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高専賃は廃止されサ高住へ移行!特徴や費用・サービス内容の違いを比較

「高専賃は廃止されたって聞いたけど、その理由や背景を知りたい」
「高専賃とサ高住の違いって何だろう」

このようなお悩みを抱えていませんか?

高専賃は高齢者のニーズに対応できないという課題があり、2011年に廃止されました。現在は高齢者が安心して暮らせる住まいとサービスを一体的に提供するサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)へ移行しています。

本記事では高専賃とサ高住の違い、サ高住を選ぶポイント、どのような方が向いている施設なのかを解説しています。施設入居を検討している方は、参考にしてみてください。

高専賃(高齢者専用賃貸住宅)は2011年に廃止

高専賃は、バリアフリー設計で高齢者が安心して住める住環境を提供する賃貸住宅制度です。入居条件が比較的緩和されており、主な対象者は自立して生活できる高齢者です。

しかし、2011年の制度改正により廃止され、サービス付き高齢者向け住宅へと一本化されました。

高専賃が廃止されたのは、以下のような背景があります。

  • 施設ごとに介護や生活支援サービスの質にばらつきがあった
  • 法的な基準が曖昧で最低限のサービス提供しかされないケースもあった
  • 認知症や要介護進行時に入居継続が難しいケースがあった

社会全体で介護ニーズが高まる中、より手厚い支援を提供できる仕組みが求められるようになり、高専賃の枠組みでは対応が困難と判断されました。

なお、2011年の制度改正に伴い設けられた「旧高専賃(適合高齢者専用賃貸住宅)」への経過措置は平成24年3月末で終了したため、現在高専賃は存在しません

参考:東京都福祉局『旧適合高専賃に係る経過措置について

高専賃廃止後に誕生したサ高住とは?

高専賃廃止にともない誕生したサ高住は、60歳以上の高齢者、または要介護か要支援認定を受けている方が対象の施設です。配偶者または配偶者に等しい間柄の人であれば、同居人として入居が認められます。

サ高住には以下2つの種類があります。以下の表にそれぞれの特徴をまとめました。

一般型

介護型

分類 サービス付き高齢者向け住宅(一般型) サービス付き高齢者向け住宅(特定施設)
入居対象 自立した高齢者 要支援・要介護認定を受けた高齢者
介護サービス 外部サービスを利用 施設内で提供
食事提供 提供義務なし 提供義務あり
自由度 自由に外出可能 施設によっては制限あり

サ高住では状況把握と生活相談のサービスが提供され、安心して暮らすための支援を受けられます。

参考:厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅について

サ高住が新設された背景

2011年に施行された「高齢者居住法」の改正により高専賃は廃止され、代わりにサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)が普及し始めました。サ高住はバリアフリー対応の設備や安否確認など、高齢者向けのサービスを提供している賃貸住宅です。

サ高住が新設された背景には、以下のような理由があります。

  • 高齢者人口の増加と介護ニーズの多様化
  • 質の確保とサービスの統一
  • 在宅介護との連携強化

高齢化の進行とともに認知症や要介護の高齢者が増え、自立した生活だけではなく、見守りや介護支援といった日常のサポートが求められるようになってきました。

サ高住は住まいにサービスという安心を加えた仕組みとして、快適に暮らせる環境づくりが目的の施設です。

高専賃とサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の違い

高専賃とサ高住には、共通する特徴があります。たとえば、入居対象者(高齢者)やバリアフリー設計の住宅、単独や夫婦で入居できる点です。

一方で、明確な違いもあります。代表的な違いは以下の5項目です。

  • 基本情報
  • 入居条件
  • サービス内容
  • 収入基準
  • 必要な費用

高専賃とサ高住の具体的な違いを、詳しく比較していきます。

この記事は「コンテンツポリシー」に沿って執筆しています。
目次

基本情報

高専賃とサ高住の最大の違いともいえるのが、提供されるサービスと法的な枠組みです。

おもな違いは、以下の5つです。

高専賃

サ高住

対象者 自立または軽度の介護が必要な方 自立者から介護が必要な方まで幅広い
サービス内容 必要に応じて選べる生活支援サービス 安否確認や生活相談が標準
介護サービス 外部利用 外部サービスまたは施設で提供
費用 安価 やや高額
法的基準 一部地域で基準が異なる 国が定める基準あり

サ高住には、高専賃のときには義務づけられていなかった安否確認や生活相談サービスがあり、住宅だけでなくサービスを提供する場としての機能もあります。

また、サ高住は、国土交通省と厚生労働省が共同で定める法律に基づく登録制度があり、一定の基準を満たした住宅のみが登録を認められています。

参考:国土交通省「高齢者の住居の安全確保に関する法律

入居条件

高専賃とサ高住は60歳以上の高齢者が対象の施設ですが、介護認定の有無や健康状態など細かな違いがあります。

以下が、高専賃とサ高住の入居条件の違いです。

高専賃

サ高住

対象者 60歳以上の自立した高齢者
※軽度介護の場合外部サービスの利用で入居可能なばあいあり
60歳以上の高齢者またはその配偶者
介護認定の有無 不問
※要介護度が高いと入居が難しい場合もある
要支援・要介護の方も入居可能
※認知症でもケア体制のある施設であれば受け入れ可能
健康状態 重度の医療ケアが必要な場合や認知症が進行していると入居が制限されることがある 安否確認や生活支援があるため、介護度が高くても住みやすい環境が整備されている

サ高住は高齢化社会にともない要支援や要介護認定を受けている方も入居対象になり、認知症の方でも体制が整っている施設であれば入居できます。

サービス内容

高専賃は住宅提供のみで介護サービスは外部に依存していましたが、サ高住は高齢者が生活しやすいようサポート体制が整っています。

以下が、高専賃とサ高住のサービス内容の違いです。

高専賃

サ高住

住まいの環境 住まいの提供が中心 見守りや安否確認など生活支援がある
介護サービスの有無 外部サービスを利用 施設内または併設の介護サービスを利用
管理体制 自由な生活スタイルを維持 24時間体制でスタッフが常駐

高専賃は住む場所の提供という意味合いが強く、自由な生活を送れるのが特徴でした。

サ高住は住まいだけでなく見守り支援や介護サービスの利用ができるため、安心して暮らせる環境が整っています。

収入基準

高専賃もサ高住も明確な収入基準は設けられていませんが、どちらも入居時には「家賃を滞りなく支払えるか」が重要視されます。

以下が、高専賃とサ高住の違いです。

高専賃

サ高住

特徴 一般的な賃貸同様に支払い能力や保証人の有無などが重視される 公的支援付き住宅の場合は低所得者向けの補助制度がある
審査 収入証明や連帯保証人の提出を求められるケースが多い 住宅ごとに異なる

サ高住では低所得者向けの支援制度と連携している住宅もあり、収入が限られていても入居できるケースがあります。

収入に不安がある方は事前に自治体や運営事業者へ相談すれば、自分に合った住まいを選びやすくなります。

必要な費用

高齢者向け住宅を選ぶ際、費用面は大きな判断材料の1つです。高専賃とサ高住はどちらも賃貸契約に基づき入居しますが、初期費用や月々の支払内容には違いがあります。

以下が、高専賃とサ高住の費用の違いです。

高専賃 サ高住
初期費用 敷金・礼金・保証金など 敷金など賃貸契約に基づく費用
月額家賃 一般的な家賃相場に近い 同等かやや高め
食費 別途発生(任意) オプションの場合が多い

高専賃は費用を抑えながら自立した生活を送りたい人向けの施設です。一方、サ高住は生活支援や介護の準備が整っており、将来を見据えた住まいを希望する方に適しています。

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サ高住の利用が向いている方の特徴

高齢になっても自分らしく暮らし続けたい方にとって、自由度と安心感を両立できる住まいです。

自宅での生活に不安を感じている場合や、将来的なサポートを見据えて環境を整えたいと考える方に適しています。

以下の特徴に当てはまった方は、サ高住の利用が向いています。

  • 安否確認や生活支援など日常的なサポートが必要
  • 介護サービスや医療ケアが必要
  • 保証人を選定するのが困難

サ高住は施設のスタッフや外部サービスを利用しながら、ニーズに合った支援を受けられるのが特徴です。自身のライフスタイルに合ったサ高住を検討すれば、より豊かで安心な生活を実現できるでしょう。

サ高住を選ぶときのポイント

サ高住は高齢者が安心して住み続けられるよう配慮された住宅なので、人生の最期まで過ごす住まいとしても利用できます。後悔しないためにも、本人だけでなくご家族も一緒に確認し、慎重に検討することが大切です。

サ高住を選ぶ際に確認するポイントは、以下の3つです。

  • サービス内容や支援体制を把握する
  • 入居にかかる費用の目安を確認する
  • 見学や体験入居をする

サービス内容や介護体制、金銭面など総合的に確認して判断したほうがいいので、選ぶときのポイントを詳しく解説していきます。

サービス内容や支援体制を把握する

サ高住は、住宅ごとにサービス内容や支援体制が大きく異なります。入居を検討する際には、自分の希望する生活スタイルや介護の必要性に対応できるかを事前に確認しておくことが重要です。

とくに確認したいポイントは、以下の5つです。

  • スタッフの人員体制
  • 生活支援サービスの有無と内容
  • 食事や掃除などオプションサービスの提供体制
  • 緊急時の対応体制
  • 介護・看護サービスの提供方法

サ高住によってサービスの内容や対応レベルには差があります。どのような支援が標準なのか、追加料金が発生するのかなど、事前に調べておけば「こんなはずではなかった」という事態を避けられます。

関連記事:介護施設の種類の覚え方3選!選び方も合わせて紹介

入居にかかる費用の目安を確認する

サ高住の費用は立地やサービス内容によって幅がありますが、おもに「初期費用」と「月額利用料金」で構成されています。家賃やサービス費など込みで、月に10万〜13万円程度かかります。

以下が、月額利用料金の平均です。

地域

月額平均

全国 11.0万円
地方 9.2万円
大都市 12.7万円

出典:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について -高齢者の住まいについて-

敷金は数万円〜数百万円と幅があり、住宅の仕様や運営方針によって異なります。月額費用には家賃や管理費、生活支援サービス費などが含まれており、介護型ではさらに介護サービス費も加わります。

事前に支出の見通しを立てておき、気になる施設があれば問い合わせ確認しましょう。

関連記事:老人ホームの費用が払えない場合は生活保護を活用すべき?入居可能な施設の種類を解説

見学や体験入居をする

施設の資料やホームページだけでは施設の様子を確認できないため、必ず見学や体験入居を申し込みましょう。

見学や体験入居をする際に確認するポイントは、以下の5つです。

  • 建物や設備の充実度
  • 介護や医療、リハビリの対応
  • スタッフの雰囲気や対応
  • 食事の内容
  • 家族との面会時間・日数

設備やスタッフの対応、入居者の様子は実際に自分の目で確認することが重要です。気になる点があれば遠慮せず質問し、納得できるかどうかを判断しましょう。

サ高住を選ぶ際の注意点

高齢者の自立した生活を支援するサ高住ですが、安心して入居するために注意しべき点もあります。

とくに気をつけたいのは、以下の5つです。

  • 認知症の方は対応できない施設もある
  • 不要なサービスが含まれていないか契約内容を確認する
  • 一般型は要介護度が上がると支援が受けられない可能性がある
  • 居室に風呂やトイレがない施設もあり自由度が下がる可能性がある

入居前には複数の施設を比較し、自分の希望や将来の変化に対応できる環境かどうかをしっかり見極めることが大切です。

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高専賃に代わる最適な住まいを見つけようまとめ

すでに高専賃は廃止されサ高住に統一されているので、これから高齢者向け住宅を検討する場合は、サ高住を中心に選びます。

サ高住は高専賃に比べて制度面やサービス内容が明確に整備されており、入居者の安全や生活支援の質も向上しています。

本人の状態や希望に合う住まいを選ぶことが重要なので、気になる施設があれば積極的に見学や体験入居を申し込みましょう。

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高専賃やサ高住に関する疑問

高専賃やサ高住に関わらず、高齢者向けの施設はたくさんあり、以下のような疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

  • サ高住の費用はいくら?年金で払える?
  • サ高住の問題点はなに?
  • 高齢者向け公営賃貸住宅ってどのような施設?

ここでは、高齢者の住まいに関する疑問を詳しく解説していきます。

サ高住の費用はいくら?年金で払える?

国民年金は加入期間や収入の違いが影響し一概には言えないものの、年金だけで払える人は少ないです。

サ高住の月額平均 110,000万円
老齢基礎年金(満額) 69,108円

貯蓄を切り崩す、親族からの援助などの対策が必要です。

参考:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について

関連記事:サ高住の入居費用は年金だけで支払える?料金表と内訳を見ながら解説

サ高住の問題点はなに?

サ高住は安否確認や生活相談などのサービスがあるため、一般の住宅よりも費用が高いです。

費用面以外の問題点は、以下の3つです。

  • 入居できない可能性がある
  • サービスの自由度が低い事業所がある
  • 介護サービス費が別途必要になる

入居を検討する際は、施設ごとの条件や支援体制をよく比較し、自分に合った住まいを選ぶことが大切です。

関連記事:サービス付き高齢者向け住宅の問題点とは?失敗しない選び方も解説

高齢者向け公営賃貸住宅ってどのような施設?

高齢者向け公営賃貸住宅(地域優良賃貸住宅)は自治体が運営するバリアフリー設計の賃貸住宅で、安心して暮らせるよう配慮されています。

おもな特徴は、以下の3つです。

  • 60歳以上の単身高齢者や夫婦世帯が対象
  • 所得に応じて家賃が減額される制度
  • サービスは住宅提供のみ

住んでいる自治体によって入居条件が異なるため、公営住宅担当窓口に問い合わせてみてください。

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