介護施設は高齢者が入るイメージが強く、50才でも対応できる施設があるのか疑問に思う方も多いでしょう。
結論から言えば、特定疾病に該当し要介護認定を受ければ、50才でも介護施設への入所は可能です。
今回は『50才でも介護施設に入るための条件』『50才でも入れる介護施設の種類』『50才から介護施設に入るメリット・デメリット』を解説します。
この記事を読めば、50才でも入れる介護施設の選択肢の幅が広がり、自分にあった施設を選べるようになります。
50才でも入れる介護施設はある
50才でも入れる介護施設はありますが、多くの場合『特定疾病により要支援・要介護を受けた場合』という要件が求められます。
特定疾病により介護認定を受けるには介護保険の申請が必要です。
介護保険の被保険者は、第1号と第2号の2つに分けられ、それぞれサービスを受けられる条件が異なります。
- 第1号被保険者:65才以上で、要介護または要支援状態の方
- 第2号被保険者:40才以上から64才で、特定疾病に該当し要介護または要支援状態の方
つまり、50才で介護施設に入るには、特定疾病に該当し介護認定がおりていることが条件となります。
参考:厚生労働省『介護保険(第2号被保険者向け)』
特定疾病とは?
特定疾病は、老化が原因で生じた病気と定義されており、次の16種類の疾病が定められています。
- がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は膝関節に著しい変形を伴う変形性関節症
参考:厚生労働省『特定疾病の選定基準の考え方』
50才でも入れる介護施設は4つ
特定疾病に該当し介護保険認定を受けると、50才でも次の4つの施設に入所できます。
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
それぞれ入所条件・注意点を踏まえて解説していきます。
有料老人ホーム
有料老人ホームとは、食事の提供・介護・家事・健康管理のうち、いずれか一つまたは複数提供している施設です。
『介護付き』『住宅型』『健康型』の3種類に分けられ、それぞれサービス内容が異なります。
入所条件は施設により異なりますが、『介護付き』と『住宅型』は65才以上で要介護状態の方、『健康型』は60~65才以上で自立〜要介護状態の方が入所可能です。
50才で入所できるのは『介護付き』または『住宅型』のどちらかになるでしょう。
サービス付き高齢向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅とは、生活相談サービスと安否確認が付いた高齢者向けの賃貸物件で、『一般型』と『介護型』の2種類があります。
入所条件は60才以上または、要介護認定を受けた60才未満の方です。
一般型は、身の回りのことを自分でできる方が対象で、認知症の方や介護度が重い方は入所できない可能性があります。
介護型では、介護度が重い方でも受け入れ可能な施設もあるので、入所前に確認しておきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅は賃貸物件になるため、多くの場合、連帯保証人・身元保証人が必要になります。
入所を検討している場合は、連帯保証人になれる方を探しておくと安心です。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、介護を必要とする方が在宅復帰を目指し、自立に向けたサービスを受けられる施設です。
介護老人保健施設では、日常的な介護や看護、リハビリや栄養管理などのサービスを、医師をはじめとした各専門職が提供します。
入所の条件は、要介護1以上の認定を受けている65才以上を対象としていますが、特定疾病で介護認定を受けた要介護1以上であれば、50才でも施設に入所可能です。
ただし、入所期間が3〜6ヵ月と限定されるので、長期で施設入所を考えている方は注意しましょう。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、自宅での介護が困難な方を対象に、食事・入浴・排泄などの日常生活のサービスを提供する施設です。
入所条件は『65才以上で原則要介護3以上の方』となっており、他の施設に比べるとやや要件が厳しくなっています。
しかし、特定疾病に該当し要介護3以上であれば、50才でも入所可能です。
特別養護老人ホームは公的な施設のため費用が安く、終身利用ができるので非常に人気の施設です。
ですので、地域によっては待機期間が長くなる可能性もあります。
もし、特別養護老人ホームに入所を検討する場合は、施設に空室の有無や待機者状況を問い合わせすることがおすすめです。
50代の施設入所|メリットとデメリット
50代で施設入所を決めるためには、早期入所のメリットとデメリットを知っておく必要があります。
50代で施設に入所すると、次のようなメリットがあります。
- 高齢者施設は設備が整っているので安心して生活できる
- できないことや困っていることなど、助けてくれる存在がある
- 独居によるトラブル(自宅で転倒・家事でのケガや孤独によるうつの発症)などを軽減できる
一方、早期入所には次のようなデメリットもあります。
- 早い段階での施設入所は期間が長くなる分、費用がかかる
- 入所できる施設が少ない
メリットがデメリットを上回るようなら、50代でも積極的に施設入所を検討しましょう。
50代でも入れる介護施設|よくある質問
50代でも入れる介護施設について、よくある質問は次の2つです。
- 40代ですが脳出血で片麻痺に。施設に入るべきでしょうか?
- 50代で脳梗塞になりました。介護保険は使えますか?
それぞれ回答していきます。
40代ですが脳出血で片麻痺に。施設に入るべきでしょうか?
家族による介護が難しい状況なら、年齢は気にせず施設入所を検討しましょう。
在宅介護は終わりが見えず、肉体的・精神的にも負担がかかり、介護する家族が無理をすると共倒れになってしまう可能性もあります。
特に若年層の場合、施設へ入所するか、自宅での介護を継続するか悩むのは当然のことです。
しかし、施設への入所は決してマイナスなことではありません。
介護される側だけでなく、介護する家族の負担も考えて、今後の介護方針を決めましょう。
50代で脳梗塞になりました。介護保険は使えますか?
脳梗塞は特定疾病の「脳血管疾患」に該当するため、50代でも介護保険サービスを利用できます。
介護保険サービスを利用するには、お住まいの市町村の窓口へ申請が必要です。
介護認定がおりると、訪問介護やデイサービスといった『居宅系サービス』や、施設に入所する『施設系サービス』が受けられるようになります。
介護の区分によって受けられるサービスと受けられないサービスがありますが、利用する内容や費用についてはケアマネジャーに相談するとよいでしょう。
50才でも入れる介護施設【まとめ】
では、今回のまとめです。
50代でも『特定疾病』に該当し介護認定を受ければ、入所できる施設があります。
特定疾病とは、老化が原因で生じた病気を指し、介護保険法では16種類の疾病が定められています。
特定疾病により要支援・要介護認定を受けた場合、50代で入れる介護施設は次の4つです。
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者住宅
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
ただし、施設によってサービス内容や条件は違うので、自分に合う施設を選ぶことが大切です。
もし、50才で介護施設へ入所を検討されている場合は、地域包括支援センターや市町村の福祉課に一度相談してみましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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