徘徊してしまう認知症の家族をどうサポートすればいいのか悩んでいませんか?
この記事では、認知症患者の徘徊に関する理解と対策について詳しく解説します。
認知症患者が徘徊する理由や対応方法、夜間徘徊の特徴とリスク、さらに徘徊対策グッズの選び方や、親が徘徊してしまった際の対応方法まで幅広く取り上げます。
この記事を読むことで、認知症の方の徘徊に適切に対応し、安全な環境づくりや福祉サービスの活用方法がわかります。
あなたと大切な家族の安心・安全を守るために、ぜひこの記事を参考にしてください。
徘徊とは
徘徊とは、目的や目的地を持たずに歩き回ることを指します。
認知症の高齢者によく見られる行動の1つであり、徘徊中に迷子になったり、危険な場所に行ってしまったりするリスクが高くなります。
以下では、徘徊の定義と認知症の高齢者の行動、徘徊が抱えるリスクについて解説していきましょう。
徘徊の定義と認知症の高齢者の行動
徘徊は、特に認知症の高齢者に見られる行動の一つで、自宅や施設を出て、目的地が明確でないまま歩き続けることを指します。
徘徊には、本人なりの目的や目的地があるといわれています。
しかし、認知症の高齢者は徘徊中にしばしば自分がどこにいるのか、何をしているのかわからなくなることもあるため、介護者としては対応が難しい症状です。
参考:厚生労働省『政策レポート(認知症を理解する)』
徘徊が抱えるリスク
徘徊が抱えるリスクには、以下のようなものがあります。
- 道に迷ってしまい、帰宅困難に陥る
- 転倒や交通事故などの危険性が高まる
- 飲食物や十分な睡眠が取れなくなり、健康状態が悪化する
- 適切な医療や介護を受けられなくなる
認知症の高齢者の徘徊は、社会的な問題にも発展することがあります。
徘徊に対する適切な対策が必要です。
認知症の徘徊|原因と対応
認知症の適切な対応のためには、徘徊のきっかけとなる原因を理解することが重要です。
以下では、認知症の高齢者が徘徊する主な理由と、徘徊の対策と介護方法について解説していきます。
認知症の高齢者が徘徊する主な理由
認知症の高齢者が徘徊する主な理由は、不安やストレスなどがきっかけとなり、それまでの生活習慣による目的を達成しようとするからです。
認知症における徘徊には、以下のような本人なりの目的があります。
- 「そろそろ子供を迎えに行かないと」
- 「出勤時間に遅刻しそうだ」
- 「散歩の時間になったから出かけよう」
徘徊を止めるためには、上記のような本人の目的を探りながら、環境づくりや安全対策を考える必要があります。
徘徊の対策と介護方法
認知症の高齢者の徘徊は多くのリスクを抱えているため、徘徊対策は重要な課題です。
徘徊の対策と介護方法は以下の通りです。
- 環境整備:居住環境の安全確保が重要です。個室にする、鍵の設置、家具の移動などで落ち着いた環境を整えます。
- 見守り:地域との連携や、カメラやセンサーの活用によって徘徊のリスクを軽減できます。
- 軽度の運動:徘徊の原因が運動不足にある場合、散歩に付き添って歩くなど、軽度の運動をすることで徘徊防止が期待できます。
- コミュニケーション:認知症の高齢者が不安やイライラを感じることが徘徊の原因の場合があります。コミュニケーションを通じて、本人の気持ちを理解することが大切です。
- 介護サービスの有効利用:介護サービスをうまく利用することで、徘徊のリスクを軽減できます。例えば、デイサービスや訪問看護など、家族の負担を減らせるサービスを利用しましょう。
以上の徘徊の対策と介護方法を実践することで、認知症の高齢者の徘徊に対するリスクを減らせます。
認知症の方の夜間徘徊への適切な対応
認知症の方の夜間徘徊は特にリスクが高く、近隣住民や本人自身の安全にも影響を及ぼします。
また、本人はもちろん家族も安心して寝ることもできず、睡眠不足に陥ってしまうリスクもあるでしょう。
以下では、夜間徘徊の特徴とリスク、安全な環境づくりのポイント、夜間徘徊に対する福祉サービスについて解説していきます。
夜間徘徊の特徴とリスク
夕暮れ症候群、睡眠障害(昼夜逆転)、夜間の目的欠如などが原因となり、認知症の高齢者が夕方から夜間にかけて徘徊することがあります。
夜間は視界が悪いため、以下のようなリスクが高くなります。
- 交通事故
- 転倒・転落
- 行方不明
- 発見の遅れ
- 低体温症・熱中症
夜間徘徊を予防するため、介護者は安全な環境づくりや徘徊対策グッズの使用、福祉サービスの利用などを考える必要があります。
安全な環境づくりのポイント
認知症の夜間徘徊対策の一つとして、家の中を安全な環境にする必要があります。
具体的には、以下のポイントが挙げられます。
- 整理整頓
- 転倒防止対策
- 適切な照明
- ドアや窓の施錠
- 家具や家電製品の安全対策
- 見守りシステムの導入
- 本人に緊急連絡先を持たせる
- 異食対策
これらの対策を一つずつ実施して、安心して暮らせる環境に整えましょう。
夜間徘徊に対する福祉サービス
夜間対応型の訪問介護やショートステイの利用も有効です。
夜間対応型訪問介護は、定期的な巡回や排せつ介助などのサポートを提供するもので、夜間の健康管理や安全対策になります。
ショートステイは一時的な入所施設であり、家族が休息を取る間に認知症の高齢者の世話をしてくれます。
さらに、必要に応じて地域包括支援センターに相談することも重要です。
地域包括支援センターは、地域において介護に関する様々な相談やサポートを目的とした施設であり、徘徊に関する情報提供も行っています。
これらの福祉サービスの利用により、認知症の高齢者の夜間徘徊のリスクを軽減できるでしょう。
認知症の徘徊対策グッズを知ろう
家族だけで24時間徘徊の見守りをするのは困難です。
そんなときは、徘徊のトラブルを予防するアイテムを利用すると負担軽減になります。
以下では、徘徊対策グッズの種類と費用、選ぶ際の注意点について解説していきます。
徘徊対策グッズの種類と費用
徘徊対策グッズには、以下のような種類があります。
- 見守りシールやキーホルダー、耐洗ラベル
- 人感センサー
- GPS端末・GPS機能付きスマートフォン
- 見守りカメラ
これらのグッズは、それぞれに特徴があります。
老人の徘徊の傾向や家庭の環境に合わせて、適切なグッズを選ぶことが重要です。
見守りシールやキーホルダー、耐洗ラベルなどは自治体から無料で提供されています。
GPS端末や人感センサーの価格帯は製品によって異なりますが、約2千〜2万円くらいが一般的です。
見守りカメラは据え置きタイプから工事が必要なものまで、約4千〜3万円程度の価格帯となっています。
中には介護保険でレンタル利用できる場合もあるため、事前にケアマネジャーや地域包括支援センターなどへ相談・確認してみましょう。
参考1:新宿区『高齢者見守りキーホルダー』
参考2:さいたま市『さいたま市認知症高齢者等見守りシール事業』
参考3:健康長寿ネット『介護保険の福祉用具:認知症老人徘徊感知機器』
選ぶ際の注意点
徘徊対策グッズを選ぶ際には、以下のポイントに注意することが大切です。
- 本人の状態に合ったものを選ぶ
- 安全で信頼できるものを選ぶ
- コストパフォーマンスを考える
- 保証やアフターサービスについても確認する
以上の注意点を踏まえて徘徊対策グッズを選ぶことで、認知症の高齢者がより安心・安全に日々を過ごせるようになります。
もし親が徘徊してしまったら
もし親が徘徊してしまったら、まずはパニックにならずに冷静に判断しましょう。
自宅周辺や頻繁に行く場所、覚えている番号や人物の情報を把握し、周囲の人に協力を要請することが重要です。
また、警察への捜索願や自治体の役所への通報など、関係機関へ捜索協力を依頼しましょう。
徘徊のおそれがある場合は、各自治体のSOSネットワークへ事前に登録しておくと捜索がスムーズになる可能性があります。
徘徊が頻回だったり、一人で帰宅できなくなったり、ヒヤリとすることが増えたと感じたら、なるべく早く老人ホームへの入居を検討しましょう。
参考:横浜市『認知症高齢者等SOSネットワーク』
徘徊とは|理解と対策【まとめ】
では、今回のまとめです。
徘徊とは、認知症の高齢者による行動の一つで、多くのリスクが伴うため、適切な対応が求められます。
具体的な対応として、以下の5つがあります。
- 環境整備
- 見守り
- 軽度の運動
- コミュニケーション
- 介護サービスの有効利用
特に夜間徘徊はリスクが高まるため、自宅内の環境整備や福祉サービスの利用を検討しましょう。
また徘徊対策グッズを適切に使用すると、家族の負担軽減になります。
もし、認知症の親が徘徊してしまった場合は、冷静・迅速に関係機関や警察へ通報することが大切です。
徘徊の頻度が増えてきて危険を感じるようになったら、老人ホームや施設への入居も視野に入れましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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