「介護医療院ってどんなところ?」「重度医療が必要だと老人ホームには入れないの?」とお悩みの方が多いようです。
介護医療院は重度医療が必要な方でも長期療養でき、医療のみならず生活の場としての役割を持った施設です。
ただし、施設数が少なく、医療や介護の緊急性が高い方から優先的に入所となるため、入所が難しいケースも少なくありません。
そこで今回は『介護医療院はどんな施設?』『介護医療院のメリット・デメリットは?』『介護医療院と老人ホームの違い』『介護医療院の入所が難しいときは?』といった内容でお送りいたします。
この記事を読むと、重度医療が必要な状態でも入れる老人ホームが見つかるようになります。
介護医療院はどんな施設?
介護医療院とは、比較的介護度の高い方が継続的な医療と介護を受けられる介護保険施設です。
介護療養型医療施設と似ていますが、介護医療院は単に医療を目的とした療養施設ではありません。
介護医療院には、長期療養に加え、生活の場としての役割もあります。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設のように、地域交流や日常生活の世話も提供される点が、介護療養型医療施設との大きな違いです。
ここからは介護医療院について、少し掘り下げて解説していきましょう。
介護医療院が創設された背景
介護療養型医療施設の廃止後、長期療養が必要な高齢者の受け入れ先として、介護医療院が2018年4月に創立されました。
介護療養型医療施設が廃止される理由は、医療保険の対象となる医療療養型病院との区別が難しくなっていたことが挙げられます。
また、高額な医療費の問題や看護スタッフの不足も問題でした。
このような議論の結果、介護療養型医療施設の廃止が2024年3月に決まりました。
2025年度以降は、介護医療院や特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などが、慢性期の医療処置が必要な方の受け入れ先となります。
介護医療院にはⅠ型・Ⅱ型がある
介護医療院には、大きく分けて次の2つの種類があります。
- Ⅰ型:介護療養病床相当以上(療養機能強化型)
- Ⅱ型:介護老人保健施設相当以上
Ⅰ型は医療に特化した施設、Ⅱ型は比較的状態の安定した方に向けた施設です。
そのためⅠ型とⅡ型では、医師や薬剤師などの人員配置基準も異なります。
介護医療院の入所条件
介護医療院に入れるのは、原則65歳以上の要介護1〜5の方が対象となっています。
ただし、特定疾病があり要介護認定を受ければ40歳以上でも入所可能です。
要介護1〜5となっていますが、実際は介護度や緊急性の高い方から優先的に入所できます。
特定疾病とは?
特定疾病とは、加齢との関連性が高く要介護状態の原因になる16種類の疾病を指します。
- がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- 初老期における認知症
- パーキンソン病関連疾患
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
特定疾病に該当すると医師が判断し、市町村による介護認定を受けた場合、第2号被保険者として介護保険サービスが利用できます。
参考:厚生労働省『特定疾病の選定基準の考え方』
介護医療院の費用平均
介護医療院の費用相場は、1ヵ月あたり10~20万円程度です。
ただし、費用は介護医療院の類型や介護度により異なります。
月額料金の内訳は次のとおりです。
- 介護サービス費
- サービス加算の自己負担分
- 居住費(家賃)
- 食費
- 日常生活費
介護サービス費は提供される介護サービスの料金で、介護度や居室タイプなどによって変動します。
また、追加でサービスを受ける場合は、サービス加算の自己負担分が月額料金に上乗せされます。
ほかにも食事内容や消耗品の費用などが必要です。
介護医療院のメリット・デメリットは?
では、ここからは介護医療院のメリットとデメリットを解説していきましょう。
介護医療院のメリット
介護医療院を利用するメリットは、次の4つが挙げられます。
- 介護と医療の両方が受けられる
- レクリエーションが行われる
- 長期療養できる
- 看取り・ターミナルケアにも対応
介護医療院は、医療面だけではなく生活面の支援も重視しています。
介護医療院には、レクリエーションルームや談話室の設置が定められているので、長期療養中でも穏やかに過ごせるでしょう。
参考:厚生労働省『介護医療院とは?』
介護医療院のデメリット
一方、介護医療院には次のようなデメリットもあります。
- 完全個室になっていない施設もある
- 長期入所になるとコストがかかる
- 数が少ない
介護医療院では完全個室になっていない施設もあり、プライバシー面で不安を感じるかもしれません。
また、長期療養のため入居が長くなれば、費用も高額になっていきます。
介護医療院は比較的新しい施設形態のため、有料老人ホームなどに比べると数が少なく、希望する地域で入居できない可能性もあります。
介護医療院と老人ホームの違い
ここからは介護医療院と、老人ホームとして代表的な次の3施設との違いを見ていきましょう。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
ひとつずつ解説していきます。
特別養護老人ホームとの違い
介護医療院とは違い、特別養護老人ホームでは医師や薬剤師など専門的な医療職の配置が義務付けられていません。
そのため、ほとんどの特別養護老人ホームでは看取り・ターミナルケアに対応していないのが現状です。
看護師が常勤しているため、ある程度の医療的ケアには対応可能ですが、現段階では医療より終の棲家としての役割に重きが置かれています。
介護老人保健施設との違い
長期療養に対応する介護医療院に対し、介護老人保健施設は長期入所に対応していません。
介護老人保健施設は在宅復帰のためのリハビリを目的としているため、入所期間は原則3ヶ月となっています。
入院するまでもないリハビリが必要な方を入所対象としており、重度の介護度には対応していません。
有料老人ホームとの違い
公的施設の介護医療院とは違い、有料老人ホームは民間が運営する施設で、多様な介護サービスへ柔軟に対応可能です。
入居条件も自立〜要介護まで幅広く対応しています。
施設数が多いというメリットがある反面、施設ごとで提供する介護サービスが大きく異なるため、最適な施設を見つけるのが大変というデメリットもあります。
介護医療院の入所が難しいときは?
介護医療院は医療や介護が必要な方を優先的に受け入れる施設ですが、施設数が少ないため入所できない方も多いようです。
医療の依存度が高く入所できる施設が見つからないという方は、医療特化型の住宅型有料老人ホームを検討してみてはいかがでしょうか?
医療に特化した住宅型有料老人ホームは、医療機関と提携し重度医療にも24時間対応可能です。
また、多床室のある介護医療院とは違い、全室個室となっているためプライバシーへの不安もありません。
もちろん、レクリエーションや行事も実施されるので、老人ホームでの日々を楽しく過ごせるでしょう。
入所条件が厳しい介護医療院に対し、難病や特定疾病に該当する方なら年齢や介護度に関係なく入居できるという大きなメリットもあります。
いいケアネットでも医療特化型の有料老人ホームを紹介しています。
気になる方は下記ページも合わせてチェックしてみてください。
関連記事:いいケアネット【住宅型有料老人ホーム メディケアゆう 門真】
まとめ
介護医療院は長期療養が必要な医療に対応するだけでなく、生活の場としての役割も兼ね備えた施設です。
ただし、入所には原則65歳以上の要介護1〜5という条件があり、医療や介護の緊急性が高い方から優先的に入所可能となっています。
また、介護医療院は数が多くないため、希望の地域で入所できない可能性もあります。
医療の依存度が高く入れる施設がなかなか見つからないという方は、医療特化型の住宅型有料老人ホームも選択肢に入れてみましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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