アパシーとは、これまで出来ていた事に対して無気力無関心になってしまう事です。認知症でみられる症状の1つでもあります。
生活習慣が乱れ、健康面、衛生面や生活面で無精や怠惰による影響がみられます。
アパシーは、うつ病と間違えられやすい状態の1つで、うつ病への精神疾患につながるリスクが高まる。そのため、周りの人がアパシーに気づいたら、できるだけ早く対処することが大切です。ここでは、アパシーとうつ病の違いや症状、対処法などについて詳しくご紹介します。
アパシーとは
アパシーとは、身の回りのことに対して無関心になり、何をするにも気力が沸かない状態です。
アパシーの症状
アパシーの症状は、無気力と無関心です。これまで当たり前に行ってきた生活ができなくなります。例えば、ゴミを出さなくなる、入浴しなくなる、ご飯を作らなくなるなどの症状が挙げられます。このような状態には、アパシーではない人にも陥る可能性がありますが、1~2日程度で元の状態に戻ることが多いでしょう。
アパシーの人は、このような状態が長期的に続きます。また、無関心・無気力によって感情表現が乏しくなるケースもあります。言葉を発することができない、楽しい場で笑えない、悲しむことができないといった症状が挙げられます。
アパシーとうつ病の違い
アパシーの症状を知り、うつ病と似ていることに気づく方は多いのではないでしょうか。アパシーとうつ病の違いについて、詳しくご紹介します。
気分の変調
アパシーの人は気分が落ち込んでいるように見えるかもしれませんが、アパシーの症状は無気力・無関心であり、気分が落ち込むわけではありません。一方、うつ病は気分が落ち込みます。
自覚症状
うつ病の方は、自分がうつ病であることを自覚します。そのため、医療機関を受診したり周りの人に相談したりできるケースが少なくありません。一方、アパシーは自覚できない傾向があり、改善に向けて行動できないケースがほとんどです。
危険行為の有無
重度のうつ病患者は、自傷行為をする場合があります。一方、アパシーは自傷行為に至るケースがほとんどありません。また、無関心・無気力であるため、通常は周りの人に対して暴力的になることもありません。
アパシーの対処法
アパシーは、放置しても改善するとは限らず、環境次第ではますますひどくなる恐れがあります。そのため、身の回りの人がアパシーになったときの対処法を確認しましょう。
生活習慣の改善を促す
アパシーは生活習慣が乱れることで、放置すると心にさまざまな影響があります。睡眠の質が低下すると、ストレスが溜まるだけではなく身体の機能に悪影響を与えます。また、食事を満足にとれない場合も同様です。睡眠と食事が疎かになれば、ますますアパシーが悪化し、無関心・無気力が強くなる可能性もあります。
このような事態を防ぐためには、生活習慣の改善が必須です。アパシーの人に生活習慣を改善するように伝えても、無関心・無気力であるため改善は難しいでしょう。食事や寝る時間になったら声をかけるなど規則正しい生活リズムになるように促しましょう。
目標を立てる
目標がない場合、アパシーになるリスクが高まります。目標の達成後は再びアパシーのリスクが高まるため、継続的に目標を立てることが大切です。そして、目標を達成できるようにサポートしましょう。ただし、アパシーに陥っている人に目標を立てることを薦めても、無関心・無気力であるために拒否される恐れがあります。このような場合は専門家の心理療法を受ける事も考えましょう。
薬を使用する場合もある
アパシーの改善には、生活習慣を整えつつ心理療法でアプローチすることが効果的とされています。しかし、状態によっては抗認知症薬や脳代謝賦活剤が用いられる場合も有ります。薬を使用するかどうかには、症状の程度や患者の状態などで異なるため、まずは医療機関を受診しましょう。
過度なサポートは逆効果になる恐れがある
アパシーの人を周りの人が過度にサポートすると、症状が悪化する恐れがあります。例えば、服を着替えさせる、ボタンを閉めるといった当たり前の習慣までサポートすると、無関心・無気力でも生きていけると思ってしまい、症状が悪化する可能性が否定できません。アパシーを克服するのは自分自身であり、周りの人はあくまでもサポート役です。
関心を持てない人の代わりに周りの人が行うのではなく、自分で行えるようにサポートしましょう。アパシーの人への対応方法については、その筋に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
アパシーの人は無関心・無気力であるために生活習慣が乱れます。うつ病とは異なり、自らの状態を自覚して改善に向けて行動することが困難です。周りの人がアパシーに陥っていないか確認し、必要であれば早期に対処を始めましょう。ただし、誤った対処法はアパシーの悪化を招く恐れがあるため、まずはかかりつけ医に相談することが大切です。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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