「ペッパー君」と聞くと、飲食店やショッピングモールなどで接客する姿を想像する方が多いかもしれません。
実際には、介護施設向けモデルや家庭用モデルも存在し、高齢者を見守ったりレクリエーションをサポートしたりする場面で活用されています。
本記事では、ペッパー君が介護の現場で果たす具体的な役割と、在宅介護にも応用できる機能を紹介します。
【基本編】ペッパー君ができることや使える機能
ペッパー君は小学低学年の子どもくらいの大きさで、人工知能(AI)を搭載しています。
以下のような機能は、デフォルトで搭載されています。
- 相手の顔を認識したコミュニケーションを取れる
- 障害物を回避した自律走行ができる
- 腕を動かし身振り手振りができる
- 用途に応じたアプリをインストールできる
- 12時間以上の充電なしで稼働できる
ペッパー君は人の表情や会話を理解しながらコミュニケーションを取り、状況に合わせた動作を実行できるロボットです。
まずは、ペッパーくんが基本としてできることをお伝えします。
相手の顔を認識したコミュニケーションを取れる
ペッパー君は顔認証の技術を使って、一人ひとりを見分けられます。利用者の名前を呼んだり、声の調子や表情から気持ちや感情などの推測も可能です。
何人かが同時に話しかけても、誰の話に注目すれば良いかを判断できるので、会話がスムーズに進みます。
さらに、ペッパー君はこれまでの会話の内容を覚えています。まるで友達のように、少しずつ関係を深めながら接してくれるのは大きな特徴のひとつです。
障害物を回避した自律走行ができる
ペッパー君は、室内の地図を作る「マッピング機能」を使い、自分で周りの様子を把握しながら移動可能です。
センサーが人や物を見つけると、自動で止まったり避けたりしてくれます。そのため、ぶつかる心配がありません。
人が多い介護施設や広さが限られている自宅でも、安心して使える安全なロボットです。
腕を動かし身振り手振りができる
ペッパー君は、会話の際にジェスチャーを交えた説明が得意です。お辞儀や手招き、ダンスまでできるので、話の内容がより伝わりやすくなります。
とくに高齢者とのやり取りでは、動きを交えた説明があると理解しやすく、誘導もスムーズです。
用途に応じたアプリをインストールできる
ペッパー君はさまざまな目的別アプリを追加すれば、用途に合わせたカスタマイズが可能です。たとえば、リハビリのサポート、見守り、健康管理などに使えるアプリがあります。
ソフトウェアのアップデートも継続的におこなわれるため、導入後も機能が向上しやすい点も魅力です。
12時間以上の充電なしで稼働できる
ペッパー君は長時間バッテリーを搭載しているため、12時間以上充電なしで動きます。一日中レクリエーションや会話を続けても、充電切れのリスクが少ないのは大きな利点です。
定期的に充電スケジュールを組み込めば、より効率的に運用できます。
【在宅介護】家庭用ペッパー君ができること
在宅介護でペッパー君を活用すると、以下のような介護の課題改善が見込めます。
- 家族不在時の孤独感を緩和できる
- 介護者がおこなう必要がある世話を代行できる
- 遠方の家族でも見守り・交流ができる
- 認知症予防や認知機能低下リスクを減らせる
- 体操やリハビリなどを促し運動不足を解消できる
- 介護者の精神的な負担を和らげる
ペッパー君は、献立を考えたり、レシピを提案したり、英会話の練習をしたりと、いろいろな対応ができます。介護だけでなく、毎日の生活にも役立つ機能が多数あるのが特徴です。
実際に在宅介護で、ペッパー君がどのように活躍するのかを紹介します。
家族不在時の孤独感を緩和できる
ペッパー君は高齢者に寄り添う姿勢を持ち、笑顔や優しい反応で会話を続けます。
80歳を超えた方でも、ペッパー君なら抵抗感が少なく、自然に受け入れてもらいやすいのが魅力です。
会話だけでなく、ゲームや歌などの娯楽も提案してくれるので、気持ちが明るくなります。
介護者がおこなう必要がある世話を代行できる
薬の時間になると音や画面でお知らせしてくれるため、飲み忘れや飲みすぎを防げるのは在宅介護における大きなメリットです。
在宅介護では、家族が薬を飲むサポートをすることが多いですが、ペッパー君がいれば、代わりに声かけをしてくれるので、家族の負担も減ります。
さらに、ガスコンロや電気の使い方、体調の変化なども見守ってくれるため、何か異常があったときには家族に知らせてくれる機能もあります。
関連記事:在宅介護のメリットやデメリットは?家族の負担ポイントなどを解説!
遠方の家族でも見守り・交流ができる
ペッパー君にはカメラと遠隔操作の機能があり、離れて暮らす家族でも親の様子をリアルタイムで見守ることができます。
まるでビデオ通話のように声をかけ合えられるので、お互いに元気を確認できて安心です。
タブレット画面に家族からのメッセージ表示もできるため、ペッパー君を通じて遠距離間でもコミュニケーションの幅が広がります。
認知症予防や認知機能低下リスクを減らせる
ペッパー君は、脳トレや会話などで高齢者の脳を刺激する工夫がされています。
昔のニュースや思い出話を引き出す会話もできるので、自然と頭を使う機会が増え、認知機能の低下を防ぐ効果が期待できます。
専門家によると、人型ロボットとの会話を通して高齢者の脳が刺激され、認知機能が低下するリスクを和らげる効果が期待できるようです。
参考:介護向け 人型ロボット Pepper(ペッパー) | ソフトバンクロボティクス
体操やリハビリなどを促し運動不足を解消できる
ペッパー君は日々の運動を促す機能も搭載しています。ペッパー君から運動を促す声がけをしてくれるため続けやすく、自宅でのリハビリにもぴったりです。
座りっぱなしや寝たきりを防げるよう、体操やストレッチの時間を提案し、運動不足を防ぐ手助けをしてくれます。
介護者の精神的な負担を和らげる
高齢者がペッパー君と会話している間、介護する方は家事をしたり、少し休んだりする時間が確保できます。
「自分ひとりで全部やらなきゃ……」と思うプレッシャーが和らぎ、精神的な負担の軽減にもつながります。
【介護施設】介護向けペッパー君ができること
介護施設向けのペッパー君は、高齢化による人手不足や介護の負担が増える将来を考えて開発されました。
会話相手になるだけではなく、以下のような場面でペッパー君は役立ちます。
- 職員が少ない時間帯の対応や巡回を任せられる
- 個人を認証した上で好きに会話を続けられる
- レクリエーションの企画から進行まで実施できる
- 言語野や四肢のリハビリに対応できる
レクリエーションやリハビリ支援など、施設で役立つ機能が搭載されており、スタッフのサポート役としても注目されている存在です。
具体的に、介護施設ではどのようにペッパー君が活躍しているのかを解説します。
職員が少ない時間帯の対応や巡回を任せられる
ペッパー君は夜間やスタッフが休憩中の時間帯でも、高齢者の話し相手を務められます。
人数や労力が不足していても、ペッパー君のようなロボットがいれば、スタッフの負担を削減可能です。
職員の負担が軽くなり、入居者一人ひとりへの対応もより丁寧におこないやすくなります。
夜間徘徊の状況や喋りかける頻度、内容などはデータとして記録されるため、リハビリ計画を立てる際にも役立つのが特徴です。
個人を認証した上で好きに会話を続けられる
ペッパー君は、顔認証やIDで利用者を見分けて、会話相手の好みや体調などを記憶します。
たとえ認知症の方が同じ質問を繰り返しても、ペッパー君はずっと会話を継続可能です。
ペッパー君は音楽や会話を通じ、気持ちを明るくしたり、ほかの利用者との会話のきっかけ作りをしたりする上でも活躍します。
レクリエーションの企画から進行まで実施できる
ペッパー君はカラオケやリハビリ体操、クイズなどを自動進行できるアプリも搭載しています。
スタッフが毎回のように司会進行や運営をせずとも、ペッパー君が声掛けやジェスチャーをおこないます。スタッフがほかの業務に対応する時間が増えるため、労働環境の改善に繋がりやすいのもペッパー君導入の利点です。
参加状況や成果もクラウドで管理できるため、レクリエーションの進み具合もわかりやすくなります。
言語野や四肢のリハビリに対応できる
ペッパー君には、理学療法士や作業療法士が監修したリハビリプログラムが入っています。
声を出す練習や、体を動かす運動などを、ロボットの動きや音声ガイドに合わせておこなえるので、利用者が真似しながら取り組みやすいのが利点です。
プログラムはタブレットやパソコンで調整できるため、リハビリをおこなう一人ひとりに合わせて内容を変えられます。
ペッパー君ができることと自分の悩みの相性が良ければ導入を検討してみよう【まとめ】
ペッパー君は接客以外に、在宅介護や施設介護の現場で高齢者を支えるロボットとしても活躍中です。
会話や見守り、レクリエーションのサポートなどを通して、人手不足を補いながら、高齢者に安心感を届けられます。
ご自身やご家族が抱える悩みとペッパー君の機能が合致する場合は、導入を前向きに検討してみましょう。
ペッパー君に関してよくある質問
最後に、ペッパー君についてよくある質問に回答します。
ペッパー君にできないことは何ですか?
ペッパー君は重い物を持つ動作や食事・排せつの介助といった身体的な介護には対応していません。
指先の動きも簡易な開閉のみなため、細かい作業は苦手です。
また、段差がある場所での移動は難しく、相手が小声や方言を使う場合は認識精度が下がる可能性はあります。
掃除や料理などの家事もおこなえません。ペッパー君は、主に会話や見守り、運動サポートなど、コミュニケーションを中心とした分野で活躍します。
ペッパーくんの耐用年数や寿命は?
ペッパー君は、一般的に3年ごとのリース契約が中心です。
契約を更新しながら消耗部品の交換や整備をおこなうと、5年以上運用するケースは珍しくありません。
バッテリーなどを適切にメンテナンスし続ければ、長期間の活躍が見込めます。
ペッパー君の維持費やランニングコストはいくら?
家庭向けの「Pepper for Home」は、1年契約で月額43,780円(税込)から利用できます。
法人向けの「Pepper for Biz」は、月額約64,800円(税込)からのレンタル契約が一般的です。
どちらのプランも、本体レンタル料・クラウドサービス利用料・故障時のメンテナンス費などが含まれています。
機能を拡張する際には追加料金が発生する場合はあるものの、利用目的に合わせて柔軟に選べるのがメリットです。

この記事の監修者
いいケアネット事務局
突然倒れた、転んで頭を打ったなど、ご自身やご家族の介護を身近に感じるきっかけはそれぞれです。 いいケアネットでは、いざという時のために役立つ介護の知識や介護施設についてご紹介します。