家族がパーキンソン病と診断を受けたときに「施設にはいつ入居させる方が良いのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
結論、パーキンソン病の家族を施設に入れるのにベストなタイミングは以下のとおりです。
- 介護する側の負担が大きくなったとき
- 日常生活に支障が出始めたとき
- 本人の重症度がⅢ度に達したとき
本記事では、パーキンソン病の家族を施設に入れるベストなタイミングとともに、施設選びのポイントや施設に入るのを嫌がられたときの対処法も紹介します。悔いなく、家族を施設に入れたいと考えられている方は、最後までご覧ください。
パーキンソン病の家族を施設に入れるベストなタイミング3選
まずは、パーキンソン病の家族を施設に入れるベストなタイミングを紹介します。以下の3つに該当する場合は、早めに施設への入所を検討しましょう。
- 介護する側の負担が大きくなったとき
- 日常生活に支障が出始めたとき
- 本人の重症度がⅢ度に達したとき
それぞれ詳しく見ていきましょう。
介護する側の負担が大きくなったとき
在宅介護になると、家族や同居人がパーキンソン病の家族を24時間体制でサポートしなければなりません。しかし、24時間体制で見守り続けるのは大きな負担が伴います。
とくに、介護生活が長期間にわたると患者との関係が悪化してしまうこともあり、無理して在宅介護を続けるべきではないかもしれません。
また、パーキンソン病の方の中には精神的な問題を抱えているケースも多くあります。メンタルケアをはじめとした介護以外の部分でも配慮が求められます。介護者にとっては、身体的・精神的に非常に負担となります。
限界を感じる前に、専門施設への入居を検討してみましょう。
日常生活に支障が出始めたとき
パーキンソン病の方の多くは、できる限り普段通りの日常生活を送りたいと願っています。しかし、病気が進行すると運動機能や感覚機能に支障をきたし、従来の生活を維持するのが難しいケースがあります。
とくに以下のような場合は、早めに施設への入所を検討しましょう。
- 転倒リスクが高まった
- 認知機能が下がった
- 排泄介助が必要になった
以上のように、日常生活に支障が出ると、介護者の負担は非常に増えます。施設に入れば、24時間体制で介護を受けられるので、検討してみてください。
本人の重症度がⅠ〜Ⅱ度であるとき
パーキンソン病で施設への入居を考え始めるタイミングは、症状の進行度を示す指標である「ホーン&ヤール重症度」においてⅠ度~Ⅱ度の段階が目安です。
「ホーン&ヤール重症度」では、重症度が以下の5段階に分けられています。
段階 | 特徴 |
Ⅰ度 | 体の片側だけに震えや筋肉のこわばりが見られる。体の障害はほぼなく、軽度である。 |
Ⅱ度 | 両側に震えや筋肉のこわばりが見られ、生活や仕事がやや不便になる。 |
Ⅲ度 | 小刻み歩行やすくみ足が現れ、転倒しやすくなるが、介護なしでも日常生活が可能。職種によっては仕事も続けられる。 |
Ⅳ度 | 立ち上がりや歩行が困難になり、多くの場面で介助が必要になる。 |
Ⅴ度 | 車いすやベッド上での生活が中心となり、寝たきり状態になることが多い。 |
Ⅰ度~Ⅱ度の段階は生活や仕事に多少の不便が生じるものの、自立できる部分も多く、軽度とされています。できればこのフェーズから、貯蓄や年金で利用できる施設を調べたり、資料請求をおこなったりして行動を始めましょう。
パーキンソン病の家族が入居するときの施設選びのポイント
パーキンソン病の家族が入居する上での施設選びには、いくつかのポイントがあります。具体的には以下のとおりです。
- 介護サービスが充実しているか
- 24時間の医療体制があるか
- リハビリ設備が充実しているか
- スタッフの対応は親切か
- バリアフリー設計になっているか
以上の項目を施設選びの参考にしてみてください。
介護サービスが充実しているか
1つ目のポイントは、介護サービスが充実しているかどうかです。
パーキンソン病は進行性の疾患であり、自立した生活が可能な段階から、少しずつ介助が必要な状態へと変化していきます。最終的には車椅子やベッドでの生活が中心になるため、食事介助や排泄介助などの介護サービスが充実している施設を選ぶようにしましょう。
24時間の医療体制があるか
2つ目のポイントは、24時間の医療体制があるかどうかです。
パーキンソン病が進行すると、歩行や日常の動作が困難になり、やがて自立した生活も難しくなります。これまでおこなえていた動作も、症状の悪化とともにできなくなっていくのです。
24時間体制の医療ケアがある施設なら、夜間や早朝などの時間帯でも不安を感じにくく、常駐しているスタッフから適切なサポートを受けられます。
リハビリ設備が充実しているか
パーキンソン病の治療には、投薬治療に加えてリハビリテーションが欠かせません。以前は症状が進行してからリハビリをおこなうのが一般的でしたが、現在では早い段階からリハビリが積極的におこなわれています。
施設を選ぶ際には、以下のポイントを確認してみてください。
- 歩行をサポートする空間が整っているか
- 手すりやエアロバイクなどの設備が充実しているか
- パーキンソン病の方に適したリハビリプログラムが提供されているか
パーキンソン病が進行すると運動不足に陥りやすいため、体力や筋力を維持するためにもリハビリはとても重要です。
スタッフの対応は親切か
介護施設は長期的に生活する場所であるため、居心地の良さが重要です。他の入居者との関係が良好であり、スタッフが親身に接してくれる施設であれば、不安なくケアを受けられます。
近年では、介護スタッフや作業療法士、医療従事者が連携するチームケアを導入している施設もあります。施設を選ぶ際には、異なる職種のスタッフ同士で十分なコミュニケーションがとられているかも確認しましょう。
バリアフリー設計になっているか
パーキンソン病の方の転倒やケガを防ぐためには、バリアフリー設計の施設を選ぶことも重要です。パーキンソン病は症状が進行すると、姿勢保持障害となり、転倒リスクも高まります。
廊下に段差がない、滑りにくい床材が使用されているなど、安全面に配慮された環境であれば、転送する不安もなく生活を送れます。
パーキンソン病の家族が施設に入るのを嫌がったときの対処法
パーキンソン病の方は認知症の方とは異なり、意識がはっきりしています。そのため、施設に入れたい旨を話すと嫌がられるケースもあります。
施設への入所を嫌がったときの対処法は次の3つです。
- 家族の愛情を伝える
- 第三者から説明してもらう
- まずはショートステイから始めてみる
当事者・介護者のいずれも心身穏やかに暮らせるように、紹介する方法を試してみてください。
親を施設に入れる手順は5ステップ|入居を嫌がる親の対処法も解説
家族の愛情を伝える
パーキンソン病の親が施設への入所を嫌がる場合、まずは愛情がある旨を伝えた上で話し合いを進めましょう。親にとって、子どもから見捨てられるとの不安が施設入所への抵抗感につながるケースが少なくありません。
たとえば、「いつまでも元気でいてほしいから施設での生活を考えてほしい」「不安なく毎日を暮らしてほしい」との気持ちを正直に話してみましょう。決して親を見捨てるわけではないことを理解してもらいやすくなります。
親が「子どもに見放されるのでは」と恐れを感じている場合には、子ども自身の愛情をしっかりと伝えながら説得を試みましょう。
第三者から説明してもらう
親が「自分はまだ大丈夫」と感じ、施設への入所を拒む場合には、家族ではなく第三者から話してもらう方法も効果的です。
とくに、子どもが介護を担っているケースでは、子どもに弱い部分を見せたくないとの気持ちから「まだ自分でできる」と見栄を張る場合が多くあります。医師やケアマネージャーなどの第三者が状況を冷静に説明すれば、現実を受け入れやすくなります。
まずはショートステイから始めてみる
どうしても施設入所に対して拒否される場合、ショートステイを活用して少しずつ慣れてもらう方法もあります。
高齢の親世代では、介護施設に対して「集団で管理される場所」とネガティブなイメージを抱いている場合も少なくありません。ショートステイを利用すれば、施設環境へのイメージのギャップを解消できる可能性があります。
「施設はどんな場所かわからない」「慣れない環境が怖い」などの理由で入所を拒んでいる場合、ショートステイから始めて、段階的に施設生活に慣れてもらうのもひとつの手です。
パーキンソン病家族の受け入れ施設を探すならいいケアネットで
パーキンソン病の家族がいる場合の施設探しには、いいケアネットの活用がおすすめです。
いいケアネットでは2024年12月時点で、パーキンソン病患者の受け入れ可能な老人ホーム・介護施設が4,177件あります。地域以外にも、月額費用や施設種別などの細かい条件も設定して検索できるので、本人に合った施設がきっと見つかります。
また、専用のフォームに簡単な情報を入力すれば、無料相談も受けられます。専門の相談員が本人・家族さまにも丁寧にヒアリングをしているので、ぜひ活用してみてください。
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パーキンソン病の家族を施設に入れるタイミングは本人が納得してから
パーキンソン病の親を施設に入れるタイミングは、家庭の事情や本人の症状により大きく異なります。ただし、一般的には以下のようなタイミングで入所しましょう。
- 介護する側の負担が大きくなったとき
- 日常生活に支障が出始めたとき
- 本人の重症度がⅢ度に達したとき
パーキンソン病は、運動障害を引き起こす進行性の神経疾患であり、震えや体の硬直、動作の遅さなどの症状が特徴です。これらの症状は徐々に進行し、やがては日常生活に支障をきたします。症状が重くなる前に施設に入りたい場合は、比較的早めに入居できる施設選びがおすすめです。
いいケアネットでは、専門の相談員が親身に相談に乗り、適切な施設を無理なく紹介します。複数の施設とやりとりする必要がなくなり、窓口も一本化できるので、忙しい方も余計な手間をかけずに希望に合う施設を見つけられます。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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