「グループホームとはどのような施設のこと?」「サービスの内容は?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
認知症のケアが必要な高齢者が入居できる施設は複数あるため、グループホームと他の施設との違いが分かりにくいと感じることもあるでしょう。
グループホームとは認知症の方が集団生活を送るための施設で、5~9人制の少人数制が一般的です。
認知症ケアに特化したサービスを提供しており、利用者の生活の質の向上や、症状の進行緩和が期待できます。
この記事では、グループホームの特徴や入居条件、他の介護施設との違いを解説します。
記事を読むことで、グループホームに関する基本情報を簡単に把握し、安心と納得の介護施設選びを実現しましょう。
グループホームとは「認知症の方が集団生活を送るための施設」
グループホームとは、簡単にいうと「認知症の高齢者が専門的な介護スタッフのケアを受けながら共同生活を送る小規模な施設」です。
介護の必要な高齢者が、地域社会に溶け込みながら生活できる環境を理想としています。
グループホームは、介護保険法に基づき「認知症対応型共同生活介護」の指定を受けた施設であり、認知症の方に適した環境を提供しています。
アットホームな雰囲気の中で、利用者同士が馴染みの関係を築きながら生活できるような介護サービスを受けられるのが特徴です。
参考:公益社団法人|日本認知症グループホーム協会|グループホームとは?
1ユニットあたり5~9人制の少人数制
グループホームでは、1ユニットの定員が5〜9名という少人数制を採用しています。
この仕組みにより、利用者は家庭のような温かみのある環境で生活できるのがメリットです。
少人数だからこそ、個々の利用者に対するケアが細やかになり、認知症の方が落ち着いて生活できるように配慮されています。
利用者本人だけでなく、ご家族も安心して介護を任せられる環境といえるでしょう。
参考:厚生労働省|認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症ケアに特化したサービス
グループホームでは、認知症ケアに特化した介護サービスを提供しています。
食事の準備や洗濯など、日常生活の中で役割を持ちながら活動することにより、利用者の生活意欲の向上と認知症の進行緩和が期待できます。
具体的な支援サービスは下記のとおりです。
- 食事提供
- 生活相談
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助
- 掃除
- 洗濯、買い物代行
- レクレーション
グループホームのスタッフは、利用者が可能な限り自分のことは自分で行うように支援し、生活リハビリを通して自立を促します。
家庭的な雰囲気の中での生活は、利用者のメンタルケアにも繋がり、生活の質の向上につながるでしょう。
料金体系は「初期費用」と「月額費用」に分かれている
グループホームの料金体系は、入居時に支払う「初期費用」と毎月支払う「月額費用」に分かれています。
初期費用には敷金(退去時の原状復帰のために預けるお金)が含まれています。
一方、月額費用には介護サービス費、賃料、管理費、食費、水道光熱費、レクリエーション費などが含まれ、介護保険の自己負担額も加味されます。
料金は施設によって異なるため、具体的な費用については事前にしっかりと確認しましょう。
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グループホームに入居できる人の条件
グループホームに入居できる人の一般的な条件は以下の3つです。
- 医者から認知症と診断された人
- 原則65歳以上で「要支援2または要介護1~5の認定を受けている」人
- 問題なく集団生活を送れる人
- グループホームの施設と同一の市町村に住民票がある人
本章を参考に、グループホーム入居に向けた準備を進めましょう。
医者から認知症と診断された人
グループホームに入居するためには、まず専門医による認知症の診断が必要です。
グループホームは認知症の方々向けに特化した介護サービスを提供する施設であるため、必須とされている条件です。
診断を受けるには、内科や神経内科、精神科などで認知症専門の医師の診察を受けましょう。
診断後、要介護認定で要支援2以上であれば、グループホームへの入居が可能になります。
原則65歳以上で「要支援2または要介護1~5の認定を受けている」人
グループホームへの入居には年齢制限があります。原則65歳以上の方が対象ですが、40歳から64歳の間で特定疾病を持つ方も入居可能です。
また、要介護度による制限もあります。要介護1から5の認定を受けていること、または要支援2であることが条件です。要介護認定を受けたい場合は、各自治体の福祉課や地域包括支援センターへ相談しましょう。
グループホームに入れる条件 | 詳細 |
年齢 | ・65歳以上
・40歳から64歳の間で特定疾病を持つ人 |
要介護度 | 要介護1から5の認定を受けていること、または要支援2 |
問題なく集団生活を送れる人
下記に当てはまる利用者は、グループホームへの入居を断られる可能性が高いです。
- 自傷行為や暴言・暴力行為がある
- 重度の医療的ケアが必要となった
- 利用料金が支払われない
- 長期入院をする
- 居室に持ち込み不可の物などを持ち込んでいる など
各事業所ごとにもルールが変わってくるため、具体的な条件は事前に施設へ確認しておきましょう。
グループホームで問題なく暮らすにはどうしたらいいのか悩んでいる人は下記記事をチェックしてみましょう。
関連記事:認知症グループホームから追い出される!?|理由や対処法を徹底解説
グループホームの施設と同一の市区町村に住民票がある人
グループホームは地域密着型サービスに分類されるため、利用者の住民票がある市区町村と同一のエリアにある施設のみ入居できます。
地域密着型サービスとは、要介護の高齢者が住み慣れた地域で生活できるように誕生した介護サービスです。
グループホームを探す場合は、基本的に利用者の住民票がある市区町村と同じエリアのグループホームを探しましょう。
ただしやむを得ない事情がある場合は、住民票があるエリア以外の施設に入居できるケースもあるため、入居を希望する際、施設側に相談することをおすすめします。
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グループホームも含まれる地域密着型サービスの詳細をもっと知りたい人は下記記事もチェックしてみましょう。
関連記事:地域密着型サービス9種類一覧|利用条件・サービス内容を解説
グループホーム選びのポイント
グループホーム選びのポイントはいくつかありますが、主に次の3つが挙げられます。
- 地域や立地条件を考慮する
- スタッフの資格と対応力をみる
- 口コミや評判をチェックする
以下で、それぞれ解説します。
グループホームの探し方が不安な人は、下記記事もチェックしましょう。
関連記事:介護サービスや老人ホームを探すときに気をつけたいこと
地域や立地条件を考慮する
グループホームを選ぶ際には、地域や立地条件を重視することが大切です。
利用者がこれまで住んでいた地域から離れず、親しい人々とのつながりを維持できる場所を選ぶのが理想的でしょう。
地域密着型のサービスを提供するグループホームは、住み慣れた環境での生活をサポートし、認知症の方に大きな安心感をもたらします。
また、地域の方々との交流を通じて、利用者が社会参加を続けられるような施設は、利用者にとっても魅力的といえるでしょう。
スタッフの資格と対応力をみる
スタッフの資格や対応力は、グループホーム選びにおける重要なポイントです。
入居を希望している施設の管理者やスタッフが認知症介護の専門資格を保有しているか、その知識を活かした質の高い高度なケアが提供されているかを確認しておきましょう。
また、施設を見学する時は、スタッフが利用者とどのように関わっているか、またその対応が温かく、尊厳を持って行われているかを見極めることも大切です。
口コミや評判をチェックする
他の利用者やその家族からの口コミや評判は、実際の雰囲気やサービスの質を把握するための重要な情報源です。
地域のコミュニティやインターネット上の評価を参考にすることで、施設の日常的な運営やケアの質に問題がないか確認できるでしょう。
特に、問題があった場合の施設の対応や、利用者の満足度は重要な判断材料となります。複数の口コミをチェックし、可能な限り客観的に判断することが大切です。
グループホームとほかの介護施設との違い
グループホームとほかの介護施設は、受け入れ条件、利用者の身体状態、職員配置、ケアの目的など多岐に渡って違いがあります。
介護施設の種類 | 特徴 |
グループホーム | グループホームは、認知症高齢者が共同で生活する場として提供される施設 |
住宅型有料老人ホーム | 生活支援を受けながら快適に暮らせるように設計された施設 |
介護付き有料老人ホーム | 介護サービスがついている高齢者が生活支援を受けながら居住できる施設 |
ショートステイ | 高齢者が短期間だけ施設に入所し、介護や日常生活の支援を受けられるサービス |
どこが適切かは、利用者のニーズや希望する生活環境によって異なります。これから紹介する情報を参考に、適した施設選びをしましょう。
有料老人ホームとの違い
認知症の方でも入居できる有料老人ホームには、主に住宅型有料老人ホームと介護付き老人ホームがあります。
住宅型有料老人ホームは食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを提供する施設で、個々のプライバシーが守られた私的空間を提供しています。日々の生活支援はあるものの、介護が必要な場合は外部の事業所からサービスを受ける形になります。
介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間体制で常駐し、日常生活のサポートと介護サービスを提供している施設です。洗濯や掃除、食事、入浴、排せつなどの身の回りの世話が含まれます。
入居要件は施設ごとに異なり、健康な方から介護が必要な方、寝たきりや認知症の方まで幅広く対応しています。
グループホームで見られる共同生活の場面よりも、個別のケアが中心となるため、介護サービスの質と範囲が広いのが特徴です。また、看取りやターミナルケアにも対応している施設も多いです。
有料型老人ホームの詳細を知りたい人は下記をチェックしてみましょう。
関連記事:住宅型有料老人ホームとは?サービス内容やほかの施設との違いも解説
ショートステイとの違い
ショートステイは、一時的に在宅介護が困難になった場合に利用できるサービスです。グループホームとの主な違いは、前提としている利用期間です。
グループホームは長期的な生活を前提としている施設ですが、ショートステイは最短1日から介護や生活支援を受けられます。
【まとめ】グループホームとは簡単に言えば「認知症の方が少人数で共同生活を送る施設」
グループホームは、認知症を抱える方が少人数で共同生活を営むための施設です。
家庭的な環境の中で、利用者一人一人の自立した日常生活をサポートすることが大きな特徴です。
グループホームへの入居を検討する際は、利用者の条件や希望に合っているかを確認し、本人・家族ともに安心して利用できる施設を選びましょう。
大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やそれにまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中!
グループホームに関してよくあるQ&A
生活保護でも入居できる?
生活保護を受けている方でも、グループホームへの入居は可能ですが、入居にあたっては、条件を満たしている必要があります。
加えて、地域密着型サービスとしての性格を持つグループホームでは、原則として事業所と同じ市町村に住んでいる方が対象です。
しかし、特例として他の市町村に住む方も入居できる場合があるため、具体的な条件は各事業所により異なります。
グループホームは障害者が入れるのですか?
グループホームは、認知症であると医者から診断を受けた人のみが入所できます。ほかの障害だけを抱えている人は入所できません。
グループホームは若い人でも入れますか?
グループホームは年齢制限が設けられており、通常では、65歳以上となっています。
ただし、40歳から64歳の間で特定疾病を持つ方も入居可能です。

この記事の監修者
いいケアネット事務局
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