと全く違い、とても笑顔が素敵なかわいらしい方でした。やはりご家族様の前とは違い当社に気を遣われていました。
ただ、施設に入るという認識はなくご見学を一緒に行くことは難しかったです。もし施設を探していてこれから入るということを事前に言ってしまうと拒絶されることはわかっていたので事前に娘様とご見学にいくことにしました。
ご見学は、合計10件は見に行きました。
娘様は数件だけ見るのではなく「たくさん見た中から納得した施設を選びたい」とのことでしたので、希望の地域とご予算内で許す限りたくさんご案内出来たのが良かったです。
Aさんにとって一番良い施設をとの思いからたくさん見学した中で娘様の心を動かしたのはある施設の施設長の情熱でした。
その施設長は、本当に認知症の方が大好きで接している姿もとても優しく安心感があり、また認知症の方を本当に熟知しているので、娘様がAさんを預けて施設にご迷惑をかけて退去せざるを得なくなるのではないかという不安を払拭してくれました。
そしてご納得頂いた施設のご入居が決まりました。
ご入居後のAさんは周りの方に馴染めるまでは帰宅願望もあり大変でしたが1ヶ月もすると落ち着いてこられました。
環境の違うで症状が悪化するのではないかという不安もありましたがAさんはうまく馴染むことが出来たようです。それも施設のスタッフの方々の優しい対応が大きかったようです。
Aさんも一人暮らしで寂しく不安だったようで、誰かがいるということがAさんにとっては良かったようです。
娘様にとってもAさんにとっても最善の形でご安心して頂けたことが何より嬉しいですね。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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