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サ高住から追い出されることはある?退去勧告を受けた際の対応方法を解説

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は、自立した生活を送る高齢者のための住まいです。

棟内にはバリアフリー設備が整っており、安否確認や生活相談のサービスを提供しています。

サ高住では、ルールを守って生活している限り、追い出される可能性は少ないものです。ただし一般的な住まいと異なり、サ高住ならではの規定から外れた場合には追い出されてしまう可能性があります

この記事では、退去勧告がなされる主な原因と、サ高住から追い出されそうなときの対応方法を紹介しています。

サ高住から追い出される主な理由

サ高住は、安否確認や生活相談等のサービスを提供する「一般型」と、手厚い介護が受けられる「介護型」に分けられます。

介護型のサ高住はサ高住全体の約7%しかないため、この記事では多数を占める一般型のサ高住に焦点をしぼって解説しています。(文献1)

それでは、サ高住から追い出される主な理由を見ていきましょう。

なお、サ高住の問題点や選び方を詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。

サービス付き高齢者向け住宅の問題点とは?失敗しない選び方も解説

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目次

介護や医療的行為が必要になったから

サ高住は、基本的に介護を必要とせず、自立した生活を送る高齢者のための住居です。安否確認や生活相談は行うものの、サ高住のスタッフが介護サービスを提供することはありません。

頻繁に安否確認のスタッフを呼び出すなど、ひとりでの生活に支障が見られる場合には、ほかの介護施設への転居をすすめられる可能性があります

介護を受けながらサ高住に住み続けるために、訪問介護や訪問看護を利用する人もいるでしょう。しかし要介護度が上がり、24時間の介護が必要になったり、インスリン注射などの医療行為が必要になったりした場合には、施設側が入居者の安全を確保できないと判断します。

自立した生活が難しかったり、医療的行為が必要になったりした場合には、入居者を守るためにも退去を求められるでしょう。

迷惑行為を繰り返しているから

サ高住では、周囲の住民に配慮しながら生活する必要があります。近隣住民やスタッフへの迷惑行為が確認され、忠告が聞き入れられない場合には、退去を求められる可能性があります

迷惑行為とは、たとえば以下のようなものです。

  • 暴言を吐く
  • 暴力をふるう
  • 他人の居室に侵入する
  • セクハラ行為が認められる
  • 大声で奇声を発する
  • 頻繁に徘徊する

迷惑行為の原因は、認知症やストレスなどさまざまです。

施設側が迷惑行為を仕方のないことだと放置していると、ほかの入居者の生活が守れません。そのため、迷惑行為が繰り返される場合には、施設側から退去をすすめられます。

施設費用が払えなくなったから

サ高住の月額利用料を払えなくなった場合、退去勧告の対象となります。

サ高住は、バリアフリーかつ生活支援のサービスが提供されているため、一般的な賃貸住宅と比べても家賃が高額な傾向があります。地域にもよりますが、月額利用料は10万〜20万円程度です。

さらに、訪問介護や訪問看護を利用した場合には、それぞれの利用料が別途必要になります。入居時の予想よりも、月々にかかる費用が高額になり、サ高住への支払いが滞ることもあるでしょう。

サ高住の費用を滞納すると、通常は入居時に定めた連帯保証人に連絡が入ります。保証人もサ高住の費用を支払えない場合、退去勧告がなされる可能性があります

サ高住から退去勧告を受けた際の対応方法

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サ高住から退去を迫られても、従わなくても良い場合があります。あわてて退去を始める前に落ち着いて行動することが大切です。

まず、サ高住から退去勧告を受けたら退去しなければならない理由を確認すると良いでしょう。

ここからは、退去勧告を受けた際の対応方法を紹介します。

契約書を確認する

サ高住側に勧告理由を尋ね、それが入居契約書や重要事項説明書に記載されているかどうかを確認しましょう。入居者側が契約に違反していた場合には、退去勧告を受け入れる必要があります

反対に、契約書に記載がなかったり、サ高住側に事実誤認があったりする場合には、話し合いによって退去勧告を撤回できる可能性があります。

不当な退去勧告だと感じた場合には、サ高住のスタッフや施設長と話し合うことで解決法が見つけやすくなるでしょう。

改善が可能か検討する

近隣住民やスタッフへの迷惑行為が退去勧告の理由である場合、迷惑行為を解消できれば勧告が撤回される可能性があります。

迷惑行為の理由を追求し、話し合いで解決できることもあれば、治療や投薬によって迷惑行為が落ち着くことも考えられます

また、退去勧告を受ける以前に迷惑行為への相談や忠告を受けた段階で、対応しておくことが望ましいでしょう。

サ高住側も望んで退去勧告を出しているわけではないので、ともに改善への道を探っていくのがおすすめです。

公的な機関に相談する

退去勧告を受け、サ高住側から理由を説明されても納得ができない場合には、第三者に助けを求めるのもひとつの方法です。

相談に対応してくれる機関は以下のとおりです。

  • 地域包括支援センター
  • 都道府県の国民健康保険団体連合会
  • 社会福祉法人全国有料老人ホーム協会

第三者から中立な立場で勧告理由を見てもらい、勧告が妥当であるかを判断してもらうと良いでしょう。サ高住と交渉し、退去を回避できる可能性や居住を続けるための条件を探るのがおすすめです。

サ高住からの退去が決まったら

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交渉しても退去勧告が覆らない場合には、退去の準備を進めます。

ここからは、サ高住を退去する際に、少しでも余裕を持って行動するための方法を解説しています。

猶予期間を確認する

退去が決まった場合には、あとどれぐらいの期間をサ高住で過ごせるのか確認します。

退去勧告がなされたからといって、即座に部屋を開け渡さなければならないわけではありません。多くのサ高住では、勧告から退去までの間に90日の猶予期間が設定されています

退去後の住まいが見つからなかったり、退去を手伝う親族の予定が合わなかったりと、猶予期間内には退去の準備が整わない場合があるかもしれません。予定通りに退去ができそうにないときはすぐに施設側に相談し、猶予期間の延長を交渉すると良いでしょう。

退去にかかる費用を確認する

退去する際には、一般的な賃貸住宅と同じように原状復帰費用や未払いの月額使用料を清算する必要があります。

金銭的な取り決めは、入居契約書や重要事項説明書に記載されていることが多いため、施設側に確認すると良いでしょう。

また、退去時には支払うだけでなく、お金が戻ってくる可能性もあります。サ高住を含めた有料老人ホームでは、契約日から90日以内に退去する場合、入居時に支払う一時金が返還される仕組みになっています。

退去時には契約期間を確認し、戻ってくるお金がないか確かめることをおすすめします。

次の入居先を探す

退去の猶予期間中には、住み替え先を探すと良いでしょう。心身の状態に合った施設を選ぶほか、一時的に親族宅に身を寄せる選択肢もあります。

希望条件を満たす入居先が見つからない場合には、以下の窓口に相談すると良いでしょう。

  • ケアマネージャー
  • 地域包括支援センター
  • 介護施設紹介サイト

サ高住での経験を話すことで、本人にとって過ごしやすい施設を見つけてもらえる可能性が高くなります。

施設を探す際には退去要件を確認し、再び追い出されないよう自身の状況に照らし合わせることが大切です。

状態にあった介護施設の探し方は、以下の記事で詳しく解説しています。

介護施設の探し方とは?介護施設の種類や選び方も解説

まとめ|サ高住から追い出されることは少ない!ルールを守って生活しよう

外出 老人ホーム 注意点

普通に生活している限り、サ高住から追い出されることは少ないものです。

サ高住から退去勧告を受ける理由として多いのが、要介護度の変更によるものです。手厚い介護が必要になった場合、一般型のサ高住のサービスでは補い切れないため、より手厚い看護を受けられる特養などへの転居をすすめられる可能性があります

また、費用の滞納や迷惑行為も、退去勧告を受ける理由となります。勧告を受けた際には内容を確認し、猶予期間内に転居先を探すと良いでしょう。

いいケアネットでは、大阪を中心とした老人ホームの情報などを掲載しています。相談は無料ですので、サ高住からの住み替え先をお探しの方はぜひご利用ください。

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サ高住を追い出されることについてのよくある質問

サ高住から追い出されることはよくありますか?

サ高住のルールを守って生活していれば追い出されることは少ないものです。

サ高住に入居する際は、月々の利用料以外にも、将来的に介護サービスなどに使うお金も用意しておくと良いでしょう。

また、要介護度が上がらないよう心身の健康に気をつけつつ、近隣住民と良好な関係を築くことで、追い出されるリスクを減らせます。

サ高住から追い出された場合、どうすれば良いですか?

まずは、施設側に退去勧告の理由を説明してもらうと良いでしょう。その上で、入居時に交わした入居契約書や重要事項説明書で退去勧告が妥当なものかを確認します。

不当な退去勧告であると感じた場合には公的機関を頼り、施設と交渉します。退去勧告が覆らない場合には、要介護度や本人の希望をもとに次の転居先を探すと良いでしょう。

監修者

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長会

斉藤 正行

一般社団法人全国介護事業者連盟理事長。立命館大学卒業後、複数の介護関連企業で要職を歴任し、日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。講演活動やメディア出演も多数。

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