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高齢者のネグレクトとは?高齢者虐待や事例・対応策などを解説!

高齢者のネグレクトとは何か、そしてそれがどのように本人や家族に影響するのかご存知でしょうか。

近年、ネグレクトや高齢者虐待は深刻な社会問題として浮上しており、多くの家庭で見過ごされがちな課題です。

本記事では、高齢者に対するネグレクトの基本的な知識から、具体的な事例、効果的な対応策などを詳しく解説します。

ネグレクトとは単なる無視ではなく、生活の質を著しく低下させる重大な問題です。

高齢者のケアにかかわっているなら、本記事を通じて、どうすればより良いサポートができるのか、具体的な解決策を見つけられます。

なお、大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やそれにまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。

【基礎知識】高齢者にも言えるネグレクトとは

ネグレクトとは 高齢者

ネグレクトとは、高齢者だけでなく幼児・児童・障がい者などの方に対し、保護や世話、介護などのサポートを故意に怠ったり無視する行為です。

高齢者でたとえると、以下が典型的です。

  • 適切な食事を与えられない
  • 医療ケアを受けられない
  • 孤独に放置される

ここからは、ネグレクトが発生してしまう原因やその種類について深掘りしていきます。

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目次

ネグレクト発生の原因

ネグレクトは、介護者の心理的・精神的な家族の負担を含めた以下の要因から、よくみられます。

要因 内容
介護者の心理的・身体的負担 長期間の介護はストレスとなり、介護の質が低下するリスクが高まる。
知識やスキルの不足 専門的な知識が不足し、無力感や無関心に陥りやすい。
経済的問題 十分な介護サービスを利用できず、ネグレクトが助長する。
社会的孤立 サポート不足により、介護者が孤独感を感じる。
家庭内の問題 家族間の対立で、協力が得られず適切なケアが提供されない。
社会全体の認識不足 高齢者のニーズや権利が理解されず、ネグレクトが見過ごされる。

上記のように、多様な要因が絡み合い、ネグレクトを引き起こすため、個々の状況に応じた適切な対応が求められます。

ネグレクトの種類

ネグレクトの種類別に見た影響は以下の通りです。

ネグレクトの種類 内容 影響
身体的ネグレクト 基本的な生活ニーズを満たさない(食事、水分、衣服、住環境) 健康状態の悪化
医療的ネグレクト 必要な医療サービスを受けさせない、または不適切な医療の提供 症状の悪化リスク増
心理的ネグレクト 感情的ニーズが無視される状況(会話や感情的サポートの欠如) 孤独感や不安感の増幅
財産的ネグレクト 不適切な財産管理、資産の不正使用 権利侵害の可能性

上記のような種類別で見たネグレクトは、独立して起こるケースもあれば、複合的に発生する可能性もあります。

高齢者の生活の質を保つためには、ネグレクトを早期に発見し、適切な対策を講じるのが重要です。

ネグレクト以外も注意!高齢者虐待とは

高齢者 虐待

高齢者虐待は、近年増加の一途をたどっており、社会全体での注意喚起が求められています。

ネグレクトはその一部に過ぎず、形態を変えて虐待が発生しています。

2006年4月1日に施行された「高齢者虐待防止法」でも高齢者に対する支援などに関した法律が制定されました。

具体的には、不適切な行為や扱いによって権利・利益を侵害される状態、生命、健康、生活が損なわれる状態を「高齢者虐待」と定義しているのです。

高齢者虐待防止法が施行されるようになった背景や高齢者虐待と捉える種類、事例について詳しく解説していきます。

参考:厚生労働省|高齢者虐待防止の基本

社会問題化するほど増加する件数

高齢者虐待は、社会全体で対策が求められる深刻な問題に発展しています。

厚生労働省の「高齢者虐待防止法に基づく高齢者虐待の防止に関する報告書」による報告でも、高齢者虐待の件数が年々増加していると発表されています。

厚生労働省|高齢者虐待防止の基本

引用:厚生労働省|令和5年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

上記グラフで注目したいのが、相談・通報件数と虐待判断件数の違いです。

介護施設の従業員による虐待判断は年々増加しているのに対し、在宅介護をしている家族からの虐待判断は横ばいになっています。

介護施設の従業員は、高齢者虐待かどうかを専門的な知識や経験から判断できるのに対し、在宅介護による家族の判断が難しいのも横ばいの要因でしょう。

とくに家族が介護を担う場合、長時間にわたる介護負担が精神的・身体的に限界を迎えている可能性もあります。

高齢者虐待に対し早期の発見とケアができるよう、地域社会や医療機関などに協力してもらい、迅速に対応する体制を構築するのが大切です。

関連記事:親の介護をしないとどうなる?法的義務やできないときの対処方法を解説

高齢者虐待の種類と事例

高齢者虐待は、近年深刻な社会問題として注目されています。虐待にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる状況で発生します。

以下の表で高齢者虐待の種類や事例をまとめました。

種類 内容 事例
身体的虐待 ・高齢者の身体に外傷が生じる可能性のある暴力を加える

・外部との接触を意図的に断つなど

殴る、蹴る、やけどを負わせる、無理やり口に食事を入れる
介護・世話の放棄・放任(ネグレクト) ・著しい減食

・長時間の放置

・養護者以外の同居人による虐待行為の放置など

入浴させず異臭がする、水分や食事を提供せず、劣悪な住環境
心理的虐待 ・暴言を吐いたり著しく拒絶的な対応をしたりして、高齢者に心理的外傷を与える言動 怒鳴る、ののしる、悪口をいう、高齢者を無視する
性的虐待 ・高齢者へのわいせつな行為

・高齢者にわいせつな行為をさせる

性的行為の強要、懲罰的に衣服を着用させずに放置
経済的虐待 ・養護者や親族が高齢者の財産を不当に処分

・高齢者から不当に財産上の利益を得る

生活費を渡さない、自宅や車を勝手に売却する

上記の通り高齢者虐待は、高齢者の健康や生活の質を著しく損なうだけでなく、社会全体の問題としても看過できません。

高齢者虐待を防止するためには、早期発見と適切な対応が不可欠であり、地域社会や専門機関との連携が重要です。

高齢者虐待を発見した場合、速やかに専門の相談窓口に連絡し、適切な支援を受けましょう。

高齢者が注意すべきセルフネグレクトとは

ネグレクト 高齢者

セルフネグレクトとは、高齢者自身が自らの基本的な生活ニーズを満たすのを怠る状態です。

具体的には、身体的健康、精神的健康、または社会的つながりの維持が困難になるケースが多く、結果として生活の質が大きく低下します。

ここからは高齢者によるセルフネグレクトの症状や発症の原因について解説していきます。

セルフネグレクトの症状

セルフネグレクトは、自己管理ができなくなる状態を指し、とくに高齢者に多く見られます。

高齢者がセルフネグレクトに陥ると、日常生活における基本的なケアを放置し、健康や安全が脅かされる可能性があります。

具体的な症状の一例は以下の通りです。

症状のカテゴリ 具体的な症状
清潔さの低下 ・入浴や洗濯を怠り、衣服や身体が不潔になる

・住環境の荒れ放題になる

・ゴミが溜まる

食事の問題 ・栄養バランスを考えた食事を摂らない

・食事回数の減少、偏食、栄養失調や体重減少などになる

医療管理の不足 ・持病の悪化や薬の飲み忘れが頻発する
精神的な影響 ・社会的孤立感の増える

・他者との交流を避ける

・孤独感や無気力感、うつ状態の可能性がある

セルフネグレクトの症状は多岐にわたるため、早期発見と適切なサポートが重要です。

家族や周囲の人々が上記のサインに気づき、適切な支援をおこないましょう。

セルフネグレクトを発症する原因

セルフネグレクトは、主に心理的、社会的、身体的要因が絡み合っているケースが大半です。

要因 内容 具体例
心理的要因 うつ病や不安障害などの精神的健康問題がセルフネグレクトにつながる。 高齢者がうつ病を患い、食事や清潔な生活を維持する意欲を失う。
社会的要因 孤独感や社会からの孤立、経済的困窮が生活の質を低下させ、セルフネグレクトを引き起こす。 近隣や家族との交流が少なく、サポートが得られない高齢者が自宅で孤立する。
身体的要因 慢性的な病気や障害、認知症の進行が日常生活の自立を難しくし、セルフネグレクトのリスクを高める。 認知症が進行し、薬の管理ができなくなり健康状態が悪化する。

さらに、過去のトラウマや長期的なストレスがセルフネグレクトを引き起こす可能性もあります。

上記のような要因が複合的に絡み合い、高齢者がセルフネグレクトに陥るケースが多いのです。

適切かつ迅速に対応できるよう、地域の方からも協力してもらえる関係を構築しておくのがおすすめです。

高齢者の家族に対して起きたネグレクト事例

高齢者ネグレクト 事例

ここからは実際に起きた高齢者のネグレクト対策について紹介します。

事例ごとの対応にも触れていくので、ほかの家庭で起きたネグレクトが気になる方はぜひ参考にしてください。

事例1.在宅介護の負担からきたネグレクト

本人と息子の二人暮らしで発生したネグレクトの事例を紹介します。

息子は働いているため、本人の身体状況が把握できず、介護の負担が発生しました。

項目 詳細
発見 地域包括支援センターへ通院先医療機関から介護保険申請について連絡があり、介護放棄が疑われるとの共通認識がなされた。
通報・届出、相談 ケアマネジャーから地域包括に虐待の疑いから相談があり、区役所高齢・障害課へ通報した。
安全確認・事実確認 家族関係や身体状況などの事実確認をおこない、食事や入浴が充分に提供されていないのが明らかになった。
処遇方針の決定 高齢者虐待支援計画を作成し、介護保険サービスの利用促進と本人の現状理解を進めた。
処遇方針に基づく対応 デイサービス利用開始、訪問介護の提案、近隣者による食事状況の確認などを実施した。
モニタリング・評価・援助の終結 生活状況の確認と介入をおこない、信頼関係を構築し、介護サービス利用により生活が安定したため、虐待事例としては終結となった。

参考:川崎市|第3章 事例の紹介

事例2.入退院を繰り返した家庭で起きたネグレクト

認知症の母親を同居させた長女の家庭で起きたネグレクトです。

排泄介助や食事の世話が不十分で、母親は衰弱し入退院を繰り返した事例です。

項目 詳細
発見 本人が衰弱にて入院。1カ月の加療のあと、自宅に退院。家族介護に問題が認識され、地域包括支援センターに相談。
通報・届出、相談 地域包括支援センター職員が高齢者支援課に通報。本人の居室は強い尿・便臭があり、寝たきり生活なのが観察された。介護申請済み(要介護5)だがサービス未使用。
安全確認・事実確認 養護者の介護放棄により衰弱、入退院を繰り返し、全身拘縮が起こる。この状態が続けば重篤な身体リスクが予想。
処遇方針の決定 介護保険サービスの導入が望ましいが家族の拒否が強い。訪問看護や介護ヘルパーの導入を条件に退院を進める。
処遇方針に基づく対応 訪問看護師が長女の介護の苦労をねぎらい、信頼を得る。長女はケアマネジャーにも相談し、ヘルパーや訪問入浴サービスの導入を決定。本人の身体状況が改善。
モニタリング・評価・援助の終結 本人の身体状態が改善し、長女の介護姿勢と技術が向上。虐待対応としての支援は終結。

参考:川崎市|第3章 事例の紹介

事例3.頑固さからきたセルフネグレクト

長崎市の86歳独居男性は、認知症による判断能力の低下により日常生活が困難になった結果、セルフネグレクトにつながりました。

食事の偏りや入浴の未実施で健康状態が悪化し、介護サービスが必要ですが、頑固な性格と費用への抵抗から利用を拒否していたのです。

十分な預貯金があるにもかかわらず金銭管理ができず、孤立状態です。

担当ケアマネジャーの助けで成年後見制度を利用し、法的支援を受け、ようやく必要な支援にアクセスできるようになりました。

このような事例では、法律的な介入が高齢者の安全と福祉を守るために重要な役割を果たします。

参考:長崎市|虐待対応事例集

関連記事:老人ホームの保証人に年齢制限はある?条件や役割、いないときの対策を解説

高齢者のネグレクトに対して家族ができる対応

高齢者ネグレクト 家族

高齢者のネグレクトに対して、家族が積極的に関与するのは非常に重要です。

ネグレクトが起きないよう、以下のステップを意識してみてください。

  1. 高齢者の生活環境や行動パターンを観察し、異常や変化を早期に発見する
  2. 家族内でのコミュニケーションを強化し、介護の負担を分担する
  3. 専門家の意見を積極的に取り入れる
  4. 定期的な健康診断や心理カウンセリングを受ける
  5. 家族自身も心身の健康を保つ

家族全員が協力し合い、持続可能な介護環境を作るのが、ネグレクト防止の効果的な手段となります。

高齢者への寄り添いを忘れずにし、話しやすい環境を整えるところから始めましょう。

なお、大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホームに関する疑問やそれにまつわる情報を「いいケアジャーナル」で随時更新中です。

高齢者へのネグレクトでお悩みならいいケアネットにご相談ください!【まとめ】

ネグレクトとは 高齢者

高齢者へのネグレクトは、家庭や施設内で起こりうる深刻な問題です。

ネグレクトは意図的でなくとも、適切なケアが不足すると、高齢者にとって生活の質を著しく低下させる可能性があります。

介護者の心理的・身体的な負担だけでなく、本人の知識やスキル不足も原因の1つです。

問題に直面した際、早期に専門家の助けを求めると、状況の改善につながりやすくなります。

高齢者へのケアに不安がある場合や、ネグレクトの兆候が見られる場合には、早めに専門機関に相談するのが重要です。

いいケアネットでは、高齢者へのネグレクト問題に直面している家族や関係者のサポートを提供しています。

老人ホームを含めた介護施設で適切なケアを受けたい方は、ぜひ「入居無料相談」からご相談ください。

この記事の監修者

いいケアネット事務局

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