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ユニット型特養とは?特徴やメリット・デメリット、従来型特養との違いを解説

「ユニット型特養とはどんな施設?」

「普通の老人ホームとはどこが違うの?」

このような疑問を持たれた人もいらっしゃることでしょう。

結論から申し上げますと、ユニット型特養は、自宅に近い環境で介護を受けられる特別養護老人ホームです。

ユニット型特養には、一般的な老人ホーム(従来型特養)と異なる点が複数存在しており、メリットとデメリット、両方があります。

本記事ではユニット型特養に関する特徴や、従来型特養との違いを解説します。

施設選びの参考になりますので、ぜひ最後までご覧ください。

ユニット型特養とは?

老人 認証

ユニット型特養とは、ユニットケアを取り入れた特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)のことで、新型特養とも呼ばれます。

1つのユニットは、おおむね10人から15人程度と少人数のグループです。(文献1)

ユニットケアとは、「居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位を一致させたケア」と定義されているケアです。(文献2)

ユニット型特養の特徴

認知症 夫婦

ユニット型特養の特徴は、主に以下の2つです。(文献3)

  • 居住形態
  • 職員の配置(人員配置基準)

それぞれ解説します。

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目次

居住形態

ユニット型特養の居室(部屋)は、以下の2タイプにわかれます。

  • ユニット型個室
  • ユニット型個室的多床室

ユニット型個室は、文字どおり完全個室です。

ユニット型個室的多床室は、多床室(相部屋)ではありますが、個室のように利用できるように工夫されています。各ベッドがカーテンや家具、ついたてなどで仕切られており、プライバシーが確保されています。

居室に加えて、共同生活室、いわゆる共有スペースが設定されている点も、ユニット型特養の特徴です。

職員の配置(人員配置基準)

入所者3人に対し1人の看護・介護職員を配置することに加えて、ユニットごとに1人以上の介護・看護職員を配置しています。(文献3)

ユニットごとに専任の職員が常駐しているため、入所者となじみの関係を作りやすい点が特徴です。

ユニット型特養の費用・相場

ユニット型特養の費用と関係して、要介護度別の介護保険サービス分自己負担額を表で示しました

多床室の自己負担額と比較しながらご覧ください。(文献4)

ユニット型個室 多床室
要介護1 20,100円(670単位×30日) 17,670円(589単位×30日)
要介護2 22,200円(740単位×30日) 19,770円(659単位×30日)
要介護3 24,450円(815単位×30日) 21,960円(732単位×30日)
要介護4 26,580円(886単位×30日) 24,060円(802単位×30日)
要介護5 28,650円(955単位×30日) 26,130円(871単位×30日)

施設の家賃や食費、水道光熱費などは、要介護度にかかわらず同じ金額です。

これらの金額は施設ごとに異なるため、入居前に問い合わせておきましょう。

医療費やおむつ代、日用品費は自己負担で、金額は一人ひとり異なります。

ユニット型特養のメリット

ユニット型特養のメリットは、主に以下の3つです。

  • 個別ケアを受けられる
  • 家族が面会しやすい環境である
  • 入所者同士によるなじみの関係が生まれる

それぞれ解説します。

個別ケアを受けられる

ユニット型特養では、一人ひとりの生活スタイルに合った個別のケアを受けられます。

主な理由は以下のとおりです。

  • 1ユニットが10人から15人程度と少人数である
  • 専任の職員が在籍している
  • 部屋が個室である

以上の理由から、職員が入所者一人ひとりに目を配りやすいといえるでしょう。職員と入所者との間になじみの関係が生まれやすい環境でもあります。

家族が面会しやすい環境である

ユニット型特養は個室もしくは個室的多床室であるため、プライバシーが確保されています。

そのため、家族も同室の入所者に気兼ねなく面会しやすい施設です。家族とのひんぱんな面会を希望する入所者にとっては、メリットといえるでしょう。

入所者同士によるなじみの関係が生まれる

ユニット型特養には共有スペースがあり、他の入所者と交流しやすい点が特徴です。部屋は個室ですが、孤独にならずに過ごせます。

1ユニットの人数も10人から15人程度と少人数であるため、従来型特養と比較して入所者同士の距離が近い状況です。

そのため、入所者同士によるなじみの人間関係を築きやすいでしょう。

ユニット型特養のデメリット

老人ホーム

ユニット型特養のデメリットは、主に以下の2つです。

  • 従来型特養より費用が高い
  • 人間関係のトラブルが起こりやすい

それぞれ解説します。

従来型特養より費用が高い

ユニット型特養のデメリットは、従来型特養と比較して、費用が高い点です。

理由は以下の2つです。(文献3)(文献4)

  • ユニット型特養が個室である
  • ユニット型と従来型では介護報酬が異なる

施設によって異なりますが、ユニット型特養は従来型特養より5万円程度高いといわれています。

老人ホームの費用が払えない場合の対応や各種助成制度については、以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。

関連記事:老人ホームの費用が払えない場合は生活保護を活用すべき?入居可能な施設の種類を解説

人間関係のトラブルが起こりやすい

入所者同士が近い距離感での生活は、メリットである反面、デメリットでもあります。

近い距離感での生活は、顔を合わせる回数や時間も多い状況です。そのため、人間関係のトラブルも発生しやすいといえるでしょう。

人間関係が原因で、退去を余儀なくされるケースもゼロではありません。

ユニット型特養と従来型特養との違い

高齢者

ユニット特養と従来型特養の違いを表で示しました。

ユニット型特養 従来型特養
居室形態 個室または個室型多床室

(共有スペースあり)

多床室

(共有スペースなし)

職員配置 少人数の入所者を決まった職員で介護する 多くの入所者を施設全体で構成された職員で介護する

プライバシー確保の点と、固定職員配置の有無が両者の違いといえるでしょう。

ユニット型特養と従来型特養の共通点

ユニット型特養と従来型特養の共通点は、主に以下の2点です。

  • サービス内容
  • 入居条件

それぞれ解説します。

サービス内容

食事や入浴、排泄といった日常生活に関する介助、機能訓練、レクリエーション活動などは、両者に共通したサービス内容です。

医師や看護師による健康管理及び緊急時対応も、ユニット型特養、従来型特養に共通しています。

入居条件

両施設とも、基本的には要介護3以上の認定を受けている人が対象です。

ただし特例があり、以下の状況に当てはまる場合は、要介護1もしくは要介護2でも入所が認められます。(文献5)

  • 重度の認知症がある場合
  • 家族による深刻な虐待が疑われる場合
  • 単身世帯もしくは高齢者世帯などの事情で家族による介護が困難である場合

要介護3の具体的な状況については、以下の記事にて解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:要介護3の状態とは?利用できる介護サービスや費用についても解説

まとめ|ユニット型特養と従来型特養の違いを理解して家族に適した施設を選ぼう

認知症 支援

ユニット型特養は、原則個室でプライバシーが確保されている施設です。

個別ケアを受けられることや、入所者同士および入所者と職員同士、なじみの関係を作りやすい点がメリットといえるでしょう。しかし、料金が高い、人間関係のトラブルも起こりやすいなどのデメリットがあります。

基本的なサービス内容や入所条件は両者とも共通していますので、入所される人やご家族の状況を考慮しつつ、適した施設を選びましょう。

介護施設選びでお悩みの人は、いいケアネットをぜひご利用ください。ご本人やご家族の希望に合った施設を、全国各地からお探しいただけます。

ユニット型特養に関するよくある質問

ここでは、ユニット型特養に関する質問を2つ紹介します。

ユニット型特養に向いているのはどんな人ですか?

一般的には、以下のような人がユニット型特養に向いているといわれています。

  • 老人ホームに入所しても1人の時間を大切にしたい人
  • 入所者一人ひとりの状況に応じたきめ細かなケアを受けたい人
  • 家族とのひんぱんな面会を希望する人
  • 経済的な余裕がある人

しかし、居住環境やケアの内容は実際に見てみないとわからない部分です。

入所先を決める前には、施設見学や体験入所をとおして、居住環境やケアの内容、施設の雰囲気などを把握しておきましょう。

見学や体験入居を通じて、「自分に合う」と実感できた施設に申し込むと良いでしょう。

体験入所実施の有無は施設によって異なるため、希望される場合は事前の問い合わせが必要です。

ユニット型の方が従来型よりも入居待ちが多いですか?

特別養護老人ホームはユニット型、従来型に関わらず入居待ちが多い状況です。ユニット型の方が入居待ちが多いといった明確なデータはありません。

施設によって待機者数や待機期間は異なるため、待機状況については、直接施設に問い合わせましょう。

施設に空きがないときの対応については、下記の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:介護施設に空きがないときの対処|希望の老人ホームに入れない理由を解説

この記事の監修者

いいケアネット事務局

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