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高齢者の難聴の種類とは?原因や関わり方のポイントも紹介

「耳が聞こえにくい」「物音の聞き取りが難しい」など、難聴に悩んでいる高齢者は多くいます。
日常生活を送る上で「聞こえにくい」「聞こえない」といった状態は不便であり、なるべくなら発症したくない症状といえます。

本記事では、難聴の種類を詳しく解説します。高齢者が難聴になりやすい原因や危険性なども紹介しているので、難聴に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

難聴は年齢が上がるほど発症しやすい

高齢者 難聴 種類

加齢とともに聴力が低下するのは、多くの方にとって自然な現象です。とくに、高齢者の難聴は、年齢が上がるにつれてその発症率が高まる傾向にあります。

ここでは、高齢者の難聴は年齢が上がるほど発症しやすい理由を3つ紹介します。

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目次

蝸牛にある感覚細胞が障害を起こすため

耳の奥、内耳にある「蝸牛(かぎゅう)」は、音の振動を電気信号に変換し、脳に伝えるための役割を担っています。蝸牛の中には「無数の小さな有毛細胞」が存在しており、有毛細胞が音を感知しています。

しかし、年齢が上がるとともに、有毛細胞が徐々にダメージを受け、数が減少したり機能が低下してしまいます。その結果、蝸牛の中の有毛細胞が減少すると、高い音が聞き取りにくくなってしまうのです。

蝸牛周囲にある血管が障害を起こすため

蝸牛の周囲には、多くの血管が通っています。血管が動脈硬化によって障害が起こると、蝸牛に十分な栄養が行き渡らなくなり、有毛細胞の低下を招きます。

糖尿病や高血圧といった生活習慣病がある場合、血管へのダメージがさらに大きくなるため、難聴のリスクが高まる傾向にあるため、注意が必要です。

神経が障害を起こすため

音の情報を脳に伝えるのは、蝸牛から伸びる「聴神経(ちょうしんけい)」が役割を担っています。聴神経は、有毛細胞から受け取った電気信号を、脳の聴覚野へと伝達します。

加齢が進むと、聴神経も変性し、電気信号の伝達効率が低下してしまうのが特徴です。蝸牛で音が電子信号で処理されたとしても、聴神経に障害が起きてしまえば、音が正しく認識されません。

難聴の種類

高齢者 難聴 種類

難聴の種類は、障害が生じる部位や原因によって大きく3つに分けられます。難聴の種類を理解し、適切に対処するのが大切です。

ここでは、3つの難聴の種類を詳しく解説していきます。

伝音難聴

伝音難聴は、外耳や中耳に異常が生じることで、音が小さく聞こえる難聴です。音の振動を伝達する外耳や中耳が機能しなくなるため、全体的に音が小さく聞こえ、大きい音でないと聞こえないのが特徴です。音が聞こえないだけでなく、痛みや耳鳴りを感じる方もいます。

伝音難聴は高齢者だけでなく、大人から子どもまでさまざまな方が発症するのも特徴です。

伝音難聴の主な原因は、中耳の病気や、耳腔内の気圧や粘液を適切に調整できない点があげられます。伝音難聴は、原因が特定できれば回復を見込めます。

感音難聴

感音難聴は、内耳や耳神経に異常が生じ、伝達してきた音を上手くキャッチできず、脳に伝えられないため、高音が聞こえにくくなる状態です。高音が聞こえにくかったり、複数の音から特定の音を聞き分けられなかったりするのが主な症状です。

また感音難聴は、音が歪んで聞こえるため、学習に悪影響が出る可能性があります。治療を進められないと、周りとのコミュニケーションが取りにくくなり、抑うつ状態を引き起こすリスクもあります。

感音難聴は高齢者に見られやすい難聴の種類のため「耳が聞こえにくい」と感じた際は、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。

混合性難聴

混合性難聴は、伝音難聴と感音難聴の両方が組み合わさって発症する難聴の種類です。音の伝達経路にも問題があり、かつ音を感知・処理する内耳や神経にも異常が見られる状態です。

複数の要因が絡み合っているため、現在の医療では完全に聴力を回復させるのが難しい場合も多い傾向にあります。それぞれの難聴の原因に応じた治療や、補聴器による聴力補助などを組み合わせることで、聞こえの改善を目指せます。

難聴の段階

高齢者 難聴 種類

一口に「難聴」といっても、いくつかの段階に分類され、それぞれの具体的な症状は異なります。
ここからは、難聴の段階について解説します。

軽度

聴力レベルが30〜50dbにある段階であり、症状は軽度です。ささやくような声や小さな声などを聴きとるのが難しい状態ではありますが、日常生活に大きな支障をきたすほどではありません。仕事で小さな声も聞き取る必要のある方は、生活にやや不安が残る可能性もあります。

中等度

聴力レベルが50〜70dbにある段階です。会話の聞き取りが難しくなり、補聴器の使用が必要になるケースが多い傾向にあります。相手に近寄ってもらったり、大きな声で話してもらったりなどの工夫が必要です。

高度

聴力レベルが70〜90にある段階です。一般的な補聴器では、会話の聞き取りが難しい状態です。高出力の補聴器が必要になるケースが多い傾向にあります。

重度

聴力レベルが90db以上にある段階であり、最も重度な状態です。重度に至ってしまうと、高出力の補聴器でも騒音や大きい音でないと聞き取れません。補聴器をしていても日常生活に支障が出るため、「人工内耳」を検討するケースが多くあります。

難聴による危険性とは

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高齢者の難聴は「耳が聞こえにくくなるだけ」と、認識されがちですが、難聴が原因で非常に危険な事故を引き起こす場合もあります。転倒による骨折や、認知症のリスクが上昇するなどの危険性が考えられるため、早急に対処しなくてはなりません。

ここからは、高齢者の難聴によって考えられる危険性について紹介します。

転倒の危険性

高齢者の難聴は、耳が聞こえにくくなるだけでなく、転倒のリスクが上昇します。難聴に陥っている方は、健常者と比較すると「全体の環境」を認識するのが難しくなるといわれています。その結果、転倒しやすくなり怪我をする可能性が高まるのです。

また、難聴により転倒した際に、擦り傷や打撲程度の軽度の怪我で済むとは限りません。場合によっては骨折したり、頭を強く打ったりするケースもあります。最悪の場合は、死亡といった最悪の事態を起こすリスクも考えられます。

「ただ耳が聞こえにくくなるだけ」と考えず、耳が聞こえにくくなった場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

認知症のリスクが上昇

認知症のリスクが上昇するのも、難聴の危険性の1つです。耳が聞こえにくいと、他者との会話が上手くいかなくなり、コミュニケーションに消極的になりやすい傾向にあります。

コミュニケーションをとらなくなると、脳に刺激が伝わらなくなり、認知機能の低下を招きます。さらに、孤独感や抑うつ状態を引き起こすケースもあるため注意が必要です。

認知症のリスクを抑えるためにも、耳が聞こえにくいと感じた場合は、医療機関で補聴器によるサポートを受けたり、コミュニケーションの取り方を工夫したりするのが大切です。

なお、大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やそれにまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。

高齢者の難聴は補聴器で対応するケースが多い

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高齢者の難聴は、一度損傷した聴覚細胞の回復が難しいため、補聴器を用いた聞こえのサポートで対応するケースが多い傾向にあります。

補聴器は、聞こえにくい音を増幅し、会話や周囲の音を聞き取りやすくする医療機器です。一言で補聴器といっても、耳あな型や耳かけ型、ポケット型などさまざまな種類があり、症状の程度や生活スタイル、目立ちにくさの好みなどによって最適なものが異なります。

また、補聴器を装着すればすぐに聞こえるようになるわけではありません。専門医や補聴器の専門家による調整が不可欠です。購入後も定期的な調整やメンテナンスを行うことで、聞こえを改善できます。

難聴の高齢者とのコミュニケーションについて

耳が聞こえにくくなると、日常生活でのコミュニケーションに戸惑いやストレスを感じる高齢者も少なくありません。スムーズかつストレスを抑えて難聴の高齢者と関わるには、コミュニケーションの工夫が大切です。

難聴の高齢者のコミュニケーションの取り方を詳しく見ていきましょう。

なお、大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やそれにまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。

耳が聞こえやすい環境を整える

難聴の高齢者とコミュニケーションをとる際は、耳が聞こえやすい環境を整えるのが大切です。難聴の方にとって、周囲の騒音は会話が聞こえにくくなる原因です。

そのため話をする際は、静かで集中しやすい環境を整えましょう。テレビやラジオの音量を下げたり、窓を閉めて外の音を遮断したりするだけでも、音を聞き取りやすくなります。

また、複数の人が同時に話す状況を避け、1対1で落ち着いて話せる場所を選ぶのも重要です。照明が明るく、顔の表情が見えやすい場所を選ぶと、口の動きや表情からも情報が得やすくなります。

向かい合って顔を見て話す

向かい合って顔を見て話すのも、難聴の方とコミュニケーションをとるポイントです。人間は、会話をする際に耳で聞くだけでなく、口の動きや表情、身振り手振りなどの視覚情報からも多くの情報を得ています。

たとえ向かい合っていたとしても、マスクをしていると口の動きが見えにくくなるため、会話の際は一時的にマスクを外す配慮も必要です。アイコンタクトを取ることで、話しかけられていることを認識しやすくなり、会話に集中しやすくなります。

ゆっくりかつはっきりと話す

難聴の高齢者と話す際は、ゆっくりかつはっきりと話すことを意識しましょう。大きな声を出す必要はありませんが、普段よりも少し大きめの声で、一音一音を区切るように話すと伝わりやすくなります。

しかし、速すぎる話し方や、逆に間延びしすぎる話し方は避け、自然なリズムで話すのがポイントです。もし相手が聞き返してきた場合は、同じ言葉を繰り返すだけでなく、言葉を変えて言い直したり、ジェスチャーを加えたりすると、理解しやすくなります。

まとめ

高齢者 難聴 種類

高齢者の難聴の種類は、主に伝音難聴・感音難聴・混合性難聴に分けられます。なかでも、感音難聴は高齢者に多く、完治が難しいとされています。日常生活に支障が出ないよう、補聴器で聞こえやすさを改善するのが一般的です。

また、高齢者の難聴は「加齢だから」「耳が聞こえにくいだけ」と考えられがちですが、転倒や認知症のリスク上昇などの危険性が伴うため、放置するのは控えましょう。「耳が聞こえにくい」と感じた際は、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。

なお、大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やそれにまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。

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