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「レビー小体型認知症の介護が大変……」特徴や対応について解説

「レビー小体型認知症の介護が大変……」特徴や対応について解説

レビー小体型認知症の介護が「大変」と感じる方は多いでしょう。それもそのはず。レビー小体型認知症には、症状の変動性や幻視による不穏、転倒のリスクなど、特有の困難が数多く存在します。

本記事では、レビー小体型認知症の特徴や他の認知症との違いについて詳しく解説しています。さらに、この病気の介護が大変な理由と、5つの具体的な対策も紹介しています。

本記事を読むことで、レビー小体型認知症の介護における問題の理解が深まり、その解決策を具体的に把握できるでしょう。

目次

レビー小体型認知症とは

レビー小体型認知症は「三大認知症」の一つで、アルツハイマー型認知症に次いで発生率が高いとされています。独自の特徴と症状があり、早期診断と対処が重要です。

以下では、レビー小体型認知症の特性と、他の認知症との違いについて詳しく解説します。

レビー小体型認知症の特徴

レビー小体型認知症はアルツハイマーに次いで頻繁に診断される認知症です。しかし、症状は非常に多様で、以下のような特徴があります。

  • 認知機能の変動:日中の認知状態が変化する場合があります。
  • 幻視:レビー小体型認知症の特徴的な症状として知られています。存在しないものを見たり、感じたりすることがあります。
  • パーキンソン症状:手足の震えや動きの遅れなど、パーキンソン病と類似の症状が出る場合があります。
  • 睡眠時の異常行動:寝ている間に突然叫んだり、体を動かしたりすることがあります。
  • 抑うつ症状:持続的な気分の沈みや活動の低下を経験することが多く、日常生活に対する興味喪失や、楽しみを感じられない無感動な状態に陥ることがあります。
  • 自律神経症状:立ち上がった瞬間にめまいを感じる「起立性低血圧」が発生する場合もあるため、日常生活における動作や移動にも支障をきたすことが多いです。

レビー小体型認知症の介護では、上記のような独自の症状を理解することが大切です。

参考:公益財団法人長寿科学振興財団『レビー小体型認知症

レビー小体型認知症と他の認知症との違い

レビー小体型認知症の場合、記憶障害が出現するタイミングは他の認知症よりも遅いことが一般的です。そのため、家族がこの病気に気づきにくいという傾向があります。

最近の出来事や名前を忘れることは少なくても、幻視や認知機能の変動、自律神経症状などが見られる場合、レビー小体型認知症と診断される可能性があります。

レビー小体型認知症の独自の症状に注目し、早期診断と適切な治療が必要です。

なぜレビー小体型認知症の介護は大変なのか

レビー小体型認知症の介護は多くの困難を伴います。以下で詳述する5つのポイントを理解し、なぜこの病気の介護が大変なのか、その理由を明らかにしていきましょう。

症状の変動が激しい

レビー小体型認知症における症状の激しい変動は、介護者に大きな負担をもたらします。この認知症の特性として、症状が非常に不安定であり、日々あるいは一日の中でさえも変わりうることが確認されています。

例えば、朝は元気だった認知症の方が、午後には突如として症状が悪化するケースも少なくありません。このような症状の変動性は、介護者が一瞬たりとも油断できないという厳しい状況を生んでいます。

このような症状の激しい変動により、介護者は認知症の方の状態を注意深く観察し、不測の状況にも柔軟に対応する能力が求められます。

幻視による不穏

レビー小体型認知症の方は幻視によって不穏な行動を示す可能性があり、これが介護者にとって一層の負担となります。この疾患には「現実的な幻視」が伴い、この幻視が不穏な行動を引き起こします。

例えば、認知症の方は存在しない人や物に対して反応し、突然パニックになるケースがあります。この場合、介護者は落ち着いた対応で事態を収束させなければなりません。

幻視による不穏行動は介護者にとって予測と対策が難しいため、専門的な知識がない家族にとって厳しい課題となるでしょう。

転倒のリスクが高い

レビー小体型認知症にはパーキンソン症状が伴う場合が多く、これが転倒やケガのリスクを高めます。

転倒を防ぐためには、床に散らばる小物を整理したり、手すりや座椅子を配置するなどの工夫が必要です。また、歩行器や車椅子などを使用して、安全な移動を支援しなければなりません。

運動機能の低下に伴う転倒リスクは、レビー小体型認知症の介護で非常に注意を要する問題点です。

睡眠時の異常行動

レビー小体型認知症の方には、睡眠障害がしばしば見られます。中でもレム睡眠行動障害が顕著で、夢で見ている事象に対して無意識のうちに身体を動かしてしまうため、ケガのリスクが生じます。

例えば、認知症の方が夢の中で走っていると、実際に足を動かしてしまい、ベッドにぶつけてしまう危険性があります。また、殴る蹴るなどの激しい行動により、同じベッドにいる人がケガをする可能性も考えられます。

睡眠時の異常行動、特にレム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症の介護で注意すべきポイントです。

参考:厚生労働省『レム睡眠行動障害

日中、寝てばかりで昼夜逆転

レビー小体型認知症の方には日中の傾眠傾向がみられるため、夜間に活動的になるケースも少なくありません。このような昼夜逆転は、介護者にとって大きな負担をもたらします。

日中にほとんど目を覚まさずに眠っていると、夜中に突如として元気になり、家の中を歩き回ることがあります。このような行動は、介護者の睡眠時間をも奪いかねません。

このように昼夜逆転は、認知症の方本人だけでなく介護者にも深刻な影響を及ぼすため、在宅での介護を困難にします。

レビー小体型認知症の介護|5つの対策

レビー小体型認知症の介護|5つの対策

レビー小体型認知症には多くの特有の症状があり、それぞれに対応したケアが必要です。また、家族だけでの対応が難しいケースも多いため、早期の介護サービスや施設入所も検討しましょう。

以下では、この認知症特有の症状に対応する、5つの具体的な対策を解説します。

症状が悪化する周期を知る

認知症の症状が悪化する周期を理解することは、適切なケアと対応に必須です。これにより、認知症の方の状態が不安定になる可能性が高い時間帯や条件に、事前に備えられます。

例えば、多くの認知症の方は、夕暮れ時に認知機能が低下する傾向があります。夕方になると気分が不安定になる場合、その時間帯に特別なケアを施す準備をしておくと良いでしょう。具体的には、夕方にリラックスできる音楽を流す、あるいは家族が一緒に過ごして見守るなど、症状の悪化を和らげる工夫が可能です。

症状の周期を把握しておくことで、必要な時に適切な介護ができ、認知症の方も介護者も安心感を得られるでしょう。

幻視を理解したコミュニケーション

レビー小体型認知症において、認知症の方が経験する幻視を無視するのではなく、安心感を与えるコミュニケーションが必要です。幻視は認知症の方にとって非常にリアルな体験であるため、この現象を軽視すると、認知症の方の不安やストレスが増加する可能性があります。

例えば、幻視により認知症の方が「誰かが部屋にいる」と感じたら「私には誰も見えませんが、それは不安ですね。一緒に部屋を確認してみましょう」といった形で対話してみましょう。否定しないことで、認知症の方は自分の感じたことを認められ、安心感を得られるかもしれません。

幻視に対する適切なコミュニケーションで、認知症の方が安心できる環境を作り出しましょう。

居住環境を工夫する

転倒リスクの高いレビー小体型認知症の介護では、居住環境の工夫が非常に重要です。高齢者が転倒すると、ケガの度合いにより、その後の生活にも大きな影響を与える可能性があります。

家具の配置は動線を考慮して配置し、通路を広く取る、滑りにくい床材を選ぶ、手すりや滑り止めマットを設置するなどの対策が効果的です。さらに、家全体の段差の解消やトイレ、浴室の改修といった大掛かりな工事も、介護保険の活用により比較的コストを抑えて実現できます。

認知症の方が安心して暮らせる環境は、介護者にとっても安心な環境といえます。可能な限りリスクを排除した環境整備を進めましょう。

日中の活動プランの作成

昼夜逆転が問題となっているレビー小体型認知症の方にとって、日中の活動プランをしっかりと作成することが、心身の健康にも寄与します。

昼夜逆転は、介護者にとっても認知症の方にとっても、多くの負担となります。特に、不規則な生活リズムは症状を悪化させる可能性もあり、早急な改善が必要です。

活動プランを作成する際には、認知症の方が興味を持てるものを中心に考えることが大切です。例えば、趣味の活動や手芸、ガーデニングなど、心地よく時間を過ごせるものが理想です。

さらに、デイサービスの利用も一考に値します。専門のケアスタッフがいる環境で、多彩なプログラムが用意されているため、安心して活動できます。

昼夜逆転を防ぐためには、日中の活動が極めて重要です。認知症の方が喜びを感じ、興味を持てる活動を中心に、効果的なプランを作成しましょう。

介護サービスの活用

介護の負担が大きくなってきたと感じたら、介護保険サービスの活用は避けて通れない選択肢となるでしょう。

レビー小体型認知症は、夜間に突然大声を出したり、暴力的な行動を取る可能性もあります。そのような状況下でのケアは、介護者自体の心身にも大きな負担をかけます。

このような場合、夜間の訪問介護サービスやショートステイの利用、老人ホームへの入所などを考えるべきです。夜間の訪問介護では、専門の介護スタッフが自宅に訪れてケアを提供してくれます。また、老人ホームは長期的なケアが必要な場合に有用です。

介護の負担は想像以上に大きいものです。その重圧を分散するためにも、介護保険サービスを上手く活用しましょう。

「レビー小体型認知症の介護が大変……」と思ったら【まとめ】

では、今回のまとめです。

レビー小体型認知症の介護が大変だと感じたら「症状の周期を把握」「幻視に対する安心感を与えるコミュニケーション」「居住環境の工夫」「日中の活動プランの作成」「介護サービスの活用」といった対策が有効です。

介護の負担は一人では乗り越えられないものも多いですが、適切な対策と準備によって、その負担は軽減できます。これらの対策を実践することで、より良い介護生活を送る一歩を踏み出しましょう。

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この記事の監修者

いいケアネット事務局

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