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高齢者が食べられないときでも食欲を回復!すぐに試せる効果的な方法を解説

高齢者が食べられないときでも食欲を回復!すぐに試せる効果的な方法を解説

食事を食べられないという悩みは、高齢者が直面する大きな課題の一つです。食べることは生きることに直結します。高齢者が食べられないとき、それを見守る家族としては心配でならないでしょう。

この記事では、高齢者が食べられない主な原因から、食事を改善する方法、日常生活でできる習慣の見直し、さらには医療的ケアや施設入所の重要性まで、食欲を回復させるための具体的な方法を紹介します。

この記事を読むことで、あなたの大切な家族が、また食事を楽しめるようになるかもしれません。食欲回復のヒントを見つけましょう。

目次

高齢者が食べられない主な原因

高齢者が食べられない主な原因として、主に次の3つがあります。

  • 嚥下障がいと咀嚼困難
  • 味覚・嗅覚・視覚の衰え
  • 精神的ストレスと孤独感

以下で、それぞれ解説します。

嚥下障がいと咀嚼困難

加齢により咀嚼や嚥下機能が衰えることで、食べ物をうまく噛んだり飲み込んだりする能力が低下するため、食欲が減退する可能性があります。

例えば、ごはん粒がのどに詰まりやすく感じたり、水を飲む際にむせやすくなったりする状態には、十分に注意を払わなければいけません。うまく食べ物が飲み込めず、誤って気管に入ってしまい肺炎のリスクを高める可能性があります。これを「誤嚥」と呼びます。

また、これらの問題は正しいアプローチとケアで回復できることがあります。適切な介護や治療を施すことで、食事を楽しむ喜びを取り戻しましょう。

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味覚・嗅覚・視覚の衰え

高齢者が食事に対して関心を示さないのは、味覚、嗅覚、視覚の衰えが原因かもしれません。

味を感じる能力は、年齢と共に低下します。これは、舌にある味覚細胞の数が減少するためです。さらに、食べ物の風味を大きく左右する嗅覚も、加齢に伴って衰えることがあります。これらの要因が組み合わさって、食事への興味や食欲が落ちるのです。また、白内障が原因で食べ物が黄色く見える現象も、食欲減退につながることがあります。

これらが原因の場合、食事への興味を回復するためには、色鮮やかで香り高い食事の提供が有効です。さまざまな手法を試しながら、食事を楽しむきっかけを見つけることが大切です。

精神的ストレスと孤独感

高齢者が食べられない原因の一つに精神的なストレスや孤独感があります。年齢を重ねるにつれて、身近な人との死別や環境の変化、一人暮らしで感じる孤独感などが、一人での食事の寂しさとして現れることがあります。

例えば、親しい友人との死別や、長年連れ添った配偶者を亡くした後、食事の時間が一番孤独を感じやすい時です。また、入院や施設入所といった大きな生活環境の変化により、食べることへの興味が失われるケースもあります。

食欲不振の原因は、主に物理的な問題にあると思われがちですが、心の状態も大きく関わっています。精神的な問題を理解することは、高齢者が食べられない状態を改善する手助けになります。

高齢者が食べられないときの食事改善法

高齢者が食べられないときに食欲を回復するための、食事改善法として次の3つを意識してみましょう。

  • 栄養価が高い食材をバランスよく選ぶ
  • 食事の食べやすさを改善する
  • 補助食品とサプリを利用する

以下で、それぞれ解説します。

栄養価が高い食材をバランスよく選ぶ

高齢者が摂取する食事にはバランスよく栄養価が高い食材を選ぶことが大切です。高齢者は、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しがちであり、水分不足にもなりやすい傾向にあります。

具体例を挙げますと、高たんぱくな鶏ささみや豆腐、ビタミンを豊富に含む緑黄色野菜、食物繊維が多い果物や全粒穀物、そして十分な水分補給を心がけることが推奨されます。

健康維持と食欲促進のためには栄養バランスが欠かせません。高齢者には栄養価が高く、バランスの取れた食事を選ぶことが重要です。

食事の食べやすさを改善する

食事の食べやすさの改善が、高齢者の食欲回復には重要です。具体的には、肉はやわらかい部位を選び、野菜は旬のものを、魚は身がやわらかくほぐしやすい種類を選びましょう。

例えば、牛肉や豚肉の場合、加熱すると硬くなる赤身よりも霜降りのやわらかい部位が適しています。鶏肉は皮を取り除くことで、余分な脂肪を避け、消化を助けることができます。魚では、マグロやはまち、ホタテのように、もともと身がやわらかく、ほぐしやすい種類が望ましいです。野菜に関しても、できるだけ旬のものをやわらかくして、高齢者にとって食べやすい状態にすることが必要です。

肉や魚、野菜の選び方にこだわることは面倒に感じるかもしれませんが、高齢者の栄養状態を改善するためには効果的な方法です。食材の質に注意を払い、高齢者が食べられないときの食欲回復を促しましょう。

補助食品とサプリを利用する

上記のような調理が負担になるときは、市販のレトルト食品を活用してもよいでしょう。また、食事に偏りが生じる場合は、栄養補助食品や医薬部外品を取り入れてみるのも一つの方法です。

例えば、噛む力が弱くなった人でも食べやすいように工夫されたレトルトの介護食があります。また、溶けやすい栄養補助食品や飲み物タイプの医薬部外品も、食欲がないときの良い選択肢となります。

補助食品とサプリの活用に対して疑問を持つ方もいるかもしれませんが、栄養面でのバランスを考えた適切な商品選びを行えば、高齢者の健康維持に有効です。調理が負担だと感じるときは、市販のものを上手に活用して継続的に食生活の改善を図りましょう。

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日常生活での習慣を見直して食欲を向上させる方法

日常生活での習慣を見直して食欲を向上させる方法

ある程度、食事が摂れるようになってきたら、食欲低下を再発させないためにも、次のような生活習慣の見直しを行っていきましょう。

  • 適度な運動で代謝を高める
  • 趣味や友人との交流をもつ
  • 規則正しい生活リズムを確立する

以下で、それぞれ解説します。

適度な運動で代謝を高める

適度な運動は、高齢者の食欲を向上させるポイントとなります。運動量が不足すると、消費されるエネルギー量が減ってしまい、それが食欲の低下に直結するからです。

例えば、簡単なストレッチや軽い散歩を日課にするだけでも、体の代謝機能が活発になり、食べ物への欲求が自然と高まります。

高齢者にとって運動は負担になると考えられがちですが、できる範囲で体を動かし、適度な活動量を見つけることが大切です。

趣味や友人との交流をもつ

趣味や友人との交流は、高齢者の食欲向上に役立ちます。人との繋がりは心を満たし、食べる楽しみを再発見させる原動力となるからです。

例えば、共通の趣味を持つ仲間との会話により、活気が出て、食欲が回復することがあります。また、家族や友人との食事の時間は、食べることそのものよりも、共に過ごす時間の喜びを感じさせてくれます。

良好な人間関係を維持することは、精神的、そして肉体的健康にとって非常に重要です。趣味や友人、家族とのコミュニケーションは、食欲を含む高齢者の生活全般の質を向上させる有効な手段といえるでしょう。

規則正しい生活リズムを確立する

規則正しい生活リズムを確立することも、高齢者の食欲回復に有効です。生活リズムを整えることで活動量が増えやすくなり、食欲の向上につながります。

食事は朝昼晩、3食決まった時間に提供するとよいでしょう。食べられないときは1回の食事量を減らし、少しずつでも3食食べることがポイントです。食生活にルーティンを持たせることで、体内時計が整い、それが活動的な日中を過ごす手助けとなり、結果として食欲増進へ繋がります。

ただし、認知症による昼夜逆転がみられる場合は、医療的な介入が必要になることもあります。規則正しい生活リズムが確立できるようにサポートしましょう。

医療的ケアで食欲不振と向き合う

ここまで解説した方法を試しても食べられない状態が改善しない場合、何かしらの病気が関係している可能性があります。

以下では、医療機関の受診や施設入所の重要性について解説していきます。

医療機関を受診する

高齢者の食欲不振には様々な原因がありますが、その中には病気が影響していることも少なくありません。高齢者が食べられない状態が長く続くようなら、医療機関での受診を検討することが大切です。

例えば、胃炎や消化管の問題が原因で食欲が落ちている場合、適切な治療によって症状が改善されることがあります。また、精神的な健康問題が根底にある場合も、精神科や心療内科の専門医の診察を受けることで、根本的な原因を解決に導くことが可能です。

食べられない状態が長期間に及んだ場合は、その背景に病気が関連している可能性があることを念頭に置いて、早めに医療機関を受診しましょう。適切な医療のサポートを受けることで、食欲不振の原因に対処し、健康的な日常生活を取り戻す手助けとなります。

専門家による日常的な栄養管理〜施設入所の重要性〜

自宅での継続的な医療的ケアや栄養管理は、家族にとって大きな負担となります。少しでも負担を感じたら、無理をせず早めに介護施設への入所を検討しましょう。

介護施設では、適切な食形態と栄養バランスの取れた食事の提供、定期的な健康チェックなど、介護施設では専門のスタッフが24時間体制で支援しています。

施設入所により、高齢者本人の栄養状態の改善はもちろん、家族も精神的・時間的に余裕を持つことができます。施設へ入所させることに罪悪感を抱くかもしれませんが、家族に大きな負担がかかる状態を長く続けるべきではありません。

施設入所は大切な家族の健康や、幸せのために最適な選択肢となるでしょう。

高齢者が食べられないとき食欲を回復する方法【まとめ】

では、今回のまとめです。

高齢者が食べられないとき食欲を回復する方法としては、まず栄養価が高い食材をバランスよく選び、食事の食べやすさを改善してみましょう。栄養の偏りがある場合は、補助食品とサプリを利用するのも有効です。

また、生活習慣の見直しも大切です。適度な運動、他者との交流、規則正しい生活は、食欲回復だけでなく健康的な生活に欠かせない要素です。

食べられない状態が続くときは、医療機関の受診が必要です。継続的な医療的ケアや食事管理が負担に感じるときは、施設入所を早めに検討しましょう。

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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