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大人の食べこぼしの原因は?嚥下(えんげ)障害の症状や対処法も解説

介護中の方のなかには、「食べこぼしが増えた」「口に入れた食べ物をうまく飲み込めない」など、食事の様子が気になる方もいるでしょう。

大人の食べこぼしは、嚥下(えんげ)障害のサインです。高齢者に多い嚥下障害は、命に関わる重大な問題です。

そのため、家族の嚥下障害に悩み、食事のたびにハラハラする方も少なくありません。高齢の家族に食事を楽しんでもらうためには、対処法や介助のポイントを理解しておく必要があります。

今回は、大人の食べこぼしの原因や対処法を詳しく解説します。食事介助のポイントを理解して負担を軽減したい方は、ぜひ参考にしてください。

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大人の食べこぼしは嚥下(えんげ)障害のサイン

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嚥下障害とは、簡単にいうと食べ物を飲み込みにくくなる状況を指します。食べ物を口に入れ、きちんと咀しゃくしたものの、うまく飲み込めない高齢者は少なくありません。

食べこぼしが増えると、食事に対してネガティブな気持ちを抱える高齢者も多く、結果的に食事が進まず、栄養不足・脱水症状に陥る可能性も考えられます。

また、スムーズに嚥下できないと窒息のリスクも高まります。そのため、介護者は常に様子を見ながら食事をサポートしなければならず、介護負担が大きくなりがちです。

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目次

嚥下障害の主な症状

嚥下障害の主な症状は以下の通りです。

  • 食事中にむせる回数が多い
  • 固形物を避けるようになる
  • 食事に疲れて最後まで食べきれない
  • 口から食べ物をこぼす
  • 食事後に痰がからんだり、声が枯れたりする
  • 食べ物を口の中に溜めっぱなしにするケースが増える

上記の症状が見られるようになった場合は、嚥下障害の疑いが強いといえます。
「食べ方が変わった」「気になる部分が増えた」など、心当たりがある場合は早めに専門機関を受診しましょう。

いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。嚥下障害が疑われる場合でも安心して利用できる施設を紹介しているので、ぜひ気軽にご相談ください。

大人の食べこぼしの原因

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高齢者に多い嚥下障害は、何が原因なのでしょうか。
以下で、大人の食べこぼしの具体的な原因を解説していきます。

病気や薬による影響

大人の食べ残しの原因としてまず挙げられるのが、病気や薬の影響です。

病気によって筋肉がうまく機能せず、飲み込む力に問題が起きてしまう場合があります。とくに、脳卒中やパーキンソン病を経験した高齢者は、嚥下障害に陥りやすいため注意が必要です。

また、仮に病歴がなくても、向精神薬や鎮痛剤などを服用していると、成分の影響によって各器官がスムーズに動かなくなるケースも珍しくありません。薬による影響を減らすためには、医師と相談して服用薬を見直す必要があります。

加齢による筋力の低下

加齢による筋力の低下も、大人の食べこぼしの原因の一つです。
筋力の低下は、必ずしも腕や足といったわかりやすい部分だけに見られるわけではありません。

年齢を重ねると、飲み込みに必要な筋肉や神経も衰えていきます。飲み込む動作は、口膣や喉、食道の筋肉によって成り立っているため、それぞれの筋力が低下すると食べこぼしにつながります。

食べこぼしが増えたと感じたら、飲み込む力に必要な筋肉が機能しているか、定期的に確認してください。

器官部分の炎症や腫瘍

大人の食べこぼしの原因として、器官の炎症や腫瘍が挙げられます。食べ物を飲み込む際は、喉や食道などのさまざまな器官の働きが必要です。

しかし、器官が炎症を起こしていたり、腫瘍ができていたりすると、スムーズな飲み込みが難しくなります。

また、食べこぼしの原因になるのは、必ずしも重度の炎症や腫瘍だけではありません。口内炎や咽頭炎など、比較的軽度な炎症や腫瘍であっても、嚥下障害につながる場合があるため注意が必要です。

精神的な問題

精神的な問題が影響して、嚥下障害を引き起こす場合があります。精神的な問題は食欲を低下させます。実際に、「ストレスが原因で食が進まない」「うつ病を患っていて食事に対する関心が薄くなっている」といったケースも珍しくありません。

食欲が低下すると、食事を飲み込むときに力が入らず、食べこぼしにつながります。また、精神的なストレスが高まると、喉に違和感を覚えたり引っかかりを感じたりして、スムーズな飲み込みが難しくなる場合もあります。

食べるときの姿勢の悪さ

食べるときの姿勢の悪さも、食べこぼしの原因の一つです。とくに高齢者は、体力の衰えや関節の可動域の狭さによって、食事中に姿勢が崩れやすくなります。

たとえば、食事中に前かがみの姿勢になると、喉が圧迫されて飲み込みが難しくなります。また、寝たきりの状態にある場合は、食べ物が喉に入るタイミングが遅れてしまうと、誤嚥のリスクが高まるため注意が必要です。

姿勢の悪さが原因で食べこぼしが増えている場合は、少し工夫するだけで改善が可能です。

食器の使いづらさ

食器の使いづらさも食べこぼしに影響を与えます。手の力が弱くなっていたり、手先の器用さが失われていたりする場合、食器を持つことは簡単ではありません。

実際に、重くて持ちにくい食器は落としやすく、食事を口へ運ぶ・飲み込むといった動作に意識を向けられなくなります。

長年にわたって同じ食器を使用している場合でも、食べこぼしが増えたと感じたら、一度見直してみてください。なお、食器の使いづらさのほか、テーブルと椅子が合っていないケースも食べこぼしにつながる場合があります。

大人の食べこぼしの対処法

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大人の食べこぼしは、どのように解決すれば良いのでしょうか。
ここからは、具体的な対処法について詳しくご紹介します。

身体的な訓練に取り組む

食べこぼしを予防するために、、まずは身体的な訓練を実施してみましょう。専門的なリハビリテーションや訓練に取り組むことで、嚥下機能の向上が期待できます。

舌や頬、喉の筋肉を鍛え直すためには、舌を上下左右に動かしたり、口をすぼめて開いたりする練習などの基本的な口膣体操が効果的です。

ほかにも、呼吸法の訓練や嚥下反射訓練など、スムーズな飲み込みを促すためのトレーニングはさまざまなものがあります。

ただし、身体的な訓練には専門機関のサポートが必要です。、独断での訓練は危険が伴うため、必ず医療機関に相談した上で進めてください。

嚥下訓練の一つであるパタカラ体操については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:嚥下訓練のパタカラ体操とは?効果や目的・具体的なやり方を解説

リラクゼーションを取り入れる

大人の食べこぼしを予防するために、リラクゼーションを取り入れる方法もあります。

ストレスや体の緊張によってスムーズに嚥下できていない場合には、マッサージやストレッチなどをして、喉や首筋を軽くほぐすと効果的です。また、食事前に深呼吸を取り入れると、心身のリラックスにつながります。

体をリラックスさせた状態で食べることで、飲み込みやすさの改善が期待できます。

食欲を向上させる方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:高齢者が食べられないときでも食欲を回復!すぐに試せる効果的な方法を解説

症状に合わせた食事に切り替える

嚥下障害が疑われる場合には、むやみに固形物を与えず、症状に合わせて飲み込みやすい食品に切り替えましょう。

とろみのある食品やゼリー状の食品は、嚥下障害の方でも飲み込みやすく、食事における負担が軽減します。

また、食材をそのままの大きさで与えるのではなく、食べやすくするために細かく刻んだりつぶしたりするといった工夫も必要です。できるだけ柔らかい食事に切り替えることで、食べこぼしの防止につながります。

咀しゃくしやすい食事づくりのポイントを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:咀しゃくしやすい介護食を作るには?考え方のポイントと基本の作り方

食べるときの姿勢を改善する

食べるときの姿勢を正すと、食べこぼしの防止につながります。食事の飲み込みをサポートするための姿勢として、以下のポイントをチェックしてみてください。

  • できるだけ背筋を伸ばして座る
  • クッションを使用して体が前かがみにならないようにする
  • 両足が床についていない場合は踏み台を使用する
  • 食器と口の距離を離しすぎないようにする
  • 適切なサイズの車椅子を使用する(車椅子に座って食事する場合)

食べこぼしを予防するためには、正しい姿勢で食べることが大切です。また、喉に食べ物が詰まったり、誤嚥を引き起こしたりしないよう、ゆっくりと時間をかけて食事しましょう。

使いやすい食器を使用する

使いやすい食器の使用も、食べこぼしの対処法の一つです。

どのような食器を選べば良いか迷う場合は、自助食器の使用をおすすめします。自助食器とは、手先が不自由な方が使いやすいように設計されている食器やカトラリーのことです。

また、子どもやベビー向けの食器も軽くて使いやすく、手軽に手に入れられるメリットもあります。

コップについても、ストロー付きや口に運びやすい形状のものを選びましょう。なお、吸う力が弱い場合は、ストローをうまく使えないため摂取方法の工夫が必要です。

食べこぼしが多い大人の食事を介助する際のポイント

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食べこぼしを予防するためには、食事介助のポイントを押さえておく必要があります。

食事前
  • 椅子や車椅子に座らせる
  • ベッドの場合は上半身を起こす(可能であれば)
  • 十分な時間を確保する
  • テレビやラジオを消す
  • エプロンを使用する
食事中
  • 最初に水分を取る
  • 一度に口へ運ぶ量を少なくする
  • 飲み込み終えたことを確認してから次の食べ物を口に入れる
食後
  • 食べ物が口内に残っていないか確認する
  • 30分程度は食事中の姿勢を保つ
  • 食事の量や内容を記録する

食べこぼしを減らし、安全に食事をするためには、介助者による配慮が不可欠です。必要に応じて、看護師や言語聴覚士、ケアマネージャーなどに相談しながら、介助の仕方を工夫しましょう。

いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。大阪を中心に全国各地の施設を紹介しているので、入所を検討している方は気軽にご相談ください。

大人の食べこぼしは原因を見つけて適切に対処しよう【まとめ】

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大人の食べこぼしは、嚥下障害のサインの一つです。嚥下障害は患者の日常生活に影響を与えるだけではなく、介護者にとっても負担が大きくなります。

食事量の低下や誤嚥のリスクは、患者本人の健康や安全に関わる重要なものです。そのため、食べこぼしが増えた場合は、原因を特定して対策を講じる必要があります。

食べこぼしを予防するためには、正しい姿勢を維持できるよう工夫したり、必要な訓練をしたりするなど、さまざまなアプローチが可能です。一つひとつ対策していくと、快適で安全な食事環境につながります。

なお、嚥下障害が疑われる場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、専門医や言語聴覚士に相談してください。

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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