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病的老化とは?症例や治療方法、生理的な老化現象との違いも解説

病的老化とは、必ずしも全員が発症するわけではない加齢に伴う疾患や体の不調です。シワやシミ、白髪といった生理的老化と混同されがちですが、病的老化は本格的な予防や治療が必要な状態です。

病的老化は適切な対応をせずに放置すると、症状が進行して日常生活に支障をきたす可能性があります。そのため、早期発見と治療が健康維持の基礎となります。

本記事では、病的老化について詳しく解説します。生理的な老化現象との違いも紹介するので、適切な対応や治療を進めていきたい方は参考にしてみてください。

病的老化とは?生理的な老化現象との違い

病的老化とは、年をとったからといって、誰にでも必ずしも起こるとは限らない疾患や体の不調です。

たとえば、骨粗鬆症や認知症、血液の流れが悪くなって起こる動脈硬化や高血圧などは病的老化といわれます。

「老化」と聞くと一般的に想像されるのは、生理的な老化現象(生物学的老化)です。

生物学的老化は、加齢に伴って、多かれ少なかれ誰にでも起こる以下のような心身の変化のことです。

  • 老眼になる
  • 白髪が生える
  • 骨や筋肉が衰える
  • 顔にシワやシミができる

生理的老化が進行すると、高い確率で病的老化も同時に発生します。そのため、年をとって身体の衰えを感じるようになったら、生理的老化だけでなく病的老化の可能性も視野に入れましょう。

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病的老化の特徴

病的老化には以下のような特徴があります。

  • 複数の病気や症状を抱えやすい
  • 重篤化しやすい

特徴を把握しておくと早期発見や予防に役立つので、理解を深めておきましょう。

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目次

複数の病気や症状を抱えやすい

高齢者は複数の病気を同時に抱えるケースが多く、高血圧や糖尿病、脂質異常症、心臓や脳の病気を併発しやすい傾向があります。

東京都健康長寿医療センターの調査によれば、全体の6割が3種類以上の慢性疾患を持っています。(参考1

こうした状態は、年齢を重ねることで起こる「病的老化」の特徴の1つです。

健康な老化と異なり、病気が原因で体の機能が急激に低下しやすく、日常生活にも支障をきたす可能性があります。

重篤化しやすい

高齢になると、病気にかかったときに体調が急に変化し、症状が悪化しやすい特徴があります。

また、免疫力が弱まり、体の調整機能が落ちるため、軽い病気でも深刻な状態になる可能性があります。

健康を守るためには、体調の変化を見逃さず、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

病的老化でよく見られる症状

病的老化では、年齢による自然な衰えとは異なる健康上の問題が現れます。

よく見られる症状は、以下の4つです。

  • 予備力・回復力の低下
  • 臓器機能の低下
  • 恒常性維持機能の低下
  • ADL(日常生活動作)能力の低下

順番に見ていきましょう。

予備力・回復力の低下

平常時の状態からストレスが加わったときに対応できる潜在能力(予備力)が低下し、少しのストレスをきっかけに機能低下や病気を生じやすい状態になります。

弱った状態から元の状態まで戻る回復力も低下するため、病気にかかりやすく、治りにくくなります。

臓器機能の低下

長年の使用によって、以下のような各臓器の機能低下が起こります。

系統 主な症状・変化
消化器系 ・咀嚼力・嚥下力の低下
・消化吸収力の低下
・解毒作用の低下
・便秘
循環器系 ・血圧変動の乱れ
・動脈硬化の進行
・心臓弁膜症・不整脈
・最大心拍出量の減少
泌尿器系 ・頻尿
・尿路感染
・(男性)前立腺肥大→排尿障害
・(女性)腹圧性尿失禁
筋・骨格系 ・関節可動域の減少
・骨密度の低下→骨粗鬆症
・筋肉量減少・筋力低下
血液系・免疫系 ・貧血
・免疫機能の低下
内分泌系 ・(男性)男性ホルモンの減少→更年期障害
・(女性)女性ホルモンの減少→更年期障害・骨粗鬆症
呼吸器系 肺活量の低下
神経系 ・アルツハイマー病の発症率の低下
・睡眠の質の低下
・体温の低下
感覚器系 ・老眼・白内障
・目のかすみ・視野障害
・難聴(高い音の聞こえ辛さなど)
・嗅覚・味覚の低下
・触覚・温度覚の鈍化

複数の症状が同時に現れる場合もあるため、総合的な診断が必要です。

恒常性維持機能の低下

恒常性維持機能の低下も病的老化における特徴の1つです。

恒常性維持機能が低下すれば、以下のような症状が現れやすくなります。

  • 外気の温度に合わせた体温調整能力の低下
  • 発熱・下痢・嘔吐による脱水症状
  • 血糖値のコントロール能力の低下
  • 血圧の上昇

外部環境の変化に適応する能力が弱まるため、体調の変化を見逃さず早めの受診が大切です。

ADL(日常生活動作)能力の低下

病気やけがで長く寝たきりになると、体を動かす機会が減って筋力が衰えやすくなるほか、関節が硬くなり、自由に体を動かせなくなる場合もあります。

その結果、床ずれ(皮膚が圧迫されて傷ができる状態)や血流の悪化による血栓(血のかたまり)、尿路感染のリスクも高まります。

病気やけがで安静期間が必要な場合は、無理のない範囲で体を動かし、できるだけ寝たきりの時間を減らしましょう。

関連記事:寝たきりの原因と予防対策

病的老化の対応策

病的老化による健康悪化を防ぐためには、対応策を段階的に取り入れていくのが大切です。

以下は病的老化における代表的な対応策です。

  • 病的老化を防ぐための生活習慣を心がける
  • 気になる症状が出たら早期に病院を受診する
  • 介護サービスを活用する

それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。

病的老化を防ぐための生活習慣を心がける

病的老化を防ぐためには、日常生活の習慣を見直す意識が大切です。

病的老化の予防効果が期待できる生活習慣を以下の表にまとめました。

生活習慣 予防効果
栄養バランスのとれた食事 ・免疫力を高める
・生活習慣病を予防する
・筋力や骨の健康を維持する
適度な運動 ・筋力や柔軟性を保つ
・ストレスを軽減する
・血流を促進して脳の働きを活発にする
良質な睡眠 ・自律神経を整える
・記憶力を向上させる
・免疫力を強化する

健康的な生活習慣を意識しながら過ごせば、病的老化の進行を抑えやすくなります。日々の小さな積み重ねが将来の健康につながるため、無理なく継続していきましょう。

気になる症状が出たら早期に病院を受診する

病的老化を防ぐためには、気になる症状があれば早めに病院を受診する意識が大切です。年齢による体の変化と病気の症状を見分けるには、専門家による診断が必要だからです。

「ただの老化だろう」と考えて小さな異変を見過ごしていると、症状が進行して寝たきりや要介護状態になる可能性があります。

以下は、早期受診が必要な症状と考えられる危険性です。

症状 考えられる危険性
日常生活で転びやすくなった 筋力やバランスの低下による転倒の危険性が高まる
食欲が急に落ちた 栄養不足による免疫力の低下や体力の衰えにつながる
体重が急激に変化した 代謝異常や慢性疾患の兆候が隠れている可能性がある
めまいや頭痛が続く 脳や循環器系の病気における初期段階の場合がある
物忘れが増えてきた 認知機能の低下が進行し、認知症のリスクが高まる

気になる症状を放置すると、病気の発見が遅れて治療が難しくなります。体の変化を軽視せず、異変を感じたら早めに病院を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。

介護サービスを活用する

病的老化が進み、日常生活の動作に支障をきたしたり、認知機能の低下が見られたりする場合は、介護保険制度の要支援・要介護の申請を検討してみてください。

認定の結果に応じて、適切な介護サービスを利用できます。

たとえば、要支援の人は、デイサービスでの運動や入浴、自宅での家事支援など、自立した生活を維持するためのサービスが受けられます。

要介護の人は、食事や入浴の介助、訪問看護、施設入所など、より手厚い介護サービスの利用が可能です。

手続きや申請に関する相談は、市区町村の窓口や地域包括支援センターで受け付けています。早めの対応で、安心できる介護環境を整えましょう。

以下の記事では、介護保険制度の仕組みや要介護・要支援の方が利用できる具体的なサービスを解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事:介護保険制度とは?~仕組みやサービスの種類・制度の最新情報まで解説~

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病的老化の特徴や症状を知って適切な対処をしよう【まとめ】

病的老化は、加齢に伴う自然な体の変化とは異なり、複数の病気が同時に進行する特徴があります。早期発見と適切な対応が、健康的な生活を維持するために欠かせません。

気になる症状が現れた際は「年のせい」と思わず、病院の受診を検討してみてください。

高齢になっても健康に過ごすためには、日々の生活習慣の見直しが大切です。さらに、必要に応じて介護サービスを活用すれば、安心して生活できる環境を整えられます。

病的老化を正しく理解し、できることから予防を始めてみましょう。

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【参考文献】

東京都健康長寿医療センタ ー「75 歳以上の約 8 割が 2 疾患以上、約 6 割が 3 疾患以上の慢性疾患を併存」https://www.tmghig.jp/research/release/cms_upload/relese20190201.pdf

この記事の監修者

いいケアネット事務局

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