介護が必要になったご本人やご家族にとって、介護老人ホームへの入居は大きな決断です。しかし、どんな手順を踏めばいいのか、どんなことに気をつければいいのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか?
今回は、介護老人ホームへの入居までの流れを、わかりやすく解説していきます。
大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。
老人ホームの入居までの流れと期間
老人ホームに入居するまでの期間は、一般的に約1ヵ月〜3ヵ月かかるといわれています。入居までの流れは、以下のようになります。
- 施設探し
- 資料(パンフレット)請求
- 見学でチェック
- 体験入居でチェック
- 仮申し込み
- 入居申し込みから入居審査、契約へ
- 入居準備と新しい生活へ
それぞれの流れを順番に解説します。
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1.施設探し
希望条件を整理したら、実際に施設を探してみましょう。施設を探す方法は、いいケアネットのような介護施設の情報サイトを利用したり、各地域の介護サービス情報サイトで検索できます。また、ケアマネージャーや地域包括支援センターで相談もできます。
2.資料(パンフレット)請求
気になる施設が見つかったら、まずはパンフレットを請求したり、実際に施設を見学してみましょう。パンフレットには、施設のサービス内容や費用などが詳しく記載されています。パンフレットは1つの施設だけ取り寄せても他との違いを比較検討することができないので、複数の施設から取り寄せてみることをおすすめします。パンフレットで料金や立地、建物の雰囲気、施設の運用方針への納得感などを確認します。
3.見学でチェック
施設見学をすることで、パンフレットだけでは分からない、施設の雰囲気やスタッフの対応などを確認できます。見学に行く際は施設との日程の調整など多少の手間がかかりますが、早めに複数の施設を予約しておくことで比較的スムーズに見学スケジュールを立てることができます。見学の際は、施設職員に許可をもらい、スマホカメラで撮影しておくと、家に帰ってから親族などに相談しながら検討することができます。いいケアネットでは相談から見学予約まで一括して行うことができます。
4.体験入居でチェック
一部の施設では、体験入居ができる場合があります。実際の施設での生活を体験することで、施設が本人様に合うのかを確認できます。実費の有無は施設により異なりますが、主に有料老人ホームで行われていて、1泊につき1万円前後程度で体験入居できます。
5.仮申し込み
施設見学が一通り終わったら、施設入居の申し込みです。この時に注意したいのが「申し込みをしても、すぐに入居できるわけではない」ということです。申し込みを終えた状態はいわば「仮押さえ」の状態です。仮押さえの間に入居に必要な書類の用意や、面談日時を施設側と決めます。
6.入居申し込みから入居審査、契約へ
仮申し込み後、入居したい施設であれば、入居申し込みを行いましょう。必要書類の準備として、身分証明書、介護保険証、診療情報提供書や健康診断書など、必要な書類を準備します。必要な書類は施設によって異なるので、施設に確認しながら進めましょう。
その後、施設の職員と面談を行い、入居に関する説明を受けます。面談が終わったら、施設によって入居審査が行われます。ここで検討される内容は主に、要介護度や健康状態、経済状況の3つです。
特に経済状況は、身元保証人の有無に重点が置かれます。後見人制度や民間の保証会社を利用することが可能なので、身元保証人がいない方は前もって、どのように身元保証をするか考えておくと良いでしょう。無事審査を通過すると入居契約を結びます。契約内容をしっかりと確認し、不明な点は質問しましょう。
7.入居準備と新しい生活へ
契約が完了したら、いよいよ入居の準備です。
衣類、洗面用具、寝具など、入居に必要な持ち物を準備します。施設によっては、部屋の模様替えなどが可能な場合があります。家具を適切に設置することで本人がトイレまでの手すりとして使用したりすることもできます。
他者と共用ができない衣類やタオルは当然として、カーテンやテレビ、洗濯機なども持ち込みの場合があるので、必ず施設側に必要な持ち物を確認しておきましょう。必要ない物を購入してしまうと余計な出費になってしまいます。
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老人ホームへの入居に必要なもの
老人ホームに入居する際は、必要書類とご本人が入居後に使うものを準備する必要があります。不備がないように、それぞれの必要なものを解説します。
入居契約時の必要書類
老人ホームへの入居契約を締結する際には、ご本人と身元引受人、双方の書類を準備する必要があります。ご本人に関しては、入居申込書や契約書はもちろんのこと、健康状態を施設側が正確に把握するための診療情報提供書が必要です。
診療情報提供書はかかりつけ医に作成を依頼する書類で、これまでの病歴や現在の治療内容が記載されており、適切なケアプランを立てるための重要な情報源になります。あわせて健康診断書の提出も求められます。
さらに、公的な身分を証明するために住民票、そして契約行為に必須となる印鑑と印鑑証明書も準備してください。介護サービスを受けるために必要な介護保険被保険者証や、医療費の精算に関わる健康保険証または後期高齢者医療被保険者証も契約時に提示が必要です。
一方で、身元引受人や連帯保証人の方にも、ご本人同様に住民票、実印、そして印鑑証明書のご用意が求められます。支払い能力の確認のために、源泉徴収票などの収入証明書の提出が必要となるケースも一般的です。
入居時に必要なもの
新しい生活を始めるにあたり、入居時に持ち込む身の回りの品々の準備も大切です。
日々の生活に欠かせない衣類は、普段着やパジャマ、下着や靴下などを季節に合わせて数組用意しましょう。履物については、施設内での転倒防止やリハビリのしやすさを考慮し、履き慣れた室内履きと、安全性の高い運動靴のような外履きがあると安心です。
洗面用具は、歯ブラシやコップといった基本的なものから義歯をお使いであればその洗浄剤など、ご本人が使い慣れたものを持参すると、日々の習慣を維持しやすくなります。
また、眼鏡や補聴器、日常的に使用している杖などの介護用品、そして重要な常備薬とお薬手帳は、真っ先に荷物に入れるべきものです。
老人ホームに入るタイミング
いつ老人ホームへ入居するかのタイミングは難しいと感じる方もいます。以下のようなタイミングが来たときは、老人ホームへの入居を検討してみましょう。
- 病院から退院するタイミング
- 介護の負担が大きくなったタイミング
- 同居家族がいなくなったタイミング
上記のタイミングで老人ホームへの入居を検討すべき理由を解説します。
病院から退院するタイミング
病気や怪我による入院治療を経て退院の目処が立ったときは、老人ホームへの入居を検討するタイミングです。
特に、脳梗塞の後遺症で麻痺が残ったり、骨折によって以前のように自立した歩行が難しくなったりした場合、ご自宅での生活に医療的なケアや専門的なリハビリが必要になります。
ご家族としても、退院日が決まると「自宅で介護できるだろうか」という不安に直面するため、入院期間中から退院後の生活を見据えて、候補となる施設のパンフレットを取り寄せる方がいます。
退院というタイミングは、ご本人の同意も得やすく、入居手続きを進めやすい最適な時期の1つです。
介護の負担が大きくなったタイミング
在宅での介護は、ご家族が担当するケースが一般的ですが、その負担が大きくなったタイミングで老人ホームへの入居を考えましょう。
認知症の症状が進行し、昼夜を問わず徘徊が見られたり、火の不始末の危険性が高まったりすると、介護するご家族は一瞬たりとも目が離せない状況になります。夜間の頻繁なトイレ介助によって慢性的な睡眠不足に陥り、日中の仕事や家事に支障をきたすことも珍しくありません。
また、入浴や移乗の介助は身体的に大きな負担となり、腰痛などを引き起こす原因にもなります。
専門的なケアを提供してくれる老人ホームへの入居は、入居するご本人とその家族、双方の生活を守るために重要な選択肢です。
同居家族がいなくなったタイミング
長年連れ添った配偶者に先立たれたり、これまで同居していた子どもが結婚や転勤で独立したりと、高齢のご本人が一人暮らしになるタイミングは老人ホームに入居するタイミングの1つです。
特に、身の回りの家事や金銭管理などを同居家族に頼っていた場合、急に全てを1人でこなさなければならない状況に、大きな戸惑いや不安を感じる方は少なくありません。
また、話し相手がいない寂しさから、心身の活力が低下してしまうことも懸念されます。
多くの同世代の入居者と交流でき、栄養バランスの取れた食事が提供され、24時間スタッフが常駐する老人ホームは、同居家族のいない高齢者が安心して生活できる場になります
老人ホームへの入居をスムーズにするために知っておきたいこと
老人ホームに入居する際、重要なのが費用と手続きです。入居直前に困らないように、知っておくべきことを解説します。
費用面について
費用には「上乗せ費用」と「横だしサービス費用」がかかる場合があります。
「上乗せ介護費」とは、介護保険など国が定めている介護体制以上の手厚い介護サービスを受ける場合にかかる費用のことです。「横出しサービス費」とは、病院の付き添いや買い物代行など介護保険適用外のサービスを利用する際に生じる費用のことです。これら費用をあらかじめ把握しておくことで、入居後にかかる費用を正確にシミュレーションすることができます。施設側に確認しておきましょう。
関連ページ:有料老人ホーム入居の一時金(前払金・入居金・敷金)や月額費用、契約について
関連ページ:介護費用や介護報酬、本人負担額について
時間が掛かる手続き
また、入居までの流れを逆算して動くために、事前にどうしても時間がかかる手続きを理解しておくとスムーズです。
申込みから入居までは仮押さえ期間となり、おおよそ1ヵ月の期間が必要となります。ほかにも、医療機関に書類の提供を求める場合に時間が掛かることが多く、必要な健康診断書を取得できるまでは2~3週間くらいかかると考えておくと良いでしょう。
関連記事:老人ホームに入れないのはなぜ?具体的な理由や入居待ち中にできること
老人ホームへの入居の流れとタイミングを覚えて安全に利用しよう
介護老人ホームへの入居は、ご本人やご家族にとって大きな決断ですが、事前にしっかりと準備することで、安心して新しい生活を始めることができます。また自分ひとりで判断せずに、家族や専門家などの意見にもしっかりと耳を傾けることで、重要事項の確認漏れなどを未然に防ぐことができます。入居後のトラブルを避けるためにも、契約書類のチェックは慎重に行いましょう。
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